
ビゼーが生きた19世紀半ばのフランスオペラは、オッフェンバックに代表されるような、
肩肘張らずに気軽に楽しめるオペレッタ(喜歌劇)が主流でした。
ウィーンではワルツ王ヨハン・シュトラウス二世が喜歌劇界に転向しようかという時期に、
ビゼーが着手したオペラが、後の名作として名高い「カルメン」でした。
1872年にパリのオペラコミック劇場から新作の依頼を受けたビゼーは、
当時のパリのオペラ界に新風を呼ぶ、革新的な作品を作ろうと考えました。
そこで題材として選んだのが、フランスの文豪メリメの「カルメン」でした。
メリメの書いた物語は、人殺しや密輸入が登場するリアルで血生臭い話でした。
これにはオペラコミックの支配人ルーヴァンが猛反対しました。
家族そろって楽しめる劇場として、とても出せる話ではないと考えたのです。
そこでビゼーは台本作家と相談し、原作にはない人物を登場させたり、
設定を変更するなどして、ようやくと支配人の納得する作品として完成させました。
しかし、美しいヒロインが登場するきれいな舞台を期待した観客は、
「カルメン」で描かれる薄汚れたタバコ工場や、そこで働く女工といった
あまりに現実的な内容に失望し、75年の初演は惨憺たる結果に終わってしまいました。
結局ビゼーは「カルメン」の成功を見ぬまま、初演から3か月後に亡くなってしまいました。
しかし、パリでの初演は不評だったものの、その後、ウィーンを始めヨーロッパ中で火がつき、
後にはチャイコフスキーやサン=サーンスも認める、不動の地位を手に入れるに至りました。
ヒロインの生き方に惚れ込んだというニーチェは、「カルメン」を20回は観たと記述しています。
*演奏と音響を改めた新録音です。演奏内容は全面的に変更しました。
ビゼー:歌劇 《カルメン》 前奏曲 - レ・トレアドール [2019][AR]
Georges Bizet:"Carmen" Suite No.1 "Prelude - Le Toreadors" [2:16]
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Bizet-Carmen-Suite-No1-Prelude-2019-AR2.mp3
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