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2020年06月11日


エルガー:《エニグマ変奏曲》 Op.36 - 第9変奏 「二ムロッド」 [2020][IR] / Elgar: Variations On An Original Theme, Op.36 "Enigma" - 9. Nimrod (Adagio)

Elgar-03.jpg♪友人とベートーヴェンを語り明かした夜の思い出

ある日のこと、エルガーがピアノに向かい、とりとめもなく旋律を奏でていると、
ひとつの旋律が夫人の注意を引き、「もう一度聴かせてほしい」と頼まれました。
その旋律こそが『エニグマ変奏曲』全体の基となる主題になりました。

エルガーはこの主題から次々と、即興的に変奏を弾き始め、
それぞれの変奏を友人たちの音楽的な肖像としてまとめました。
たとえば、第1変奏は夫人のキャロライン・アリス・エルガーを表し、
譜面には「第1変奏 L'istesso tempo "C.A.E."」と頭文字を記すといった具合です。

ただ、はっきりとは人物名を記さず、楽曲全体を通した隠し主題があるという理由から、
『独創主題による変奏曲(Variations on an Original Theme for orchestra)』という
正式名称よりも『エニグマ(謎の)変奏曲』という通称が一般化しています。

14の変奏からなるこの変奏曲の中でも、もっとも高い人気を誇り、
単独の演奏会用ピースとしても取り上げられるのが、第9変奏「二ムロッド」です。
二ムロッドとは出版社勤務の友人イェーガーにエルガーがつけた愛称で、
彼の高貴な人柄がその音楽を通して描き出されています。




エルガーとニムロッドはある夜に、ベートーヴェンの緩徐楽章について語り合いました。
その時の記憶が第9変奏「二ムロッド」に反映されています。
それだけにこの音楽には崇高な気高さがあります。
背後にうしろで手を組みたたずむベートーヴェンの姿が透けて見えるかのようです。

尚、今回からベルリンフィルハーモニー大ホールの音響をリバーブに使用しています。
過去にはウィーン・コンツェルトハウスの音響をメインに使用していましたが、
今後は近代的なオーケストラサウンドが堪能できるベルリンフィル大ホールの音響で録音していきます。

参考として、新しい音響で録音した演奏(ハイライト)をお聴きください(mp3)

♪ブルックナー:交響曲第8番 第1楽章より
♪ブラームス:交響曲第4番 第1楽章より
♪ベートーヴェン:交響曲第7番 第2楽章より
♪ワーグナー:楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕への前奏曲より
♪チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」第1楽章より
♪ラフマニノフ:パガニーニの主題による変奏曲 第18変奏より
♪ムソルグスキー(ラヴェル編):展覧会の絵「キエフの大門」より


エルガー:《エニグマ変奏曲》 Op.36 - 第9変奏 「二ムロッド」 [2020][IR]
Elgar: Variations On An Original Theme, Op.36 "Enigma"
9. Nimrod (Adagio) [7:59]



Elgar-Enigma-Variations-9-Nimrod-2020.mp3



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2020年04月17日


ホルスト:組曲『惑星』 Op.32:第4曲 木星、快楽をもたらす者 / Gustav Holst:The Planets Op.32:IV. Jupiter, the Bringer of Jollity

Holst.jpg♪国を超えて愛される「木星」の主題

グスターヴ・ホルスト(Gustav Holst / Gustavus Theodore von Holst, 1874年9月21日 - 1934年5月25日)は、イギリスの作曲家。最も知られた作品は、管弦楽のための組曲『惑星』ですが、全般的に合唱のための曲を多く遺しています。イングランド各地の民謡や東洋的な題材を用いた作品、また、吹奏楽曲などでも知られています。

大管弦楽のための組曲『惑星』(わくせい、The Planets)作品32は、ホルストの作曲した代表的な管弦楽曲です。この組曲は7つの楽章から成り、それぞれにローマ神話に登場する神々にも相当する惑星の名が付けられています。「木星」中間部の旋律は、イギリスの愛国歌、またイングランド国教会の聖歌となっています。

ホルストの代表曲として、ホルスト自身の名前以上に知られており、近代管弦楽曲の中で最も人気のある曲の1つです。イギリスの管弦楽曲を代表する曲であるとも言えますが、むしろイギリス音楽とは意識されず、その枠を超えて親しまれている曲でもあります。ただし、特殊楽器の多用や女声合唱の使用などが実演の障壁になることも多く、全曲を通しての演奏の機会は必ずしも多いとはいえません。

この作品は惑星を題材としていますが、天文学ではなく占星術から着想を得たもので、地球が含まれないのはこのためです。西欧ではヘレニズム期より惑星は神々と結び付けられ、この思想はルネサンス期に錬金術と結びついて、宇宙と自然の対応を説く自然哲学へと発展しました。この作品は、日本語では「惑星」と訳されてはいますが、実際の意味合いで近いのは「運星」です。




それぞれの曲の副題は、かつては「…の神」と訳されていましたが、近年では本来の意味に則して「…をもたらす者」という表記が広まりつつあります。かねてよりホルストは、作曲家アーノルド・バックスの兄弟で著述家のクリフォードから占星術の手解きを受けており、この作品の構想にあたり、占星術における惑星とローマ神話の対応を研究しています。

初演当初は好評をもって迎え入れられましたが、同時代の作曲家の意欲的な作品(ドビュッシーの『海』やストラヴィンスキーの『春の祭典』など)と比較してやや低水準と見なされた本作品は、ホルストの名とともに急速に忘れられる道をたどることになり、一時は英国内の一作曲家のヒット作という程度の知名度に甘んじるようになりました。

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2020年03月16日


メンデルスゾーン:劇付随音楽《真夏の夜の夢》Op.61 から「結婚行進曲」 [2020][AR] / Felix Mendelssohn:A Midsummernights Dream, Op.61 "Wedding March"

Mendelssohn04.jpg♪ワーグナーと並び定番の堂々たる結婚行進曲

『真夏の夜の夢』は、フェリックス・メンデルスゾーンが作曲した演奏会用序曲(作品21)及び劇付随音楽(作品61)です。いずれもシェイクスピアの戯曲『夏の夜の夢』が元になっており、中でも『結婚行進曲』は結婚式の定番曲として有名です。

メンデルスゾーンが1826年に17歳で作曲した序曲に感銘を受けた、プロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世の勅命により、1843年に序曲の主題も再利用して『夏の夜の夢』上演のための付随音楽作品61が作曲されました。

作品61の劇付随音楽は、全12曲で構成されています。ここから「スケルツォ」「間奏曲」「夜想曲」「結婚行進曲」を抜粋し、序曲と組み合わせて組曲の形でも演奏されています。

結婚式用の音楽は、1858年1月25日、プロイセン王子フリードリヒ(のちのドイツ皇帝フリードリヒ3世)とイギリス王女ヴィクトリアとの結婚式で演奏され人気を博すようになりました。ヴィクトリア王女の母であるヴィクトリア女王はメンデルスゾーンの音楽を気に入っており、メンデルスゾーンはイギリスを訪れている間に女王のためしばしば演奏を行っていました。

メンデルスゾーンが自らこの曲を演奏したオルガンは、ロンドン・トッテナムの聖アン教会に保存されています。




メンデルスゾーンの「結婚行進曲」は、ワーグナーと並ぶ結婚式の定番曲で、あまりにそのイメージが定着していますが、堂々として立派なその音楽は結婚式はもちろん、もっと広い意味での"新たな門出"に相応しい内容を持っています。

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2020年02月11日


リヒャルト・シュトラウス:交響詩 《死と変容》 Op.24 [2020][AR] / Richard Strauss:Tod und Verklarung Op.24

R-Strauss-03.jpg♪現世での激しい闘争の果てに天上界から射すひと筋の光

ベートーヴェン、ワーグナー、ブルックナー、ブラームスなど、ドイツ・オーストリア系の偉大な管弦楽曲の系譜を継ぐ名作です。

この曲には上記の作曲家たちの最良の部分が濃縮されており、それでいながら巨大な管弦楽を巧みに駆使したシュトラウス自身の力量も示されています。

シュトラウスには優れた交響詩が多くありますが、そのどれとも違う異質な次元の音楽です。

題材はシュトラウスをワーグナーに開眼させたマイニンゲンのヴァイオリニスト、アレキサンドル・リッテルの詩に基づくとされますが、実際はシュトラウスの音楽をリッテルがあとから詩に置き換えたとも言われています。

― ひとつの灯火しかない淋しいみじめな部屋に病人が寝ている。
死が沈黙のうちに彼の元へと近づいてくる。
彼は死の苦悶に悶えながら、それに対し必死に抵抗する。

そして激しい闘いの果てに、かすかな光と共にあの世の世界が開けてくる。
その浄らかな光明に病人は両手を伸ばしつつ息を絶つ。
しかし横たわる彼の顔は崇厳な微笑を湛えていた…



「死と変容」には現世に執着し、欲望の中に迷い苦しむ人間(肉体)の姿と、浄化された精神的な存在(意識)としての姿が対照的に描かれています。

それは極めて宗教的な世界観で、仏教が示す泥沼の現世と、そこから茎を伸ばし大輪の花を咲かせる蓮の花のようでもあります。

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2020年01月22日


ビゼー: 《アルルの女》第2組曲 第4曲:ファランドール [2020][AR] / Georges Bizet: L'Arlesienne: Orchestral suite No.2:IV. Farandole

Bizet-04.jpg♪友人エルネスト・ギローの手により完成された壮大な終曲

『アルルの女』(L'Arlesienne)は、ジョルジュ・ビゼーによる全27曲の付随音楽。アルフォンス・ドーデの同名の短編小説『アルルの女(フランス語版)』およびそれに基づく戯曲の上演のために1872年に作曲されました。

付随音楽から編曲された2つの組曲が一般には最も広く知られています。

作曲期間が短く、契約の関係で極めて小編成のオーケストラしか使えなかったため、作曲には大変苦労したという話が伝わっています。初演の評価は芳しくなく、6年後に再演された時は大好評のうちに迎えられましたが、その時すでにビゼーはこの世の人ではありませんでした。

一般に知られているのは、演奏会用に劇付随音楽から数曲を選んだ組曲で、第1組曲はビゼー自身が通常オーケストラ向けに編成を拡大して組曲としたものです。劇付随音楽が初演された直後の1872年11月10日に初演されて成功を収めました。



第2組曲は、ビゼーの死後の1879年に彼の友人エルネスト・ギローの手により完成されました。ギローは管弦楽法に長けており、「アルルの女」以外の楽曲も加えて編曲しました。

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2020年01月07日


ボロディン:歌劇 《イーゴリ公》より 「ダッタン人の踊り」 [2020][AR] / Alexander Porfir'yevich Borodin: Prince Igor : Polovtsian Dances

Borodin.jpg♪どこか懐かしく琴線に触れる名旋律

『イーゴリ公』は、ボロディンによって書かれた序幕付きの4幕からなるオペラです。

中世ロシアの叙事詩『イーゴリ遠征物語』を題材に、1185年、キエフ大公国の公(クニャージ)イーゴリ・スヴャトスラヴィチによる、遊牧民族ポロヴェツ人に対する遠征を描いています。

ボロディンはこの作品を完成させないまま1887年に死去したため、リムスキー=コルサコフとグラズノフの手により完成されました。

総譜には「このオペラはリムスキー=コルサコフが序幕と第1・2・4幕、第3幕の「ポロヴェツ人(韃靼人)の行進」の編曲されていなかったところを編曲し、グラズノフはボロディンに残された断片を使い、第3幕を構成し作曲し、ボロディンが何度かピアノで弾いた序曲を思い出し再構成と作曲をした。」と書かれています。



初演は1890年11月4日、サンクトペテルブルクのマリインスキー劇場にて行われました。アメリカでの初演は1915年12月30日、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場にて行われました。日本での初演は1965年のスラブ歌劇ザグレブ国立劇場合唱団、管弦楽はNHK交響楽団によります。

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2020年01月01日


ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲 Op.228 [2020][AR] / Johann Strauss I.:Radetzky-Marsch Op.228

J.Strauss-1-01.jpg♪ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでお馴染みの人気曲

『ラデツキー行進曲』作品228は、ヨハン・シュトラウス1世が作曲した行進曲です。
作曲者の最高傑作といわれ、クラシック音楽全体でみても有数の人気曲です。

1848年革命の最中に、当時はオーストリア帝国領であった北イタリアの独立運動を
鎮圧したヨーゼフ・ラデツキー将軍を称えて作曲されました。

当時イタリア半島では民族統一運動が盛んで、オーストリア帝国領であった北イタリアでは
「ドイツ民族からの独立」を目指して激しい闘争が繰り広げられていました。
1848年7月、ヨーゼフ・ラデツキー将軍の率いるオーストリア陸軍がこれの鎮圧に成功しました。

この勝利を記念するために、「イタリアで戦った勇敢なる将兵の賞賛と傷病兵への募金を兼ね、
寓意的、象徴的表現と格別な啓蒙を意図した大勝利感謝祭」が8月31日に開かれることになりました。

シュトラウスはこの祝典のために新曲を依頼され、作曲に取りかかりました。
かつての楽団員ですでに独立していたフィリップ・ファールバッハ1世の協力を得て、
ウィーンの民謡を2つ採り入れて、わずか2時間で完成したといわれています。



この行進曲はやがてオーストリア帝国の愛国の象徴として扱われるようになりました。
帝政が廃止された現在のオーストリア共和国でも国家を象徴する曲であり、
国家的な行事や式典でたびたび演奏されています。

また、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤーコンサートでは、
1958年以降は2005年を除いて、毎年プログラムのアンコールの最後の曲として、
必ず演奏される曲として知られています。

現在演奏されているものは、長年にわたって手を加えられてきたものであり、
原典版とは大きく楽器法や音の強弱などが変化しています。
自筆譜は紛失したとみられていましたが、1978年4月に破棄されて断裁される寸前だった
楽譜の山の中から発見されました。

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2019年12月28日


リスト:愛の夢 第3番 変イ長調 「おお、愛しうる限り愛せ」(ピアノ&管弦楽版)[2019][AR]/ Franz Liszt:Liebestraume No.3 "O lieb, so lang du lieben kannst"

Liszt-01.jpg♪歌曲を自らピアノ曲に編曲したロマンティックな作品

「愛の夢」はリストの作品の中でも、特に美しい旋律が魅力の有名なピアノ曲。
元はドイツの詩人フェルディナント・フライリヒラートの詩集から、
「おお、愛しうる限り愛せ」にリストが曲をつけ、歌曲として発表していたもの。

これを後に自身がピアノ用に編曲し、同じように歌曲から編曲した2曲とあわせ、
「愛の夢 - 3つのノクターン」として出版されたものが、現在知られる作品です。
この3曲はいずれも、キリスト教的な人間愛をテーマにした詩が採られています。

一般に「愛の夢」といえば、男女の恋愛を描いたものというイメージがありますが、
ロマンティックな曲調に反して実際はそうではなく、
宗教心の厚かったリストの精神が反映された、格調高い作品になっています。




『おお、愛しうる限り愛せ』 詩:フェルディナント・フライリヒラート(大意)

愛しなさい、あなたが愛しうる限り
愛しなさい、あなたが望むだけ
時は来る、あなたが墓の前で悲しむ時が

だから心を尽くし、人を愛せよ
あなたに対して他者の心が
あたたかな愛で脈打つ限り

あなたに胸を開く人があれば
あなたはその人にできる限りのことをせよ
その人の時を喜びで満たし
一時も暗いものにすることがあってはならない

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2019年10月19日


J.S.バッハ:G線上のアリア - 管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068 [2019][AR] / J.S.Bach:Orchestral Suite No.3 in D major, BWV1068:II. Air

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パッヘルベルのカノン、ショパンの別れの曲、ドヴォルザークの新世界より、
スメタナのモルダウ、エルガーの威風堂々、ホルストのジュピター…。
クラシックには挙げればきりがない程の名旋律がありますが、
この曲の美しさ、品格はやはり群を抜いているでしょう。

J.S.バッハの『G線上のアリア』は、管弦楽組曲第3番の第2曲アリアを、
ドイツの名ヴァイオリニスト、アウグスト・ウィルヘルミ(1845-1908)が、
ヴァイオリンのG線のみで弾けるように編曲したことがきっかけで
ヴァイオリン独奏曲としても、いっそう広まり有名になった曲です。

G線は4本あるヴァイオリンの弦の中でも、一番音の低い弦で、
柔らかさと力強さを併せ持つ、豊かな音色が特徴です。
ウィルヘルミはこれを活かして、アリアを魅力的な独奏曲へと仕上げたのです。

バッハは1717年から1723年、年齢にして32歳から38歳頃までの間、
ケーテン地方を統治するレオポルド公の宮廷楽長を務めていました。
レオポルド公は若年ながら優秀な宮廷楽団を抱え、
自身も弦楽器やクラヴィアを器用に弾きこなす音楽通でした。

バッハはこの楽団を指導しながら、教会音楽とは趣きの異なる、
管弦楽曲や、協奏曲、室内楽曲などを自由に作曲しました。
この時代がバッハのケーテン時代と呼ばれています。




4曲あるバッハの管弦楽組曲は、どれもこのケーテン時代に書かれました。
規模の大きな序曲で始まり、様々な古典舞曲を並べるのがこれら組曲の特色です。
こうした組曲の形式は、バッハの時代に好まれ、多くの作曲家たちが用いていました。

管弦楽組曲第3番の編成はオーボエ、トランペット、打楽器、弦楽部。
楽曲は1.序曲、2.アリア、3.ガヴォット、4.ブーレー、5.ジーグで構成され、
第2曲アリアは通常の弦楽器と通奏低音のみで演奏されます。

第1ヴァイオリンが奏でる主旋律は、冒頭からしばらく一音を保ち、
これに寄り添う第2ヴァイオリン、内声を豊かに響かせるヴィオラ、
そして下降するチェロの低音が絶妙なアンサンブルを見せ、
聴く者を清浄で崇高な世界へと誘っていきます。

*演奏と音響を改めた新録音です。テンポを速め、揺らしてイキイキとした表情付けを心がけました。




J.S.バッハ:G線上のアリア - 管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068 [2019][AR]
J.S.Bach:Orchestral Suite No.3 in D major, BWV1068:II. Air [4:59]



J.S.Bach-Air-On-G-2019-AR.mp3



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2019年09月05日


エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 Op.39 [2019][AR] / Edward William Elgar:Pomp and Circumstance March No.1 in D major, Op.39

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イギリス・ロンドンで毎年夏に開催される、世界的なクラシック音楽祭「ザ・プロムス」。
8週間に及ぶシリーズの最終日(ラスト・ナイト)では、BBC交響楽団と合唱団、
そして聴衆が一体となって、『威風堂々』を歌い上げてフィナーレを締めくくります。
その高揚感に満ちたシーンからは、いかにイギリス国民が第2の国歌として、
この曲を愛しているかが、否が応でも伝わってきます。

『威風堂々』とひと口に言えば、ニ長調の第1番か、あるいはその中間部(2:00)の、
トリオの有名な旋律、『希望と栄光の国』(Land of Hope and Glory)を想起しますが、
実際にはエルガー自身が完成させた、第1番から第5番までの5曲と、
アンソニー・ペインが補完した第6番の、全6曲の行進曲集を指します。

原題"Pomp and Circumstance"は、シェイクスピアの戯曲『オセロ』第3幕第3場の、
『Pomp and Circumstance of gloriouswar』という台詞から取られています。
「壮麗、華麗」を意味するPomp、「儀式張った、物々しい」を意味するCircumstance。
『威風堂々』の訳はこれらから考えて、かなり意訳に近いかもしれませんが、
ウェーバーの『魔弾の射手』のように、指折りの名訳と呼んでもいいと思います。

1901年に作曲の第1番は、友人のアルフレッド・ロードウォルドに捧げられました。
ロードウォルドはリヴァプールで繊維会社を経営する実業家で、
自ら組織するリヴァプール・オーケストラ協会の指揮者でもありました。

彼はエルガーの理解者として経済的な援助を惜しまず、
これに感謝したエルガーは、ロードウォルドとオーケストラに第1番を捧げたのです。
作曲年の10月19日にリヴァプールにて、ロードウォルドの指揮で初演されました。

3日後の1901年10月22日、ロンドンのクイーンズホールでの演奏会は大盛況で、
秩序を回復するために、2度のアンコールに応えたと指揮者ウッドは伝えています。




国王エドワード7世は中間部のメロディを「いずれ世界中に広まるだろう」と絶賛し、
エルガーに歌詞を付けることを勧めました。
そこでエルガーは翌年に、国王のための『戴冠式頌歌』(Coronation Ode)を作曲。
終曲に中間部の旋律を用いて、作家A.C.ベンソンの祖国を讃える内容の詩を付け、
『希望と栄光の国』というアルト独唱、合唱団と管弦楽のための曲に仕上げました。

さらにこの曲の人気に目をつけた出版社が、独立した歌曲として売り出し、
『希望と栄光の国』は国歌に次ぐ、国民的な愛唱歌となっていったのです。
現在でもザ・プロムスなどにおける演奏がBBCで放映される際には、
歌曲の最初の部分でエリザベス2世女王の映像が、必ず流されることになっています。

*演奏と音響を刷新した新録音です。弦楽器のスタッカートを強調しメリハリをつけました。それを活かすために音響は残響を浅めにしました。




エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 Op.39 [2019][AR]
Edward William Elgar:Pomp and Circumstance March No.1 in D major, Op.39 [6:32]



Elgar-Pomp-and-Circumstance-March-No1-2019-AR.mp3



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