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2015年02月17日


ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第4楽章 [新録音2014]


ベートーヴェン:交響曲第5番第8番、他
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EMIミュージックジャパン(2010-09-22)
売り上げランキング: 23245


♪地上の苦しみを突き抜けるベートーヴェンの音楽

年明けから始まった腰痛のため、絶対安静の日々が続く中、
一日だけなぜか好調で、体の自由が利く日がありました。

「何かを制作しなければ!」

その時、脳裏に浮かんだのは、ベートーヴェン「運命」の第4楽章でした。

もしかしたらもう立てなくなるのでは…という不安の最中にあって、
これで最後になるかもしれないと考えた時、
やるべき曲は、私にとっては「運命」しかなかったのです。

二十歳の頃の私は、極度のうつ状態に悩まされ、
もういつ死んでも構わない、という精神状態でした。
そんなやるせない日々に、ふと手にしたのが、
ブルーノ・ワルター指揮の「運命」のレコードでした。

何とはなしにレコードに針を落とすと、第2楽章冒頭のあたたかなチェロの音に、
私は思わず涙を流していました。
そして、歓喜の第4楽章を聴いているうちに、
自分の中で何かが“カチッ”と音を立てて回転するのを感じたのです。
人生観が変わったというより、“人間”が変わった気がしました。

私はあの瞬間、生まれ変わったのかもしれません。
もう自堕落な日々はやめ、目的を持って生きるようになりました。
人生には自分が考えるよりもっと広大で、絶対的な世界があるのだと考えるようになりました。

これほどまでに、生き方そのものに影響を与えられた曲は他にはありません。

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「運命」という曲には、他のあらゆる音楽にはない、特別な力があります。
音楽が人の人生を変え、生まれ変わらせる力があるということを、その時初めて知りました。

以来、「運命」は私にとって、いつも“特別”な音楽となってきたのです。

「運命」の名演といえば、まずはクレンペラーです。

最初に聴いた時は「なんて遅いんだ」と驚きましたが、
聴きなれるうちに、他の演奏がせかせかとスケールが小さく、
「運命」の本質を表していないと感じるまでになってしまいました。

クレンペラーの演奏は人間界を超え、宇宙の彼方、神の懐にまで達するのです。
クレンペラーの演奏では、バイエルン放送交響楽団とのライブがお気に入りでした。

ですが、二周、三周して、やはり、フィルハーモニア管弦楽団との、
1960年の録音が最高だと思うようになりました。
第4楽章提示部の反復冒頭のファンファーレが絶品なのです。

ということで、どうしてもこれを意識したスタイルになってしまうのですが、
この音楽は何度やっても完璧という感覚がなく、
まだまだ正解を探す旅は続いていくことになりそうです。


////////////// 追記: 2015.2.17

さそうあきらさん原作の「マエストロ」が映画化され話題です。

この漫画は「のだめカンタービレ」が人気だった頃と同時期に連載され、
音楽の本質に深く切り込む内容に、強く引き込まれました。

単行本は一巻でしたが、さそうさんは続きをWEBで無償公開してくださり、
次の新作が公開されるのを今かいまかと待っていたことを思い出します。

この作品ではベートーヴェンの「運命」やシューベルトの「未完成」といった、
クラシック音楽の代名詞的な楽曲が中心として描かれています。

LPレコード時代にはこの2曲のカップリングが定番のひとつで、
どの指揮者が最高かといった議論が盛んに行われていたようです。
それほどに演奏家の実力が浮き彫りになる作品でもあるようです。

古今東西に名曲はあれど、「運命」ほどに人の人生が凝縮された作品を私は知りません。

一般には「ジャジャジャジャーン♪」の第1楽章があまりに有名ですが、
演奏時間の長さから見ても、ベートーヴェンが最も言いたかったことは
むしろ第4楽章にあると言えると思います。
前の3つの楽章はその前置きなのです。

では、ベートーヴェンが言いたかったこととは何かと言うと、
言葉にするのは野暮かもしれませんが、あえてそうするなら、
「人生はNO(否定)ではなくYES(肯定)だ。たとえ今がどんなに困難であろうと、
魂の導きを信じて歩けば、いつかは必ず光にたどり着く。」
ということだと思うのです。

「苦悩を突き抜けて歓喜へ至れ」

とはベートーヴェンの言葉ですが、その精神が何より発揮された曲が、
「交響曲 第5番 ハ短調」という作品だと思います。

そして「運命」の結論こそが、この第4楽章なのです。

* 慈愛の雨が降り注ぐような第2楽章もあわせて聴くことで、
よりベートーヴェンの本意が伝わってくると思います。
もしかすると、「運命」で最も美しいのは第2楽章かもしれません。



ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第4楽章 [新録音2014][14:02]
L.V.Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67
4. Allegro - Presto


http://classical-sound.up.seesaa.net/Beethoven-Symphony-No5-4th.mp3



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ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第2楽章


ベートーヴェン:交響曲第5番&第6番
ワルター(ブルーノ)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル (2004-11-17)
おすすめ度の平均: 5.0
5 入魂の運命
5 濃厚な田園
4 教科書的アルバム
5 「激しさの中の安らぎ」と「静寂の中の激しさ」


♪人生に訪れるやすらぎと心の奥の理想郷

激しい第1楽章のあとにヴィオラとチェロで始まる導入は、
何度聴いても胸に染み入るようなものがあります。

この楽章は瞑想的な部分もあり、
人間の深層心理に入り込んでいくような力を感じます。

誰もの心にいきづく平和で理想に満ちた世界を描いているかのようです。
全体に生きることへの愛や憧憬の思いが、この音楽には流れていると思います。


////////////// 追記: 2015.2.17

ベートーヴェンはこの楽章の第1主題を14回書き直したと言います。
そして、1回目と最後の14回目は、結局同じ旋律だったそうです。
それほどに熟考の限りを尽くしたことがうかがえます。

このことを突き止めたのはメンデルスゾーンです。
彼は第2楽章の主題の音符の上に、何枚も修正の紙が貼られているのに気づきました。
そして、その紙を1枚ずつていねいに剥がしていくと、
結局、一番上の14枚目と、最初の音符はまったくいっしょだったのです。

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「♪ミーラド ドーシラ[ド]ファー」

これが私たちが馴染んだ第1主題ですが、何枚目かの修正途中の旋律では、

「♪ミーラド ドーシラ[ソ]ファー」

と、上昇する一音がそのまま下降しています。

おそらくベートーヴェンは、この一音を上げるべきか、下げるべきかで、
何度も頭の中で反芻を重ね、ようやく最後に上げようと決心したのだと思います。

楽章の顔ともなる大事な主題なので、決して外すことは許さなかったのでしょう。
作曲家の執念を垣間見るかのようです。



ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第2楽章
Ludwig van Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67
2. Andante con moto


http://classical-music.aki.gs/Beethoven-Symphony-No5-2nd.mp3



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2014年12月31日


ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 第3楽章 [リスト編 2台ピアノ版]

リスト:ピアノ曲全集 28 - ベートーヴェン:交響曲第9番(2台ピアノ編)
価格:
ベートーヴェン
Naxos(2008-07-15)
売り上げランキング: 1465

♪ベートーヴェンを敬愛し、ピアノ編曲にも力を注いだリスト

リストとベートーヴェンの関係の始まりは、リストがまだ12歳の少年だった頃に遡ります。

ハンガリーで天才ピアノ少年として名を馳せていたリストは、
わずか9歳ばかりにして、貴族たちから6年間の奨学金の申し出を受けるほどでした。

宮廷音楽団で合唱を歌ったり、チェロを弾くなど音楽好きだった父アダムは、
わが子リストの才能を伸ばすことに心血を注ぎました。
ですから、奨学金を受けるとすぐに、地元ライディングを引き払い、
音楽の都ウィーンへと、一家をあげて向かったのでした。

そこでリストは、ベートーヴェンの弟子で有能なピアノ教師である、
カール・ツェルニーにつき、本格的にピアノ奏法を学んだのでした。

我流だった演奏もめざましく上達し、教えるツェルニーを大変よろこばせました。

「こんなに才能があって、よく勉強する弟子は初めて」

と感激と共に書かれたものが残っています。

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ツェルニーはピアノのみならず、生活全般にわたってリスト一家の面倒をみました。
また、謝礼は一切受け取らず、ただ教えることによろこびを感じていたといいます。
こうしたツェルニーのあたたかい行為をリストは一生忘れず、恩人として敬愛しました。

ウィーンでの公演はデビュー以来、大成功が続き、ある日の公演に訪れた
ベートーヴェンは演奏が終わると、リストの額にキスをして褒めたといわれています。
これがまだ12歳のリスト少年と大家ベートーヴェンとの出会いでした。

それから幾年もの月日が流れ、自身も大音楽家となったリストは、
ベートーヴェンの音楽の偉大さを誰より理解し、尊敬する人間となっていました。

リストはピアノ・トランスクリプションとして、当時やそれ以前の作曲家たちの
優れた管弦楽作品などを、ピアノ編曲したものを多く残しています。
シューベルトからワーグナーまで、時代や作風は様々ですが、
中でも最も力を入れたのが、ベートーヴェンの九つの交響曲のピアノ編曲です。

トランスクリプションの場合、ただの編曲ではなく、ピアノだけで聴いても
遜色ないように音の補充などが行われ、ある意味新たな作曲と言える部分もあります。
もし、これを才能のない者が行えば、原曲の良さが損なわれるかもしれません。

その点、リストの場合、自身の才能の確かさ、そしてベートーヴェンに対する
理解や愛情の深さから、ピアノ作品としても充分に鑑賞に堪えうる内容になっています。
ベートーヴェンの壮大なオーケストラ作品を、ピアノだけで表現しようという、
強い意気込みと情熱が結晶化しています。

ベートーヴェンが亡くなった後、彼の故郷ボンに銅像を建てる上で、
資金の工面など、最も尽力を惜しまなかったのはリストその人でした。





ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 第3楽章 [リスト編 2台ピアノ版]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor Op.125
3. Adagio molto cantabile [15:18] (Arr. by Liszt)



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2014年12月16日


ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2014]

ベートーヴェン:交響曲第9番≪合唱≫
朝比奈 隆&大阪フィル
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♪「鬼神が煙の中から立ち上がるようだ」と評された第1楽章

ベートーヴェンが第9の作曲に取りかかった当時、ウィーンではイタリアの作曲家、
ロッシーニの軽快で、肩肘張らずに楽しめるオペラが持て囃されていました。
モーツァルトやベートーヴェンは学者が好む、一昔前の音楽と敬遠されていたのです。

第8交響曲から第9交響曲までには、十年もの長いブランクがありました。
この間のベートーヴェンは、引き取った甥のカールの自殺未遂など苦難が続き、
作曲の作業も捗らないスランプの時期を過ごしていました。

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聴衆からも少し忘れかけられていたベートーヴェンでしたが、
それだからこそ第9という、型破りなスケールの交響曲を存分に書けたのかもしれません。
全演奏に1時間以上を要するのは前代未聞でしたし、最終楽章に声楽を入れるのは、
それこそ、きわめて稀に見るアイディアと言えるものでした。

完成した第9交響曲は当初、ウィーンではなくロンドンで初演される予定でした。
ロンドンはウィーンとは対照的にベートーヴェンに対して好意的だったのです。

しかし、それを知ったウィーンの人々はあわてました。
一時の勢いはなかったとは言え、ウィーンが誇る大作曲家の新作交響曲の初演が、
よその国で行われるとあってはたまったものではありません。

急いで数十名の署名を集め、新作のウィーンでの初演を懇願すると共に、
ベートーヴェンへのあらん限りの支援を申し出ました。
これに折れたベートーヴェンは当初の予定を撤回し、1824年5月7日に、
ウィーンのケルントナートーア劇場で、交響曲第9番は初演されたのでした。

第9の第1楽章はこのブログでは3回目の掲載となります。
一度目は開設当初の今から8年ほど前で、二度目は昨年の初夏です。

私事ではありますが、この1年半ほどの間に様々な苦難を経験しました。
正直に言って、これまで生きて来た中で最も苦しかったです。
そして、この経験を通して、私の中の人生観も激変しました。
そこでどうしても、もう一度、第9の第1楽章に取り組んでみたくなったのです。

昨年の演奏はかなり速いテンポだったと思います。
対して今回は、一転して遅めのテンポになりました。
1年半の自分の経験が、少しは活かされたものになったかもしれません。
第9の第1楽章は本当に奥が深いです。

どうしても華やかな第4楽章に目が行ってしまうのは仕方ないとは言え、
もっと第1楽章に注目が集まることを願ってやみません。
ベートーヴェンの交響曲では霊感に満ちた最高の楽章と言えるでしょうし、
もしかすると、あらゆる音楽の中でも最高のものかもしれないからです。





ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 "Choral"
1. Allegro ma non troppo, un poco maestoso [17:53]



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posted by アンドウトワ at 06:29 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年10月11日


マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調 第4楽章 「アダージェット」 [2014]

アダージョ・カラヤン・ベスト
カラヤン(ヘルベルト・フォン)
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♪映画「ヴェニスに死す」でも知られるあまりに甘美な旋律

その甘く美しい旋律から、マーラーの作品中でも特に愛される「アダージェット」。

90年代に発売され、世界的な大ヒットとなったアルバム「アダージョカラヤン」では、
アダージョの名旋律を集めたコンピレーションCDのトップを飾っていました。

他に「カノン」や「G線上のアリア」などが納められたこのアルバムにあって、
マーラーの「アダージェット」は一際光彩を放つ、顔のような存在でした。

この楽章が広く知られるようになったのは、トーマス・マン原作の映画、
「ヴェニスに死す」のなかで使われたのがきっかけです。

原作の主人公は大作家であるのを、マーラーを思わせる大作曲家に
置き換えたことによって、「アダージェット」の魅力がより際立っています。

「アダージェット」が作曲された頃のマーラーは、ウィーンの有名な画家、
アントン・シントラーの娘アルマと熱烈な恋愛をしていました。
ふたりが結婚したのは1902年3月、マーラー41歳の春でした。

マーラーはこの甘美な第四楽章に、自らのアルマに対する想いを込めました。
それは痛切なまでに込み上げる情感を湛えた、音楽のラブレターです。

そしてこの楽章には、そうした恋愛の情を越えた、
もっと崇高な“祈り”にも似た心境さえ感じられます。

ひとりの女性に対するマーラーの深い想いが、
音楽によってそこまでに昇華されているのです。

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交響曲第5番は純粋な器楽曲です。

第2番、3番、4番と交響曲に続けて声楽を取り入れてきたマーラーでしたが、
四十代に入って改めて、古典的な構成への回帰をめざしました。

「通常の鋳型に入れ、どうしても必要でない限り、目新しいことは避けて」

と、マーラーは第五番の作曲について語っています。

そうした姿勢が最良の形で結実したのが、この第四楽章と言えるかもしれません。





マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調 第4楽章 「アダージェット」 [2014]
Gustav Mahler: Symphony No.5 in C Sharp minor
4. Adagietto [15:13]



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posted by アンドウトワ at 09:29 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月18日


ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92 第4楽章 [新録音2014]

ベートーヴェン:交響曲第7番 (Beethoven: Symphony No.7)
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♪狂喜乱舞する生命の躍動 - ベートーヴェンの舞踏交響曲

「イ長調交響曲は泥酔者の作であるといわれている。
巨大な哄笑を伴う激情の興奮と、惑乱する諧謔の閃き、思いもよらぬ恍惚悦楽の態。

それはまったく酩酊せる人の作である。
力と天才とに陶酔する人の作であった。

自ら『自分は美酒を人類のために捧げる酒神(バッカス)である。
人に神聖な熱狂を与える者は自分である。』

と称した人の作品である。」 - ロマン・ロラン



第7交響曲と第8交響曲は、ほぼ同じ時期に並行して作られています。
ベートーヴェンは1812年にウィーン郊外のリンツに転居し、
水も豊かなこの地で傷ついた体の静養に努めました。

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ここでの暮らしが開放感をもたらしたのか、
この2曲には前後の交響曲にはない、溌溂としたムードがあふれています。
まるで一時、体の苦痛を忘れ、健康な頃の気分に戻ったかのようです。

しかし、このことが第7と第8が若干軽く見られる原因にもなっています。
実際はどちらも充実した、円熟期の傑作なのですが、
何しろ前が「運命」と「田園」、後ろが「第九」なのですから、
どうしてもその重みと比較されてしまうのです。

また、「英雄」のような劇的で壮大な展開もなく、
ベートーヴェンにしてはやや深みに欠けるという見方もされるのです。

ところが一方で、第7交響曲こそ、その手法、構成、表現、内容など、
あらゆる面においてベートーヴェンの交響曲の最高峰だという評価もあります。
たしかにそれぞれの楽章がひとつのリズムによって統一されており、
隙のないその緻密さはベートーヴェンならではといえます。

また、第7交響曲ほどに、理屈を超えて人を熱狂させる
魔力をもった作品は、他に見当たらないかもしれません。
コーダの迫力は第5や第9のそれを上回ると言っても過言ではありません。

常軌を逸した熱狂が、聴く者の原初的な魂の興奮を呼び覚ます…。
そんな破格のエネルギーが、この交響曲の一番の魅力なのです。

「友よ、もっと人生を謳歌しようではないか!」

そんな豪放磊落なベートーヴェンの笑い声が、聴こえてくるかのようです。





ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92 第4楽章 [新録音2014][6:53]
Ludwig Van Beethoven: Symphony No.7 in A major, Op.92
4. Allegro con brio


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2014年05月10日


ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90 第1楽章 [新録音2014]

ブラームス:交響曲第3番
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フルトヴェングラー(ヴィルヘルム)
ユニバーサル ミュージック クラシック(2004-08-25)
売り上げランキング: 9827

♪恩師シューマンとベートーヴェンの影響を受けながらも自分の世界を確立

ブラームスの交響曲は番号を増すごとに、本来の自分らしさが前面に出ている気がします。
壮麗で立派な第1番はすべての交響曲の中でも屈指の名作ですが、
ことブラームスらしさという観点から見れば、後期ロマン派の外形はともかくとして、
そこに流れる精神性は尊敬するベートーヴェンそのものです。
ですからこころなしか無理をしているというか、頑張ってる感が否めません。

続く第2番は明るく開放的で、ブラームスにしては珍しいぐらい、淀んだところが見当たりません。
風光明媚な自然あふれる避暑地で作曲されたため、そうした気分が表れているのでしょうが、
これもやはりブラームスらしさという点からすると、
少し物足らないかな?という感が無きにしもあらずです。

以前、ブラームスファンの二人の知人と会った際、私が第2番のCDをターンテーブルに乗せると、
第1楽章序盤でCDを停められてしまい、「やっぱりこれでしょう。」と、
第4番のCDに入れ替えられてしまったのを、昨日のことのように思い出します。

しかし、第3番あたりからじわりと本来のらしさが表れ始めます。
特に有名な第3楽章などは、文句なしのブラームス節と言えるでしょう。
「ブラームスの英雄交響曲」といった呼ばれ方をすることもありますが、
ほんとにたくましいのは第1楽章の第一主題ぐらいで、
あとは総じてブラームスらしさが全体に漂っていると思います。
消え入るように終わる最終楽章も、ベートーヴェンというより明らかにブラームスです。

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そして最後の第4番。
ここではベートーヴェンのことなど忘れて、120%のブラームス節を貫いています。
その良し悪しは別として、飾らない自分の思いの実直な表現に、心打たれるものがあります。
これがブラームスの結論なのです。

ところで第3番はベートーヴェンの英雄ばかりではなく、
師匠シューマンの交響曲第3番「ライン」も強く意識しています。
第1楽章冒頭の第一主題が、まったく同じ動機で始まるのです。
すなわち「タータンタータタン」という主題の符割りです。

シューマンのは明るく上昇志向なのに対してブラームスのそれは、
徹底的に下降する、重厚でいかにもドイツ的な趣きです。
しかし、それはブラームス本来の魅力ともマッチして、
全曲中の柱となる聴きどころにもなっています。

下世話な言い方かもしれませんが、とにかくかっこいいです。
第3番はブラームスらしい陰鬱さや渋さと、第4番にはない前向きさがあり、
演奏時間も長くないので、最も入りやすいブラームスの交響曲と言えるかもしれません。





ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90 第1楽章 [新録音2014] [10:47]
J.Brahms: Symphony No.3 in F major, Op.90
1. Allegro con brio



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2014年04月08日


ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92 第1楽章 (追記あり)

ベートーヴェン:交響曲第1番&第7番
クレンペラー(オットー)
EMIミュージック・ジャパン (2004-12-08)
おすすめ度の平均: 5.0
5 遅いだけではない何かがこの演奏の中にはある
5 衝撃の第7
5 クレンペラーをきくということ

♪力強さに明るさと開放感が加わった豪快な作品

「第7番」はリズムの交響曲です。
各楽章にはそれぞれを統率する特徴的なリズムが配置され、
それを基盤に音楽が展開していきます。

「英雄」「運命」「第九」などと比べると
やや深みに欠ける気もしますが、
逆に変に構えずに気軽に聴けるというよさもあります。
案外、素のベートーヴェンはこんな風に豪快で
楽天的な人だったのかもしれません。

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第1楽章は勇壮で立派な序奏がたっぷりと置かれ、
それに続き舞曲風で熱気のあるリズミックな音楽が始まります。
喜びに解き放たれたように、明るい昂揚感があふれています。


//////////// 追記: 2014.4.8

2014年4月7日(月)放送のフジテレビ「SMAPXSMAP」では、
メンバー5人が指揮者・西本智実さん指導のもと、
サントリーホールでオーケストラ指揮に挑戦という面白い企画がありました。
メンバーそれぞれが初めてとは思えない指揮ぶりを披露していましたが、
中でも驚いたのが、ベートーヴェン:交響曲第7番を振った木村拓哉さんです。

他のメンバーたちがオーケストラにつられて段々とテンポダウンしたのに比べて、
木村さんの指揮は自分の意志通りに、巨匠風の堂々としたテンポで進め、
意味あり気な間のとり方や、充分ためた締めくくりなど、
音楽のセンスを感じさせるとてもすばらしいものでした。

個人的にはお気に入りである、クレンペラーとフィルハーモニアの演奏を彷彿とさせる、
「これしかない」という見事なテンポ運びでした。
ぜひ今後、機会があれば全曲演奏をコンサートやCDで披露していただきたいです。

木村さんなら少し練習すれば、かなりの演奏をされるのでは?と強く感じました。
遅くなってきたオーケストラのテンポを上げるために、
棒をあおる様に速めに振ったのも木村さんだけでした。





ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92 第1楽章
L.V.Beethoven: Symphony No.7 in A major, Op.92
1. Poco sostenuto - Vivace


http://andotowa.sakura.ne.jp/Beethoven-SymNo7-1.mp3



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2013年09月22日


ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第4楽章 [新録音2013]

ブラームス:交響曲第1番
4.0 古典的な形式美とロマンティックな楽想の融合
5.0 フルトヴェングラーのブラームスの代表盤
5.0 すばらしい。存分に味わえる!
価格:
EMIミュージックジャパン(2009-05-20)
売り上げランキング: 22488

♪暗闇の彼方から光差す、希望の第4楽章

完成までに21年の歳月を要したこの交響曲。
年齢にしてブラームスが22歳から43歳までという、異例の長さが費やされました。
そしてそのうちの14年近くが、第4楽章の作曲に宛がわれています。

前の3つの楽章は29歳までにほぼ構想としてのスケッチができていましたが、
この交響曲の結論である、劇的で壮大な第4楽章の完成には、
作曲家としても人間としても、まだまだ時が必要だったということでしょう。

この交響曲はホールの杮落としなど、メモリアルな場面でよく使用されています。
渋谷のオーチャードホールの杮落としは、岩城宏之さん指揮による、
シューベルトの未完成とブラームスの第1番がメインプログラムでした。

また、小澤征爾さん指揮のサイトウキネンオーケストラの立ち上げの際にも、
チャイコフスキーの弦楽セレナーデと共に、この曲が取り上げられました。

古くはシャルル・ミュンシュが創設後のパリ管弦楽団を振って最初に録音したものが、
自国のベルリオーズの幻想交響曲と共に、不朽の名演として知られているほか、
近年でも「のだめカンタービレ」の主人公、千秋真一名義で発売されたCD盤に、
このブラームス交響曲第1番がメインとして収められていました。

このように、ことあるごとに取り上げられる理由としては、この曲がベートーヴェンの
意志を継ぐものであり、「運命」「第九」をあわせもつ内容であることが挙げられます。
「第九」も杮落としでよく演奏されますが、ブラームスの1番の場合、
合唱団を必要とせず、器楽のみで成立する点も大きいと思われます。
そして希望あふれるフィナーレが、新しいことの始まりにぴったりなのです。

個人的なことになりますが、このライブラリーを開設するにあたって、
最も力を入れて取り組みたかったのが、ブラームスの第1番でした。
おそらく最も多くの種類のCDを所有しているのもこの曲です。

最初はブルーノ・ワルター指揮・コロンビア交響楽団を聴き込みました。
今でもこの演奏は、誰もが安心して聴けるスタンダードだと思っています。

続いて前述の、ミュンシュ指揮・パリ管弦楽団をよく聴きました。
フランスの指揮者、楽団とは思えないドイツ的で重厚な響きで、死の迫ったミュンシュの
神懸かった熱演は、幾多のクラシック名演の中でも特別なものだと思います。
それより以前のボストン交響楽団との録音は、別人のようなノーマルな演奏でした。

そしてもっとも多く聴いたのは、カラヤン指揮・ベルリンフィルの最後の録音です。
この演奏による第4楽章は、「こうでなくては」と思わせる表現のスタイルが随所にあり、
ワルターとは違った意味で、この曲のスタンダードだと考えています。

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カラヤンの若い頃の演奏もいいですが、87年のこの録音はいい感じに崩れていて、
それが、きれいごとではない、演奏の真摯さにつながっています。
第1楽章冒頭のティンパ二が、これほどダイナミックに響いた演奏をほかに知りません。
サウンドに関するカラヤンの才能には、ただただ脱帽するばかりです。

最後にフルトヴェングラー指揮・ウィーンフィルの52年の録音ですが、
これに限らずフルトヴェングラーの演奏を持ち出してしまうと、
あまりの次元の違いに他が霞んでしまい、話が終わるので困ってしまいます。
特にこの曲は彼の芸風と完全にマッチしていて、他の追随を許しません。
もし、高音質のステレオ録音が存在したら、もうそれ以外は必要ないという程です。
ある意味、フルトヴェングラーがモノラル時代の人でよかった、と思ってしまいます。


*先週の始めのこと、猛威を振るった台風18号一過の、とある海辺を訪れると、
曇り空から久しぶりの太陽が姿を現し、その光がキラキラと海面に反射して輝いていました。
その光景はあたかも、第4楽章の有名なホルンの主題の場面を思わせました。
背後のヴァイオリンはまさしく、きらめく無数のさざ波です。
あれほどの嵐がうそのように、海はどこまでも穏やかでした。

人生も同じようなものかもしれません。
どんなに絶望的に思えても、必ずいつかは光が射す。
この世界に100% の絶望などないんだ。
その背後には必ず、来たるべき希望が待っている… そんなことを感じました。

ですからもし、今、困難に直面している方がいても、決してあきらめずに、
心に“希望の光”を灯し続けていただけたらと思います。
そんな願いを込めて、今回、新たにゼロから制作、録音させていただきました。





ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第4楽章 [新録音2013] [17:13]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in Cminor, Op.68
4. Adagio - Piu andante - Allegro non troppo, ma con brio



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posted by アンドウトワ at 18:39 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする