2012年12月05日


ショパン:エチュード第24番 ハ短調 Op.25-12 《大洋》

ショパン:練習曲集(全27曲)
定価:¥ 1,800
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4.0点 いろんな意味で
5.0点 すばらしいショパン
5.0点 最高やね
発売日:2009-05-20
メーカー:ユニバーサルクラシック
アーティスト:アシュケナージ(ヴラディーミル)

♪24の練習曲の最後を飾る力強い作品

エチュード第24番『大洋』は、作品25の12曲を締めくくる堂々たる名曲です。
有名な作品10の終曲『革命』のエチュードと同じハ短調ですが、
その内容や訴えてくるものの大きさにおいて、『革命』をも凌駕しています。

『大洋』が作曲された1835年のショパンは、10月にパリに帰る途上で倒れ、
吐血するほどの決して軽くはない病状に苦しんでいました。
1835年から1836年にかけての冬には、ショパンの病状は特に悪化しました。

部屋に閉じこもり、姿を見せないこともあり、1835年12月の最初には、
ショパンが重体という噂が流れ、クリスマスにそれは「死に掛け」に変わり、
ついにはワルシャワでは、ショパンは死んだとまで囁かれるほどでした。

『大洋』に描かれる重苦しさは、こうした苦境の反映とも受け取れます。
その姿は苦しさにのた打ち回りながらも、何かをつかもうとしているかのようです。
しかし楽曲中には時折り、ハ長調-変イ長調の穏やかな部分が顔をのぞかせます。

ショパンはパリへ帰る途中のドレスデンで、ワルシャワ時代に親交のあった
ポーランド人貴族のヴォジンスキ伯爵一家に会っていますが、
ここで5年前にポーランドで顔見知りだった娘のマリアに再会しています。

16歳になったマリアは知的で芸術の才に優れる、魅力的な女性になっていました。
ショパンはそんなマリアに恋してしまい、翌1836年の9月にはドレスデンに戻ると
すぐに彼女にプロポーズ、彼女もまた求婚を受け入れたのです。

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結局この結婚はマリアがまだ若かったことや、ショパンの病状から無期限延期、
そして最後には完全な破談となってしまうのですが、
闘病の最中、たとえ一時でも愛するマリアの存在が、
彼にとって救いになったであろうことは想像に難くありません。
『大洋』の穏やかさにはこうしたマリアの影響があったとも考えられるのです。

しかし、全体としてのハ長調のスケールの大きな終結からは、
もっと大きな生きることそのものへの希望、決心が感じられます。
ハ短調からハ長調といえば、ベートーヴェンの『運命』を思い起こしますが、
ショパンも少なからずそうした強い心を、この曲に込めたのかもしれません。





ショパン:エチュード第24番 ハ短調 Op.25-12 《大洋》
Frederic Chopin: Etude No.24 in C minor, Op.25-12 "Ocean"



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 18:26 | 器楽曲・Piano | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする