2023年04月29日


ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 第1楽章 [2023] / Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98 I. Allegro non troppo

andotowa-05.jpg

♪第1話:オケの再スタートになぜ「ブラ4」? 理事長が明かした意外な理由とは


みなさま、はじめまして。
この度、CMSL Symphonic Orchestraの主席指揮者に就任しましたアンドウトワです。
本日はゴールデンウィークの貴重なお時間を割き、当オーケストラの演奏会に足をお運びいただき誠にありがとうございます。

このオーケストラは既にお伝えしている通り、長かったコロナ禍の影響もあり、経営は至って苦しい状況にあります。
本来であればもう消滅していてもおかしくないところを、以前からご愛顧してくださる方々のご支援もあり何とかここまで持ちこたえてきました。

今回、オーケストラが再スタートを切るにあたり、楽団員の多くは刷新されました。
オケを去った有能な楽団員の方々には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ですがその分、新たな活動を託された私たちは、全力で一つひとつの演奏に向き合っていくつもりです。

andotowa-07.jpg

生まれ変わったオーケストラの最初の演目に何がふさわしいか。
通常であれば、ブラームスの交響曲第1番のような、晴れやかに力強く締めくくる楽曲がふさわしいでしょう。
私はそう考えていました。

しかし、理事長のセバスチャン・ガロは「それではつまらない」と言いました。

cmsl-20.jpg

「トワとレア(コンサートマスター)を呼んだのは"意外性"があるからだ。ありきたりなことをしても仕方がない。他では味わえないような感動をこのオケではお客様に感じていただきたい」とも言いました。

「それでも、いくらなんでも晴れの門出に短調で終結する交響曲はないんじゃありませんか?」と私は食い下がりました。

すると理事長は「では言おう。トワ、あなたにはブラームスの第1番より第4番が遥かに合っている。あなたの指揮者としての本質が最も表れるのは、絶対的に第4番だ。それを思いきり聴衆に届けてほしい。」と言われました。

内心私は「そんなことはない。第1番こそ私の本質だ。理事長は私のどこを見ているんだ。」と半分怒りに近い感情を抱きましたが、これ以上不毛な言い合いをしてもしかたないので渋々、理事長の要求を呑むことにしました。

andotowa-08.jpg

ですがわかってください。私が本当に愛しているのはブラームスの交響曲第1番です。
いずれの機会には、ぜひそれを振らせていただくつもりです。

…こう言うと、私が第4番を嫌っているかのように思われるかもしれませんが、好き嫌いは別として第4番は初めてブラームスがベートーヴェンの呪縛から逃れて本心をさらけ出した、誠意ある一曲だと思っています。
ブラームス本来の美しく流麗な旋律も随所に散りばめられています。
そして何より、ブラームス自身が最もお気に入りの自作曲だったということです。


ごあいさつのつもりが長くなってしまいました。
それでは演奏をごゆっくりとお楽しみください。



ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 第1楽章 [2023]
Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98
I. Allegro non troppo [14:03]



Brahms-Symphony-No4-1st-2023.mp3


▼オーケストラを構成する楽団員たち
cmsl-15.jpg


ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 16:52 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月22日


メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64 第1楽章 [2023] / Felix Mendelssohn Bartholdy:Violin Concerto in E minor, Op.64:I. Allegro molto appassionato

kazahanarea-02.jpg

♪ヴァイオリン協奏曲の代名詞的な不朽の名曲

メンデルスゾーンが1844年に作曲したヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲。

穏やかな情緒とバランスのとれた形式、そして何より美しい旋律で、
メンデルスゾーンのみならずドイツ・ロマン派音楽を代表する名作であり、
本作品は、ベートーヴェンの作品61、ブラームスの作品77と並んで、
3大ヴァイオリン協奏曲と称されています。

kazahanarea-03.jpg

第1楽章の冒頭から独奏ヴァイオリンが奏でる流麗優美な第1主題は、
大変有名な旋律で、商業放送など至る所で親しまれています。

展開部の終わりにカデンツァが置かれていることもこの作品の特徴であり、
その音符が全て書き込まれているのも、この時代としては画期的なことでした。

kazahanarea-05.jpg

メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は、私がヴァイオリンを手にするきっかけになった曲です。生前の父が好んでよく聴いていた曲で、小さい頃から私はこの曲に慣れ親しんできました。澄んだその音色に惹かれ、多くの楽器の中でも特にヴァイオリンを愛するようになったのは、この協奏曲を聴いたからだと思います。父のお気に入りのレコードの演奏には程遠いですが、今の私なりにできる表現は出し尽くしました。楽しんで聴いていただけたらうれしいです。(風華レア)




*2007年以来、16年ぶりの新録音です。弦の抑揚、木管の音量に気を配りました。
ベルリンフィルハーモニー大ホールの舞台から20m付近の音響を使用しています。


メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64 第1楽章 [2023]
Felix Mendelssohn Bartholdy:Violin Concerto in E minor, Op.64
I. Allegro molto appassionato [12:48]



Mendelssohn-ViolinConcerto-1st-2023.mp3


オーケストラを構成する楽団員たち
cmsl-11.jpg
cmsl-14.jpg
cmsl-12.jpg


ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 17:42 | 協奏曲 (Concerto) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月19日


ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 Op.27 第3楽章 [2023] / Sergei Vasil'evich Rachmaninov:Symphony No.2 in E minor, Op27 III. Adagio

andotowa01.jpg

♪オーボエと弦が奏でる感動的な旋律

「交響曲第2番」はラフマニノフが私生活の上でも1902年にナターリヤと結婚、
翌年には長女を、1907年には次女を授かった、公私ともに充実していた時期の作品です。

1906年10月から1907年4月にかけて、ドレスデンと夏の間だけ帰国して過ごした
妻の実家の別荘地、イワノフカで作曲されました。

初稿にはひどく不満足だったものの、数か月の改作を経てこの作品を仕上げると
1908年1月26日にサンクトペテルブルクにて自身の指揮で初演を行いました。
演奏は大成功を収め、初演から10か月後に2度目のグリンカ賞を授けられました。

cmsl-03.jpg

320ページにのぼる自筆譜は、長らく紛失していましたが2004年になって発見され、
テイバー財団によって所有されて大英図書館に永久貸与となっていました。
2014年5月20日にロンドンでサザビーズにより競売に掛けられ、120万ポンドで落札されました。

第3楽章は全4楽章の中で最も広く知られる、ラフマニノフならではの美しい緩徐楽章。
まずヴィオラによるスラヴ風の流れるような旋律が、儚い憧れを込めるかのように歌われると、
続いてクラリネットのソロによるノクターン風の長閑な旋律がこれに代わります。

cmsl-08.jpg

特に3:00から始まるオーボエと弦が奏でる旋律は感動的で、胸に染み入るものがあります。




*冒頭から約5分間の抜粋です。前回よりテンポを若干落としました。
ベルリンフィルハーモニー大ホールの舞台から20m付近の音響を使用しています。


ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 Op.27 第3楽章 [2023]
Sergei Vasil'evich Rachmaninov:Symphony No.2 in E minor, Op27
III. Adagio [4:53]



Rachmaninov-Symphony-No2-3rd-2023.mp3



ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 01:09 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月18日


チャイコフスキー:幻想序曲《ロメオとジュリエット》 [2023] / P.I.Tchaikovsky:Fantasy Overture after Shakespeare "Romeo and Juliet"

andotowa04.jpg

♪ロメオとジュリエットの愛の主題は特に有名

「すべてのロシア音楽の中で最も美しい旋律」
リムスキー=コルサコフがそう評した愛の主題は特に有名。

幻想序曲『ロメオとジュリエット』はチャイコフスキーが
シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を題材として作曲した演奏会用序曲。

1869年の9月から11月にかけて作曲され、1870年3月16日、
モスクワにおいてニコライ・ルビンシテインの指揮によって初演されました。

楽譜は1871年にベルリンで出版されたましが、その際に大幅な改訂が行われました。
その後も改訂が行われ、現在演奏される決定稿が出版されたのは1881年です。

cmsl-07.jpg

1868年、チャイコフスキーはロシア5人組の代表格であるミリイ・バラキレフと知り合い、
自身の作品を彼に献呈して批評を仰ぐなどしながら交友を深めていました。

1869年8月にバラキレフがチャイコフスキーの元を訪ねた折、
シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を題材とした作品の作曲を勧めたといわれます。

cmsl-09.jpg

その際、曲に用いる主題とその調性など、細かい部分に関しても具体的な助言を与えたほか、
「作曲の筆が進まない」というチャイコフスキーの手紙に
自ら譜例を書き添えて返事を送ることもありました。

こうしてバラキレフの批評を受け入れながら、第2稿、第3稿(決定稿)と改訂していきました。




*ロメオとジュリエットの「愛の主題」を中心とした抜粋です。2007年以来の新録音。
ベルリンフィルハーモニー大ホールの舞台から20m付近の音響を使用しています。


チャイコフスキー:幻想序曲 《ロメオとジュリエット》 [2023]
P.I.Tchaikovsky:Fantasy Overture after Shakespeare "Romeo and Juliet" [5:18]



Tchaikovsky-Fantasy-Overture-Romeo-and-Juliet-2023.mp3



ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 19:56 | 管弦楽曲 (Orchestral) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月26日


ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」 第1楽章 [2023] / L.V.Beethoven:Symphony No.3 in E flat major, Op55 "EROICA" 1. Allegro con brio


Beethoven-05.jpg♪すべての人々の心に生きる"英雄"を描く

交響曲第3番「英雄」は、ベートーヴェンが尊敬したナポレオンに捧げられた作品で、
完成した当初は総譜の表紙に「ナポレオン・ボナバルト」と書かれていました。

しかし、ナポレオンが権力を象徴する皇帝の座についたのを知ったベートーヴェンは、
顔面蒼白になり「あの男も単なる俗物であったか」と怒りに打ち震えました。

そして総譜表紙の「ボナバルト」の文字を荒々しく消すと、気を静めたのちにペンを取り、
「Symphonia Eroica - 一人の偉大な人の思い出のために」と表題を改めました。

この瞬間、「英雄交響曲」は誰かひとりの"英雄"に捧げられたのではなく、
すべての人の心にある、愛・勇気・正しさとそれを行う人を描いた作品となりました。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Listen & Download]

ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 10:00 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年03月19日


シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.97「ライン」第1楽章 [2023] / Robert Alexander Schumann:Symphony No.3 in E flat major, Op.97 "Rheinische":I. Lebhaft


schumann05.jpg♪悠久の時の流れを思わせる雄大なシンフォニー

交響曲第3番変ホ長調「ライン」は1850年に作曲され、1851年2月6日に
デュッセルドルフにおいてシューマン自身の指揮によって初演されました。

シューマンが完成した4番目の交響曲で、実質的には最後のものにあたります。
しかし、2番目のものが後年改訂出版されて「第4番」とされたため、第3番に繰り上がりました。
「ライン」の副題はシューマン自身が付けたものではありません。

日本初演は1927年9月25日、日本青年館にて近衛秀麿と新交響楽団によって行われました。
シューマンの交響曲のなかで最も早く日本で演奏されています。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Listen & Download]

ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 09:51 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月17日


チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第2楽章 [2023] / Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64:II. Andante cantabile, con alcuna licenza


Tchaikovsky-08.jpg♪屈指の旋律美を誇る2つの主題

深い闇の彼方から朧気に響くホルンの音。
それはあたかも心の平安を求める、祈りの声のようでもあります。

第2楽章は厳かでやや陰鬱な弦の序奏のあと、
夢幻的であまりに美しい主題がホルンのソロで奏でられます。

この主題が弦によって再現されると息をつく間もなく、
さらに美しい第2主題が続けて演奏されます。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Download]

ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 19:30 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 《悲愴》 第1楽章 [2023] / Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique":I. Adagio - Allegro non troppo


Tchaikovsky-07.jpg♪作曲家が人生の最後に明かした心の真実

交響曲第6番『悲愴』はただの音楽ではありません。
チャイコフスキーが作曲の大家ではなく、ひとりの人間として明かした心の真実です。

彼は作曲しながら感情の迸りを抑えられず、涙で譜面が見えなかったと語っています。

第1楽章は『悲愴』の核心であり、特に展開部 (11:45) には最も長い演奏時間が費やされています。
ここに"人間"チャイコフスキーが伝えたかったことのすべてが集約されています。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Download]

ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 13:10 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年01月28日


エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 Op.39 [2023] / Edward William Elgar:Pomp and Circumstance March No.1 in D major, Op.39

Elgar-02.jpg♪第二の英国国歌として親しまれる格調高い行進曲

『威風堂々』は英国の作曲家エドワード・エルガーが作曲した管弦楽のための行進曲集。
エルガーが完成させたのは5曲で、21世紀初頭に未完の第6番が
補筆完成され追加されました。

第1番は1901年に作曲され、同年の10月19日にリヴァプールにて
アルフレッド・ロードウォルドの指揮で初演されました。
エルガーの友人でもあったロードウォルドと、リヴァプールの管弦楽団に捧げられました。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Download]

ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 01:15 | 管弦楽曲 (Orchestral) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年01月22日


ビゼー: 《アルルの女》第2組曲 第4曲:ファランドール [2023] / Georges Bizet: L'Arlesienne: Orchestral suite no.2:IV. Farandole

Bizet-01s.jpg♪組曲を締めくくる力強く活気に満ちた終曲

ジョルジュ・ビゼーによる全27曲の付随音楽『アルルの女』(L'Arlesienne)は、
アルフォンス・ドーデの同名の短編小説『アルルの女(フランス語版)』および、
それに基づく戯曲の上演のために1872年に作曲されました。

作曲期間が短く、契約の関係で極めて小編成のオーケストラしか使えなかったため、
作曲には大変苦労したという話が伝わっています。

初演の評価は芳しくなく、6年後に再演された時は大好評のうちに迎えられましたが、
その時すでにビゼーはこの世の人ではありませんでした。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Download]

ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 13:18 | 管弦楽曲 (Orchestral) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする