2012年05月14日


ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第1楽章 [新録音2012]

ベートーヴェン:交響曲第5番&第7番
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レビュー平均: 5.0点 (5人がレビュー投稿)
5.0点 あまりに豊か!!!完璧!!!
5.0点 「運命」にとらわれず聴いてみよう
5.0点 重厚さと官能・・・
発売日:2005-11-16
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:バーンスタイン(レナード)

♪自らの信念を音楽に集約させた交響曲の傑作

私を生につなぎ止めているのは芸術だ。内なるものを表現し尽くすまでは死ねない。                                       L.V.ベートーヴェン

音楽家として絶頂期を迎えようとしていたベートーヴェンを襲った絶望。
それは病により聴覚を失うという、この上ない試練でした。
1802年10月6日、31歳の秋。自殺を決意した彼は遺書を書いています。
有名な“ハイリゲンシュタットの遺書”です。

しかしベートーヴェンはその危機を、不屈の精神を持って乗り越えます。

『自分が使命を自覚している仕事(作曲)をやり遂げないで、この世を捨てるのは
卑怯に思われた。そのため、このみじめで不安定な肉体を引きずって生きていく。』


ベートーヴェンは自分に与えられた才能と、それを人々のために使うのが
自らに課せられた義務であることを、自覚していた作曲家でした。
ですからそれが終わるまで、何としても死ぬことはできなかったのです。

『人々のために曲を書く方が、そうでない時よりずっと美しい曲を書くことが出来る。』

それまでは貴族の愉しみのためにあった音楽を、限られた者だけでなく、
広く民衆のものとしたのがベートーヴェンです。
ですから第九の歓喜の歌は、あんなにシンプルで歌いやすいものになっています。

音楽は最大の啓蒙であると考えていた彼は、音を通して神の声を、
この地上に生きるすべての人々に伝えようとしていたのかもしれません。

交響曲第5番はそんなベートーヴェンの信念が集約された作品です。
「苦悩を突き抜けて歓喜へ」のモットーが凝縮され、音楽に結実しています。
大きな困難を前にしても、怯まず克服しようという自身の姿勢が、
そのまま4楽章の交響曲に描き出されているのです。

音楽的にも“タタタターン”というひとつの動機を執拗なまでに繰り返し、
巨大な世界を構築する第1楽章や、ピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンという、
前例のない楽器を追加して壮大に繰り広げられる第4楽章など、
交響曲の歴史の上でも特筆すべき、新たな試みがなされています。

そしてハ短調という調性は、ベートーヴェンの作品では特別な意味を持っています。
「運命」を始め、ピアノソナタ「悲愴」「コリオラン」序曲「英雄」の葬送行進曲など、
悲劇的、闘争的な色合いの濃い、激しい音楽で用いられることが多いのです。

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ベートーヴェンを尊敬したブラームスが、20年をかけて作曲した交響曲第1番で、
ハ短調を用いたのは、もちろん「運命」の影響が大きいのは明らかです。
ブルックナー晩年の大作第8番も威厳のあるハ短調。
また、調性は違ってもチャイコフスキーの第5番ショスタコーヴィチの第5番など、
短調で始まり長調で終わるという構成で、影響を受けている曲もあります。

どんな運命も、それに対する反応のとり方で、意味合いが違ってくる。
困難に屈してただの苦痛で終わらすより、それに立ち向かうことで、
自らを高める好機に変えよと、ベートーヴェンの音楽は語っているかのようです。
そして、そうした精神性は、後に続く作曲家たちにも受け継がれていったのです。

*演奏、音響を刷新した新録音です





ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第1楽章 [新録音2012]
Ludwig van Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67
1. Allegrp con brio



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 23:49 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする