2023年06月15日


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18 第1楽章 [2023] / Sergey Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18:I. Allegro moderato

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♪第15話:【緊急座談会】トワ・レア・美里・綾乃のガールズトーク Part3

こんにちは。
CMSLシンフォニックオーケストラの主席指揮者アンドウトワです、コンマスの風華レアです、ピアノの永井美里です、オーボエ主席の吉田綾乃です。

トワ:早速だけど、モデルの話についてガロ理事長に聞いてみたよ。

レア:何て言ってました?

トワ:モデルって言っても広告モデルだって。よく女性誌なんかに載ってるような化粧品とかの広告モデル。だから水着は関係ないってさ。

レア:そうなんですか、それならよかったぁ。

トワ:まあ、私は別に水着でも下着でもOKだけどね。こう見えて、けっこういいスタイルしてるのよ。

レア:・・・・・・。

トワ:ほら、私、お祖父ちゃんがドイツ人でしょ?そのDNAがいい感じで私にも遺伝したみたいなのよ。

3人:・・・・・・。

トワ:冗談よ〜。いちいち真に受けないで!それで私もちょっと撮影に行ってみたよ。

美里:ええ!? トワさんがですか?

トワ:うん、って言っても今までのプロフィール写真とほとんど変わりなかったよ。何ならそっちのほうが派手なくらい。

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綾乃:これ、トワさんですか?

美里:なんだか別人みたい…。

レア:加工しまくってるんじゃないですか?

トワ:ハハハ、それは知らないけど多分してないと思うよ。私だって本気出せばこれぐらいの顔はできるのよ。

3人:へえ〜。

レア:でも、とりあえずは心配するようなことではないんですね?

トワ:そうそう、大した話じゃないよ。撮影も楽しくていい息抜きになった。

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美里:それはそうと今回のラフマニノフ、本番でトワさんがリハと全く違うことをしてくるんで焦りました。

綾乃:リハとテンポの運びが全然違ってたよね。リハではいつものトワさんのまったりモードだったけど、本番では予定にないアッチェランド(加速)かけたり。

レア:かと思うとリハ以上にテンポを落としたり。

美里:まるでジェットコースターに乗っているようで合わせるのが大変でした。あれは一体何だったんですか?

トワ:そんなにリハと違ってたかなぁ。まあでも、たしかに自分でもなんでこんなに速度上げてるんだ?と思ったところはあったよ。

美里:展開部で速度をアップするのはわかるとしても、そのあと極端に落としたと思ったら、またジェットコースターが上昇するようにスピードアップして、さらに演奏が止まりそうなほどの減速で、とにかく目まぐるしかったです。

トワ:ゴメンゴメン、ピアニストにとってはいい迷惑だったよね。

レア:オケ全員にとってもです!

トワ:そうだよね、これは失礼しました。でも自分でもどうしてこうなったかわからないんだよね。本番が始まるまでキチンとリハ通りにやるつもりだったから。

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綾乃:でも、合わせるのは大変だったけど、わるい気分ではなかったです。

美里:私も、途中から面白くなってきて、こうなったら絶対に合わせきるぞと燃えました。それでむしろトワさん以上にわざと前のめりに弾いて煽りました(笑)

トワ:まるで格闘技だね。でもなんか最近、私の中のテンポ感が揺らいできてるのよ。

レア:どういう意味ですか?

トワ:今までは新しい曲が決まるごとに自分の中で演奏の見取り図を思い描いて、それに対して迷いが出ることはなかったの。でもこの頃、ほんとにこれでいいのかと迷うのよ。

レア:私たちが「遅い、遅い」とせかすから。

トワ:うん、それもあるんだろうけど、もっと自分自身の感覚の問題なんだよね。

綾乃:私、前々からトワさんにお話ししたいと思ってたことがあるんですけど…。トワさんはよく指揮者のクレンペラーが好きだと仰ってますよね?

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トワ:うん、私の推しメン、神だね。

綾乃:それはそれでいいんですが、トワさんは指揮するときもクレンペラーを意識したりするんですか?

トワ:ああ、それはしてるだろうね。新曲に取り掛かるときはまず「クレンペラーならどう振るだろう?」とは考えるよ。

綾乃:そこですよ。それっていらなくないですか?

トワ:・・・・・・。

綾乃:トワさんがクレンペラーが好きで尊敬しているのはわかります。でも、トワさんの指揮者としてのスタイルまでクレンペラーに寄せる必要はないと思うんです。

トワ:別に寄せてるつもりはないけど、影響されているのは間違いないと思う。

レア:私がいつもトワさんに「遅い、遅い」と言うのは、ただ速度のことを言ってるんじゃないんです。もっと、トワさん自身を出してくださいと言ってるんです。

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綾乃:トワさんは多分、もっと自由にテンポを動かしたり表現でも暴れたいと思っても、「クレンペラーならそんなことはしない」と自重しているところがあるんじゃないでしょうか?

美里:(黙ってうなずく)

綾乃:最初の頃、チャイコフスキーの「白鳥の湖」をやったときには、それほど気にならなかったんですが、その後何曲かご一緒する中でリハや本番を通じて、トワさんの中の葛藤を感じるようになったんです。正直に言って指揮者としてのトワさんは本質的にクレンペラーとは似ても似つかない、もっと沸々と燃えたぎるような熱いものを持っていると思うんです。

レア:クレンペラーも熱いけど、トワさんとはタイプが違います。

綾乃:それを今回のラフマニノフを通じて、あらためて強烈に感じました。ですからこれからは他の誰かではなく、トワさん自身を100%全面に出してください。

美里:トワさん自身もきっと、心の奥底でそれをずっと願っていたんだと思います。

レア:その心の叫びが私たちみたいなうるさい人たちとの出会いで触発されて、ついに表に出てきたのかもしれません。

美里:だから今回のラフマニノフの演奏のようなことが起きた。

綾乃:それってオケにとってもトワさん自身にとっても、とても素晴らしいことだと思うんです。このオケが成功するかどうかのカギは、トワさんがどこまで心を開いて本当の自分を解放できるかにかかっていると思います。

レア・美里:(強くうなずく)

綾乃:差し出がましいとは思ったんですが、これはどうしてもお伝えしなきゃならない、とても大切なことだと思っていました。

トワ:(何かの思いにふけるかのように、黙ってジッと一点を見つめる)

3人:(トワの顔を真剣に見つめる)

トワ:… わかった。今度ひとりでゆっくり考えてみるね。みんな、真摯な意見をありがとう。

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レア:ああでも、綾乃さんがまさかここまで言ってくださるとは思わなかったです。いつかは私が言わなきゃならないと思ってましたから。

美里:私がベートーヴェンやラフマニノフでトワさんを煽ったのは、トワさん自身が押さえ込んでいる自分の本心を焚き付けようと思ったからです。

レア:結局、みんな同じことを考えてたっていうことですね。

綾乃・美里:そういうことだね。

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トワ:よ〜し、わかった!しょうがない。今日は白鶴まるを3本買って帰るよ。

3人:そこですかっ!!!


9iyty1q.jpg≪美里の一口メモ≫
ピアノ協奏曲第1番や交響曲第1番の初演が批評家たちから酷評され、極度のうつとスランプに陥っていたラフマニノフは、復活をかけて1901年にこの曲を作曲しました。催眠療法によって窮地を救った彼の主治医ダール博士は、ラフマニノフがやがて世界に知られるピアノ協奏曲の名曲を書くと暗示を与え続けました。こうして生まれたのが博士の暗示通りとなった傑作、ピアノ協奏曲第2番です。第1楽章に漲るインスピレーションの深さは異様なほどで、まさに名曲の名にふさわしいピアノ協奏曲の名作になっています。



ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18 第1楽章 [2023]
Sergey Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18
I. Allegro moderato [10:58]



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▼オーケストラを構成する楽団員たち
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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 12:09 | 協奏曲 (Concerto) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする