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2016年08月04日


クライスラー:愛の悲しみ


クライスラー:ヴァイオリン名曲集
パールマン(イツァーク)
EMIミュージック・ジャパン(2008-06-25)
おすすめ度の平均: 5.0
5珠玉の小品集


♪自身の作品「愛の喜び」と対を成す感傷的な姉妹曲

前回、クライスラーの“偽称作曲”のことに少しばかり触れましたが、
今回はこれについてもう少し詳しくお話ししましょう。

事情から医学を学び、将校にもなったブランク期間から復帰後、
クライスラーの活動状態は厳しく、演奏機会にも恵まれませんでした。
軌道に載りかけたところで間を空けたのが響いたのでしょう。

そこでクライスラーは起死回生の策に出ます。
単に自作曲に過ぎないヴァイオリン曲のいくつかを、
図書館や修道院の資料室で発見したヴィヴァルディなどの、
過去の大作曲家たちの未発表曲だと偽り、自ら演奏して注目を集めたのです。
この嘘に気づく者は当時誰もいませんでした。

それどころか批評家たちは「新発見の作品はどれもすばらしいが、
クライスラーの演奏は未熟だ」とこき下ろしたのです。
つまりクライスラーが闘っていたのは、
このように外面だけで物事を判断する権威主義に対してだったのです。

しかし聴衆たちはクライスラーの卓越した演奏を聞き逃しませんでした。
こうして権威を打破するための嘘をきっかけに、
クライスラーはヴァイオリニストとして大きく羽ばたいていきました。

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その嘘がなぜ30年も過ぎてから見破られたのでしょう?
それはある批評家が「発見されたヨーゼフ・ランナーの未発表曲
(実はクライスラー作)はシューベルト作に匹敵する出来だ」
と絶賛したことにクライスラーが激怒したためです。
クライスラーは心から尊敬するシューベルトと、
自分のような者の作品が同等に並び賞されたことが我慢ならなかったのです。
シューベルトに申し訳ないという謙遜の思いからでした。

しかしこのやりとりを不審に思った新聞記者に問い詰められ、
クライスラーはとうとう長年の嘘を打ち明けたのでした・・・。

さて話を作品に戻すと「愛の悲しみ」は前回の
「愛の喜び」と対をなす、これも広く人気の小品曲です。
「愛の喜び」が長調で快活に喜びを表現しているのに対して、
こちらは短調で文字通り悲しげな気分を描いています。
どちらの曲もシンプルながら微妙な機微のある、
ヴァイオリニスト必須のレパートリーになっています。




クライスラー:愛の悲しみ
Kreisler:Liebesleid


*楽曲の著作権が継続中のため音源はストリーミング再生のみです



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posted by アンドウトワ at 08:07 | 室内楽曲 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする