
♪第33話:【特別編】ウクライナの平和への祈りを込めて… 主席指揮者 アンドウトワからのメッセージ
みなさん、こんにちは。
CMSLシンフォニックオーケストラの主席指揮者 アンドウトワです。
今回は特別編でお送りします。
先日、ピアニストの永井美里さんがウクライナのチャリティーイベントに参加して、ショパンの「革命」とシューベルトの「即興曲Op.90-3」を演奏したことを報告していました。
この演奏に感銘を受けて、私にも何かできることはないかと考えました。
色々考えましたが、やはり演奏家ですから音楽で貢献すべきだと思いました。
そこで思いついたのが、ワグナーの歌劇「ローエングリン 第一幕への前奏曲」でした。
「ローエングリン」はワグナーが本格的な歌劇として最後に書いた作品で、その後ワグナーは楽劇への道を歩んでいくことになります。
歌劇の開幕を告げる「第一幕への前奏曲」は、多くのワグナーの楽曲中でも特にインスピレーションに満ち神々しく、心境としても高い境地に達しています。
この楽曲が争いを鎮め、平安を呼ぶ音楽として演奏するのに、最もふさわしいと考えました。
また「ローエングリン 第一幕への前奏曲」は第二次大戦を扱ったチャプリンの映画「独裁者」のエンディングで印象的に使われています。この映画の骨子である長いスピーチに続いて、失意に伏す女性に向けてチャプリンはやさしく語りかけます。
「見上げてごらん、ハンナ、もうすぐ闇は明けて希望の光が射すよ」と。

今もウクライナに暮らす方々の不安と失意は、遠く離れた私たちには容易に想像できるものではありません。ですが、たとえ離れていても、「いつもあなたたちを思っている人々がいるよ」という思いを込めて、楽団員一同が祈る想いで演奏させていただきました。
私が理事長に頼んで急遽決まったことなので音源はコンサートではなく、みなさんにお聞かせするためだけに無観客でレコーディングしました。
悲しい戦争が一日も早く終結して、ウクライナの方々がもとの暮らしに戻れることを楽団員一同、心よりお祈りしています。
ワグナー:歌劇《ローエングリン》第1幕への前奏曲 [2023]
Richard Wagner:"Lohengrin" Prelude to Act I [11:35]
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Wagner-Lohengrin-Prelude-to-Act1-2023.mp3