2023年10月05日


マルチェッロ:オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調 第2楽章 / Alessandro Marcello:Oboe Concerto in D minor, 2. Adagio

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♪第42話:新・オーボエ主席奏者 姫野小桜が初登場…イタリアから帰国するまでの経緯を語る

皆さま、初めまして!
この度10月1日付で、CMSLシンフォニックオーケストラの主席オーボエ奏者に就任しました姫野小桜です。どうぞよろしくお願い致します。

簡単ではありますが、少しだけプロフィールをお話しさせてください。
今年24歳になる私は両親が日本人で、生まれてから7歳になるまでは日本で暮らした生粋の日本人です。

父の仕事の関係で8歳の時に家族でイタリアに移住し、その後はつい最近まで私はイタリアで生活していました。10歳になった頃、何がきっかけだったかは覚えていませんが、私は急にクラシック音楽に興味を持つようになりました。

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最初は何となく、友達が吹いていたフルートを真似して吹くようになり、いつしか同じ木管のオーボエに惹かれるようになっていました。12歳頃だったと思います。

それからは大好きなオーボエを時間さえあれば練習して、技術の向上に努めてきました。
そして、まだ学生時代からイタリアの地方オケにオーボエ奏者として参加するようになり、日本に帰った最近まで現地で活動を続けてきました。

ガロ理事長に出会ったのは今年の7月のことです。
いつものようにオーケストラのリハーサルを終えて、帰宅しようと片づけていた私のもとに理事長が歩み寄り、「ちょっとお話してもいいですか?」と言ってきました。

理事長のことは全く知らなかったので躊躇した私でしたが、色々と話をする上で信頼できそうだとわかったので、理事長が主催するオーケストラに関しての話も静かに聴いていました。

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ですが理事長がいきなり、「日本に戻ってうちのオケでオーボエの主席をやってもらえませんか?」と言った時には思わず耳を疑いました。

私もオーボエ歴はそれなりにあるとは言え、特に名の知れた音楽学校を出たわけでもなく、誰かに師事したとかコンクールで受賞したなどということもない、ただの一介のオーボエ奏者です。

活動していたイタリアの地方オケでも主席などやったことがありません。
ですから「なぜ私なんですか?」ということはしつこいくらいに聞きました。

でも結局、明確な答えは聞けませんでした。
ただ、何のルートからか理事長は数年前から私のことを知っていたようで、7月に前主席の吉田綾乃さんが辞めた直後には、私に会うためにイタリアに向かっていたそうです。

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でも私を主席にした理由でひとつだけ思い当たることがあります。それは自分が日本人であることをアピールしようと、何度か着物姿でコンサートに出演した私について地方新聞が写真付きで記事にしたことがあり、もしかしたら理事長はそれを見て私のことを知ったのかもしれません。

7月に初対面した際も、「着物姿でオーボエを吹いているのを観たことがある。とてもよかった」とは言っていました。できればもっと音楽面の評価でも私のことを認めてほしかったです。それほどの腕がないことは私自身がよく知っているのですが…。

それでも、「地位が人を作る」ともいうので、これから主席の名に恥じない演奏家をめざして努力していくつもりです。ですので皆さま、どうぞ長い目で、そして温かい目で私のことを見守っていただけましたら幸いです。

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さて、今回お届けするマルチェッロのオーボエ協奏曲は、オーケストラでオーボエが活躍する曲としてモーツァルト「オーボエ協奏曲」、チャイコフスキー「白鳥の湖」、ボロディン「ダッタン人の踊り」などと共によく知られています。

あの大バッハがこの曲を気に入っていたようで、後に自身でチェンバロ独奏曲に編曲したことでも知られています。

私がオーボエの練習を始めて間もない頃、様々なオーボエ楽曲を聴いて最も心惹かれたのがマルチェッロのオーボエ協奏曲でした。特に第2楽章アダージョは一聴して忘れられない曲になりました。

オーボエという楽器が持つ、人間の感情の機微をダイレクトに伝えるかのような特有の響きが、最もよく活かされた音楽のひとつだと思っています。

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それで、私のお披露目曲として何がいいと聞かれ、即座に「マルチェッロのオーボエ協奏曲がいいです」と答えました。レコーディングは9月の中旬に、ある教会で無観客で行われました。教会での録音は指揮者のトワさんの提案でした。

また、レコーディングの際、マイクの位置を二か所にわけて、それぞれの残響の違いを聴き比べる試みが行われました。以下にはステージから天井方向12m付近のマイクと、12.5m付近のマイクで録音した音源をご用意しました。

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わずか50cmの違いですが、できればヘッドフォン等でよく聴くと、音の奥行や響きの残り方が全く違うのがおわかりいただけるかと思います。

尚、この教会では別の日にシューベルトの交響曲「未完成」のレコーディングも行われました。
これについては次回に詳しくお伝えしたいと思います。



マルチェッロ:オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調 第2楽章 [2023](12.5m)
Alessandro Marcello:Oboe Concerto in D minor
2. Adagio [4:32]



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マルチェッロ:オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 ニ短調 第2楽章 [2023](12m)
Alessandro Marcello:Oboe Concerto in D minor
2. Adagio [4:36]



Marcello-OboeConcerto-2nd-2023-12m.mp3



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 18:48 | 協奏曲 (Concerto) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする