
「ツァラトゥストラはかく語りき」は、ドイツの哲学者ニーチェの未完の哲学的詩作です。
主人公のツァラトゥストラはゾロアスター教の開祖とされるペルシャの伝説的人物。
彼は13歳で故郷を捨て山に入り、10年間の瞑想生活を過ごします。
そしてある朝、日の出と共に目覚め、太陽に悟りを得たことを告げるのです。
山を降りた彼は俗界に帰り、予言者として新たな思想を説き始めます。
自分の知恵を人間のおごりが謙虚になるまで、不満足が満足になるまで
分け与えたいと考えるこの主人公こそが、他ならぬニーチェ自身の象徴であり、
「ツァラトゥストラはかく語りき」は、ニーチェの哲学的思索の集大成とも言える作品なのです。
若い頃、ミュンヘンの大学で哲学を専攻し、ニーチェの思想に共鳴したシュトラウスは、
「ツァラトゥストラ」に感銘を受け、そこから得た霊感を元に1曲の管弦楽曲を書き上げました。
それが標題を「ツァラトゥストラはかく語りき」とした、作品30の交響詩です。
シュトラウスはスコアの冒頭に、ニーチェの原著から序文を掲げていますが、
この交響詩はニーチェの著作の音楽化を試みたのではなく、
シュトラウス自身の言葉によれば、「人類の発展の観念がその起源から様々な経過をたどり、
ニーチェの超人の観念に至るまでを音楽で表そうとした」作品です。
シュトラウスは標題に添えて「ニーチェに自由に従った」とも記しています。
この交響詩は導入部と8つの章で構成され、切れ目なく演奏されます。
1.Einleitung (導入部)
2.Von den Hinterweltlern (世界の背後を説く者について)
3.Von der großen sehnsucht (大いなる憧れについて)
4.Von den Freuden und Leidenschaften (喜びと情熱について)
5.Das Grablied (墓場の歌)
6.Von der Wissenschaft (学問について)
7.Der Genesende (病より癒え行く者)
8.Das Tanzlied (舞踏の歌)
9.Nachtwandlerlied (夜の流離い人の歌)
1896年の2月にミュンヘンで作曲が始まり、同年の8月24日に完成。
11月27日に、フランクフルトの博物館協会のコンサートにおいて、
シュトラウス自身の指揮によって初演され、大きな反響と反論を呼びました。
スタンリー・キューブリック監督の映画「2001年 宇宙の旅」では、
まだ未開の人類が初めて自我に目覚める場面で象徴的に使用されています。
これにより同曲は一躍、世界中にその名を知られる作品になりました。
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リヒャルト・シュトラウス:ツァラトゥストラはかく語りき Op.30 1. 導入部 [2019][AR]
Richard Strauss:Also sprach Zarathustra Op.30 1. Einleitung [1:56]
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