この楽章に対するこれまでの個人的な認識は、全体に長調で溌剌とした
勢いのある第7番にあって、唯一の短調によるまったく違う表情が、
この交響曲に深い趣きをもたらしているというものでした。
しかし今回の制作ではそれに加えて、新しい発見がありました。
それは、ベートーヴェンの厳しいまでの意志力の表現です。
冒頭からしばらくは低音を中心に弦だけが演奏を続けていますが、
短調ではあるものの、音が細かく刻まれることで緊張感が保たれ、
決して悲しみに沈みこまない決然とした、前を見据える強い意志を感じさせています。
ベートーヴェンの音楽は人に泣き言を言うことをゆるしません。
もっと強くたくましく、自分を信じて歩みゆけと呼びかけています。
そうした精神は第7のアレグレットのような音楽にあっても、
確実に根底に流れていると感じました。
悲哀が漂う、ただのロマンティックな音楽ではないことは確かです。
第7交響曲は1813年12月8日、ベートーヴェン自身の指揮により初演されました。
*演奏と音響を改めた新録音です。全体にテンポを落とし、より重厚感を出すことを心がけました。
ベルリンフィルハーモニー大ホールの舞台から20m付近の音響を使用しています。
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 Op92 第2楽章 [2022]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.7 in A major, Op.92
II. Allegretto [9:48]
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Beethoven-Symphony-No7-2nd-2022.mp3