渡辺暁雄
コロムビアミュージックエンタテインメント(2006-04-19)おすすめ度の平均:日本の国歌
国歌
旧版と内容は同じ
♪聴くほどに深い日本が誇る美しい国歌
日本には元来、国歌という概念がありませんでした。
しかし明治開国で外国との交流も始まり、
日本にも儀礼音楽の必要性が出てきました。
歌詞は琵琶歌の「蓬莱山」が引用した「君が代」を採用。
千年以上前の“読み人知らず”の和歌が出典といわれます。
イギリス歩兵隊の軍楽長、ジョン・ウィリアム・フェントンが、
ここに旋律をつけ明治3年、第一の「君が代」が誕生します。
しかし6年の後、あまりの不評から曲を作り直すことに。
1880年(明治13年)、宮内省雅樂課に委嘱し、課員数名の中から
奥好義の作品が選ばれ、一等伶人の林広守が補作。
発表されたのが、現在、私たちが「君が代」として知る歌です。
ドイツの海軍軍楽教師フランツ・エッケルトが吹奏楽に編曲しました。
(現在、公式演奏される管弦楽版は近衛秀麿編曲です。)
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初演はこの年の11月、明治天皇の誕生日(天長節)を祝い宮中で。
エッケルト原譜は変ハ長調で、変遷を経て現在のハ長調に至ります。
「君が代」の歌詞は原典が古今和歌集に初出以来、
千年もの間、様々な日本伝統音楽に載って親しまれてきました。
西郷隆盛の従兄弟、薩摩藩大砲隊大隊長大山弥助(後の大山巌)
が選んだという琵琶歌は、そうした伝承歌のひとつだったのです。
戦意を高揚させるような諸外国の国歌も多い中にあって、
あくまで平和的な「君が代」は、世界に誇れる国歌といえるでしょう。
作曲家山田耕作氏がドイツに留学していた頃、
ドイツの音大教授たちが、世界の国歌について品定めをしました。
その結果第一位に選ばれたのが日本の「君が代」でした。
(記述に誤りがあったため、文章は全面改訂致しました。2010.10.23)