2024年02月14日


シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 Op.97 「ライン」 第1楽章 [2024] / Robert Alexander Schumann:Symphony No.3 in E flat major, Op.97 "Rheinische":I. Lebhaft

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♪第67話:トワ・レア・美里がライン川で撮影した新作ミュージックビデオを公開

皆さま、こんにちは!
CMSLシンフォニックオーケストラ、首席指揮者のアンドウトワと… コンサートマスターの風華レア、ピアニストの永井美里です。

トワ:まずは敬愛する小澤征爾さんのことからお話しさせてください。この番組に私が初登場した際にもお話ししましたが、私が二十歳ごろに指揮者になることを決意して、単身ドイツに渡ったのは小澤征爾さんを見倣ってのことです。先生はカバン一つを手にして、向こうで譲り受けた単車に乗って各地をめぐり、キャリアを積んでいかれました。

迷っていた私の背中を押してくれたのは、先生の勇敢なこの行動力でした。先生が切り開いてくださった道がなければ、私はそのまま日本にいて煮え切らない日々を過ごしていたかもしれません。

今でこそ先生のような方々のおかげで日本人が海外で活動することもめずらしくありませんが、まだ前例の少なかった当時には並大抵のことではなかったと思います。まずはそうしたことについて心からお礼申し上げたいです。

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美里:小澤先生というと、私はまず最初にサイトウキネン・オーケストラとの名演を思い出します。もちろん、海外で長く活動されて、そこでも多くの名演を残された方ですが、サイトウキネンとの演奏には他にはない特別な響きがあったと思います。特に立ち上げ当初のチャイコフスキーの弦楽セレナーデは今も個人的な愛聴盤のひとつになっています。

レア:あれ、本当にすばらしいですよね!私もヴァイオリンを弾き始めた頃からCDを聴き続けています。先生とサイトウキネンの演奏には人間の肌のぬくもりがありますよね。多分これからもずっと聴き続けていく一枚になると思います。

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トワ:私もサイトウキネンと最初に演奏したブラームスの交響曲第1番は、今でも時折、棚から引っ張り出しては聴き返しています。パパが当時の映像も録画して持っていて、それも数え切れないほど観返しました。最終楽章のコーダは何度見ても胸が高鳴ります。二人と同じように私も先生とサイトウキネンの演奏は一生の宝ものとして聴き返していくことになると思います。

美里:つい最近、テレビで昨年松本で開かれたジョン・ウィリアムスのコンサートを放送していて、その最後に先生が車椅子で登場されたのには本当に驚きました。今思えばあれが最後に見た先生のお姿だったのかもしれません。

トワ:私も観ました。まさか小澤先生が現れるとは思いもしなかったので、思わず「えぇ〜!!!」と声を上げてしまいました。でも、先生がご指導されたというジョン・ウィリアムスに対する師弟愛が伝わってきて感動しました。最後にお姿を拝見できてよかったです。

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レア:先生については話し出したらキリがないようですね。素敵な音楽をたくさん残してくださった小澤先生には心から感謝の気持ちを伝えたいです。本当に今までありがとうございました。

トワ・美里:ありがとうございました。

レア:さて…、今回お届けするシューマンの「ライン」なんですけど、レコーディングは去年の10月頃には済んでましたよね?

トワ:そうなのよ、でもその後間もなくイスラエルのこととかあって、公開がずっと先送りになってました。

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美里:それで折角公開するんだったら映像も付けた方がいいという話になって、私たち3人で実際にドイツを流れるライン川に行ってロケしてきました。

トワ:でも美里さんとレアはその時パリで「On My Own」の撮影もしてたから日本との行き来が大変だったよね。

レア:ええ、だからライン川での撮影はあまり時間が取れませんでした。トワさんは現地の駅や電車でも撮影してましたけど、私たちには到底その時間がありませんでした。

美里:だから今回のMVは結果として、ほぼトワさん単独のイメージビデオみたいな仕上がりになってます。私とレアちゃんは最後の方にちょこっと登場する感じです。

トワ:私も完成品を観たけど、ほとんど私ばかりが出ずっぱりで「こんなでいいのかなぁ」と思ってしまったよ。もっと美里さんとレアのシーンを増やせばよかったのにって。

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レア:でも今回ばかりはこれで良かったと思いますよ。ドイツでのトワさんはいつもよりカッコよかったです。特に黒いデニムのスタイルがとても似合ってました。

美里:私も編集してて同じことを思って、いっそトワさんオンリーでもいいのかなって迷いました。でも折角レアちゃんもライン川のほとりでヴァイオリンを弾いてもらったりしたので、それを活かさないのはもったいないと思ったんです。

レア:トワさんは黒いデニムを基本スタイルにしたらいいですよ。ファンが増えるかもしれません。

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トワ:そこまで言うならそうしようかしら。…ところで「ライン」と言えば、最近ドラマでクラシックの指揮者とオーケストラの話やってるよね?

レア:ああ、日曜夜に放送してる「さよならマエストロ」ですか?あれは毎週欠かさず観てます。

トワ:そうなんだ。私も気が付いた時は観るようにしてるんだけど、あの手のドラマとしてはかなり専門的なことにも踏み込んでて見応えあるよね。第1話だったかな?主演の西島さんがウィーンのオケで「ライン」の第1楽章冒頭を振ってたけど、ちゃんと4分の3できっちり振ってて驚いたわ。あれ、けっこう難しいのよ。

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レア:そうですか?普通に4分の3を刻めばいいんじゃないんですか?

トワ:普段から音楽やってる私たちから見たら普通かもしれないけど、何も知らない人が音楽に合わせていきなり振ったら、多分4分の2の行進曲風になると思う。もちろんドラマだから音楽監修がいるんだろうけど、それにしても手を抜いてないなって感心したわ。

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美里:私も気づきましたよ、トワさんと同じようなこと考えながら観てました。あと、あのドラマは字幕を表示して観たら尚いいですよ。劇中で流れてる曲目とか歌の歌詞がしっかり出てますから、わかりやすくていいです。

トワ:床屋さんの名前が「フィガロ」とか洒落てるわよね。クラシックファンでも楽しめる要素が多いと思う。あと、フルート奏者役で出てる新木優子さんよ。

レア:以前にこの番組でもお話ししたことがありましたけどたしかトワさん、「もし私たちのストーリーがドラマ化されたら自分の役は新木優子さんに演じてほしい」って言ってましたよね?あれは何でですか?

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トワ:勝手にだけど、なんだか新木さんに自分と似た空気感を感じるのよ。実際は存じ上げないけど、テレビを観てる印象では割とサバサバして男っぽいというか女性的なねちっこさがない感じ?スマートでキッパリしたイメージがあるわ。

美里:ドラマの役の上ですけど、新木さんが演じるフルート奏者はマイペースで周囲をそこに巻き込んでいく感じですよね。トワさんもどちらかと言えばそういうタイプですから「なんとなく似てるなぁ」とは思って観てます。

トワ:あのまま今に女性指揮者も演じてくださったら最高だわ。少し高飛車で鼻持ちならないところもあるけど、いざ指揮台に立てばバシッと決めるみたいな。別に私たちのストーリーじゃなくてもいいですから、そんな役を演じられることを期待してます。

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レア:芦田愛菜さんもヴァイオリンを弾くシーンの立ち姿がとてもきれいですよね。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のカデンツァのシーンとか素敵でした。あれ観てたら「私も弾きたい」って強く思いました。

トワ:じゃあ、今年中にチャイコンがやれるように準備を進めましょうね。

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美里:私はショパンのピアノ協奏曲第1番が弾きたいです。

トワ:いいわね〜、第1楽章は男性的な力強さもあって素敵よね。じゃそれも理事長に言っておくわ。

レア:ではそろそろ曲紹介に行きましょうか?

トワ:シューマンの「ライン」は4曲ある彼の交響曲の第3番になってますけど、実質の作曲順では最後の第4番にあたります。音楽的な内容も充実していて、特に第1楽章と第2楽章にはベートーヴェンにも通じるような格調の高さと立派さがあります。

美里:「ライン」を作曲した頃のシューマンは精神的にかなり病んでいたらしんですけど、そんな状況下でこれほどに雄大で気持ちが広がるような音楽を書けたことが信じられません。本当にすばらしい曲です。

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トワ:そうね、モーツァルトの「ジュピター」もそうだけど、現実が厳しいからこそ音楽の世界では理想を描きたいと願ったのかもしれないですね。それではお聴きいただきましょう。

レア:アンドウトワ指揮、CMSLシンフォニックオーケストラの演奏でシューマンの交響曲第3番から第1楽章です。

トワ・レア・美里:どうぞ!!!


シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調 作品97《ライン》第1楽章 [2024] / Robert Alexander Schumann:Symphony No.3 in E flat major, Op.97 "Rheinische":I. Lebhaft - CMSL SYMPHONIC ORCHESTRA / TOWA ANDO




シューマン:交響曲 第3番 変ホ長調 作品97《ライン》第1楽章[2024]
Robert Alexander Schumann:Symphony No.3 in E flat major, Op.97 "Rheinische"
I. Lebhaft [9:28]




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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 10:10 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする