
30代が近づき耳の不自由さがいよいよ深刻さを増して来たベートーヴェンは、
華やかな社交界からは退き、人との交流を避け、ウィーン郊外の喉かな田園地帯である
ハイリゲンシュタットに居を構えて、そこで作曲活動に専心するようになりました。
一度は遺書まで書き、死を覚悟したベートーヴェンは、自らの使命感でそれを乗り切ると、
以後は人間の生死に関わる内相的で、奥行きのある大作をいくつも作るようになりました。
九つある交響曲はその代表作で、ことに「英雄」「運命」「田園」「第九」などは
ただの音楽の領域を超えた"神の声"とも言える作品群です。
ベートーヴェンは自らを音楽において、神に最も近しい人間と位置づけ、
音楽を通じて人類に神のメッセージを届けることを使命と感じていました。
ですから何があっても死ねなかったのです。
ベートーヴェンは「音楽は最大の啓蒙である」と語りました。
ベートーヴェンは午前中に作曲の作業を仕上げると、午後は時には日没後の夜になるまで、
ひたすら郊外を散策し、そこで楽想を固め、翌日にはそれを書き留めていました。
最早、ほとんど耳が聴こえなかったベートーヴェンは、自然を散策しながら聴こえない音を聴き、
自らの内で自然を通じて神と交流し、その声を音楽として受け取っていたのです。
ですからベートーヴェンの音楽は、一時の流行り廃りで消えるようなものではなく、
人類が存在する限り、その心の支えになり得る力を持っているのです。
*演奏と音響を刷新した新録音です。E.Tのテーマが閃いた丘に久しぶりに訪れた際、かなり高速な第1楽章が頭の中に鳴り渡り、その後、全楽章のイメージがそこで固まりました。今後、順にそれを形にしてお届けしていきます(音響はベートーヴェンの真意を伝えるため、極力薄くしました)。
ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》
posted with amazlet at 19.09.12
シェルヘン(ヘルマン)
プラッツ (1998-09-19)
売り上げランキング: 79,567
プラッツ (1998-09-19)
売り上げランキング: 79,567
ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第1楽章 [2019][AR]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67
I. Allegro con brio [7:59]
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
Beethoven-Symphony-No5-1st-2019-AR2.mp3
スポンサードリンク
【関連する記事】
- ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」 第3楽..
- ベートーヴェン:ピアノソナタ 第14番 嬰ハ短調 Op.27-2 「月光」 第1..
- チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 [全曲演奏会 Part2]..
- チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 [全曲演奏会 Part1]..
- ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 Op.73:第1楽章、第4楽章 / Johan..
- シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D759 「未完成」 [2023] / F..
- モーツァルト:交響曲 第41番 ハ長調 K.551 「ジュピター」 第1楽章&第..
- ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55 「英雄」 第1楽章 [20..
- ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」 第1楽章&第5楽章 ..
- ビゼー:歌劇 《カルメン》 前奏曲 [2023] / Georges Bizet..
- ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 Op.68 第3,第4楽章 [2023] /..
- ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 Op.68 第1,2楽章 [2023] / ..