
♪全楽章のうち最も音楽的な充実度が高い第1楽章
ベートーヴェン「第9」の第1楽章ほど、演奏の正解が難しい音楽はありません。
私は個人的に、カール・ベームとウィーン・フィルの最後の録音を愛聴してきました。
この演奏はカール・ベームが亡くなる前年の"白鳥の歌"で、落ち着き払った堂々たる演奏には、
常に安心して聴ける、気品と風格が感じられます。
この曲を得意としたベームが最後にたどり着いた至高の境地です。
全楽章を通じて、一点の抜かりもない完璧な演奏です。
一方で、近年になり自分の中で着実に存在感を増している演奏があります。
ヘルマン・シェルヘンが1965年にスイスのルガノ放送管弦楽団と行った、
ベートーヴェン交響曲の全曲演奏会での「第9」です(これも亡くなる前年)。
おそらくCDとして聴ける録音では最速の部類かもしれない常軌を逸した演奏で、
初演でベートーヴェン自身が気が触れたように指揮したという姿が目に浮かぶようです。
通常、全4楽章の演奏に1時間15分余りを要する「第9」ですが、
シェルヘンは全編を、ほぼ1時間で駆け抜けてしまいます。
しかし、そこに流れる精神は正しくベートーヴェンの魂(スピリット)そのもので、
もしベートーヴェンが生きていたなら、最も「良し」とする演奏かもしれないと感じています。
そこで今回は、両方のスタイルで改めて録音してみました。
最初に公開した「02」がシェルヘン、次の「03」がベームのスタイルです。
(もちろん完全コピーではなく、そこに独自の解釈も入っています)
*演奏と音響を改めた新録音です。演奏内容は全面的に変更しました。
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2019][AR] 03
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso [17:35]
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
Beethoven-Symphony-No9-1st-2019-AR-03.mp3
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