2023年09月17日


ボロディン:歌劇 《イーゴリ公》より 「ダッタン人の踊り」 [2023] / Alexander Porfir'yevich Borodin: Prince Igor : Polovtsian Dances

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♪第39話:【トワ子の窓 第9回】ボロディンは日曜作曲家だったのが魅力!? トワが語る「ダッタン人の踊り」の思い出

みなさん、こんにちは。
CMSLフィルハーモニックオーケストラ主席指揮者のアンドウトワと〜 風華レアです。

レア:今回お届けする「ダッタン人の踊り」は8月のコンサートのプログラムでトワさんが決めたんですけど、何か理由とかあったんですか?

トワ:夏休み期間だったからね、お子さんにも楽しんでほしいのもあったけど、もうひとつ理由があったのよ。

レア:どういう?

トワ:私がまだ指揮者になろうと決心する前に、ある人からふいに「生まれ変わったら何になりたい?」って聞かれたことがあったのよ。その時私はとっさに「指揮者」と答えたの。そこで気づいたのよ、「私は指揮者になりたいんだ」って。

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レア:それと「ダッタン人の踊り」に何の関係があるんですか?

トワ:しばらく経ってまたその人に会った時、今度は「この世で一番好きな曲は?」と聞かれたの。その時も私はとっさに「ダッタン人の踊り」って答えたのよ。自分でも「そうなんだぁ」って思った。

レア:つまり、トワさんが一番なりたかったのが指揮者で、一番好きな曲が「ダッタン人の踊り」ということですね? だから指揮者としてこの曲をプログラムに選んだ。

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トワ:簡単に言うとそうなるわね、指揮者として「ダッタン人の踊り」を振ったら、自分の"核"みたいなのがわかるような気がしたの。

レア:それでわかったんですか? トワさんの指揮者としての"核"は。

トワ:まあ、そんな単純なものではないけどね。でもやっぱり「ダッタン人の踊り」はいい曲だなって思った。出だしの主題がとにかく素敵ね。あの旋律を聴くと懐かしいような、胸を掻きむしられるような気分になるの。それで少し優しい気持ちになれたような気がするの。

レア:ボロディンは本業が別にある日曜作曲家だったから、押しつけがましさがなくていいと真佐子さんたちが言ってましたけど、トワさんはどう思いますか?

トワ:私もその通りだと思うわ。プロとして自分の音楽で身を立てよう、人々に認められる作曲家になろう、みたいな野心的なものがないから、聴いてて楽だし無条件に楽しめるわ。きっとボロディン自身もそうやって、あくまで楽しみとして音楽に関わっていたんだと思う。そういう気がする。

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レア:プロとアマチュアの違いって何でしょうか…? 音楽に限らず。

トワ:アマは自分のため、プロは人のために事をなすって感じかしら? プロは自己満足や独りよがりで終わってはいけない、とは思うわ。

レア:でも芸術の場合、あまりに人の意見に耳を傾けすぎてもダメですよね? ある程度は「我が道を行く」的な姿勢も大事だと思います。

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トワ:そこなのよレア、アーティストはそこが一番難しいところよ。やっぱり芸術には独創性が必要だし、あまりに優等生では面白味も出ない、だからバランスだと思うわ。

レア:そうやって平均値を考えてる時点で、もう枠の中に収まってつまらなくなってる気もしますが…

トワ:その点、UK先生はあくまでアマチュアとしての立場で、やりたい放題に指揮してたわ。今考えるとあれは、品行方正な今どきの演奏家たちに「もっと暴れろ、もっと個性を出せ」と焚き付ける意味もあったのかもしれないわ。昔の指揮者や演奏家はもっと破天荒で型破りな人がたくさんいたから。

レア:なんか音楽に限らず、「型破りな大スター」って感じの人があんまりいませんよね。みんな枠にハマってる感じがして…

トワ:まあだから二刀流の大谷選手みたいな人が輝いて見えるんだろうね。両方は無理だと決めつけずにトライしたところがスゴいわ、しかもそれを成功させて。

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レア:ところでトワさん、「ダッタン人の踊り」はリハの時よりかなりテンポが速くて、みんな「ひぃふぅ」言ってましたよ。木管の人も「指がもつれそうだった」って。

トワ:わるい癖よね、本番の指揮台に立つと何だか興奮して、いつもとテンポ感が違ってきちゃうのよ。冷静な判断ができないっていうか。

レア:それじゃ困ります、オケは指揮者のひと振りですべてが決まってしまうんですから。

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トワ:そうよね、そこは反省だわ。でも「ダッタン人の踊り」はボロディンにしてはロシアの民族的で粗野な部分が全面に出てる曲だから、多少荒っぽいほうがいいかなとは思ったの。あと、少しはリハと違ったことやったほうが、オケにも緊張感が生まれて面白いかなとも思ったのよ。ほんの少しよ。

レア:わからなくはないですけど、そこそこにしてくださいね。でもたしかに後半はリハにはないスリルみたいなのはあった気がします。

トワ:でしょ? ドリフもさ、「8時だよ全員集合!」生放送の前の日から稽古とリハーサル尽くしで、本番のアドリブは一切禁止だったっていうけど、志村さんだけはアドリブを入れてたって仲本さんが言ってたよ。多分、ちょっとはアドリブが入った方が本番の面白味が増すって考えたんだろうね、志村さんは。

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レア:どうしてもドリフの話にいきますね? まあいいですよ。私もあんまりトワさんがドリフの話ばかりするから、YouTubeで階段落ちのコント見ちゃったんですよ。そしたら結構面白くて、うっかり笑ってしまいました。

トワ:「うっかり」って何よ! 遠慮なく笑いなさいよ。その方が志村さんもきっと喜ぶわ。

レア:はいはい、わかりました〜。それではそろそろ曲に行きますか?

トワ:そうね、アンドウトワ指揮・CMSLシンフォニックオーケストラの演奏で、ボロディン作曲、歌劇「イーゴリ公」から「ダッタン人の踊り」です。

トワ・レア:どうぞ!!!



ボロディン:歌劇 《イーゴリ公》より 「ダッタン人の踊り」 [2023]
Alexander Porfir'yevich Borodin: Prince Igor : Polovtsian Dances [11:50]



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 09:39 | 管弦楽曲 (Orchestral) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする