♪第44話:【特別編】イスラエルの平和を願って… 風華レアからのヴァイオリンに込めたメッセージ
みなさん、こんにちは。
CMSLシンフォニックオーケストラのコンサートマスター(第1ヴァイオリン主席奏者)の風華レアです。
今回から計3回の番組は特別編でお送りします。
少し前、9月の後半だったでしょうか。私と指揮者のトワさん、ピアニストの美里さんの3人でとある公園に行って来ました。
その日は突き刺すような夏の日差しが和らぎ、少しだけ秋を感じさせるような心地良い風が吹く行楽日和でした。
公園には緑があふれ花畑にはコスモスやマーガレットなどが咲き、芝生の上では小さな子供たちが駆けまわったり、親とボールのやり取りをしていました。
ベンチに座っているとトンボが飛んできて私の肩にとまりました。それを見たトワさんと美里さんは「かわいい」とトンボをつつくような仕草を見せました。
「なんてのどかで穏やかな日なんだろう」と私は思いました。
そして、「こんな平和な日々がいつまでも続きますように」と心の中で願いました。
3人でベンチに座りこうした光景を見ていると、私はふとベートーヴェンの「ロマンス 第2番」の旋律を思い浮かべていました。
この曲はヴァイオリンが一貫して優しい旋律を奏で続けるやすらかな曲で、強く激しい楽曲のイメージが強いベートーヴェンの別の一面を感じさせてくれます。
きれいな花や子供たちの無邪気な笑顔にぴったりの曲で、のどかな光景を見るうちに自然に思い出したんだろうと思います。
それから数日後、ネットを見ていると「第三次世界大戦」という強烈なワードがトレンド入りしているのを知りました。
何のことかと思い調べると、イスラエルにかつてない規模の空爆が行われたとの内容でした。
イスラエルにあるエルサレムは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の3つの宗教にとっての聖地で、これの奪い合いが第三次世界大戦の最も直接的な火種になると以前から言われてきたとのことでした。
今はまだイスラエルとハマスの争いに収まっているものの、もしこれが激化すれば両陣営に加担する国が増え始め、最終的に世界はユダヤ・キリスト教圏とイスラム教圏に分かれる。
そしてこの両者の争いこそが世にいう「アルマゲドン(世界最終戦争)」で、それはすでに始まっているとの意見まで目にしました。
私はあまりのことに思わず身震いしました。もちろんネットの声は飛躍しすぎているとはいえ、イスラエル側は今後、ガザ地区での大規模な地上戦を準備しているとも聞きます。
少なくともウクライナのように、またも幼い子供たちや何の罪もない住民が被害を受けていることは事実で、再びこうしたことが始まったのかとやりきれない気持ちになりました。
少し落ち着いてから冷静に考えた時に、私は数日前に公園で思い浮かべていたベートーヴェンの「ロマンス 第2番」のことを思い出していました。
そして気づくと私はこの曲をすぐにやりたいとガロ理事長にメールしていました。
理由を聞いたガロ理事長はすぐにこれを快諾してくださり、2日後にほとんどリハーサルなしでオケと一緒にレコーディングしました。
場所は新しいオーボエ主席の姫野小桜さんがマルチェッロやシューベルトを吹いたのと同じ教会でした。
「なんの前置きもなくいきなりですみません」と謝るとトワさんは「ロマンス、いいよね〜。レアの優しい心が皆に届くといいね」と言ってくれました。
また楽団員の方々も「この曲はほとんど私たちは伴奏だし、すぐできると思うよ」と笑ってくれました。
あまり時間がなかったので細部を作り込むことができませんでしたが、それより今は一刻も早く皆さんにこの曲をお届けしたくて今回の運びになりました。
あの日、公園で見た穏やかな光景が世界にも広がることを心から願っています。
ベートーヴェン:ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス 第2番 ヘ長調 [2023]
L.V. Beethoven:Romance for Violin and Orchestra No.2 in F major [8:41]
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
Beethoven-Romance-for-Violin-and-Orchestra-No2-2023.mp3
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