風の谷のナウシカ シンフォニー 風の伝説posted with あまなつ on 2009.09.03J・C・オーケストラ
徳間ジャパンコミュニケーションズ(2004-08-25)おすすめ度の平均:一番のお気に入りです
「風の伝説」を聴いてほしい。
ナウシカを聴くなら、ぜひこのアルバムも
♪ジブリ映画で傑作を残した久石譲の代表作
宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」という作品の中で、
個人的に見る度にまた読む度に変わらず感動してしまう場面があります。
それは物語の序盤で怒りにいきり立つキツネリスに片腕を噛まれながらもじっと耐え、
「こわくない」とナウシカが逆に相手を思いばかりなだめるシーンです。
ナウシカのその態度にキツネリスの怒りの色はすうっと引き、
今度は自らが噛んだ傷口をペロペロと舐め始めるのです。
「風の谷のナウシカ」は環境破壊や戦争を越えて、人類がどう存続していくべきか?
といった大きなテーマを提示していますが、
そうしたことすべてへの答えがこの1シーンに表れていると思うのです。
宮崎さんの作品はどれも女性が主役ですが、これにも必然性があると思います。
つまり20世紀までの人類は戦争と殺戮を軸とした男性中心の社会。
それに対して子供を生み育む女性原理こそが、
これからの人類を導く鍵であると監督はメッセージしているように感じます。
清濁併せ呑む懐の広い母性こそが傷ついた地球や人々を癒し、
新たな未来へと一歩踏み出す力をもたらしてくれるのです。
「風の谷のナウシカ」は映画化にあたり、
当初は細野晴臣さんが劇伴音楽を担当する予定でしたが、
先行して作られた久石譲さんによるイメージアルバムを宮崎さんと高畑さんが気に入り、
結局そちらが映画のサントラになりました。
しかし安田成美さんが歌った細野晴臣さんによるイメージソングは
「映画の内容にそぐわない」と主題歌から外されたとはいえ、
音楽的には大変すばらしい名曲です。
話がそれましたがこの作品で初めて宮崎アニメに起用された久石さんは、
ご存知の通りその後のジブリ映画になくてはならない存在として
音楽を提供し続けています。
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ナウシカ以前の久石さんは単純な音形を繰り返す現代音楽の形態のひとつである
“ミニマル・ミュージック”に従事していました。
ですからナウシカとの出会いは久石さんにとって、世間的にも広く認知されまた、
自らの作風の大転換のきっかけにもなったターニングポイントと言えるかもしれません。
最近の久石さんは新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラを率いて、
自作曲のみならず映画音楽からクラシックまで、幅広く本格的な指揮活動も展開されています。
前回の坂本龍一さんがクラシックを基盤としながら民俗音楽に系統していった作曲家だとすれば、
久石譲さんは同じくクラシックを基盤としながらも、
よりアカデミックな映画音楽的方向へと向かっていった作曲家だと言えるでしょう。
これは余談ですが以前にも「君をのせて」で少し触れましたが、
私が見たコンサートで久石さんはショルダー・キーボードをさげて
なんとヴォーカルをとっていました。
「地上の楽園」というアルバムから「ロスト・パラダイス」という
平和へのメッセージ性の強い歌を力強くシャウトしていました。
久石譲さんはそうした熱い一面も持った方なのです。
久石譲:風の谷のナウシカ - 風の伝説
Joh Hisaishi:Kaze no Densetsu
*楽曲の著作権が継続中のため音源はストリーミング再生のみです
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