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2012年02月09日


エルガー:愛のあいさつ Op.12 [ピアノ版]

愛の挨拶~ピアノ名曲の花束~
新品最安価格:19%OFF ¥ 2,400 (10店出品)
レビュー平均: 4.7点 (3人がレビュー投稿)
5.0点 シンプルなのに優美な情感
5.0点 さりげない好演奏
4.0点 甘露。
発売日:2005-05-21
メーカー:ビクターエンタテインメント
アーティスト:ヘルマン(コルネリア)

♪英国の音楽を再興した国家的な作曲家

ダウランドのような吟遊詩人の時代には、歌を中心に華やかだったイギリスの音楽。
しかしその後、バロック期の大作曲家、パーセルの登場を最後に、
イギリスではしばらく楽聖の存在しない時代が続きました。

古典派やロマン派の時代を見渡しても、これといった作曲家はいません。
ビートルズを輩出した国としては、少し不思議な気がしないでもありません。

そうした最中、19世紀後半のイギリスに、ようやく大作曲家が登場します。
国家のために作った数々の名曲と、その功績からサーの位を受け、
国王の恩恵と世の賞賛を一身に受けたエドワード・エルガーです。

エルガーは1957年6月2日、イングランドのブロードヒースに生まれました。
オルガン奏者の父の手ほどきで、早くからオルガン演奏を始め、
1887年にポリッツァノにヴァイオリンを学び、それを活かして
ヴァイオリン教師として生計を立てながら、ほぼ独学で作曲や指揮法を学びました。

父の死後は聖ジョージ教会堂のオルガン奏者を引き継ぎ、
アマチュアの指揮者などをしながら、地道な音楽活動を続けていました。
1889年に結婚したキャロライン・アリス・ロバーツは、
この時代にエルガーのピアノの生徒だった女性です。

1888年に作曲されたエルガー初期の作品「愛のあいさつ」は、
結婚前の彼からキャロラインへの、音楽の贈り物でした。
ヴァイオリンで奏でられる優美な旋律は人気が高く、
ピアノ曲としても大変親しまれています。

エルガーはこの後、1899年に「エニグマ変奏曲」で話題を集め、
リヒャルト・シュトラウスからも賞賛を受けるなど、
その名声はヨーロッパ中へと広まっていきました。

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1901年に作曲の「威風堂々」は、国王エドワード七世の戴冠式で演奏され、
その後もイギリスの公式会合では、必ず演奏される慣わしとなっていきました。
こうして多くの賞賛と名誉を受けながら、エルガーは1934年2月23日に、
故郷のブロードヒースにて、高雅なその作曲家人生に幕を閉じたのでした。

*この曲はヴァイオリン版を公開していましたが、今回は改めてピアノ版でご紹介しました。





Edward Elgar:Salut d'amour (liebesgruss), Op12 [Piano ver.]
エルガー:愛のあいさつ Op.12 [ピアノ版]



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2011年12月15日


ベートーヴェン:ピアノソナタ 第8番 ハ短調 Op.13 《悲愴》 第1楽章

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番&第14番&第23番
新品最安価格:19%OFF ¥ 800 (12店出品)
レビュー平均: 4.6点 (10人がレビュー投稿)
5.0点 一言で言えば、美しい。
5.0点 伝説となった名演奏が1000円とは…絶句!
5.0点 月明かりそのもののような「月光」
発売日:2006-11-08
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:ギレリス(エミール)

♪3大ソナタに数えられるベートーヴェン初期の名作

ベートーヴェンにとっての指標であり、越えなければならなかった存在は、
ソナタ形式のような古典的な様式を確立させた、ハイドンやモーツァルトでした。
ピアノの名手としてウィーンで名を上げ、いよいよ作曲も本格的になったのは、
およそ1800年前後、ベートーヴェンが30代に差しかかった頃のことです。

なんとか先人たちを乗り越えようというベートーヴェンの試みは、
この時期に作曲されたピアノソナタにも、はっきりと表れています。
例えば1798年から翌年にかけて作曲の第8番「悲愴」では、
第1楽章のソナタ形式に序奏がつき、この楽想がその後にも応用されています。

また、1801年に作曲された第14番「月光」では、
第1楽章がアダージョで、第3楽章に初めてソナタ形式が置かれています。
いずれのソナタでも当時としては、斬新な手法が採られています。

そしてこれらの試みに、すでにロマン派の兆候が見えています。
ベートーヴェンはひと括りに古典派とされることの多い作曲家ですが、
実際には古典派とロマン派の中間に置かれるべき存在で、
様々な革新的試みを成しながら、両者の橋渡しをしたとも言えます。

30歳前後と言えば、ベートーヴェンの主軸である交響曲の第1番が作曲され、
同じく主要なジャンルである弦楽四重奏曲も、ものにしつつあった時期です。
そして有名なハイリゲンシュタットの遺書が書かれたのは32歳の頃ですから、
いかにこの数年が彼の内面の変化の上で、大事だったかがうかがえます。

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「悲愴」は「運命」「コリオラン序曲」と同じハ短調です。
ベートーヴェンは内的闘争を描く時にこの調を用いていますが、
そのどれもが彼の作品の中では特に重要な意味を持っています。

難聴の兆候が表れ始めた1798年に着手されたハ短調の悲愴ソナタ。
ベートーヴェンは襲い来る試練を意識しつつ、筆を進めていたかもしれません。
第1楽章にはそれを思わせる重厚な響きがあり、強い意志力が感じられます。





ベートーヴェン:ピアノソナタ 第8番 ハ短調 Op.13 《悲愴》 第1楽章
L.V.Beethoven:Piano Sonata No.8 in C minor, Op.13 "Pathetique"
1. Grave - Allegro di molto e con brio



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2011年11月30日


リスト:超絶技巧練習曲 第5番 変ロ長調 「鬼火」 S.139-5

リスト:超絶技巧練習曲集&シュ
新品最安価格:17%OFF ¥ 2,357 (6店出品)
レビュー平均: 4.5点 (4人がレビュー投稿)
5.0点 雲海
5.0点 リストの瑞々しい「超絶技巧練習曲集」
5.0点 いいね
発売日:1996-03-23
メーカー:BMGビクター
アーティスト:キーシン(エフゲニー)

♪リストのピアニズムが集約された傑作練習曲集

超絶技巧練習曲と聞くと、テクニックの修練が目的の無機的なものを想像しますが、
実際にはそれのみにとどまらない、深い芸術性を持った美しい作品群です。

「すべての長短調のための48の練習曲」として15歳の時に書かれたのを始めに、
その後、26歳で「24の大練習曲 Op.6」として改訂され、
更に41歳にして「超絶技巧練習曲集」の名で2度目の改訂が施されました。
現在ではこの第3稿が所謂“リストの超絶技巧”として浸透しています。

超絶技巧練習曲の原題は英語表記で「Transcendental Etudes」です。
“Transcendante”はよく宗教などでも用いられる用語で“超越”を意味します。
つまり現世的な肉体を持った生活を超えたものを指し、
宗教的な超越の境地を目指す練習曲ともとれるのです。

晩年のリストはアッシジの聖フランチェスコに帰依し、
宗教への傾倒がきっかけになった作品を、いくつも生み出しています。
この練習曲集に最終的に“Transcendental”と名づけたのは、
そうした事柄と無関係ではないと思われます。

さて、12曲からなる超絶技巧の中でも、特に難曲とされるのが、
4番のニ短調『マゼッパ』と、5番の変ロ長調『鬼火』です。
この2曲は難しさの質が違い、一概に並べて比較できるものではありませんが、
『鬼火』は半音階、重音、跳躍などを駆使した、まさに超絶技巧的な作品です。

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「鬼火」とは日本で言うところの「人だま」です。
子供の頃にこれを見たという人の話を、いくつか聴いたことがありますが、
なぜだか共通して大人になると見えなくなってしまうようです。

リストの『鬼火』はあたかも人だまが、空中を浮遊しているかのようですが、
こうした人だまの動きを粒をそろえて軽やかに弾けるようになったら、
難曲『鬼火』のレッスンはひとまず完成と言えるのかもしれません。

それにしても「鬼火=人だま」というタイトルは、宗教的な意味合いを持つ、
「超絶技巧練習曲=超越的な練習曲」と銘打つこの作品集にぴったりです。
また『鬼火』の速度記号はPresto(急速に)やAllegro(快速に・陽気に)ではなく、
Allegretto(ややAllegroに-Allegroより遅く)ですが、こういった点にも、
ただ速く弾けばいいのではないという、リストの意志の表れを感じます。





リスト:超絶技巧練習曲 第5番 変ロ長調 「鬼火」 S.139-5
F.Liszt:Transcendental Etudes No.5 "Feux Follets" S.139-5



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2011年10月26日


ラフマニノフ:イタリアン・ポルカ

Piano Transcriptions
新品最安価格:44%OFF ¥ 1,393 (8店出品)
中古最安価格:56%OFF ¥ 1,107 (5店出品)
レビュー平均: 5.0点 (1人がレビュー投稿)
5.0点 さすが
発売日:2002-09-10
メーカー:Decca Import
アシュケナージ(Piano)
フォーマット:CD Import from US

♪4手のピアノ連弾用に書かれた軽快なポルカ

「これがラフマニノフ?」…初めて聴く方はそう言って驚かれるかもしれません。
4手のピアノ連弾用に書かれた『イタリアン・ポルカ』は1906年の作品。
同年秋から1909年にかけて、家族とともにドレスデンに滞在したラフマニノフは、
ドイツに向かう途上でイタリアを経由し、そこにも短期間滞在しました。

イタリアの街での辻音楽師による演奏がラフマニノフの耳にとまり、
これが元になって『イタリアン・ポルカ』は作曲されました。
“イタリアン”と言うほどイタリア風ではなく、むしろロシア風の哀調を帯びていますが、
曲調は軽快で、まるでディキシーのような楽しさに満ちています。

最初は連弾用の作品でしたが、後に自身がトランペットのパートを書き加え、
結果として4手のピアノ連弾とトランペットという珍しい編成になりました。
しかし現在演奏されるのは、ほぼ原曲の連弾版かソロピアノ用の編曲版です。

この曲にはラフマニノフと夫人の連弾という、貴重な録音も残っています。
大変な高速演奏にも夫人は負けておらず、聴いて心躍るような演奏です。
また『イタリアン・ポルカ』と言えばロシアの超絶技巧ピアニスト、
アルカーディ・ヴォロドスによるトランスクリプション版もよく知られています。
最早、原型を留めていないほどですが、多くのピアニストが取り上げています。

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ラフマニノフは1900年の春にも、ひとりでイタリアを旅行しています。
この時期はニコライ・ダーリ博士の暗示療法によって自信を回復し始めた頃で、
博士に献呈されたピアノ協奏曲第2番は、この年から翌年にかけての作曲です。

また同じ時期に作曲の『2台のピアノのための組曲第2番』では、
終楽章にタランテラというイタリア、ナポリの舞曲が置かれています。
そんなところにも、イタリア旅行から受けた影響をみることができます。





ラフマニノフ:イタリアン・ポルカ
S.Rachmaninov:Italian Polka (for four hands)



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2011年10月17日


リスト:ラ・カンパネラ (パガニーニ大練習曲 第3番 S.141-3)

リスト巡礼
新品最安価格:¥ 2,940 (5店出品)
中古最安価格:7%OFF ¥ 2,734 (1店出品)
レビュー平均: 4.2点 (4人がレビュー投稿)
5.0点 本質はデヴューから変わっていない〜♪
2.0点 呼吸音の強調が不自然
5.0点 辛辣な批評を書いたがこんなに成長されるとは
発売日:2011-06-22
メーカー:日本コロムビア
アーティスト:長富彩

♪ピアノ音楽の代名詞として愛され続ける名作

リストの心は沈んでいました。
パリでピアノ教師を続ける中で出逢った、セレブな役人の令嬢、
カロリーヌ・エリックとの交際が、彼女の家の事情によって途絶え、
リストと引き離されたカロリーヌが他に嫁いでしまったからです。

当時のリストは十代にして天才ピアニストの名を欲しいままにし、
パリの社交界でも演奏家として、教師として花形の存在でした。
しかし、カロリーヌとの一件以降、彼は自室に引きこもり、
外に出ても教会の祭壇の前で祈り、沈思黙考するという日々でした。

そんなリストに人生の一大転機が訪れます。
ある日、とある街角で彼は、一枚のポスターに目を留めました。
それは当時ヨーロッパ中に、その名をとどろかせていたヴァイオリンの鬼才、
ニコロ・パガニーニの演奏会を告知するものでした。

早速券を手に入れ、訪れたパガニーニの演奏会に、リストは度肝を抜かれました。
ステージに現れたパガニーニはやせた色黒で、猫背な不気味な出で立ちでしたが、
ひとたび演奏が始まると、何かに憑かれたかのような激しさで、
そこにいたすべての観客たちを圧倒したのです。
それは最早、人間離れした異界の者の姿でした。

しかし、その演奏はただ超絶的なばかりではなく、
音楽の細やかなひだをなぞり、人の魂に触れるような表現をも兼ね備えていました。
それはリストがずっと願ってきた音楽でもありました。

「僕はピアノのパガニーニになるんだ!」 ― そう叫んだリストはこの瞬間に目覚め、
いよいよ大ピアニストの道を歩んで行くことになります。
そしてパガニーニに傾倒した彼は、6曲からなる「パガニーニ練習曲」を作曲しました。

この作品はいずれもパガニーニの曲からその題材を得ていて、
「24のカプリース」からの5曲と、「ヴァイオリン協奏曲第2番」の終楽章を用いています。
最初の出版では「パガニーニによる超絶技巧練習曲」となっていましたが、
13年後の大改訂版では「パガニーニの大練習曲」とされ、これが普及しました。

第3曲「ラ・カンパネラ」は協奏曲第2番の終楽章の主題に基づいています。
原曲を活かしつつ、ピアノならではの魅力を存分に加味した名作で、
作品中で最も知られるだけでなく、ピアニストの腕前を披露するための、
ピアノ音楽の象徴的な位置づけにさえなっています。

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第6曲の基の「カプリース第24番」の主題は、ブラームスも「パガニーニの主題による変奏曲
第1巻で取り上げ、ラフマニノフは「パガニーニの主題によるラプソディ」で、
管弦楽伴奏つきのピアノ曲として作品に仕上げています。

「パガニーニ大練習曲」はたしかに技巧的な作品ではありますが、
それだけにとどまらない、洗練された詩情を含んでいます。

*この曲は既に掲載済みですが、前回から5年を経て改めて録音し直しました





リスト:ラ・カンパネラ (パガニーニ大練習曲 第3番 S.141-3)
Franz Liszt:Grandes Etudes de Paganini, S.141
No.3 "La Campanella"



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posted by アンドウトワ at 17:05 | 器楽曲・Piano | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月10日


J.S.バッハ:インヴェンション 第1番 ハ長調 BWV 772

バッハ:インヴェンションとシンフォニア
新品最安価格:9%OFF ¥ 1,425 (3店出品)
レビュー平均: 4.0点 (1人がレビュー投稿)
4.0点 とても自然でオーソドックスな演奏
発売日:2011-01-26
メーカー:カメラータ・トウキョウ
アーティスト:ピヒト=アクセンフェルト(エディット)

♪弟子や息子の学習のために作曲された鍵盤楽曲

J.S.バッハとベートーヴェンの音楽の違いは何か…。
大きくまとめてしまうと、バッハがポリフォニー(複旋律音楽) なのに対して、
ベートーヴェンはホモフォニー(和声付単旋律音楽)ということになります。

つまりバッハは伴奏のない複数の旋律が絡み合っていく音楽。
ベートーヴェンは旋律と和声(伴奏)が、はっきり分かれている音楽なのです。
ハイドンから始まったホモフォニーは、現代のバンド音楽にも通じています。

また両者の違いはメインの鍵盤楽器の違いにも表れています。
バッハのバロック時代のハープシコード(チェンバロ)は、
内部で弦を引っ掻いて音を出す構造のため、強弱というものがありません。
どう弾いてもほとんど一定の音量、音の強さで鳴ります。

一方、ベートーヴェンの古典派時代の鍵盤楽器であるピアノは、
ご存知の通り、弦を叩いて音が出るので、指の加減で強弱がつきます。
ですから表現に微妙な機微を与えることができるのです。
そしてこの違いがそのまま、それぞれの音楽形態にも表れています。

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インヴェンションは、弟子や息子の鍵盤学習のために書かれた作品です。
公開演奏が目的ではなく、現代でも練習教材として用いられますが、
グールドなどによって優れた録音も多く残されています。

またインヴェンションは正確には《インヴェンションとシンフォニア》という、
30曲からなる小品集の、前半15曲のことを指します。
インヴェンションは2声体の鍵盤楽曲で、シンフォニアは3声体です。
後半15曲のシンフォニアは慣用的に、《3声インヴェンション》と呼ばれる事もあります。





J.S.バッハ:インヴェンション 第1番 ハ長調 BWV 772
J.S.Bach:invention No.1 in C major, BWV 772 (Harpsichord)

J.S.Bach:invention No.1 in C major, BWV 772 (Piano)



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2011年10月02日


ショパン:ノクターン 第1番 変ロ短調 Op.9-1

ショパン:夜想曲全集
新品最安価格:15%OFF ¥ 2,506 (8店出品)
レビュー平均: 4.6点 (14人がレビュー投稿)
5.0点 間違いなく「天下一品」のノクターン!
4.0点 偉大なるスタンダード?
5.0点 最高のノクターン
発売日:1995-10-01
メーカー:ポリドール
アーティスト:アシュケナージ(ウラジミール)

♪創始者ジョン・フィールドに倣って作った初期のノクターン

ショパンといえば何と言ってもその旋律の美しさ。
別れの曲」「ノクターン第2番」など、歌にもなるほどの名旋律が目白押しです。
そうしたショパンのカラーが発揮されやすかった形式のひとつに、
アイルランドの作曲家ジョン・フィールドが創始したノクターンがあります。

特にショパンの初期のノクターンは、シンプルでフィールドの模倣に近い分、
左手は伴奏、右手は旋律という区分がはっきりして、
メンデルスゾーン無言歌集のように、歌心が前面に出ています。
その代表例がノクターン変ホ長調の第2番と言えるでしょう。

ショパンがパリのサロン界で女性たちに持て囃され始めた頃、
フィールドも2年間(1832-1833)パリに滞在し、ショパンに影響を与えました。
ノクターンの甘い旋律は貴婦人たちの受けもよく、
しばらくはフィールドのスタイルに則って作曲を続けていました。

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しかしマズルカポロネーズなど既存の形式を、芸術の域にまで高めたショパンです。
当然、ノクターンに関してもすぐに自分のものとし、
フィールドにはない構成や展開で、芸術的内容の濃いものに高めていきました。
最初は旋律中心に入り、やがて激しい中間部を経て、また静かに閉じる形などです。

ノクターン第1番は初期の作品ですが、シンプルな中にも独特な情緒があります。
1831年の作曲で、カミイユ・プレイエル夫人に献曲されました。
ニークスは「夜とそのしじまに生まれる情感を暗示する」と語っています。





ショパン:ノクターン 第1番 変ロ短調 Op.9-1
F.Chopin:Nocturne No.1 in B flat-minor, Op.9-1



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2011年09月23日


ショパン:エチュード 第13番 変イ長調 Op.25-1 「エオリアンハープ」

ショパン:12の練習曲 作品10/作品25
新品最安価格:18%OFF ¥ 1,474 (6店出品)
レビュー平均: 4.6点 (19人がレビュー投稿)
5.0点 現代の至高の藝術
5.0点 唯一無二の演奏
5.0点 人間はここまで正確になれるのか
発売日:2008-01-23
メーカー:ユニバーサルクラシック
アーティスト:ポリーニ(マウリツィオ)

♪自然の風が奏でる楽器エオリアンハープに例えたシューマン

19歳のショパンが友人たちと共に、初めて訪れた憧れの街ウィーンは、
この若き才能あふれる演奏家を、あたたかな好意をもって迎え入れました。
2回にわたる演奏会はいずれも大成功。
聴衆たちは熱狂的な歓声と賞賛を惜しみませんでした。

「どうしてこれほどの音楽の勉強がワルシャワでできたのか?」
批評家で雑誌記者のブラヘトカはそう言って、驚きを隠せませんでした。

しかし、その後ショパンが祖国を後にし、満を持して再訪した折のウィーンは、
あの時の熱狂がうそのように静まり、彼に対して冷ややかでした。
演奏会はほとんど開けず、経済的にも苦しかったショパンは、
ウィーンでの成功を諦め、1831年7月にドイツ経由でパリに向かいました。

最初の2年間は不遇だった、ショパンのパリでの生活でしたが、
やがてサロンの女性たちを中心に、演奏家として、
またピアノ教師としても、その支持を集めていきました。
そうした状況下で、ピアノのエクササイズとして作曲したのが、
後に練習曲集に改名、及び出版されたOp.10の12曲の作品集です。

さらに追加で12曲がOp.25の練習曲集として出版され、
これらはレッスン用のみならず、サロンでの演目にも用いられました。
ですからいわゆる練習曲には収まらない、情緒や芸術性を併せ持っています。

Op.25の第1曲「エオリアンハープ」の呼称は、シューマンの言葉によります。

「デリケートな上の音と基礎となるバスの音だけが聞こえ、
エオリアンハープを思い起こさせる。この曲はエチュードというよりは詩である。
ショパンがアルペジオの16分音符すべてが聞こえるように演奏することを
望んだと考えるのは間違いで、As Durの和音のうねりなのである。
この曲が終ったとき、我われはもう一度見たいような夢から目覚めた印象を受ける。」

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一方この曲は「牧童」の名で呼ばれることもあります。
これはショパンが、雨宿りの牧童が静かに笛を吹く姿を想像して作ったと、
自ら語ったという伝聞に基づいています。

尚、エオリアンハープは自然の風で鳴る、琴のような形の弦楽器です。
17世紀から19世紀のヨーロッパで流行しました。





ショパン:エチュード 第13番 変イ長調 Op.25-1 「エオリアンハープ」
F.F.Chopin:12 Etudes, Op.25
1. Allegro sostenuto (Aeolian Harp)



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2011年08月14日


リスト:《2つの伝説》 1. 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ S.175-1

ラ・カンパネラ(ベスト・オブ・リスト)
新品最安価格:16%OFF ¥ 1,255 (12店出品)
レビュー平均: 5.0点 (2人がレビュー投稿)
5.0点 天才的な演奏が多い。
5.0点 強烈。
発売日:2007-06-20
メーカー:TOSHIBA-EMI LIMITED(TO)(M)
アーティスト:シフラ(ジョルジュ)

♪小鳥と聖フランチェスコの対話を繊細に表現

2人の聖フランチェスコをテーマにした作品『2つの伝説』から第1曲です。
こちらの主役はアッシジの聖フランチェスコ。
“フランチェスコ”とひと口に言えば、1181〜1182年にイタリアのアッシジに生まれ、
後にフランシスコ会を創設した聖人、アッシジのフランチェスコを指します。

裕福な家庭に生まれたフランチェスコは、若き日を放蕩のままに過ごしていました。
しかしある夜、神の声を聞いたことで改心を始め、すべての財産を捨て、
自給自足の生活の中、ひたすら神に祈るようになっていきました。

自然と一体化した聖人として、国や教派を超えて世界中の人から愛され、
小鳥への説教という伝説も、そんな彼を象徴するようなものになっています。
「キリストの教えを小鳥に説くと、小鳥たちはじっと彼の声に耳を傾けた」
という伝説を描いた、ジオットのフレスコ画はよく知られるところです。

晩年のリストは尊敬するアッシジのフランチェスコに帰依し、
その僧位を四つも受けたほどでした。
そして、アッシジのフランチェスコに纏わる伝説の中でも特に有名な、
ベバニャへ赴く聖人が小鳥に説教したという伝説を選び、
ピアノ音楽『2つの伝説』の第1曲の題材としました。

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この伝説は教会書籍『聖フランチェスコの小さな花』の第16章にあり、
リストはこれにインスピレーションを受けて作曲したのでした。

高音のトリルやトレモロはあたかも小鳥たちのさえずりを、
低音の威厳ある響きはフランチェスコの言葉を表現しているかのようです。
聖人が説くキリストの教えに、即座に反応する小鳥たちの姿が、
目に浮かぶように生き生きと描かれています。

どこまでもダイナミックに、パオラのフランチェスコの奇蹟を描いた第2曲に対し、
第1曲は繊細で細やかな機微の表現が魅力です。
宗教的合唱曲『アッシジの聖フランチェスコの太陽賛歌』の主題が引用されています。
『2つの伝説』は1865年8月29日に、リスト自身によりブダペストで初演されました。





リスト:《2つの伝説》 1. 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ S.175-1
Franz Liszt:St.Françios d'Assise, la prédication aux oiseaux
Légendes S.175-1



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2011年08月07日


リスト:《2つの伝説》 2. 水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ S.175-2

ホロヴィッツ未発表カーネギー・ホール・ライヴ[2]~シューマン:幻想曲、ショパン:舟歌、リスト:伝説~水の上を歩くパオラの聖フランチェス
新品最安価格:16%OFF ¥ 2,110 (4店出品)
レビュー平均: 4.0点 (1人がレビュー投稿)
4.0点 イスラメイもいいけれど…
発売日:2009-10-21
メーカー:BMG JAPAN Inc.
アーティスト:ホロヴィッツ(ウラディミール)

♪パオラの聖フランチェスコが起こした奇蹟をダイナミックに表現

若い頃から信仰心が厚く、作品にもその傾向が見られていたリストですが、
十年来に渡って交際を続けてきた、ザイン=ヴィットゲンシュタイン侯爵夫人である
カロリーネとの結婚を、式の前夜に取り消されたことがきっかけとなり、
精神的な虚脱感から抜け出すため、マドンナ・デル・ロザリオ修道院に入りました。
そして37歳にしてピアノを捨て、下級聖職者として修行する身となったのです。

『2つの伝説』はこうしたできごとがあった、1861年〜1863年にかけて作曲されました。
2曲は同名異人のふたりの聖フランチェスコに纏わる伝説をテーマとしています。

パオラの聖フランチェスコは、アッシジのフランチェスコが1226年に没してから
約200年後の1416年に、南イタリアのパオラ生まれた修道士です。
少年期をフランシスコ会で送った彼は、やがてミニモ会(最も小さい者の意)を創立。

後に、フランス国王ルイ11世を救うためにフランスへ派遣され終油を授けたほか、
シャルル6世、ルイ12甥に仕え、シャルル8世の教育にも貢献しました。
清貧を貫き、数々の奇蹟を起こし、人々の支持を集めました。

彼が起こした奇蹟の中でも特によく知られるのが、メッシーナ海峡にマントを広げ、
その上に立って、左手に燃える石炭をもち、海を歩いて渡ったというものです。
この奇蹟を描いたシュタインレの絵画を、リストは自宅に所有していました。
『水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ 』は、この絵画にインスパイアされた作品です。

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宗教的合唱曲《パオラの聖フランシスに寄す》(1862)からの主題が引用され、
荒れる海上を悠然と歩くフランチェスコの姿を、劇的に表現しています。
この曲にはリスト自身によるオーケストラ版も存在しますが、
近年の研究ではピアノ版よりオーケストラ版が先だったという説もあります。
それほどに壮大でダイナミックな作品です。

パオラの聖フランチェスコは、リストの守護聖人でもありました。
フランツ・リストの「フランツ」は、パオラの聖フランチェスコの名前に由来します。
ですからリストは終生、この作品を愛し大事にしていたようです。

リストは楽譜の序文として、聖フランチェスコとその奇蹟に関する長文を記しています。





リスト:《2つの伝説》 2. 水の上を歩くパオラの聖フランチェスコ S.175-2
Franz Liszt: "St.Françios de Paule marchant sur les flots"
Légendes S.175-2



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posted by アンドウトワ at 07:07 | 器楽曲・Piano | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする