2023年07月26日


ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第3-4楽章 [2023] / Ludwig Van Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67 3. Allegro - 4. Allegro-Presto

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♪第25話:【トワ子の窓 第3回】「運命」録音のきっかけになった出来事をトワが明かす… 父・京太郎と妹・ミワをゲストに招いて Part2

(前回からの続き)

トワ:実は今回の「運命」の録音は、数か月前に私が散歩中に得たインスピレーションがすべての始まりでした。

京太郎:おお、どんな?

トワ:まだ寒さが残る今年3月頃のある日、いつものようにお決まりの散歩コースを歩いていた私の脳裏に、ふと「運命」第2楽章のコーダの部分が流れてきました。

レア:いきなりそこですか?

トワ:そう、自分でも「なんで?」とは思ったけど、そこばかりの反復が勝手に始まったので、私はとりあえずそれを繰り返し聴いていました。

京太郎:面白い話だね。それで?

トワ:特に、10:52からと11:03からの部分がくどいほど繰り返されて、そのたびに「もっと心を込めて」「もっとやさしく」「もっと大らかに、包み込むように」といった思いがこみ上げてきました。

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京太郎:それは具体的な声として聴こえるの?

トワ:いいえ、そういう思いです。言葉ではありません。同じことが翌日の散歩でも起きて、その時は第3楽章から第4楽章にかけてのブリッジのティンパニが延々と繰り返されました。散歩コースのどのあたりだったかもよく覚えています。

レア:私はそういう経験はないから、何かが降りてきたみたいでうらやましいです。散歩のたびに起きるんですか?

トワ:毎回じゃないの。むしろ偶にしかないことで、今回のは特に強烈だったの。

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ミワ:それを理事長に告げたら「よし、レコーディングしよう!」ってなったんだよね?

トワ:そう、コンサートのプログラムに組むには急で色々と難があったんで、レコーディングだけしておくことになったの。

レア:ドイツ時代のトワさんの録音を聴いたことがあるんですけど、それと比べると随分とテンポが速くなってる気がしました。特に第1と第4楽章が。

トワ:それは間違いなくレアたちの影響だね。「運命」は特にクレンペラーのイメージが強くて、それに縛られている感覚が自分にもあったから、そこは意識して取っ払うようにしてみた。

京太郎:U.K先生も新星日響とは両端楽章が世界最遅ぐらいのテンポだったけど、アンサンブルSAKURAとは別人のような速い演奏を聴かせていた。先生も言っていたけど、音楽表現にはそれぐらいの幅があっていいと思う。トワも自分のスタイルを決めつけずに、その時々で一番、自分の胸に響くスタイルでやってほしいと思う。

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トワ:うん、それは私も思っていたよ。意外だと思われるかもしれないけど、私はベートーヴェン交響曲全集ではヘルマン・シェルヘンが最晩年に、ルガノ放送管弦楽団を振った録音が一番好きだよ。第九とか1時間ちょっとで全曲が終わってしまう超高速だけどね、これが最後になるかもしれないという指揮者の命がけの熱意が伝わってくるし、多分、ベートーヴェン自身が聴いても最も良しとするような気がする。

京太郎:あれは素晴らしいな。私も大好きだ。

トワ:私ももし自分に死が近づいて、この演奏が最後のベートーヴェンだと思えば、きっとあんなスタイルの演奏になるような気がする。

京太郎:シャルル・ミンシュが立ち上げ当初のパリ管弦楽団を振ったブラームス第1番も、悠然とした若い頃の演奏とは打って変わって、特に第4楽章コーダは気の触れたような指揮ぶりだった。

トワ:きっと計算してそうなったんじゃないんだろうね。まあ、私にはまだ先の話だろうから、今はとにかく場数を踏んで、経験と学びを積むことに専念したいと思います。

京太郎:いいお仲間に恵まれて本当によかったよ。特にレアさんはトワのことがよくおわかりのようだから、今後ともトワをよろしくお願いします。

レア:こちらこそ、経験の浅い身ですがよろしくお願いします。

トワ:そうだよレア、もうあのことは決心してくれた?

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レア:あのことって… トワさんとお付き合いするって話ですか? してないですよ! なんで今なんですか? もう、やめてください。

トワ:ゆっくりでいいから、時間がかかっても私はずっと待ってるから。

レア:時間をかけても同じです! 気持ちは変わりませんから。

京太郎:はははっ、何の話ですか?

ミワ:えっ、パパ知らないの? お姉ちゃんがレアさんに「私と付き合ってほしい」と打ち明けた…

レア:アワワワ、ミワさんまで、やめてください。もう楽曲紹介にいきましょう! それではお聴きください。アンドウトワ指揮・CMSL シンフォニックオーケストラの演奏で、ベートーヴェン交響曲第5番「運命」の第3, 第4楽章をどうぞ。



ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第3-4楽章 [2023]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67
3. Allegro - 4. Allegro-Presto [17:11]



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▼指揮者 アンドウトワ 写真館
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*当ブログでご紹介している音源の制作者が、その前身である古い世代のMIDIの打ち込みによるベートーヴェン「運命」を音楽評論家の宇野功芳 先生にお送りしたのは、PCが世に普及し始めた1990年代の後半のことでした。先生はご親切に「今はこんな面白いことができるんですね。でも、もっと暴れてもよかったのでは?」とお返事をくださいました。先生は私の初めての作品を聴いてくださった最初の方でした。また、京太郎が語った先生に纏わる体験談は、すべて私自身の実話です。


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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 05:35 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする