2014年12月16日


ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2014]

ベートーヴェン:交響曲第9番≪合唱≫
朝比奈 隆&大阪フィル
avex CLASSICS (2014-11-26)
売り上げランキング: 6,000

♪「鬼神が煙の中から立ち上がるようだ」と評された第1楽章

ベートーヴェンが第9の作曲に取りかかった当時、ウィーンではイタリアの作曲家、
ロッシーニの軽快で、肩肘張らずに楽しめるオペラが持て囃されていました。
モーツァルトやベートーヴェンは学者が好む、一昔前の音楽と敬遠されていたのです。

第8交響曲から第9交響曲までには、十年もの長いブランクがありました。
この間のベートーヴェンは、引き取った甥のカールの自殺未遂など苦難が続き、
作曲の作業も捗らないスランプの時期を過ごしていました。

スポンサードリンク


聴衆からも少し忘れかけられていたベートーヴェンでしたが、
それだからこそ第9という、型破りなスケールの交響曲を存分に書けたのかもしれません。
全演奏に1時間以上を要するのは前代未聞でしたし、最終楽章に声楽を入れるのは、
それこそ、きわめて稀に見るアイディアと言えるものでした。

完成した第9交響曲は当初、ウィーンではなくロンドンで初演される予定でした。
ロンドンはウィーンとは対照的にベートーヴェンに対して好意的だったのです。

しかし、それを知ったウィーンの人々はあわてました。
一時の勢いはなかったとは言え、ウィーンが誇る大作曲家の新作交響曲の初演が、
よその国で行われるとあってはたまったものではありません。

急いで数十名の署名を集め、新作のウィーンでの初演を懇願すると共に、
ベートーヴェンへのあらん限りの支援を申し出ました。
これに折れたベートーヴェンは当初の予定を撤回し、1824年5月7日に、
ウィーンのケルントナートーア劇場で、交響曲第9番は初演されたのでした。

第9の第1楽章はこのブログでは3回目の掲載となります。
一度目は開設当初の今から8年ほど前で、二度目は昨年の初夏です。

私事ではありますが、この1年半ほどの間に様々な苦難を経験しました。
正直に言って、これまで生きて来た中で最も苦しかったです。
そして、この経験を通して、私の中の人生観も激変しました。
そこでどうしても、もう一度、第9の第1楽章に取り組んでみたくなったのです。

昨年の演奏はかなり速いテンポだったと思います。
対して今回は、一転して遅めのテンポになりました。
1年半の自分の経験が、少しは活かされたものになったかもしれません。
第9の第1楽章は本当に奥が深いです。

どうしても華やかな第4楽章に目が行ってしまうのは仕方ないとは言え、
もっと第1楽章に注目が集まることを願ってやみません。
ベートーヴェンの交響曲では霊感に満ちた最高の楽章と言えるでしょうし、
もしかすると、あらゆる音楽の中でも最高のものかもしれないからです。





ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125 "Choral"
1. Allegro ma non troppo, un poco maestoso [17:53]



ブログパーツ
posted by クラシック名曲サウンドライブラリー at 06:29 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする