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2020年05月31日


オンライン特別プログラム - チャイコフスキー 交響曲第5番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - P.I.Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64

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交響曲第5番を書いた頃のチャイコフスキーは、ひどく疲れていました。
まるで創作意欲がなく、楽想も気分も何も湧きませんでした。

作曲に先立ち彼は支援者のメック夫人に、次のように書き送っています。

「それほど年を取ったとは思いませんが、年を感じ始めました。
私は近頃、疲れます。夜、ピアノを弾くことも本を読むことも苦労になりました」

こうした状況を打破するためか、第4番から10年ぶりに取り掛かったのが第5番です。
ベートーヴェンの第5番「運命」と同じく、苦難との闘いとそれに対する勝利が描かれています。

しかし、主人公には「運命」のようなたくましさはなく、ナイーブで傷つきやすい姿があります。
その分、生身の人間には共感できる部分が多く、また甘美な旋律は彼ならではのものです。

第1楽章の冒頭では、クラリネットが全楽章を貫く陰鬱な主題を奏でます。
困難に見舞われても、それに立ち向かう気力もなく、仕方なくとぼとぼと歩き始めます。
その嘆きは次第に大きくなり、苦しさを叫ぶ絶叫は頂点に達します。

第2楽章は短調のほの暗い弦楽合奏に始まり、やがて夢幻的な旋律をホルンが奏でます。
続く主題もこの上なく美しく、ふたつの主題は旋律作家チャイコフスキーの真骨頂です。

最近、この楽章は「祈り」を表現していると感じています。
苦しい状況にあっても、どうか心には安らぎがあるようにという願いです。
しかし、美しい旋律のあとにも、過酷な運命の主題が再び襲い掛かってきます。

第3楽章は一時、すべてを忘れて憩いの時を持つワルツです。
主人公は楽しかった過去の思い出に浸っているかのようです。
しかしここでも、最後に運命の主題が静かな影を落とします。



そして第4楽章の冒頭では、第1楽章の運命の主題が長調に転じて演奏されます。
しばらくは各楽器により明るい気分が表現されますが、その後にまたも闘いが開始されます。
音楽は様々な変遷を経たのち、最後にオーケストラ全体での勝利の行進になります。

短調だった第1楽章の第2主題もコーダで長調になり、金管が高らかに謳いあげます。
そして最後に念を押すように、全体が「タタタタン」とリズムを踏みしめて締めくくられます。
「タタタタン」はベートーヴェン「運命」の主要な動機でもあります。


チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第1楽章 [2020][VR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64
I. Andante - Allegro con anima [16:51]



Tchaikovsky-Symphony-No5-1st-2020-VR2.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第2楽章 [2020][VR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64
II. Andante cantabile, con alcuna licenza [15:11]



Tchaikovsky-Symphony-No5-2nd-2020-VR2.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第3楽章 [2020][VR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64
III. Valse (Allegro moderato) [6:48]



Tchaikovsky-Symphony-No5-3rd-2020-VR2.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第4楽章 [2020][VR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64
IV. Finale (Andante maestoso - Allegro vivace) [13:36]



Tchaikovsky-Symphony-No5-4th-2020-VR2.mp3


*第1,3,4楽章は14年ぶりの新演奏・新録音です。
*「田園」「未完成」に引き続き音源にVR処理(3D・立体音響)を施しています。


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posted by アンドウトワ at 06:53 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする