年末のこのシーズンになると、日本では「第九」が各所で演奏されます。
特に第4楽章はアマチュアの合唱団が、一年を締めくくる真摯な合唱を聴かせてくれます。
「第九」の場合、いい意味でのアマチュアリズムが功を奏して、
この日一日に賭けるアマチュアの方々の熱唱に、心打たれることも少なくありません。
私は指揮者・渡辺暁雄さんが亡くなる前年の12月に、板橋の文化会館で行った
「第九」演奏会を聴いて、とても感動したことを覚えています。
渡辺さんは自らの死を意識してか、ひと際熱の入った指揮で観衆を引き込みました。
また、アマチュア合唱団の方々も、渡辺さんの気迫に応えるように、
顔を真っ赤にして、身体を揺らしながら歌っていました。
片足が不自由で、杖に寄りかかりながらも、目に涙を浮かべ空中の一点を見ながら、
何かを決するかのように歌っていたご婦人の姿は、今も鮮明に脳裏に焼き付いています。
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あまりの熱演に終演後も一向に拍手は鳴りやまず、渡辺さんと楽団、合唱団は、
もう一度「合唱」のコーダの部分をやり直さねばならないほどでした。
「第九」演奏でこんなことは珍しいですが、それでもこのアンコール演奏は、
本編に勝るとも劣らぬ熱演で、再び鳴り渡る会場の拍手は延々と続いたのでした。
私にとって、生涯最高の「第九体験」です。
今後もあれ以上に感動する「第九」演奏には、めぐり会うことはないでしょう。
そして、このようにプロもアマも一体となって、テクニックなどに偏らずに、
ただ、心ひとつに音楽を創り上げる姿こそが、ベートーヴェンが望んだ光景かもしれません。
ベートーヴェン:交響曲第9番
posted with amazlet at 17.12.29
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ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」第1楽章 [2017]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
1. Allegro ma non troppo, un poco, maestoso [19:46]
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