2010年08月13日


チャイコフスキー:組曲《くるみ割り人形》から 第1曲 「序曲」 Op.71a-1

チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」(全曲)デラックス版(DVD付)
サイモン・ラトル/ベルリン・フィルハーモニー
EMIミュージックジャパン(2010-08-04)
おすすめ度の平均: 4.0
4スマート過ぎるのかな?
4豊かで奥深い音楽作品としての『くるみ割り人形』

♪愛され続けるバレエ音楽のオープニング曲

19世紀から20世紀にかけての音楽界には国民楽派と呼ばれる、
自国の民族主義的な音楽を尊重しようという動きが見られました。
ドイツ、オーストリアやイタリア、フランスの安易な模倣に止まらず、
そこにそれぞれの出身国ならではの色を加えようという考えです。

代表的なところではロシア五人組がまずあげられます。
リムスキー=コルサコフ、ムソルグスキー、ボロディンらが所属し、
ロシア民謡や民族性が盛り込まれた音楽を追求していました。
北欧のグリーグ、シベリウス、チェコのドヴォルザーク、スメタナらも、
国は違えど基本的な考え方は同じで、それぞれの民族色を出していました。

そんな流れの中、チャイコフスキーはあくまで西欧音楽にこだわり、
あえて民族色を打ち出そうという考えには同調しませんでした。
彼にとって音楽とはあくまで、モーツァルトのようなクラシックの本流だったのです。

それでもチャイコフスキーの音楽に、まったくロシアの民族的な色合いが
なかったかというと、そういうわけでもありません。
むしろどこまでもロシア民謡的な旋律も多々見受けられます。
西欧音楽を基盤としながらも、自らの内から流れ出る民族性に関しては、
特に拒否するということもなく、自然に任せていたのだと思います。

スポンサードリンク


ともかくも、五人組とは袂を分かったチャイコフスキーの西欧音楽志向は、
結果として彼の音楽に普遍性をもたらし、
より広範囲な支持を集めることにつながったといえるでしょう。
モーツァルトのようにスマートで美しい旋律でありながら、
どこかロシア的な陰影を落としている…。
それがチャイコフスキーの音楽であり、
私たち日本人の琴線に触れる特徴にもなっているのです。






P.I.Tchaikovsky:The Nutcracker Suite Op.71a 1.Overture



ブログパーツ
posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 06:00 | 管弦楽曲 (Orchestral) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。