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発売日:2004-01-21 メーカー:ワーナーミュージック・ジャパン アーティスト:ラビノヴィチ(アレクサンドル) アルゲリッチ(マルタ) | |
♪ウィンナ・ワルツへのオマージュとして構想された『ラ・ヴァルス』
管弦楽のための舞踏詩『ラ・ヴァルス』は、1920年完成のラヴェル45歳頃の作品です。
管弦楽版の他に、自身編曲による2台ピアノ版、連弾版、ピアノ独奏版があります。
ラ・ヴァルスとはフランス語のワルツの意味で、ヨハン・シュトラウス2世を愛した彼が、
19世紀末のウィンナ・ワルツへの礼賛として作曲したバレエ音楽です。
こうした構想は1900年代初頭には、既に顔を見せ始めていて、
1912年の『高雅で感傷的なワルツ』は、後の『ラ・ヴァルス』に通じるところが大きく、
また1914年頃には、交響詩『ウィーン』という未完の管弦楽曲が残されています。
しかし、『ラ・ヴァルス』が具体化し始めたのは、1917年からのことです。
第一次世界大戦中に健康を害し、加えて母親の死というショックに見舞われ、
3年間にわたって実質的な新作が生まれなかったラヴェルの元へ、
ロシア・バレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフが自ら訪れ、
新作バレエのための音楽を依頼し、またラヴェルもこれを了承したのでした。
こうして1919年から1920年にかけて作曲された『ラ・ヴァルス』の楽譜には、
楽曲の内容を表す、次のような標題が添記されていました。
渦巻く雲の絶え間から、ワルツを踊る数組の男女の姿が浮かび上がってくる
雲は次第に消え去ると、A部において凱旋する人々で満たされたダンス会場が現れ、
その光景が少しずつ描かれていく
B部のフォルティッシモでシャンデリアの光がいっせいに灯る
1855年頃のオーストリア宮廷が舞台
ラヴェルは完成した舞踊詩『ラ・ヴァルス』の2台ピアノ版を、
ディアギレフのパトロンであったミシア・セールの邸宅において、
マルセル・メイエールとともに演奏してディアギレフに聴かせました。
その場にはバレエ・リュスの振付家・ダンサーのレオニード・マシーンや、
作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー、フランシス・プーランクが居合わせました。
しかし演奏を聴いたディアギレフは、『ラ・ヴァルス』が傑作であることは認めつつも、
バレエには不向きな「バレエの肖像画、バレエの絵」であるとして、
受け取りを拒否し、これ以来ラヴェルとディアギレフは不仲となったのです。
その後初演はまず、2台ピアノ版が1920年10月23日にウィーンにおいて、
アルフレード・カゼッラとラヴェルによって行われ、
2ヶ月後の1920年12月12日、パリにおいて原曲の管弦楽版が、
カミーユ・シュヴィヤール指揮ラムルー管弦楽団によって演奏されました。
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ウィンナ・ワルツへのオマージュとして構想された『ラ・ヴァルス』でしたが、
その内容に優雅なウィンナ・ワルツの気配は薄く、
ラヴェル特有のウィットに富み、終結に向けて狂気さえはらんでいきます。
これにはラヴェル自身が従軍した第一次世界大戦と、
その後の心的外傷後ストレス障害が影響を与えているといわれています。
しかし音楽がどんなに常軌を逸しようとも、フランスのお洒落な感覚は失わず、
様々な解釈と自由なイメージで遊べるのも、この作品の大きな魅力です。

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