2009年10月01日


ヴェルディ:歌劇 《運命の力》 序曲

ヴェルディ:序曲集「運命の力」
ムーティ(リッカルド)
EMIミュージック・ジャパン(2006-02-22)

♪シンフォニアと自ら呼んだ充実の序曲

ヴェルディ作「運命の力」は1862年初演の全4幕からなるオペラです。
ヴェルディは当初このオペラのために3分程度の前奏曲を書きました。
しかし7年後の改訂版ではこの前奏曲を大幅に書き変え、
7分を越える長大で立派な序曲としました。

またヴェルディ自身はこの作品を序曲ではなくシンフォニアと呼び、
単なる歌劇の前置きではない充実した内容であることを誇示しました。
この時代イタリア・オペラでは長大な序曲は廃れており、
その中での「運命の力」序曲は異例な存在であり、
ヴェルディ自身にとっても最後の大作序曲になりました。

従来の序曲の定型に捉われない自由な作りが特徴で、
劇中の魅力的なテーマを並べてオペラの内容を辿るような構成です。
これはむしろワーグナー的であると言えるかもしれません。

序曲がオペラの内容を語り出したのはまずモーツァルトに兆候が見られ、
次いでウェーバーの「魔弾の射手」でそれがはっきり打ち出され、
後にワーグナーが精神性も含めて完全に確立させました。

こうした音楽性の濃さからこの序曲は、
オペラと関係なく独立して演奏されることも多く、
オペラ名序曲集などのCDでは必ず登場する定番曲です。

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そしてこれは余談ですが、1869年の改訂版初演を務めた指揮者
アンジェロ・マリアーニとソプラノのテレーザ・シュトルツは婚約関係でしたが、
リハーサル中にヴェルディとテレーザが恋仲になってしまい、
以後マリアーニはヴェルディとは縁を切り、
イタリアにおけるワーグナー紹介に尽力したとのことです。




G.Verdi:La Forza del Destino Overture

http://classical-music.aki.gs/Verdi-La-Forza-del-Destino-Overture.mp3



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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 18:42 | 歌劇 (Opera) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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