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発売日:1998-08-21 メーカー:EMIミュージック・ジャパン アーティスト:ウィーン少年合唱団 | |||
♪日本ではシューベルト作と共に広く知られる「野ばら」
ハインリッヒ・ヴェルナー(1800-1833)は、ドイツ出身の音楽教師です。
教会のオルガニストで、合唱隊の指揮者だった父から音楽教育を受け、
少年聖歌隊の活動などを通して、才能を育んでいきました。
後にオペラハウスの合唱団長となり、教職の傍ら作曲活動も行いました。
『野ばら』は自身が指揮した男性合唱団のために作られた曲のひとつです。
他にも合唱曲や歌曲を作曲しましたが、今に残るのは『野ばら』のみです。
日本ではシューベルト版と共に有名な、ウェルナー版の『野ばら』の楽譜には、
「フランツ・シューベルトの影響のもとに ハインリッヒ・ウェルナー 1829年作」
と冒頭に表記されています。
シューベルト版とウェルナー版の『野ばら』は拍子こそ違いますが、
歌い出しの旋律の運びなど、とても似通ったところがあります。
シューベルトは1815年に、ウェルナーは1829年に『野ばら』を作曲しています。
楽譜の表記からも、ウェルナーがシューベルトを意識したことは間違いありません。
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そしてふたつの版は共に、近藤朔風による日本語訳なのですが、
両者の歌詞が微妙に違うのが面白いところです。
童は見たり 荒野のばら
朝とく清く 嬉しや見んと
走り寄りぬ
ばら ばら赤き 荒野のばら
われは手折らん 荒野のばら
われはえ耐えじ 永久に忍べと
君を刺さん
ばら ばら赤き 荒野のばら
童は折りぬ 荒野のばら
野ばらは刺せど 嘆きと仇に
手折られにけり
ばら ばら赤き 荒野のばら
(ウェルナー版・近藤朔風 訳)
シューベルト版はこちら
シューベルト版はメルヘンチックで、近藤のイメージも加味されているのに対し、
ウェルナー版はより原詩に近く、ゲーテの心情をダイレクトに伝えている感じです。
ゲーテは詩の中に性的な意味合いを隠し持たせた、との見方もありますが、
原詩やウェルナー版の訳からは、そうした趣きも感じられないではありません。
しかし少なくとも作曲者は、そうした意味合いを意識せず作曲したはずです。
それほどに旋律は流麗で美しく、野に咲くバラの気品を湛えています。
ゲーテが訪れた村ゼーゼンハイムの、都会から離れた美しい自然の風景と、
そこに暮らす娘フリーデリーケの、素朴で純真な姿が目に浮かぶようです。

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