2023年10月18日


リスト:ラ・カンパネラ - パガニーニによる大練習曲 S.140 第3番 / Franz Liszt:Grandes Etudes de Paganini, S.141 - No.3 "La Campanella"

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♪第45話:【特別編】イスラエル・パレスチナの平和を願って… 永井美里がピアノに思いを込めた「ラ・カンパネラ」

みなさん、こんにちは。
CMSL所属のピアニスト、永井美里です。

前回、コンマスのレアさんがお伝えしたように、今回も引き続き特別編でお送りします。

トワさんとレアさん、そして私の3人で公園に行った日、レアさんはベートーヴェンの「ロマンス」を思い浮かべていたと言っていましたが、私は頭の中でリストの「ラ・カンパネラ」を奏でていました。

とても心地よい日和で家族連れののどかな光景を見ながら、どうしてもっと明るく楽しい曲ではないのかとその日は思いました。
でも公園に咲く真っ赤なバラを見ていたら、自然と「ラ・カンパネラ」が頭の中に流れてきて、無性にこの曲が弾きたいと思っていました。

今思えばもしかするとその時、その後に起きる大きな出来事を予感していたのかもしれません。

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イスラエルへの大規模な空爆のニュースを知ったのは、公園に行ってから数日後のことでした。
当初は「なんてひどいことをするのか」と、イスラエルの人々が受けた被害に胸を痛めていました。

ですがその後ほどなくして、今度はイスラエルによる報復を受けてガザの人々が血を流し苦しむ姿を目にしました。
それには状況をよく知らない幼い子供たちも含まれ、がれきと化した街やそこから悲鳴をあげて逃げる人々が画面に映し出されていました。

私は数か月前にウクライナの方々のためのチャリティーイベントに参加して以来、こうした出来事に過敏になっていたので、目を覆いたくなるような惨劇に胸が締め付けられるようでした。

戦争にはそれぞれの国の言い分があり、それを正当化する理由付けがなされたりしますが、結局苦しむのはこうした関係のない子供たちや市民の人々です。
争いの背景は違っても起きていることはウクライナとまったく違いがないと感じました。

そしてより一層にリストの「ラ・カンパネラ」を弾きたいと強く思いました。
悲劇に苦しむ人々の悲しみや怒りを代弁したい、そのことで少しでも心が救われる人がいたらいいと思いました。

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紛争が始まってすぐに私は個人的にスタジオでこの曲を録音しましたが、その後も続々と報道される絶望的な映像を見て、あらためて教会でもう一度レコーディングしました。
「カンパネラ」とは教会の鐘の意味です。

教会で奏でたリストの「ラ・カンパネラ」の音が惨劇に苦しむ人々、そしてそれに心を痛める人々にとって、少しでも救いになればいいと願っています。
これ以上に戦火が拡大することなく、一日も早く平和が取り戻されることを心からお祈りしています。



リスト:ラ・カンパネラ - パガニーニによる大練習曲 S.140 第3番 [2023]
Franz Liszt:Grandes Etudes de Paganini, S.141 - No.3 "La Campanella" [4:55]



Liszt-La-Campanella-2023.mp3



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 09:50 | 器楽曲・Piano | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする