ヴォカリーズは元来、歌手の練習用に書かれた歌詞の伴わない、
Ahーなどの母音のみを発声する歌曲のことを意味します。
多くの作曲家がヴォカリーズと称する楽曲を書いていますが、
ラフマニノフの作品が突出して有名で、代名詞のようになっています。
1912年に作曲の14曲からなる歌曲集作品34の最後の曲として発表され、
当時から大変な人気を集め、様々な編曲版が生まれました。
まず原典は嬰ハ短調だったのをラフマニノフ自身がホ短調の管弦楽版に編曲。
その後はピアノ独奏版、器楽とピアノ伴奏版、ソプラノと管弦楽伴奏版など、
編曲や調性を変えた違った顔を持つヴォカリーズが、人々に知られることになりました。
歌手がうたう際は嬰ハ短調ですが、器楽ではホ短調が相場です。
またラフマニノフ自身はソプラノでもテノールでも構わないとしていますが、
伴奏の音域との兼ね合いなどからテノールで歌われることはまずなく、
古くからソプラノの名歌手たちが、優れた録音を残してきました。
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