♪「カノン」と「ジーグ」の連続演奏で完成する『パッヘルベルのカノン』
「カノン」の新録音に続いて「ジーグ」と、『パッヘルベルのカノン』を特集していますが、
カノン・シリーズの締めくくりは、オリジナルに沿った演奏でお届けしたいと思います。
この曲は『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ 二長調』が原題で、
「カノン」と「ジーグ」を続けて演奏するのが正式なスタイルです。
一般には「カノン」だけを演奏するのがほとんどですが、
2曲を連続演奏することで、初めてパッヘルベルの本意も理解できるでしょう。
また、これまでは弦楽オーケストラの編成で録音してきましたが、
今回はオリジナル通り、3本のヴァイオリンとチェロ、チェンバロの編成にしました。
弦楽パートだけで考えればこの作品は、弦楽四重奏に極めて近いと言えます。
大編成では大味になってしまう、微妙なニュアンスをお楽しみ頂けると思います。
ところで、『カノンとジーグ ニ長調』には、パッヘルベルの自筆譜がありません。
パッヘルベル作なのは確かなようですが、楽器編成には疑問も持たれています。
研究者や指揮者によっては、元はオルガン曲だったとする声もあります。
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パッヘルベルは生前からオルガン奏者としてとても有名でした。
作曲家としても特に、オルガン曲のジャンルで知られ、『コラール変奏曲集』
『コラール前奏曲集』など多数のコラール編曲を作曲しています。
このあたりにも“カノン=オルガン曲説”の根拠があると考えられます。
真相は定かではありませんが、そんなことはどうでもいいようにも思います。
事実、現代でもパッヘルベルのカノンは、弦楽以外でもピアノ独奏を始め、
それこそあらゆる楽器で演奏され、ポップスの分野でもカバーが後を断ちません。
“名曲はどんな形でも名曲”の、最も典型的な例と言ってもいいでしょう。

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