2011年11月30日


リスト:超絶技巧練習曲 第5番 変ロ長調 「鬼火」 S.139-5

リスト:超絶技巧練習曲集&シュ
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レビュー平均: 4.5点 (4人がレビュー投稿)
5.0点 雲海
5.0点 リストの瑞々しい「超絶技巧練習曲集」
5.0点 いいね
発売日:1996-03-23
メーカー:BMGビクター
アーティスト:キーシン(エフゲニー)

♪リストのピアニズムが集約された傑作練習曲集

超絶技巧練習曲と聞くと、テクニックの修練が目的の無機的なものを想像しますが、
実際にはそれのみにとどまらない、深い芸術性を持った美しい作品群です。

「すべての長短調のための48の練習曲」として15歳の時に書かれたのを始めに、
その後、26歳で「24の大練習曲 Op.6」として改訂され、
更に41歳にして「超絶技巧練習曲集」の名で2度目の改訂が施されました。
現在ではこの第3稿が所謂“リストの超絶技巧”として浸透しています。

超絶技巧練習曲の原題は英語表記で「Transcendental Etudes」です。
“Transcendante”はよく宗教などでも用いられる用語で“超越”を意味します。
つまり現世的な肉体を持った生活を超えたものを指し、
宗教的な超越の境地を目指す練習曲ともとれるのです。

晩年のリストはアッシジの聖フランチェスコに帰依し、
宗教への傾倒がきっかけになった作品を、いくつも生み出しています。
この練習曲集に最終的に“Transcendental”と名づけたのは、
そうした事柄と無関係ではないと思われます。

さて、12曲からなる超絶技巧の中でも、特に難曲とされるのが、
4番のニ短調『マゼッパ』と、5番の変ロ長調『鬼火』です。
この2曲は難しさの質が違い、一概に並べて比較できるものではありませんが、
『鬼火』は半音階、重音、跳躍などを駆使した、まさに超絶技巧的な作品です。

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「鬼火」とは日本で言うところの「人だま」です。
子供の頃にこれを見たという人の話を、いくつか聴いたことがありますが、
なぜだか共通して大人になると見えなくなってしまうようです。

リストの『鬼火』はあたかも人だまが、空中を浮遊しているかのようですが、
こうした人だまの動きを粒をそろえて軽やかに弾けるようになったら、
難曲『鬼火』のレッスンはひとまず完成と言えるのかもしれません。

それにしても「鬼火=人だま」というタイトルは、宗教的な意味合いを持つ、
「超絶技巧練習曲=超越的な練習曲」と銘打つこの作品集にぴったりです。
また『鬼火』の速度記号はPresto(急速に)やAllegro(快速に・陽気に)ではなく、
Allegretto(ややAllegroに-Allegroより遅く)ですが、こういった点にも、
ただ速く弾けばいいのではないという、リストの意志の表れを感じます。





リスト:超絶技巧練習曲 第5番 変ロ長調 「鬼火」 S.139-5
F.Liszt:Transcendental Etudes No.5 "Feux Follets" S.139-5



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 07:21 | 器楽曲・Piano | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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