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2017年06月19日


ベートーヴェン:交響曲 第6番 へ長調 Op.68 「田園」 第1楽章 [新録音2017]


♪自然を媒介とした神と人との対話

30代に差し掛かり耳疾の進行から次第に人との接触を避けるようになったベートーヴェンは、
療養で訪れたウィーン郊外のハイリゲンシュタットに居を構え、
数ヶ月にわたりそこで暮らしながら作曲の筆を進めました。

有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」はこの頃に書かれています。
そこには作曲家として致命的な疾患に対する絶望と、
それでも消えない音楽の創作に対する希求の思いが記されています。

ベートーヴェンは午前中に作曲の作業を終えると、昼過ぎから長い時は夜に至るまで、
畑と森林の小径を延々と散歩していました。
そのコースはハイリゲンシュタットからバーデンまで25kmもの距離があったと言います。

もちろんそれはただの散歩ではなく、頭の中で楽想を練る作業でした。
そうしてまとまった楽想を、翌日の朝から一気に譜面に書き記していたのです。
ベートーヴェンは「作曲に楽器を使ってはいけない」と言っています。
それより自らの内から湧き出るインスピレーションを大事にせよと言っていたのです。

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ベートーヴェンは長時間の散策の中、自然を愛で、聴こえない耳で小川のせせらぎや鳥の声を聴き、
それらの背後にある見えない摂理を感じながら、迸る楽想に思いをめぐらせていたのです。

私事ですが一ヵ月ほど前に、地元の丘陵地帯の畑の道を歩いている時、
ふいに「田園」第1楽章の旋律が脳裏に流れ、しばらくそれに耳を傾けていました。
その音楽は一般に聴く「田園」とは違い、まるでブルックナーのような、
ゆるやかで壮大な弦楽オーケストラのような響きをもっていました。

その後、「ベートーヴェンの交響曲はただの音楽ではない。言葉をもたぬ神がベートーヴェンを通し、
音楽という言葉で人間に語りかけているのだ」という思いが頭をよぎり、
涙で目がかすみ歩けなくなってしまいました。

眼下に広がる畑と遠方の海は陽光を受け煌き、
ひばりが楽し気に歌いながら上空へ上がったり下りたりしていました。

歌人・西行は伊勢神宮に参拝した際に、このような短歌を詠んでいます。

「なにごとの おわしますかは知らねども かたじけなさに 涙こぼるる」

ベートーヴェンの「田園」とは、ただの自然の風景の描写ではなく、
その背後にある摂理と、それに対する人間感情を描いた音楽なのです。




ベートーヴェン:交響曲 第6番 へ長調 Op.68 「田園」 第1楽章 [2017]
L.V.Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "PASTORAL"
1. Allegro ma non troppo [14:07]

http://classical.seesaa.net/Beethoven-Symphony-No6-1st-2017.mp3


参考図書
アイ・アム・ザット 私は在る―ニサルガダッタ・マハラジとの対話
スダカール・S. ディクシット
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posted by アンドウトワ at 03:25 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月12日


モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」 第4楽章 [新録音2017]

シューベルト:交響曲第8番「未完成」、モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
価格:
ユニバーサルクラシック(2015-05-19)
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♪モーツァルトが生涯の最後にたどり着いた至高の境地

古今東西に神を描いた音楽、または神に捧げられた音楽は多々あるものの、
これほどまでに、人間のイメージを介さずに神(実在)そのものを
ダイレクトに表現した音楽は他にないと思います。

交響曲第41番はモーツァルトが生涯に作曲した数多くの交響曲の最後の作品です。
1788年夏、この曲を書きあげた頃のモーツァルトはかつてのような人気を失い、
生活は厳しく、病を患い、これ以上ない苦しい生活の最中でした。

しかし、そうした外面的な苦しさは、返ってモーツァルトの霊感を深め、
この夏には変ホ長調、ト短調、ハ長調の「3大交響曲」をわずか1月半で書き上げたのでした。
しかもその3曲はいずれ劣らぬ、時代を超えた名曲であったのです。

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ベートーヴェンは自らを「神の代弁者」と自負して交響曲を書きました。
ブルックナーは「愛する神への捧げもの」として、交響曲を作曲しました。

いずれも、人間から仰ぎ見た神の威光を描いています。

しかし、モーツァルトの41番はそのどちらでもありません。
人間や人間感情を介さずに、ダイレクトに神(実在)そのものを音楽で表しているのです。
第4楽章のコーダはその頂点と言えます。

あまりの壮麗さから、41番は後に創造神「ジュピター」の名で呼ばれるようになりました。

神に愛されたモーツァルトが最後に残したのは、人類への希望に満ちたメッセージでした。




モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」 第4楽章 [新録音2017]
W.A.Mozart:Symphony No.41 in C major, K.551 [Jupiter]
4. Molto Allegro [8:07]

http://classical.seesaa.net/Mozart-Symphony-No41-4th-2017.mp3



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posted by アンドウトワ at 14:34 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月08日


ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」 第1楽章 [新録音2017]


♪人類の規範となる崇高な精神を表現

ベートーヴェンにとってナポレオンは、彼が理想とする自由と博愛の象徴でした。
ナポレオンの快進撃に人類の解放と自由を重ねて見ていたのです。

ところが敬愛するナポレオンは権威の象徴である皇帝の座に即位してしまいます。
その知らせを聴いたベートーヴェンは激怒し、失望に打ち震えました。

第3交響曲「英雄」はナポレオンに捧げるべく作曲が進められた作品でした。
スコアの表紙には「ボナパルト」、下にルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンと記し、
ナポレオンの功績を称え、彼に献呈するつもりでしたが、その表紙を破り捨て、
代わってイタリア語で「英雄的」の意味を持つ「エロイカ」と表記を改めました。

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結果としてこの作品はナポレオンという一個人を扱ったものではなく、
人間にとってのあらゆる英雄的な行為、またその根底にある
意志、決意、気迫、情熱といったものを表すものとなりました。

ベートーヴェンが作曲家としては致命的な耳疾に悩まされながら、
それを決然と克服した時期の記念碑的な作品でもあります。

ベートーヴェンはその後、「運命」「田園」「第九」といった交響曲で、
人類の道標になる精神を示しましたが、「英雄」にはそれらの土台となる、
人間のぶれない意志、軸となる不動の自己が示されています。

ワグナーは4つの楽章を「活動」「悲劇」「寂境」「愛」とし、
真のベートーヴェンの姿が表れていると評しました。


* 2007年の公開以来、10年ぶりの新録音となります。
作為的な表現は控え、無心で音楽の自然な流れに任せました。




ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」 第1楽章 [2017]
L.V.Beethoven:Symphony No.3 in E flat major, Op55 "EROICA"
1. Allegro con brio [15:37]

http://classical.seesaa.net/Beethoven-Symphony-No3-1st-2017.mp3



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posted by アンドウトワ at 10:43 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月03日


モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550 第4楽章


モーツァルト:交響曲第25番&第40番
ワルター(ブルーノ)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(2004-11-17)
おすすめ度の平均: 4.5
5普遍的定番?
5永遠の名演
3意外と現代的な演奏だと感じました
5定番ですね
5すばらしい!!!!!


♪ト短調の交響曲第25番にも通じる疾走感

モーツァルトの大変な愛好家で知られるアインシュタインは、
この楽章の展開部の大胆な転調を「魂の深淵への墜落」と評しました。

モーツァルトの音楽は流れが自然なため、そうとは気づかせないものの、
実際は驚くばかりの革新的な試みも少なくありません。

"ディモーニッシュ"とも評されるそうした独特の展開は、
一見、華やかなモーツァルトの音楽の、強いスパイスにもなっています。

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革新性と言えば第40番と第41番の最後の二つの交響曲も突出しています。
その先進性や規模には、それまでの古典派の交響曲とは次元の違うものが感じられます。

後のロマン派の大交響曲時代への布石が、エッセンスとして凝縮されているかのようです。




モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550 第4楽章
Wolfgang Amadeus Mozart:Symphony No.40 in G minor, K.550
4. Allegro assai


http://classical-music.sakura.ne.jp/Mozart-SymNo40-4.mp3



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posted by アンドウトワ at 07:02 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月27日


モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550 第3楽章


モーツァルト:交響曲第40番&第41番
ミンコフスキ(マルク)
ユニバーサル ミュージック クラシック(2006-07-26)
おすすめ度の平均: 4.5
5ニュー・スタンダード!
4「ジュピター」では風格すら漂う。


♪真冬の木立を歩くかのような緊張感あるメヌエット

モーツァルトに関しては天才を思わせる逸話ばかりが先行しますが、
実際の彼は必ずしもそうした面ばかりを、持ち合わせていたとは言えないようです。

例えば傑作として知られる歌劇「魔笛」。
今も残る直筆の譜面を見ると、至る所に手直しの痕跡があり、
余白にはいら立ちからか、ペンを突き立てた跡が見られると言います。

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天才と呼ばれるモーツァルトでさえも、思うように筆が進まず、
作曲に苦悩したことをうかがわせます。

第40番にはそうしたモーツァルトの、普段は表に出ない
影の部分が表現されているように感じます。

自らの最後を予感した天才が、初めて赤裸々な心情を明かしたかのようです。




モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550 第3楽章
Wolfgang Amadeus Mozart:Symphony No.40 in G minor, K.550
3. Menuetto - Allegretto


http://classical-music.sakura.ne.jp/Mozart-SymNo40-3.mp3



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posted by アンドウトワ at 12:29 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550 第2楽章


モーツァルト:交響曲第38番&第39番&第40番&第41番
サヴァリッシュ
コロムビアミュージックエンタテインメント(2006-12-20)
おすすめ度の平均: 5.0
5サヴァリッシュは職人


♪哀しみも浄化されるような響きのアンダンテ

モーツァルトは一瞬のひらめきの中に、交響曲の全楽章のイメージが湧き上がったといいます。
机に向かう前にすでに頭の中には全スコアがあったわけです。
ですから作曲もピアノに向かって絞り出すのではなく、会話をしながら頭の中のスコアを、
事務的に書きとめるといった感じだったようです。

ベートーヴェンの場合、例えば第5のワンフレーズを10数回書き直し、
結局1回目と最後が同じだった... というような模索のあとも見えるのですが、
モーツァルトの場合、そういった書き直しやミスは一切なかったといいます。

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またモーツァルトの音楽には強く“天国性”が感じられます。
ですから、お酒の麹をはじめ植物や動物に至るまで、
その音楽を聴かせるとおいしくなったり、成長がよくなったりするのでしょう。

何か特別な波動のようなものが出ているのかもしれません。




モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550 第2楽章
Wolfgang Amadeus Mozart:Symphony No.40 in G minor, K.550
2. Andante


http://classical-music.sakura.ne.jp/Mozart-SymNo40-2.mp3



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posted by アンドウトワ at 11:49 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

モーツァルト:交響曲 第40番 ト短調 K.550 第1楽章


モーツァルト交響曲第40番&第41番
ベーム(カール)
ユニバーサル ミュージック クラシック(2005-12-14)
おすすめ度の平均: 5.0
5ベームのすべてがここに…
5これしかない・・・。
5やはりお勧め
5天空への魂の飛翔
4ベームの慈愛に満ちた風格のある演奏


♪モーツァルトの短くも薄幸な生涯を思わせる短調の交響曲

後期3大交響曲のひとつ第40番は、2曲しかないモーツァルトの短調の交響曲のひとつです。

交響曲は全41曲あるのですから、その数はまことに少ないと言えます。
そして、ト短調の25番と40番はどちらもとりわけ名作とされています。

1788年はモーツァルトの後期3大交響曲が一気に書かれた年です。
この3曲は6月28日から8月10日の間にまとめて作曲されました。
ことに、第40番は7月15日から7月25日のわずか10日間で完成したとされ、
病で体力も落ちた最中での、驚異的な集中力を感じさせます。

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第40番は楽器編成がシンプルなことも特徴です。
ティンパニーとトランペットは入っておらず、初稿ではクラリネットもなしでした。
後にクラリネットはモーツァルト自身の手によって追加されました。

今回はそのクラリネット入りのバージョンでお届けします。




モーツァルト:交響曲第40番 ト短調 K.550 第1楽章
Wolfgang Amadeus Mozart:Symphony No.40 in G minor, K.550
1. Molto allegro


http://classical-sound.up.seesaa.net/Mozart-Symphony-No40-1st.mp3



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posted by アンドウトワ at 11:19 | 交響曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする