2023年12月04日


ベートーヴェン:ピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」 第1楽章 [2023] / L.V.Beethoven:Piano Sonata No.14 in C sharp minor, Op.27-2 "Moonlight":I. Adagio sostenuto

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♪第54話:永井美里の「月」シリーズ第2弾!ベートーヴェンが16歳の少女に捧げた「月光ソナタ」

こんにちは!みなさん。
いつも応援ありがとうございます、CMSL所属のピアニスト、永井美里です。

最近、私は映像編集にすっかり凝ってしまって、音楽そっちのけで動画の作成作業ばかりしています。
実は私とレアちゃんの最初のMVから、私は映像の構成やカット割りにかなり意見を出していました。

そうこうしているうちに、どんどん映像編集の面白さにハマってしまい、自分でももっと色々な動画を作ってみたいと思うようになりました。
そうしてできたのが先日公開した「Merry Christmas and Pray for Peace」のビデオです。

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少し前のある日、私がバスに乗って車窓に見える夕暮れの景色を眺めていた時に、ふいに脳裏に「公園のベンチで仲睦まじく寄り添うカップル」「冬の食卓でシチューを囲む家族の団欒」「戦場の廃墟で握手する敵対する兵士」の3点の映像が浮かび上がってきました。

それがきっかけとなって私も初めてサンタコスをして街で撮影したり、トントン拍子で作業が進行していき公開にこぎ着けました。

BGMはクリスマスのこの時期にぴったりのチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割り人形」から「パ・ド・ドゥ」。トワさん指揮でレアちゃんがコンマスのCMSLオケによる録音です。



あと、今回お届けする曲はお約束した通り「月」をテーマにしたシリーズで、ベートーヴェンの有名なピアノ曲「月光ソナタ」です。実は私はかなりの夜型人間で、夜中の2時過ぎ頃から調子が出てきて、そこから明け方までが私のピークです。

ですから人気の少ない夜中によくひとりで散歩に出たりします。お気に入りのスポットはお台場の海浜公園から国際展示場までの歩道です。
夜ともなると暖色系の街灯がきれいで、とても心が落ち着きます。

ここを歩きながらピアノ演奏の進め方を考えたり、色々と考えをまとめるのが好きです。完全な人工の場所なんですけど、私が人工物が嫌いではないせいか、歩いていてとてもいい気分になります。

さて、「月光ソナタ」なんですが、この曲を作曲した頃のベートーヴェンは30歳で、当時のピアノの教え子だったジュリエッタという16歳の少女に恋していました。

「月光ソナタ」はこのジュリエッタに献呈されていて、友人に送った手紙の中でベートーヴェンは「この二年間、耳の聴こえない僕は人々から逃げて歩いた。僕は孤独で惨めだったが、今は少し事情が違う。ひとりの魅力にあふれた少女が僕を愛し、僕も彼女を心から愛している。僕の生活は楽しくなった」と書いています。

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「月光ソナタ」はシューベルトの「セレナーデ」の詩を書いた詩人レルスタブが月の夜、スイスの湖上に船を浮かべて遊んでいた際に波間に映る月影を眺めて、この曲の瞑想的な第1楽章を思い出したと言ったことから「月光」の名が定着していきました。

でも実際にはベートーヴェン自身はこの曲を「幻想曲風のソナタ」としか言っていません。音楽を聴けばこの曲がまるごとジュリエッタに捧げられたものであるのがよくわかります。

静かな第1楽章には苦境の中に現れたジュリエッタという可憐な少女への、祈るような恋慕の想いがあふれています。
そして第2楽章では、まだ16歳の天真爛漫なジュリエッタの姿が描かれ、第3楽章には彼女への抑えきれない激情が迸っています。

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ですから私はいつもこの曲を「ジュリエッタのソナタ」と呼んでいます。その方がこの曲の本質を表している気がします。とっても素敵な曲ですよね。
私は激しい第3楽章がとても好きなので、機会があればそちらもいつかお届けしたいと思っています。

それでは、永井美里のピアノ演奏でベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」から第1楽章をお聴きください!





ベートーヴェン:ピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27-2 「月光」 第1楽章 [2023]
L.V.Beethoven:Piano Sonata No.14 in C sharp minor, Op.27-2 "Moonlight"
I. Adagio sostenuto [5:24]



Beethoven-PianoSonata-No14-Moonlight-2023.mp3



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 13:55 | 器楽曲・Piano | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする