♪第59話:初公開!永井美里と風華レアの番組収録中の貴重映像… 飾らない素顔に新たな魅力発見!?
みなさん、こんにちは!!
CMSLシンフォニックオーケストラ、コンサートマスターの風華レアと… ピアニストの永井美里です。
美里:今年も残すところあと僅かとなりました。早かったよね〜。
レア:私たちにとっては激動の一年でしたよね。あまりに色んなことがあり過ぎて、何からお話したらいいのか困ってしまいます。
美里:ちょうど一年前の今頃はまだ、私たちはそれぞれ別の場所にいたよね。トワさんはドイツの地方オケの指揮者、レアちゃんはフランスの音楽院、そして私は銀座のクラブでホステスやってた(笑)
レア:今となっては想像もできないですね、美里さんのホステス姿。でも、トワさんも私も変わりましたよ。当時は今のような姿は考えもしなかったと思います。
美里:トワさんは演奏スタイルが本当に変わった。出会って間もなくの頃、いきなりチャイコフスキーのピアノ協奏曲とかで共演したけど正直、演奏が鈍重過ぎてついていけなかった。
レア:私もリハーサルの時、コンマスの立場で何度、「遅すぎると思います」と言ったことかわかりません。指揮しながら寝ちゃってるんじゃないかと思ったくらいです。
美里:ふふふ、そうだったね。でもいざ本番になるとリハとは全く違うアッチェランド(高速化)かけたりして、「おや?」とみんな思い始めたよね。
レア:ええ、トワさんは尊敬する指揮者のクレンペラーに近づこうとして、意識的に遅めのテンポを動かさないように心がけていました。ところが本番のステージで気持ちが入ってくると、ついうっかり素の自分が出てしまうんです。トワさんの指揮者としての本質はクレンペラーとは全く違っていました。
美里:むしろフルトヴェングラーに圧倒的に近い。でもトワさんはそれを認めたくなかったから、自分でも薄々気づきながらも、もっと自由にテンポを動かしたいのを堪えていた。だから、普段は大人しいオーボエ主席の綾乃さんが思い切ってそれを本人に指摘した。そこからだよね、トワさんが激変したのは。
レア:綾乃さんはトワさんに指摘しながら「じゃあ自分はどうなんだ?人のマネではない自分だけの演奏ができてるのか?」と自問自答したそうです。その結果、自分の演奏を見つめ直すためにウィーンに留学しました。
美里:そうだったね…。でもあの時、同席した私も含めてみんなが自分を省みたんじゃないかな?私もピアニストとして、好きな演奏家を模倣してる部分が少なからずあると気づいたよ。あれは大きな転機だった。
レア:私もありました。あまり意識したことはなかったですけど、何となく好きな演奏家のスタイルをそのまま取り入れてたことに気づきました。
美里:もちろん、最初は模倣も大事だけれど、プロを目指すならいつかはそれを超えていかなきゃだよね。そこからが本当の闘いなんだと思う。
レア:でも人の借りものじゃない自分だけのものを確立させるのって難しいです。私はまだまだです。だからこのオケでコンマスをやりながら、ひとつずつそこにつながるものを積み重ねていきたいと思っています。
美里:私も全く同じだわ。毎回、自分が演奏した録音をあとから聴くと、とても落ち込むの。「なんだこれは、どうしようもないな」って。多分、年齢とか経験とか、色んな要素が必要だと思うの。音楽以外のことも、もっと幅広く学んでいきたいし、まだまだこれからね。
レア:でも、みんながそうやって気づけて、自分なりのスタイルを確立させようと思い始めただけでも素晴らしいですよね。それはこのオケに入って、楽団員のみんなと交流したからこそだと思っています。
美里:私も、あのまま理事長にスカウトされずに、銀座にいたままだったらどうなってたのかしら。多分、あまり変わり映えなく自堕落な暮らしを続けてたと思う。だから今は理事長に感謝してるの。かなり強引で当時は嫌々引き受けたんだけど。
レア:私もまだパリで勉強するつもりでしたから、日本に行くのは相当悩みました。ましてコンマスなんて、とてもとても…。でも今となっては100パーセント、このオケに入ってよかったと思っています。
美里:多分トワさんも同じだろうね。あのままドイツに残っていたら、今もおじいさんみたいな鈍重な演奏を続けてただろうね。それがトワさんの本質なら構わないけど、全然違うんだから今の方がいいに決まってるよ。
レア:そうですね!
美里:ところで今回は初めて、私たちが普段どうやって番組を収録しているのか、録音ブースでトークする姿を映像でお見せしたいと思います。
レア:ドキドキしますね。これまで公開してきた映像はプロモーションやMV仕立てで、かなり作り込んできましたからね。そうじゃない素の姿をお見せすると思うと緊張します。
美里:私も、最近始めた「月夜のダンス」とか、どれも澄まし顔で気取ってからね。笑ったり喋ったりするとおブスなのがばれちゃうかも。
レア:そんなことないですよ、美里さんはいつも私が見ているまんまでおきれいです。それより私です。素の私にガッカリされる方がいたらどうしよう…。
美里:レアちゃんこそいつもと変りなく美人さんよ〜。でも、こうして改めて映像で見ると、初めて会った頃に比べてほんとに大人っぽくなったよね。"コンマス"って雰囲気が出て来た。
レア:そうですか?そう言っていただけるとうれしいです。自分で言うのもなんですが、たしかにコンマスになってこの8か月あまり、悩んで眠れない日も多かったですし、その分精神的に鍛えられたかなとは思います。それが少しは顔に出てるのかもしれませんね。
美里:出てるよ、顔つきが凛々しくなった。いよいよオケを引っ張る風格が出て来たよ。
レア:ありがとうございます!では今回お届けするカッチーニの「アヴェ・マリア」についてお話ししましょうか?
美里:そうね、クリスマスにサトレア(美里&レア)で1曲やろうということになって、バッハ/グノーの「アヴェ・マリア」とか「アルビノーニのアダージョ」とか色々と候補が出たんだけど、やっぱり今年はイスラエルのこととかあったり悲しい出来事も多かったから、その鎮魂の意味でもこの曲がいいんじゃないかと二人で話し合って決めたよね。
レア:シューベルトの「アヴェ・マリア」も良かったんですけど、少し前に既に二人で演奏していたので、色々考えて今回はカッチーニでいこうということになりました。
美里:ほんとにいい曲だよね。バッハやシューベルトと違って短調なんだけど、せつなくて清らかで胸に染み入るようで…。私はいつかピアノでこの曲を弾きたいと思ってた。だからレアちゃんと夢が叶えられてほんとにうれしかったよ。
レア:私も、美里さんと教会で演奏しながら「なんてきれいでいい曲だろう」と、何度も泣きそうになりました。時々、戦地で苦しむ子供たちの映像とかフラッシュバックして、胸が詰まるようでした。
美里:悲しい状況は今も続いているからね…。そうした出来事が早く終わって、来年がすべての人にとって平和で幸せな一年になりますようにと願いを込めて演奏しました。
レア:私たちの想いがみなさんに届いたらいいです。それではお聴きいただきましょう。サトレアの演奏でカッチーニの「アヴェ・マリア」です。
美里・レア:どうぞ!
G.カッチーニ:アヴェ・マリア [2023]
G.Caccini:Ave Maria [3:31]
(作曲家の著作権が継続中のためポッドキャストの配信はありません)
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