2023年12月17日


ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 作品125 第1楽章・第2楽章 [2023] / L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125

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♪第57話:指揮者のトワが最も愛するベートーヴェン「第九」の第1楽章について語る

みなさん、こんにちは!
CMSLシンフォニックオーケストラの首席指揮者アンドウトワと、コンサートマスターの風華レアです。

トワ:さあ、いよいよベートーヴェンの最高傑作「第九」をお届けできるわね。

レア:ええ、レコーディングはまだかなり暖かい時期でしたから、やっとという感じですね。トワさんはこの曲には相当な思い入れがあるんでしょう?

トワ:そうね、指揮者として最も大事にしている曲だわ。特に第1楽章が。

レア:何がそんなに凄いんですか?第1楽章の。普通「第九」と言えば圧倒的に合唱の第4楽章だと思うんですが。

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トワ:第4楽章も確かに壮大で立派な音楽だけど、指揮者としては第1楽章に最もやり応えを感じるわ。音楽の次元の高さが別格。

レア:例えばどんなところが?

トワ:「第九」は全般に深いインスピレーションを感じるけど、第1楽章はそのレベルが半端ないのよ。例えば展開部でヴィオラが3連を弾き始めるところ(7:43)。振っていて「一体何事なんだ?何なんだこの音楽は」と身震いするわ。ただ事じゃない音楽よ。

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レア:確かに、そのあたりの展開は狂気じみたものを感じますね。これがベートーヴェンの"天才"なのかと。

トワ:そうなのよ。「第九」全曲の中でも、最も神がかった部分のひとつだと思う。

レア:あと、ティーザー映像では第1楽章の冒頭とコーダが使われてますけど、あれはトワさんのリクエストだったと聞きました。

トワ:展開部とコーダのどちらを使ってもらうか迷ったのよ。そしたら編集の美里さんが「コーダの方が絶対にいい」って言ったのよ。それでコーダにしたの。

レア:コーダの出だしで弦が地を這うように半音下降を繰り返すところ(16:30)もゾクゾクしますね。あれは本当にヤバいです。

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トワ:ベートーヴェンのディモーニッシュな一面が炸裂してるわよね。私も本当に大好き。

レア:「第九」は世界平和と人類愛がテーマだと思いますが、意外にそれを表しているのは第4楽章だけな気がします。

トワ:いいところに気づいたわね、そうなのよ。第1楽章と第2楽章は個人の内面の闘い。第3楽章もやっぱり個人の内面のやすらぎを表していると思うから、結局レアが言うように人類規模の話になるのは第4楽章に入ってからなのよ。

レア:それだけ個人の内面が大事だということですか?

トワ:結局、世界平和と言ったって、それを構成するのは一人ひとりの人間だから。まずは私たち一人ひとりが内なる平和を確立させなきゃダメなんだということだと思う。そしてそれを確立させるためには、内面の激しい闘いも強いられるとベートーヴェンは語っていると思う。

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レア:まずは"自分との闘い"ってことでしょうかね?人間、誰しも弱さを抱えているものですから。

トワ:「運命」もそうだけど、ベートーヴェンは人々にメッセージしながら、何より自分自身に叱咤してるんじゃないかしら?宮沢賢治の「アメニモマケズ」もたしか、人に見せるためじゃなくて自分を焚きつけるために手帳に書いていたんでしょ?

レア:宮沢賢治とベートーヴェンには通じるものがあるということですか?そう言えば宮沢賢治は当時、日本で有数のクラシックレコードの所有者だったと聞いたことがあります。

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トワ:よく知ってるわね、そうよ。宮沢賢治が書いた「銀河鉄道の夜」に登場するジョバンニとカンパネルラ。あれは多分、モーツァルトの「ドン・ジョバンニ」とリストの「ラ・カンパネラ」に由来してるわね。「セロ弾きのゴーシュ」はチェロの音色が動物たちの病を癒す、今でいう「音楽療法」を描いているわ。

レア:へえ、トワさん、意外と物知りなんですね。私はてっきり、パチンコ打ってカップ酒を呑んでるだけの人かと思ってました。

トワ:馬鹿にしないでよ。それは世をしのぶ仮の姿よ。指揮者というか表現者は自分が関わっているジャンル以外にも、幅広く知見を広げるべきよ。必ずそれがどこかで繋がってくるから。

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レア:だから"プロレス"だったんですか?

トワ:そぉいうことよ〜。あ、言いそびれてたけど二人で見に行ったプロレス、楽しかったよね。

レア:ええ、まあ…。色々と勉強になりました。

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トワ:ベートーヴェンはキリスト教だけじゃなく、東洋のインド哲学にも精通してた。それがあるから晩年の弦楽四重奏曲やピアノソナタ、そして第九やミサ・ソレニムスがあるのよ。興味を持ったら何でも貪欲に学んで吸収するといいわ。レアは何か興味ないの?

レア:私はコンマスとしての自分を、もっとしっかり確立させることで手一杯です。今は音楽のことしか考えてません。

トワ:まぁ、それももちろん大事だけど、そればっかりだといつか行き詰まるわよ。今度いっしょにパチンコしに行こうよ。新・海(新・海物語)が綺麗で楽しいわよ〜。

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レア:いいえ!結構です。それではそろそろ曲紹介に行きましょう。アンドウトワ指揮、CMSLシンフォニックオーケストラの演奏でベートーヴェンの交響曲第9番ニ短調から、第1楽章と第2楽章です。

トワ・レア:どうぞ!(次回へ続く)

ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 第1楽章 / アンドウトワ指揮 CMSLシンフォニックオーケストラ




ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 第3楽章 / アンドウトワ指揮 CMSLシンフォニックオーケストラ




ベートーヴェン:交響曲 第9番 二短調 作品125 第1楽章 [2023]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso [18:03]




Beethoven-Symphony-No9-1st-2023.mp3

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ベートーヴェン:交響曲 第9番 二短調 作品125 第2楽章 [2023]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
II. Molto vivace [10:15]




Beethoven-Symphony-No9-2nd-2023.mp3



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 03:33 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする