2023年05月30日


ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14 [2023] / Sergei Vasil'evich Rachmaninov:Vocalise Op.34-14

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♪第10話:コンマス・レアの急成長に指揮者のトワもタジタジ?…白熱のリハーサル現場

こんにちは。
CMSLシンフォニックオーケストラのコンサートマスター風華レアです。

先日、プロフィール写真を撮り直しました。
最初に撮影したものは写真というよりイラスト風でそれも素敵でしたが、私自身の実像とかけ離れている写真も多かったです。どうやらカメラマンさんの独自の作風が全面に出ていたようです。

ですから今後は、今日新たに公開したプロフィール写真を「実写版・風華レア」と考えていただければと思います。

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さて今回の「ヴォカリーズ」も私にとって父の思い出が詰まった曲です。
フランス人の父は仕事の関係で日本を訪れ、そこで母と知り合い結婚しました。
その後、私が生まれて、父は私が15歳の時に亡くなるまで家族と日本で暮らしました。

クラシック音楽が好きだった父は、アンナ・モッフォとストコフスキーによる「ヴォカリーズ」を好んでステレオで聴いていました。
私もそれを物心つく前から聴いていて、いつかヴァイオリンで弾いてみたいと思っていました。
それで父が亡くなった時には知人にピアノ伴奏を弾いてもらい、レクイエムとしてその曲をヴァイオリンで弾いて捧げました。

「ヴォカリーズ」は元々、ラフマニノフが声楽の発声練習用に書いた作品で、全編を通して歌詞がなく、歌手はハミングで歌い上げるのが原型です。
とても美しい旋律で器楽曲として演奏されることもあります。伴奏の低音がうねるように半音進行する部分は、ラフマニノフらしさにあふれ引き込まれます。

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この名曲を取り上げることになり、指揮のトワさんとヴァイオリン独奏の私、それに弦楽パートの楽団員たちが最初に行ったリハーサルは聞くに堪えない惨憺たる内容でした。
トワさんは自分が好きな音楽の時は本気ですが、そうでもないとあからさまに気持ちが乗っていないのがわかります。

例によって「ヴォカリーズ」もとても遅いテンポで振り始めました。それは別にいいのですが、伴奏だからか弦への指示があまりに適当でした。

●ヴォカリーズのリハーサル音源(抜粋)

少し頭にきた私はわざと主旋律を食い気味に奏で、指揮者に代わって私が演奏を引率する素振りをみせました。

するとトワさんは指揮棒を下ろし「なんでそんなに走るのですか?」と私に向かって言いました。私は「演奏に緊張感がなくてついていけません。これぐらいしないと寝てしまいそうです」と答えました。

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「でもこれでは音楽として破綻しているでしょう?」とトワさん。

私は「それならもっと腰の入った、縦の線がハッキリわかる伴奏にしてください」と思い切って言いました。するとトワさんが「う〜ん、そんなに手を抜いているつもりはないんですがねぇ」と、とぼけたことを言うので私は「ブラームスのシンフォニーみたいに本気で演奏してください!」と声を荒げてしまいました。

それを隅で見ていたガロ理事長は、横を向いて「ぷっ」と吹いていました。思わず「ピキ〜っ」となった私は「笑ってないで理事長からも何とか言ってください!」と子供のように怒鳴ってしまいました。

理事長は笑いながら近づいてくると「いやぁ、すまない。でもいいやり取りだったよ。たしかにトワは好き嫌いがハッキリしているからね。これくらい言わないとスイッチが入らないかもしれない」とうなずきました。

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続けて「それにしてもレアは出会った頃とは見違えるように逞しくなったね。コンマスになってまだ数か月でこれだから今後が楽しみだよ」と目を細めました。

またトワさんに対しては「ヴォカリーズの弦楽伴奏版はピアノ伴奏版にはない重厚感があるね。私は向こうで聴いていて、ブラームスの弦楽六重奏を思い出したよ。どうだろう、トワ。なにもラフマニノフの曲だからと捉われずに、トワなりの深くて重い演奏にしてみたらいい。きっといいものが生まれると思うよ」と言うと、背中で手を振りながらリハ現場を去っていきました。

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理事長のアドバイスで目の色が変わったトワさんは、そこからあらためてリハーサルをやり直して、弦楽パートにも細かい指示を出し、何度も手直しして別物のような音楽を作り上げていきました。
本番でもそれが十二分に発揮できたと思います。私も心からの充足感を感じました。

余談ですが、リハのあと帰宅するトワさんをこっそりつけていくと、コンビニに立ち寄りカップ酒の「白鶴まる」とイカの燻製を買っていました。「オヤジか!」と思わず突っ込んだ私でした。



ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14 [2023]
Sergei Vasil'evich Rachmaninov:Vocalise Op.34-14 [9:06]



Rachmaninov-Vocalise-2023.mp3


▼オーケストラを構成する楽団員たち
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2019年12月20日


モーツァルト:レクイエム ニ短調 K. 626:第11曲 サンクトゥス [2019][AR] / W.A.Mozart:Requiem in D minor, K.626:11. Sanctus

mozart-04.jpg♪ヴェルディ、フォーレの作品とともに「三大レクイエム」の一つに数えられる

レクイエム ニ短調 K. 626は、モーツァルトが作曲したレクイエム(死者のためのミサ曲)です。モーツァルトの死により作品は未完のまま残され、弟子のジュースマイヤーにより補筆完成されました。

1791年8月末、モーツァルトがプラハへ出発する直前、見知らぬ男性が彼を訪ねました。男性は匿名の依頼主からのレクイエムの作曲を依頼し、高額な報酬の一部を前払いして帰って行きました。

9月中旬、プラハから戻ったモーツァルトは『魔笛』の残りを急いで書き上げ、9月30日の初演に間に合わせました。その後、レクイエムの作曲に取りかかりましたが、体調を崩しがちとなり、11月20日頃には床を離れられなくなってしまいました。

12月になると病状はさらに悪化して、モーツァルトは再び立ち直ることなく12月5日の未明に他界しました(享年35)。彼の葬儀は12月6日にシュテファン大聖堂の十字架チャペルで行われました。

4日後の10日にはエマヌエル・シカネーダーなどの勧めにより、ホーフブルク宮殿の前にある皇帝用の聖ミヒャエル教会でのミサで「レクイエム」の初演がそれまで完成した形で行われました。



モーツァルトは、自身が死へと向かう病床でレクイエムの作曲を進めていました。妻コンスタンツェの妹ゾフィーは、モーツァルトが最後までベッドでジュースマイヤーにレクイエムについての作曲指示をし、臨終の時もまだ口でレクイエムのティンパニの音を表そうとするかのようだったと姉アロイジアとニッセン夫妻に宛てた手紙の中で述べています。

全14曲のうち、モーツァルトが完成させたのは第1曲だけで、第2曲第3曲等はほぼ出来ていたものの、残りは未完のまま作曲途中にモーツァルトは世を去りました。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Listen & Download]

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2019年11月19日


ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14 [弦楽伴奏版][2019・AR] / Sergei Vasil'evich Rachmaninov:Vocalise Op.34-14

Rachmaninoff-01.jpg♪ロシア的な叙情性を湛えたラフマニノフ屈指の名旋律

ヴォカリーズは元来、歌手の練習用に書かれた歌詞の伴わない、
Ahーなどの母音のみを発声する歌曲のことを意味します。
多くの作曲家がヴォカリーズと称する楽曲を書いていますが、
ラフマニノフの作品が突出して有名で、代名詞のようになっています。

1912年に作曲の14曲からなる歌曲集作品34の最後の曲として発表され、
当時から大変な人気を集め、様々な編曲版が生まれました。

まず原典は嬰ハ短調だったのをラフマニノフ自身がホ短調の管弦楽版に編曲。
その後はピアノ独奏版、器楽とピアノ伴奏版、ソプラノと管弦楽伴奏版など、
編曲や調性を変えた違った顔を持つヴォカリーズが、人々に知られることになりました。




歌手がうたう際は嬰ハ短調ですが、器楽ではホ短調が相場です。
またラフマニノフ自身はソプラノでもテノールでも構わないとしていますが、
伴奏の音域との兼ね合いなどからテノールで歌われることはまずなく、
古くからソプラノの名歌手たちが、優れた録音を残してきました。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Listen & Download]

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2017年12月10日


J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ [2017]

Caccini (2).jpg♪楽曲を彩る流れるような美しい旋律

カンタータとは、バロック時代にイタリアで始まり北ヨーロッパで発達した声楽曲です。
レチタティーヴォおよびアリアによる独唱、重唱、合唱などから成ります。
名称はイタリア語のカンターレ cantare (“歌う”の意) に由来します。

歌詞の内容により、世俗カンタータ (室内カンタータ) と教会カンタータに分けられ、
前者は教会の礼拝以外の目的のためのもので、主として作曲家が仕えていた
領主や知人たちの誕生祝,結婚祝などのために作曲されました。

また、後者は教会の礼拝のためのもので、1700年頃までは協奏的モテト、
教会コンチェルトと一致するものでしたが、1700年以降ドイツで発達し、
コラールが好んで使用され、合唱が重視されました。

バッハの現存する約200曲の教会カンタータはその代表的なものです。
またバッハは『コーヒー・カンタータ』など 20曲以上の世俗カンタータも残しています。


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教会カンタータでは、バッハの『心と口と行いと生きざまは』がよく知られており、
曲中のコラール合唱曲「主よ、人の望みの喜びよ」は、マイラ・ヘスのピアノ編曲で有名です。
この曲は全曲を通して聴かれる、主題を飾る流線型の美しい対旋律が魅力です。

主旋律は1642年のヨハン・ショップ作曲の賛美歌から引用され、
『マタイ受難曲』やその他のカンタータにも用いられています。


Bach, J.S.: Cantatas, Vol. 12 - Bwv 21, 147
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J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ [2017]
J.S.Bach:Herz und Mund und Tat und Leben BWV 147 [2017] [4:04]


http://classical.seesaa.net/J.S.Bach-Herz-und-Mund-und-Tat-und-Leben [2017].mp3



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2017年12月06日


G.カッチーニ:アヴェ・マリア [2017]

Caccini (2).jpg♪クリスマスの人気曲として定着したカッチーニの“アヴェ・マリア”

ジュリオ・カッチーニはイタリア・ルネサンス音楽末期、バロック音楽初期の作曲家です。
ヤコポ・ペーリとならんでモノディー様式の代表的な音楽家の一人として知られます。
作曲家フランチェスカ・カッチーニとセッティミア・カッチーニは娘。

16世紀末、カッチーニは歌手、教師、作曲家として20年間仕事を続けました。
カッチーニは教師として、何十人もの歌手に新たなスタイルで歌うことを教えています。
その教え子の中には、モンテヴェルディの最初のオペラ「オルフェーオ」の主役として歌った、
カストラートのジョヴァンニ・グアルベルト・マリもいました。


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カッチーニの「アヴェ・マリア」として知られるこの曲は、
J.S.バッハ/グノー、シューベルトの作品と共に“3大アヴェ・マリア”として、
クリスマスのシーズンになると盛んに演奏される人気曲です。

実際には旧ソ連の音楽家ウラディーミル・ヴァヴィロフによって作曲された歌曲で、
録音も楽譜も90年代前半まで知られていませんでした。
ヴァヴィロフは自作を古典作曲家の名前を借りて発表する事がよくあり、
この曲もヴァヴィロフ自身は作者不詳としていました。

しかし、いつしかジュリオ・カッチーニ作として定着したこの曲は、
レスリー・ギャレットやスラヴァのCDによって広く知られるようになり、
アンドレア・ボチェッリやシャーロット・チャーチらによっても歌われました。
こうした事実はCDや楽譜の楽曲解説では言及が無く、
現在一般にはジュリオ・カッチーニ作品として認識されています。


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G.カッチーニ:アヴェ・マリア [2017]
Giulio Caccini:Ave Maria [4:20]


http://classical.seesaa.net/Caccini-AveMaria-2017.mp3



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2016年08月03日


瀧廉太郎:荒城の月 (2016年1月1日よりパブリックドメイン)

早春賦~日本の愛唱歌
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3.0点 知ってる曲が満載
発売日:2003-07-23
メーカー:コロムビアミュージックエンタテインメント
アーティスト:平野忠彦 塩田美奈子 鮫島有美子 市川倫子

♪時代を越えて愛唱される日本を象徴する歌曲

瀧廉太郎は明治日本の西洋音楽黎明期における代表的な音楽家の一人です。
日本人としては二人目となる、ヨーロッパ音楽留学生としてドイツに留学し、
文部省外国留学生として入学、ピアノや対位法などを学びました。

それまでの日本の唱歌は、外国の曲に日本語を無理にのせたものが主でしたが、
日本人によるオリジナルな歌曲を最も早く作り始めたひとりが瀧です。
また、1900年には日本人作曲家として初のピアノ独奏曲メヌエットを書いています。

外国人から見た日本の代表曲と言えば、「さくらさくら」と「荒城の月」だと言います。
最近では坂本九さんの「上を向いて歩こう」などもこのうちに入るようですが、
やはり古典的な名曲として、最初の二曲は現代でも不動のようです。


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「荒城の月」は1901年に行われた、旧制中学校唱歌の懸賞付きの募集に、
瀧廉太郎が作曲して応募、入選したことがきっかけとなって世に出ました。
作詞の土井晩翠は当時の影響力ある詩人にして英文学者でした。

まずは晩翠が宮城県仙台市の青葉城址、同じく福島県会津若松市の鶴ヶ城址、
また、当時、リンゴ狩りに訪れた際に立ち寄った岩手県二戸市の九戸城址を
イメージして詞を書き上げたとされ、後から瀧が大分県竹田市の岡城址、
同じく富山県富山市富山城を想って、詞に曲をつけたとされています。
ですからそれぞれの場所に「荒城の月」の歌碑が置かれています。

瀧によるオリジナルはロ短調のアカペラ曲でしたが、
後年、山田耕筰がピアノ伴奏を付ける際に、短三度上げてニ短調に移調し、
旋律の一音ずつを倍に伸ばして、8小節のところを16小節に改編しました。

さらに、「♪春高楼の花の宴〜」の“え”にあたる音からシャープが消え、
半音下げたナチュラルに変更されました。
耕筰が日本らしさを出すためにあえてそう変えたとか、
何度もの改訂の中で、自然に日本に馴染みの音階になっていったなど、
諸説が取り沙汰され、様々に推測されています。
今では瀧のオリジナルに直すべきという声も上がり始めているようです。

「荒城の月」の歌詞は時代を越えて同じ姿で輝き続ける月と、
栄枯盛衰の象徴でもある荒れた城を対比させることで、
この世の無常や儚さを表現しています。

奇しくも瀧廉太郎自身も留学先のドイツで肺結核を患い、
帰国後、故郷大分で療養するも完治せず、23歳の若さでこの世を去っています。
しかし廉太郎はいなくとも、こうして音楽は今も輝き続けています。
その姿はまさに時を越え、不変の光りを保つ夜空の月のようでもあります。


*ピアノ伴奏譜を書いた山田耕筰が、1965年に亡くなってから50年が経過し、
2015年12月に著作権保護期間が終了しました。
2016年1月1日よりパブリックドメインとなったため、ダウンロード及び素材使用可能な、
「フリー音楽素材」として再掲載しました。


瀧廉太郎:荒城の月
Taki, Rentaro:Kojyo no Tsuki
https://classical-sound.up.seesaa.net/Rentaro-Taki-Koujyo-no-Tsuki.mp3


瀧廉太郎:荒城の月 [KARAOKE]
Taki, Rentaro:Kojyo no Tsuki
/classical-sound.up.seesaa.net/Rentaro-Taki-Koujyo-no-Tsuki-KARAOKE.mp3



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2016年07月09日


J.S.バッハ:マタイ受難曲 第39番 「憐れみたまえ、わが神よ」 [新録音2016]


バッハ:マタイ受難曲 BWV244
価格:
カール・リヒター
ポリドール(1991-11-30)
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♪キリストの受難を克明に描いた音楽劇

8世紀ごろに姿を現し、バッハによってその頂点を極めた「受難曲」は、
キリストが捕らわれてから十字架に張り付けられるまでを、
順を追って刻々と描いていく音楽劇です。

新約聖書“マタイによる福音書”に基づくこの作品は、
クラシック音楽の最高峰との呼び声も高い、
バッハ生涯最大の傑作で、全曲で2時間半を越える長大作です。

今でこそ不動の位置にある傑作の「マタイ受難曲」ですが、
発表されてから100年もの間、まったく顧みられることはありませんでした。

それを発掘し蘇演したのが、その時若干20歳だったメンデルスゾーンです。
バッハ再認識のきっかけを作ったこの演奏会は、
作曲と並ぶメンデルスゾーンの大きな功績とされています。

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嘆くような短調の旋律が染み入る、第39番「憐れみたまえ、わが神よ」は、
預言通りイエスと共にいたことを三度否認してしまった、
ペテロの深い悲しみが表現されたアリアで、全曲中でも特に知られる名作です。


* 前回は主旋律をチェロで奏でた演奏でしたが、
今回は音色をオーボエに替え、オケにパイプオルガンを追加するなど、
演奏内容にかなりの変化を加えました。
また、ホール音響も全面的に変わっています。

(さらにKARAOKE音源も同時に掲載しました)




J.S.バッハ:マタイ受難曲 第39番 「憐れみたまえ、わが神よ」 BWV244
J.S.Bach:Matthaus Passion No.39 BWV244


https://classical-sound.up.seesaa.net/J.S.Bach-Matthaus-Passion-No.39.mp3


J.S.バッハ:マタイ受難曲 第39番 「憐れみたまえ、わが神よ」 BWV244
J.S.Bach:Matthaus Passion No.39 BWV244 [KARAOKE]


https://classical-sound.up.seesaa.net/J.S.Bach-Matthaus-Passion-KARAOKE.mp3



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2016年05月14日


ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14


ヴォカリーズ&オーヴェルニュの歌
アンナ・モッフォ/ストコフスキー
BMGメディアジャパン(1998-12-16)
おすすめ度の平均: 5.0
5追悼 アンナ・モッフォ


♪どこまでも美しい歌詞のない歌

「ヴォカリーズ」とは歌詞のない母音だけで歌われる歌曲の総称です。
主に練習用となるこうした歌曲の中でも、このラフマニノフの作品は突出した感があり、
今では「ヴォカリーズ」といえばラフマニノフというのが一般的になっています。

初演の歌手が「どうしてこの歌には歌詞がないのですか?」と尋ねると、
ラフマニノフは、「なぜ歌詞が必要なんだ。君はその声と音楽性だけで、
言葉以上に深く表現できるじゃないか。」と答えました。

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コーダ(6:04)ではそれまで伴奏だったピアノが主旋律に転じ、
替わってヴォーカル(ここではヴァイオリン)が即興風の上昇する対旋律を奏で始めます。
この部分が全曲中で最も感動的です。




ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14
Sergei Rachmaninoff : Vocalise Op.34, No.14


http://classical-music.aki.gs/Rachmaninov-Vocalise.mp3



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2016年03月17日


オルフ:世俗カンタータ 《カルミナ・ブラーナ》 より 「おお、運命の女神よ」

Tchaikovsky-07.jpg♪シンプルで力強い旋律と原始のリズム

カール・オルフはドイツ・ミュンヘン出身の作曲家、教育家です。
5歳でリストの孫弟子にあたる母親からピアノを習い始め、
石板の上に音符を書いたと言われています。

ミュンヘン音楽アカデミーを卒業後、室内楽団の楽長を務め、
兵役を経てのち、ドイツ各地の歌劇場の指揮者を歴任しています。
また、1924年に出会った舞踏教師のドロテー・ギュンター と共に
リズム、ダンス、音楽を体系的に教える「ギュンター学校」を設立。
以後も特定のメソッドを持たない、子どもの音楽教育に尽力しました。

作曲家としてはこうした音楽教育のための作品もありますが、
何と言っても代表作「カルミナ・ブラーナ」を始めとする音楽劇によってその名を残しています。
1803年、ドイツ南部のバイエルンにあるベネディクト会ボイレン修道院で、
若者の怒りや恋愛の歌、酒や性、パロディなどの世俗的な内容を持つ詩歌集が発見されました。


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オルフはここから24篇を選び(内1曲はオルフの自作)、
シンプルな和声、旋律と原始的で強烈なリズムが特徴の音楽をつけました。
これが舞踊手を伴う、合唱と大規模なオーケストラによる音楽劇「カルミナ・ブラーナ」です。

オルフは「私のキャリアはここから始る」と言って、
それ以前の自作曲をすべて破棄させてしまいました。
しかしその自信の通り「カルミナ・ブラーナ」は20世紀を代表する音楽のひとつになりました。
この音楽劇中の合唱曲「おお、運命の女神よ」は作品全曲中でも特に有名です。


オルフ:カルミナ・ブラーナ
ヨッフム(オイゲン)
ユニバーサル ミュージック クラシック(2001-10-24)
おすすめ度の平均: 5.0
5この曲は矢張りこれが‥
5最高のカルミナ これに勝る演奏なし
4超えられないのか?
5才気煥発、これは空前絶後の名演っすね!
31967年に録音されたので、音質が...


オルフ:世俗カンタータ 《カルミナ・ブラーナ》 より 「おお、運命の女神よ」
Carl Orff:O Fortuna from cantata "Carmina Burana"


*楽曲の著作権が継続中のため音源はストリーミング再生のみです



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2014年12月05日


モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626 “怒りの日”

モーツァルト:レクイエム
ワルター(ブルーノ) リップ(ウィルマ) レッスル=マイダン(ヒルデ) デルモータ(アントン) エーデルマン(オットー) ウィーン楽友協会合唱団
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♪自身のためのレクイエム(鎮魂歌)にもなった最後の名作

モーツァルトの天才ぶりについては、しばしばこんなことが語られます。
彼は一瞬のひらめきの内に、交響曲一曲分の青写真が見えていて、
あとはそれを譜面に書き起こす作業が残っていただけだったと…。

たしかにそれは事実だったのかもしれませんが、
一方では彼もまた人間だったことを示す、興味深い話もあります。

ある音楽家がウィーンのモーツァルトゆかりの地を訪ねていると、
歌劇「魔笛」の草稿が目に飛び込んできました。
その譜面には何度も書き直した苦心の様が表されていて、
隅には苛立ちからペンで突き刺したあとがいくつもあったと言います。

「魔笛」は病に苦しんだ最晩年の作品だからということもあるでしょうが、
モーツァルトにもそうした面があったのかと思うと、なぜか安堵を感じます。

そんな「魔笛」と同じ年に書かれた最後の作品が、名作として名高い「レクイエム」です。
「魔笛」の完成も近づいた、1791年7月のある日、見知らぬ男がモーツァルトを訪ね、
レクイエム作曲の依頼と謝礼について書かれた、無署名の手紙を差し出しました。

経済的に厳しかったこともあり、モーツァルトはすぐにこの仕事を引き受けました。
ただ、自身の体調がすぐれず、鬱々とした精神状態でのこの依頼は、
何か不吉なものに感じられて、モーツァルトはショックを受けずにいられませんでした。

やがて彼は、あの男は死の世界からの使者であり、
この作品は自分のためのレクイエムではないかと考えるようになりました。

歌劇「ドン・ジョバンニ」の台本作家ダ・ボンテにあてた手紙では、
「最早、私の生命の終わりが近づいたと覚悟しています。
運命ならばあきらめなければなりません。これは私の葬儀の歌です。」
といったような内容を綴っています。

そしてそう予見した通り、レクイエムは彼の遺作となってしまいました。
それも、モーツァルト自身の筆で完成させることはできず、
弟子のジュスマイアーに未完部分の手はずを伝え、 その後間もなく意識を失い、
1791年12月5日に帰らぬ人となったのでした。

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レクイエム作曲中のモーツァルトは何かに憑かれたように作業を進め、
体力の衰えから筆が持てない時は、弟子に指図して代筆させました。
妻を含め周囲がもうやめた方がいいとすすめても全く聞かず、
床から起き上がれなくなっても作曲をやめることはありませんでした。

「魔笛」の作曲中にも何度も気を失ったというモーツァルト。
彼の音楽に対する執念ともいうべき情熱には、ただ頭が下がるばかりです。

モーツァルトの完全に調和した音楽は、どこからか降って湧いたものばかりではなく、
たゆまぬ努力と熱意の賜物でもあったのです。





モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626 “怒りの日”
W.A.Mozart:Requiem in D minor, K.626 "Dies Irae" [1:54]



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