2023年07月30日


シューベルト:4つの即興曲 Op90, D899 第3曲 [2023] / Franz Peter Schubert:Impromptus Op90, D899:III. Andante [for Violin&Piano]

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♪第26話:【サトレアのプレシャスタイム 第3回】風華レアと永井美里がクラシック小品の名曲をご紹介…シューベルトの即興曲をヴァイオリンアレンジで

みなさま、こんにちは。
CMSLシンフォニックオーケストラのコンサートマスターの風華レアと、ピアニストの永井美里です。

美里:二人で進行するこのプログラム「サトレアのプレシャスタイム」では、主にクラシックのヴァイオリン曲を中心に、オーケストラでは演奏される機会の少ない小品や歌曲などをご紹介しています。

レア:今回はそれとはちょっと違うかもしれませんが、元はピアノ曲なのをヴァイオリン用にアレンジした作品です。

美里:先日、私がひとりで弾いた演奏をお届けしたシューベルトの「即興曲 Op.90-3」なんですけど、この曲はレアちゃんからの要望であらためて二人で演奏することになりました。

レア:そうなんです。美里さんがウクライナの方々の支援コンサートで弾いた演奏が忘れられなくて、どうしてもヴァイオリンでも弾いてみたいと思いました。

美里:少し不思議な体験があったと聞いたんだけど…

レア:シューベルトの即興曲は有名だし何度か聴いたこともあるんですが、美里さんのピアノを聴いていたら自然と涙がこぼれていたんです。よく「目から水が出た」なんて言いますけど、ほんとにそんな感じで普通の涙とは違う、なにか別なものみたいな感覚でした。自分の涙であって、そうではないみたいな…。

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美里:それって、もしかしたら「第3の涙」かもしれない。

レア:「第3の涙」?

美里:うん、「第1の涙」は、目のごみを取ったり、乾燥を防ぐために保湿するための涙。「第2の涙」はうれしかったり悲しかったり、何かに感動したりした時の涙。「第3の涙」は例えば登山した山頂でご来光を眺めたりした時に、感動を超えて目から勝手に流れるような涙。「第3の涙」だ脳じゃなくて、ハートから出る涙とも言われてるよ。

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レア:ああ、じゃあ私のは「第3の涙」が一番近いかもしれないです。あんな涙は初めてでしたから。

美里:私は自分は見たり感じたりはしないけど、時々なにかに憑りつかれてるんじゃないかってくらい、性格が変わってしまうことがあるの、自分でも制御できないくらいに。

レア:そう言えば美里さん、ピアノを弾いてるときに別人みたいな目つき、顔つきになってることがありますよ。

美里:そうなんだ。自分でも弾いてて時々、勝手に指が動いて勝手に演奏が進んでいくみたいな感覚の時があるけど、そういう時は演奏もスムーズだし、あとで録音を聴いてもすごくいい感じなんだよね。

レア:そういう時は周りの演奏家たちも多分、気持ちよく演奏が進んでいると思います。

美里:そう言えばトワさんも指揮してて、途中で急に雰囲気が変わることがあるよね? 男前になるっていうか。

レア:トワさんは普段からおじさんですからね。言っても「白鶴まる」ですから(笑)

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美里:ハハハ、そうだったね。でも「オーバーシャドウ」って言葉があって、例えば演歌歌手が歌ってる最中に歌詞の主人公の気持ちそのものになってしまって、ほとんど号泣で歌えなくなってしまうっていう。あとで聞くとその会場がある場所で昔、ちょうど歌詞の内容そっくりの人生を生きた女性が自ら命を絶ったとかっていう…

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レア:わあ、それはちょっとシャレにならないくらい怖いです。それって亡くなった女性がその演歌歌手に憑りついたってことですか?

美里:まあ、そういうことになるのかしら。よくわからないけど本で読んだことがあるよ。

レア:でもたしかにコンサートでも、その場限りの神がかったような演奏ってありますよね。私はヴァイオリンを弾いていて、そういう体験をしたことがないんで美里さんのような感覚がうらやましいです。なんか"凡人"って感じで。

美里:そんなことないよ。今回のシューベルトの即興曲も、私がひとりでピアノを弾いたのより遥かによかったと思うよ。ピアノって音を鳴らすと減衰するでしょ。でもヴァイオリンは弓を弾く限り歌い上げられるから。シューベルトの曲は歌曲以外でも歌心にあふれてるから、レアちゃんのヴァイオリンを聴いてあらためてこの即興曲の魅力を再認識した気がした。私こそ目から水が出そうだったよ。

レア:ありがとうございます、そう言っていただけるとうれしいです。この曲って、たしかに歌心を感じるから、誰かに歌にしてうたってほしいですね。

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美里:ミーシャ。私はポップスはあまり知らないけど、あの方の歌は別格だと思う。ただのポピュラー歌手じゃないよ。

レア:MISIAさんですか。私、カラオケで「Everything」を歌おうとしましたけどダメでした。難しすぎて途中でやめちゃいました。MISIAさんの歌を聴いていると楽々とうたっていてそんな感じはしないんですが。

美里:日本では美空ひばりさんとミーシャさん。海外ではジェシー・ノーマンが圧倒的だと思う。あと、平原綾香さんは聴くごとに深みが増していると思う。

レア:美輪明宏さんはどうですか?

美里:あの方の歌はいいとかわるいとかの次元を超えていると思う。歌になる以前の波動そのものを身体から発してると思う。

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レア:ビートたけしさんはどうですか? 意外なところで。

美里:前に紅白歌合戦で「浅草キッド」を歌ってるのを観たことがあるけど、あの回の紅白で一番いい歌だった。感動した。

レア:韓国で活動してる宮脇咲良さんはどうですか? トワさんが海外で結果を出していて尊敬してると言ってましたけど。

美里:K-POPもほとんど知らないんだけど、YouTubeでレ・ミゼラブルの「オン・マイ・オウン」を歌っているのを観たことがあって、なんか衝撃を受けた。打ちのめされた気がしたよ。

レア:ヴァイオリンの宮本笑里さんが伴奏を弾いてらしたやつですか? 私も観た気がします。でもあれはコメントで叩かれてた記憶があります。

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美里:音楽を何もわかってないひとたちだなって思った。たしかに宮脇さんの歌は形としては破綻してるのかもしれない。でも、あの歌声にはそうした外面的な形を超えた魂の迸りみたいなものがあった。クラシックは同じ曲を繰り返し演奏することが多いから、どうしても事務的な演奏になりがちなところもあるけど、そういう職人的な態度ではダメだなって反省させられた。アーティストと職人は違うものなんだと気づかされたよ。

レア:その話、泉真佐子さんにしたら喜びそうですね。あの方は大のK-POP通ですから。

美里:だめだめ〜、私なんか偶々、宮脇さんのその動画を観たってだけで、あとは何も知らないから。

レア:そうですか… ああ、シューベルトからかなり脱線してしまいましたね。

美里:まあ、脱線してるようで、実は根底ではつながっているかも。私は音楽は心、ハート、魂だと思ってるから。シューベルトほど深く人の心に染み入る音楽はないよ。そこを突き抜けて天上界まで達するような、特別な音楽は。

レア:そう言えばトワさんも、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトは別格だと言ってました。

美里:トワさんの場合、そこにブルックナーとかも入りそうだよね。どれも人間界を超えた音楽だと思う。

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レア:私はまだ美里さんやトワさんの言ってることを自分のものとして実感できないですけど、これからもっと勉強させていただきます。

美里:レアちゃんの即興曲、ほんとに最高だったよ。そのまま自然にしていてね。草木が伸びるように自然に。

レア:はい、ありがとうございます。それでは曲紹介にいきます。シューベルトの「即興曲 Op.90-3」、ヴァイオリンとピアノ版をどうぞ。

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美里:そうだ、ひとつ忘れてた。この曲は名手ハイフェッツも自らヴァイオリン編曲して弾いています。名演なのでお薦めです。



シューベルト:4つの即興曲 Op90, D899 第3曲 [2023]
Franz Peter Schubert:Impromptus Op90, D899
III. Andante [for Violin&Piano] [7:24]



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 10:58 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする