2020年05月05日


オンライン特別プログラム - ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"

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今回も引き続き特別プログラムでお届けします。

交響曲第9番「新世界より」はドヴォルザークが作曲した最後の交響曲。
「新世界」とはこの曲が作曲されたアメリカのことで、故郷ボヘミアへの想いが込められています。

1892年、ニューヨークに新設されたナショナル音楽院の院長に招かれたドヴォルザークは、
故郷をしばらく離れることになるこの任務を快く引き受けました。
彼は大の鉄道ファンだったため、アメリカに行けば好きなだけ鉄道を見れると思ったのです。

妻子を連れて初めてアメリカに渡ったドヴォルザークは、当初はそこでの日々に満足していましたが、
やがてすぐに故郷ボヘミアが恋しくなり、極度のホームシックにかかってしまいました。
素朴な人情家の彼にとって、機械文明のアメリカはあまり馴染める場所ではなかったようです。

そこでドヴォルザークはアメリカでありながらボヘミア人が多く住み、
ボヘミアをそのまま移したようなアイオア州のスピルヴィルという地区に暮らすようになりました。
「新世界より」を始め、弦楽四重奏曲「アメリカ」やチェロ協奏曲などの名曲は、
スピルヴィルで過ごした2年間のうちに書き上げられました。

これらの曲には5音階(ペンタトニック)の旋法が多用されており、
ドヴォルザークがアメリカの黒人霊歌や原住民の民謡に影響されたのを物語っています。



「新世界より」を象徴するのは何と言っても第2楽章のラルゴです。
のちに弟子のフィッシャーが合唱曲「Going Home」に編曲して大人気になりました。
日本でも「遠き山に日は落ちて―」の歌詞で知られる「家路」として有名です。
イングリッシュホルンで奏でられるどこか寂しい旋律を通じてドヴォルザークは、
遠く離れた懐かしい故郷ボヘミアへの想いを切々と表現しています。

「新世界より」はまた、交響曲としてはかなり速い作業で作曲が進められました。
アメリカに来た翌年の1893年1月10日にスケッチが着手され、5月24日には完成しています。
そして、その年の12月16日にアントン・ザイドルが指揮する
ニューヨーク・フィルハーモニック協会の演奏会で初演されました。


ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第1楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
I: Adagio - Allegro molto [12:54]



Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-1st-2020-VR.mp3



ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第2楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
II: Largo [14:05]



Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-2nd-2020-VR.mp3



ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第3楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
III: Scherzo (Molto vivace) [8:17]



Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-3rd-2020-VR.mp3



ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第4楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
IV: Allegro con fuoco [12:05]



Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-4th-2020-VR.mp3


*第3楽章は13年ぶりの新演奏・新録音です。
*第2楽章および両端楽章も演奏と音響を改めた新録音です。
*全楽章を3D・立体音響の音源に差し替えました。6/5




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2020年04月30日


オンライン特別プログラム - ブラームス 交響曲第1番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68

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今回も通常とは違うスタイルでお届けします。

交響曲第1番はブラームスが22歳で作曲に着手してから、21年もの歳月をかけて完成した力作です。
全部で4曲あるブラームスの交響曲の中でもひと際力強く、たくましさがあり、
困難に怯まずに立ち向かっていこうという前向きなエナジーに満ちています。
4曲を並べて聴くと、明らかに1番だけが異質の精神性を持っていることがわかります。

ブラームスは先人ベートーヴェンの巨大な交響曲群を意識するあまり、
それを超えなければならないと推敲に推敲を重ねました。
前の3つの楽章は約10年でスケッチを終えたものの、
第4楽章の完成には更に10年もの月日を費やさなければなりませんでした。
それだけにこの曲は、交響曲史上でも特筆すべき壮大さと感動的で充実した内容を持っています。

指揮者のハンス・フォン・ビューローはそれを「ベートーヴェンの第10交響曲」と表現しました。
その言葉の通り、第1番には普段のブラームスには見られないような気迫が感じられ、
音楽的には後期ロマン派の香りが漂うものの、根底に流れる強い意志力はベートーヴェンそのものです。

第1楽章はあたかも運命の鉄槌が振り下ろされるかのようなティンパニーの序奏に始まり、
その後はオーボエとチェロが沈みきった心を表現すると、意を決して困難との闘いが始まります。
この闘いは外部の敵が相手というより、くじけそうな自身の弱さとの闘いとも思えます。

第2楽章は穏やかなやすらぎの音楽で、過酷な戦闘の合間のひと時の休息です。
第3楽章も激しさはない箸休め的な小品で、最後には希望を象徴する第4楽章の主題も見え隠れします。



そしてこの交響曲では最も長い演奏時間を要する第4楽章が始まります。
長い闘いの果てに訪れた、希望の兆しを表すかのようなアルペンホルンの主題(3:22)は感動的で、
あたかも遠い水平線か雲海の彼方から、ゆっくりと昇り始める朝の太陽のようです。

また、ベートーヴェン第九の「歓喜の歌」に似た主題も胸に沁みるものがあります。
交響曲第1番はベートーヴェン「運命」と同じくハ短調で始まりハ長調で終結する、
「苦悩を突き抜けて歓喜へ至れ」というベートーヴェンのモットーをも感じさせています。
ブラームスが最初の交響曲でいかにベートーヴェンを強く意識していたかがわかります。

終楽章の最後は交響曲史上最大と言われるスケールの大きなコーダを迎え、
闘いの完全勝利を告げるファンファーレが鳴り渡ると、畳み掛けるように凱歌が続きます。
そして念を押すようにハ長調に転じた和声が踏みしめられ、全曲が輝かしく締めくくられます。


ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第1楽章 [2020][VR]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68
I. Un poco sostenute - Allegro [15:06]



Brahms-Symphony-No1-1st-2020-VR.mp3



ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第2楽章 [2020][VR]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68
II. Andante sostenuto [9:27]



Brahms-Symphony-No1-2nd-2020-VR.mp3



ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第3楽章 [2020][VR]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68
III. Unpoco allegretto e grazioso [5:18]



Brahms-Symphony-No1-3rd-2020-VR.mp3



ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第4楽章 [2020][VR]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68
IV. Adagio - Allegro non troppo ma con brio [19:10]



Brahms-Symphony-No1-4th-2020-VR.mp3


*第2楽章、第3楽章は14年ぶりの新演奏・新録音です。
*両端楽章も演奏と音響を改めた新録音です。
*全楽章の音源を3D・立体音響に差し替えました。6/5


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2020年04月22日


オンライン特別プログラム - ベートーヴェン「第九」バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125

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今回は通常の形を変更した特別なプログラムです。

第4楽章「歓喜の歌」の合唱のイメージがあまりに強い「第九」ですが、
実際は前半の二つの楽章にかけて、個人の内面の激しい闘いが描かれています。

「運命」「コリオラン」「エグモント」など、ベートーヴェンにはこうした勝利に向けての闘争を描いた
短調の音楽がいくつもありますが、わけても「第九」の第1楽章は別格です。
約15分以上におよび、ひたすらに胸を引く裂くような闘いが続きます。

第2楽章になってもそれは変わらず、過酷な運命はこれでもかと襲い掛かってきます。
しかし主人公はそれに怯むことなく、時にユーモアさえ見せながら気丈に立ち向かうのです。

第3楽章は一転して、天上界か、あるいは心の奥の安らかな場所を描いたような穏やかな音楽です。
最初のテーマは宗教的な祈りを思わせる旋律、次のテーマは愛や感謝を思わせるあたたかな旋律です。
この二つのテーマが入れ替わり変奏を繰り返し、満ち足りた時間を紡いでいきます。

特にワルツの変奏で軽やかにスウィングする場面(11:29)は感動的です。
しかし、この安楽にも金管が「眠ってはならない」と警鐘を鳴らすのです。

そして第4楽章では過去の三つの楽章が否定され、低音弦が提示する「歓喜の主題」に
あたかもフラッシュモブのように各楽器が賛同していき、ついには盛大な全体合奏に至ります。

その後はベートーヴェン自身が書いた冒頭の「おお友よ、もっと快い歌をうたおうではないか」
という呼びかけが歌詞付きでバス歌手により再現されると、それに呼応して合唱が歌い始め、
オーケストラと合唱による壮大な「歓喜の歌」のシンフォニーが繰り広げられていきます。



ベートーヴェンは「第九」作曲のごく初期の段階で、声楽(頌歌)を加えることをイメージしており、
「管弦楽編成は通常の十倍の大きさで」とスケッチにプロットを記入しています。

「第九」には人生に訪れる過酷な試練の闇とそれとの闘い、また打ち勝つための揺るがない意志、
不動の中心(精神的)、ユーモア、大胆不敵さ、心のやすらぎ、祈り、統一、希望、光、愛、感謝、
覚醒、再起、連帯、調和、平和といった要素が凝縮されています。

現在、世界を覆う厳しい状況に最も求められる音楽だと思います。
天はベートーヴェンという器を通し、音楽という言葉で人々に語り掛けているのかもしれません。


ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2020][AR]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso [19:10]



Beethoven-Symphony-No9-1st-2020-AR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第2楽章 [2020][AR]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
II. Molto vivace [10:40]



Beethoven-Symphony-No9-2nd-2020-AR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第3楽章 [2020][AR]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
III. Adagio molto e cantabile [18:29]



Beethoven-Symphony-No9-3rd-2020-AR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第4楽章 [2020][AR]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
IV. Presto-Allegro assai [25:30]



Beethoven-Symphony-No9-4th-2020-AR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第4楽章 [KARAOKE]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
IV. Presto-Allegro assai [18:11]



Beethoven-Symphony-No9-4th-2020-KARAOKE.mp3


*第4楽章の合唱は著作権が消滅した音源をミックスしています。
*カラオケはご自身の歌や楽器演奏を加えて公開するなど、ご自由にお使いください。


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2020年04月09日


ブルックナー:交響曲 第8番 ハ短調 第3楽章 / Joseph Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor:III. Adagio

Bruckner-01.jpg♪祈りにも似た美しく崇高なアダージョ

アントン・ブルックナーの交響曲第8番ハ短調は、ブルックナーの作曲した10曲目の交響曲です。演奏時間80分を越すこともある長大な曲で、後期ロマン派音楽の代表作の一つに挙げられます。

交響曲作家であるブルックナーの作品中でも極めて完成度が高く、充実した内容をもっています。わけても演奏時間25分におよぶ第3楽章アダージョの美しさは比類なく、ブルックナー音楽の最高峰と言っていい至極の名品です。

ブルックナーはこの交響曲以降、ベートーヴェンの交響曲第9番と同様の第2楽章にスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章を置く楽章配置を採用するようになりました。

作曲が開始されたのは、交響曲第7番の初演準備をしていた1884年7月で、1887年夏に第1稿が完成しています。しかし、「私の芸術上の父」と敬愛した指揮者ヘルマン・レヴィから「演奏不可能」と言われたブルックナーは落胆し、第8番の全面改訂を決意。

まず1889年3月4日から5月8日にかけて第3楽章が改訂され、続いて第4楽章の改訂が年7月31日まで行われました。さらに第2楽章スケルツォが改訂され、そして第1楽章、1890年3月10日に改訂は終了しました。これが「1890年・第2稿」であり、現在の演奏はほとんどこの稿を採用しています。

ブルックナーは同時期に交響曲第4番、第3番の改訂も行っています。この時点で第9番の作曲もある程度が進んでいましたが、この晩年の改訂期のために中断を余儀なくされ、結局未完に終わっています。




交響曲第8番の初演は1892年12月18日、ハンス・リヒターの指揮によりウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会で行われました。ヘルマン・レヴィは当初マンハイムでカペルマイスター(楽長)を務めていたフェリックス・ワインガルトナーをブルックナーに推薦しました。

ところが、ワインガルトナーは全く返事をせず、ブルックナーから再三の要請を受けた後、1891年4月に辞退の手紙を書きました。そのため初演指揮者が見つからない時期がありました。そこでリヒターが1892年度のウィーン・フィル定期演奏会で初演することが決まったのでした。

初演時のウィーン楽友協会の大ホールには、ヨハネス・ブラームスやフーゴー・ヴォルフなどの著名な音楽家たちも聴衆として訪れました。全曲中で特に第2楽章スケルツォと第3楽章アダージョが好評を受けました。ヴォルフは初演の1週間後に、この作品の成功を「闇に対する光の完全な勝利」と評しています。

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2020年04月02日


チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 《悲愴》 第4楽章 [2020][AR] / Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique":IV. Finale. Adagio lamentoso

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♪短調のまま消え入るように終わる異質な最終楽章

「悲愴」の初演から4日後、チャイコフスキーはあまりに突然に死を迎えてしまいました。一般的に信じられているのは、生水を飲んだため当時、流行していたコレラにかかり亡くなったというもの。

弟のモデストによれば、チャイコフスキーは1893年10月20日の夜、アレクサンドリン劇場でオストロフスキーの劇を見た後、「レイネル」という名のレストランで甥たちと共に夕食をとりました。翌21日の朝、チャイコフスキーは腹痛を訴え、朝食には起きて来ませんでした。前日の昼食で生水を飲んでコレラにかかったのです。

また、チャイコフスキーの妹アレクサンドラの末息子でクリンの記念館の館長を務めていたユーリイ・ダビドフは、前夜のレストランでの会食の際、チャイコフスキーは皆が止めるのを聞かずに、生水を飲んだと伝えています。

彼は回想記でチャイコフスキーの死にまつわり新聞で噂された毒殺、自殺、その他の説について触れ、「このようなことはすべて根も葉もない話です。私は確信をもって証言します。ピョートルおじさんを死なせたのは正真正銘のコレラで、その当然の余病が腎臓にきて尿毒症を引き起こし、そのために衰弱した身体が回復できなかったのです」と述べていました。




しかしその一方で、コレラによる死者の措置は厳重に監視されていたのにチャイコフスキーの場合は例外で、その遺体は自身の住居に安置されたままでした。さらに、故人の死を悼み数百人の弔問客がこの部屋を訪れ、遺体の手や顔に接吻をしましたが、誰ひとりとしてコレラに罹患した者はいなかったといわれています。

このため、チャイコフスキーの死は生水を飲んでコレラにかかったのが理由ではなく、当時は重罪だった同性愛が発覚して、名誉法廷で作曲家が自殺するという判決が下されたためとの説もあります。チャイコフスキーが飲んだのは砒素系の毒が入った水だったとされています。真相は今も不明のままです。

当時、すでに名声を得ていたチャイコフスキーの死は衝撃をもって全世界に伝えられ、11月7日のナブラーヴニク指揮による「悲愴」の再演は凄まじい反響を呼びました。チャイコフスキーが自殺したとの噂と重なり、この交響曲は多くの物語を生みました。そして、1890年代のうちにチャイコフスキーの名を全ヨーロッパに広めました。

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2020年03月27日


チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 《悲愴》 第1楽章 [2020][AR] / Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique":I. Adagio - Allegro non troppo

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♪最晩年のチャイコフスキーが遺した人生をかけた一大傑作

交響曲第6番ロ短調 作品74は、チャイコフスキーが作曲した6番目の番号付き交響曲にして、彼が完成させた最後の交響曲。『悲愴』(ひそう)という副題でも知られています。

チャイコフスキー最後の大作であり、その独創的な終楽章をはじめ、彼が切り開いた独自の境地が示され、19世紀後半の代表的交響曲のひとつとして高く評価されています。

弟のモデストはこの曲のテーマとしていくつかの証言を残していますが、チャイコフスキー自身は「人生について」としか語っていません。リムスキー=コルサコフの回想によれば、初演の際、演奏会の休憩中にチャイコフスキーに「この交響曲には何か表題があるのでしょう」と確かめると彼は「無論あります。しかし何と言ってよいか説明できかねます」と答えたといいます。

チャイコフスキー自身は世評を気にしがちなタイプでしたが、この曲については大きな自信を持っていました。完成後に出版商のユルゲンソンに送った手紙の中に「傑作を書きました。これは私の心からの真実と申しましょう。私は今までにないほどの誇りと満足とよろこびを感じています」と書いたほか、コンスタンチン大公には「私は今度の交響曲の作曲に全精神を打ち込みました」と伝えています。

また初演後は周りの人々に「この曲は、私の全ての作品の中で最高の出来栄えです」と語っていました。




チャイコフスキーは1891年に着想を得た変ホ長調の交響曲(自身で『人生』というタイトルをつけていた)を途中まで書いたところで、出来ばえに満足出来ず破棄し、ピアノ協奏曲第3番に改作しました(未完)。しかしこの「人生」というテーマは彼の中で引き継がれていたようで、資料によれば1893年2月17日に第3楽章から第6交響曲の作曲に着手しました。

作業は急ピッチで進められ、それから半年後の8月25日にはオーケレストレーションまで完成し、同年10月16日に作曲者自身の指揮によりサンクトペテルブルクで初演されました。あまりに独創的な終楽章もあってか、初演では当惑する聴衆もいたものの、この曲へのチャイコフスキーの自信が揺らぐことはありませんでした。しかし初演のわずか9日後、チャイコフスキーはコレラ及び肺水腫が原因で急死し、この曲は彼の最後の大作となりました。

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2020年03月21日


チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第2楽章 [2020][AR] / Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64:II. Andante cantabile

Tchaikovsky-06.jpg♪2つの美しい主題が織りなす感動的な音楽模様

交響曲第5番ホ短調 作品64は、チャイコフスキーが1888年に作曲した交響曲。チャイコフスキーの数ある曲中でも交響曲第6番『悲愴』と並ぶ人気曲となっています。

チャイコフスキーは1877年に交響曲第4番を作曲したあと、『マンフレッド交響曲』を作曲したほかは、交響曲から遠ざかっていました。しかし、1886年にヨーロッパに演奏旅行し、当地で好評を得たことや、マーラーやリヒャルト・シュトラウス、グリーグら作曲家との交流が刺激となり、意欲を取り戻したといわれます。作曲者48歳、1888年の5月から8月にかけて作曲されました。

同年11月、作曲者自身の指揮によりサンクトペテルブルクで初演されました。初演では、聴衆は好意的でしたが、「チャイコフスキーは枯渇した」、「3つのワルツを持つ交響曲」などといわれ、専門家の批評は芳しくなく、チャイコフスキー自身もこの曲について「こしらえ物の不誠実さがある」と手紙に書くほどでした。

しかし、その後は演奏会のたびごとに大好評となり、成功作として本人も評価するようになりました。




第2楽章は厳かでやや陰鬱な弦の序奏のあと、夢幻的であまりに美しい主題がホルンのソロで奏でられます。この主題が弦によって再現されると、息をつく間もなくさらに美しい第2主題が続けて演奏されます。それぞれが別個の楽章の主要主題にできるほどの優れた旋律で、これが惜しげもなく一度に使用されるところにこの楽章の特別さがあります。また、クラシックでも屈指のメロディメイカーの彼だからこそ成せる技とも言えます。

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2020年02月29日


シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.97「ライン」第1楽章 [2020][AR] / Robert Schumann:Symphony No.3 in E flat major, Op.97 "Rheinische":I. Lebhaft

schumann05.jpg♪宇宙の悠久の時の流れを表したかのような雄大なシンフォニー

シューマンの交響曲第3番変ホ長調作品97「ライン」は、1850年に作曲され1851年2月6日にデュッセルドルフにおいてシューマン自身の指揮によって初演されました。

シューマンが完成した4番目の交響曲で、実質的には最後のものにあたります。しかし、2番目のものが後年改訂出版されて「第4番」とされたため、第3番に繰り上がりました。「ライン」の副題はシューマン自身が付けたものではありません。

日本初演は1927年9月25日、日本青年館にて近衛秀麿と新交響楽団によって行われました。シューマンの交響曲のなかで最も早く日本で演奏されています。

1850年、デュッセルドルフの管弦楽団・合唱団の音楽監督に招かれたシューマンは、9月に同地に到着すると夫妻で盛大な歓迎を受けました。シューマンはライン川沿岸を好んで散歩し、9月と11月にはライン川上流に位置するケルンにも足を延ばしました。

壮麗なケルン大聖堂に感銘を受け、折しもこの時期に挙行されたケルン大司教ヨハネス・フォン・ガイセルの枢機卿就任式の報に接し、交響曲の霊感を得たといいます。

シューマンは同年11月にチェロ協奏曲を完成させると、直ちにに交響曲の作曲に取りかかり12月には完成しています。

シューマンはライン川の川下りやそれを取り巻く環境に大いに触発され、第1楽章(ローレライ)、第2楽章(コブレンツからボン)、第3楽章(ボンからケルン)、第4楽章(ケルンの大聖堂)、第5楽章(デュッセルドルフのカーニヴァル)など、その音楽もまたラインに関連が深くなっています。



「ライン」はシューマンの交響曲のなかでも極めて音楽的な充実度が高く、そのインスピレーションにはベートーヴェンの大作群にも通じるものがあります。

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2020年02月11日


メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90『イタリア』第1楽章 [2020][AR] / Felix Mendelssohn:Symphony No.4 in A major, Op.90 "Italian":I. Allegro vivace

Mendelssohn-07.jpg♪イタリア旅行の快活な気分を描いた躍動感あふれる音楽

交響曲第4番イ長調『イタリア』はフェリックス・メンデルスゾーンが1831年から1833年にかけて作曲した交響曲です。

メンデルスゾーンの交響曲は全部で17曲におよびますが、はじめの「弦楽のための交響曲」12曲は弦楽合奏用の習作的なものであり、その後の5曲が番号付き交響曲として数えられています。

「第4番」は出版順で「イタリア」は5曲の中では第1番、第5番「宗教改革」に次いで実質3番目に完成されました。「イタリア」の後の作曲順は、第2番「賛歌」、第3番「スコットランド」です。

イタリア旅行中に書き始められたこの曲は、躍動的なリズム、叙情と熱狂、長調と短調の交錯による明暗の表出が特徴的で、メンデルスゾーンの交響曲の中でも最も親しまれています。



1830年10月から翌1831年4月にかけてイタリアに旅行したメンデルスゾーンは、ローマでは謝肉祭や教皇グレゴリウス16世の就任式などを目にしました。その間にこの曲の着想を得て、作曲に取りかかったことが彼の手紙などから分かっています。しかし作曲は旅行中には仕上がらず、一度は中断しました。

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2020年01月28日


シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D759『未完成』第1楽章 [2020][AR] / Franz Peter Schubert:Symphony No.8 in B minor, D.759 "Unfinished":I. Allegro moderato

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♪未完のままに終わった理由は今も謎のまま…

交響曲第8番『未完成』はオーストリアの作曲家、フランツ・シューベルトが1822年に作曲した未完の交響曲です。

シューベルトの代表作のひとつであり、ベートーヴェンの『運命』、ドヴォルザークの『新世界』などと並んで「三大交響曲」に数えられることもある人気作です。かつてのレコード業界では『運命』と『未完成』は定番のカップリングでした。



シューベルトは25歳でグラーツ楽友協会から「名誉ディプロマ」を授与された際、返礼として交響曲の作曲に取り掛かりました。しかし、シューベルトが送付したのは第1楽章と第2楽章だけで、残りの楽章は送付しなかったとされています。

そのままシューベルトは別の交響曲(ハ長調 D 944)の作曲を開始。結局、ロ短調交響曲を完成させる前に逝去しました。シューベルトの名声が確実なものとなった没後数十年を経て、残された2楽章分のみが出版されることになりました。

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