2010年08月31日


シェーンベルク:浄められた夜 Op.4

シェーンベルク:浄夜
カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー
ユニバーサル ミュージック クラシック(2007-02-28)
おすすめ度の平均: 4.5
5超名盤のダイジェスト版
5至高の芸術品
4甘美な?現代音楽の古典

♪後期ロマン派の香り漂う美しい弦楽合奏曲

無調音楽や12音技法で名高いオーストリアの作曲家 シェーンベルク。
時代を変えた現代音楽の旗手的なイメージの強い彼ですが、
実は最初は後期ロマン派の本流に身を置く作曲家のひとりでした。

シェーンベルクが生まれたのは1874年。
後期ロマン派も成熟期を迎え、この後フランスでは印象派が誕生。
そして音楽界が調性を超えた方向へと向かう過渡期を生きた人でした。

モンテヴェルディがそうであったように彼の革新的なスタイルは、
時代の変化という要求から生まれた必然だったのかもしれません。
シェーンベルクこそが様々な意味で適役だったのです。

しかしもし、そうした革新者としてのイメージのみを彼に抱いている方なら、
この美しい弦楽合奏曲を聴いて大いに驚かれるかもしれません。
ここにあるのはワーグナーやブラームスに影響された、
紛れもない後期ロマン派の真髄のような甘く重厚な響きです。

シェーンベルクにとっては初期にあたる作品で、まだ無調的気配は希薄です。
デーメルの同名の詩「浄夜」を題材とし、月下の男女の語らいが音で紡がれていきます。
単一楽章の形をとっていますが、詩に応じて5つの部分から構成されています。

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当初は弦楽六重奏曲として作曲されましたが、後に自身が弦楽合奏用に編曲。
現在ではコントラバス・パートが改訂された弦楽合奏版が多く演奏されています。

余談ですがシェーンベルクとガーシュウィンはアメリカでの住居も近く、
絵画やテニスなどの趣味も合う大変仲の良い友人関係だったようです。
ガーシュウィンが油絵でシェーンベルクの肖像画を描いていたほどです。

ガーシュウィンが脳腫瘍で早過ぎる死を迎えた際、
シェーンベルクはラジオで弔辞を読み上げました。
それはガーシュウィンの楽才を称え、ふたりの友情を強調する内容でした。
ラプソディ・イン・ブルーを聴いてご機嫌(?)なシェーンベルク。
その姿を想像すると微笑ましいものがあります。





Arnold Schöenberg:Verklaerte Nacht Op.4
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posted by CMSL クラシック名曲サウンドライブラリー at 06:16 | 弦楽合奏曲 (String ensemble) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする