2023年05月11日


カリンニコフ:交響曲第1番 ト短調 第1楽章 提示部 [2023] / V.S.Kalinnikov:Symphony No.1 in G minor I. Allegro moderato

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♪第4話:オーディションで「鳥の歌」を奏でた理世の思い

はじめまして、こんにちは。
CMSLシンフォニックオーケストラでチェロの主席を務めています貴島理世です。よろしくお願いいたします。

私はまだ学生です。高校に通いながらオケを両立させています。
トワさん、レアさん、美里さんは理事長にスカウトされたみたいですが、私は楽団員募集の告知を見てオーディションでこのオケに入りました。
私と同じような立場で、今も学校に通っているメンバーは何人かいます。

CMSLのオケがリニューアルするにあたって新加入したほとんどの楽団員は、オーディションの通過者たちです。
ガロ理事長は審査の現場で実技と面接に立ち会いました。

当日、私は自由曲としてカザルスで有名な「鳥の歌」を弾きました。
最近、世界で起こっているできごとを考えると、この曲が弾きたいと思いました。

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美里さんも言っていましたが理事長は演奏で見るポイントが変わっていて、私がオーディションを受けた時も指使いはまったく見ずに、ひたすら演奏中の私の顔ばかり見ていました。

それがすごく気になって、演奏途中で一旦手を止め「なんで顔ばかり見てるんですか?もっと他の部分も見てください」と言ってしまったほどです。

するとガロ理事長は「顔を見れば大体わかるよ。もちろん"顔立ち"ではなく"顔つき"ね。心と顔の表情は連動するものだから」と言いました。

続けて「君のチェロの音はまるで、一羽の鳥が戦火の地上を離れ、『自由な空へ飛んでいきたい』と叫んでいるようだった。胸が痛んだよ」とため息をつきました。

その後、私はオーディション合格の通知を受け取り、同時にチェロの主席を任されました。この時の理事長と私のやり取りは、レアさんがコンマスに任命された時のものとほぼ同じです。

私も「なぜ私が?」という思いを抱きつつ、「とにかくやってみよう」という気持ちでいます。

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カリンニコフの交響曲第1番は、今回オケが取り上げたことで初めて知りました。とても旋律が美しい曲で、特に第1楽章の主題はチェロとヴィオラから始まることもあって、弾きながら胸がジーンとしました。まるでジブリ映画の音楽のようだと思いました。

調べるとカリンニコフは天才と言われながらも、病のため34歳の若さで夭折した作曲家でした。
二つの交響曲を作曲した頃は既に病床にあり、自力では不可能なため妻が代わりに口述筆記で書き上げたそうです。

その情景を思い浮かべながら聴くとより一層、第1楽章のきれいな主題が心にしみてくると思います。



カリンニコフ:交響曲第1番 ト短調 第1楽章 提示部 [2023]
V.S.Kalinnikov:Symphony No.1 in G minor
I. Allegro moderato [6:50]



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▼オーケストラを構成する楽団員たち
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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 18:36 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする