2023年05月18日


エルガー:《エニグマ変奏曲》 Op.36 - 第9変奏 「二ムロッド」 [2023] / Elgar: Variations On An Original Theme, Op.36 "Enigma" - 9. Nimrod (Adagio)

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♪第6話:歩きながら演奏のイメージを組み立てるトワ流のスタイル

こんにちは。
CMSLシンフォニックオーケストラのアンドウトワです。もう少しだけ自分のことについてお話させてください。

私はよく友人から「トワは男だ」と言われます。
「黙っていればきれいでいいんだけど、話し出すと途端に色気がなくなる」とも。

たしかに普段の私は化粧っけもなく、ほとんど一年中、基本はデニムにTシャツで外に行く時はキャップ帽を被って出ます。
コロナの間はマスクもして、たまにサングラスもかけて出ると、もう誰だかわからないくらいです。

ですから、最初にプロフィール写真を撮影した時も、初めて本格的にメイクやヘアアレンジをしてもらった自分の姿が新鮮でした。
「見違えるよう」とはこのことだと思いました。そして「たまにはこうして着飾るのもいいかもしれない」と少しだけ思いました。

でも今回は人にやっていただいたからこそで、もし自分で全部となると面倒で多分やらないと思います。とにかく自然体が好きなんです。
時計は仕方ないとしても、アクセサリー類は何かが身にまとわりついているのが嫌でほとんど付けません。プロフィール写真の撮影が終わったあとはすぐに洗面所に行って、メイクをきれいに落としてしまいました。

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ひとりで飲食店に入るのも平気で、それどころかディズニーシーに行ったこともあります。
一人旅が大好きで、誰にも気を使うことなく自由に行動できるのがいいようです。

私はよくひとりで散歩に出かけます。
歩きながらのほうが考えがよくまとまるんです。ですからあたらしく指揮する曲が決まるとまず散歩に出て、歩きながら「ここはどうしよう、テンポを上げようか下げようか」などと頭の中でシミュレーションしてイメージを固めていきます。
指揮者としての私は即興的なタイプではなく、こうして事前にほぼ100%、演奏の組み立てを決めてからリハーサルに臨みます。

ですが即興的ではないと言っても、理詰めで考えて作り込むタイプでもありません。あまりにそれをやると音楽が理屈っぽくなり過ぎで自然な流れが途絶えてしまうからです。
やはり音楽は理屈ではない部分が大きいと思います。その意味で私は演奏においては、直感的であることを心がけています。

フィーリングというか、自分がしっくりくる感覚が大事だと思います。それで、あまり思考に頼らないようにヨガや瞑想をしています。
音楽に限らず芸術は他の分野とくらべて特に直感が大切だと私は思っています。

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今回の「ニムロッド」を指揮するにあたっても、いつもと同じように外を歩きながら演奏の組み立てをイメージしました。
気になる部分は何度も頭の中で反芻して、しっくりくるまでオケの音をイメージの中で鳴らし続けます。
私は頭の中でうるさいくらいに"ありあり"と音を鳴らすことができるので、普段から携帯プレーヤーを持ち歩いたことがありません。

「ニムロッド」は最初、極端に遅い演奏で崇高さを引き出そうと考えていましたが、あまりに遅くて旋律がわからないほどだったので、自然とテンポに緩急がついたスタイルになりました。
それでもこの曲がもつ独特な神々しさは損なわれないように、ここぞという場面では最初のイメージ以上にどっしりと構えたテンポ運びにしました。

「ニムロッド」は出版社に勤務する、エルガーが親しかった友人の名前で、二人がベートーヴェンの交響曲の緩徐楽章について語り明かした夜の思い出に基づき作曲されました。
そのためかこの曲にはベートーヴェンの交響曲にも通じるような崇高さがあります。



エルガー:《エニグマ変奏曲》 Op.36 - 第9変奏 「二ムロッド」 [2023]
Elgar: Variations On An Original Theme, Op.36 "Enigma"
9. Nimrod (Adagio) [7:04]



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▼オーケストラを構成する楽団員たち
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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 11:43 | 管弦楽曲 (Orchestral) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする