2016年05月24日


ブルックナー:交響曲 第9番 ニ短調 第1楽章 [新録音2016]


ブルックナー:交響曲第9番
価格:
ジュリーニ(カルロ・マリア)
ユニバーサル ミュージック クラシック(2011-11-01)
売り上げランキング: 7508


♪人知を超越した神の大宇宙世界を描く異次元シンフォニー

オーストリアではバッハ、ベートーヴェンと共に3Bと称させるブルックナーは、
1800年代後半に活動した、後期ロマン派の代表的な交響曲作曲家です。
熱心なカトリック信者だった彼は、俗世との関係を求めず、
ひたすら神に祈りを捧げ、音楽一筋に生きる日々を過ごしていました。
部屋にはグランドピアノと聖書とマリア像ぐらいしかなかったといいます。

ブルックナーの音楽のテーマは悲喜交々の人間ドラマより、
神が創造した大宇宙の神羅万象へと視線が向けられていました。

そのため、一般的な音楽に比べ、難解で取っつきにくいと言われます。
しかし、一度その魅力に気づいてしまえば、二度と離れられなくなる音楽でもあります。

そうしたブルックナーの交響曲の中でも、一際孤高の存在感を示すのが第9番です。
第8と共に晩年の2大傑作とされていますが、第8にはまだ"人間"がいるのに対し、
第9にはもはや"人間"は存在せず、最初から終わりまで神の次元が描かれています。

それは人知を超えた大宇宙の運行であり、大自然神羅万象の営みです。
ブルックナーは第9番を通して、ただただ神の偉大さを仰ぎ見て称えています。
第8にはその前で佇むちっぽけな人間の姿がありますが、第9には最早それもありません。

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そしてこの交響曲は他でもない、愛する神さまに捧げられました。

人間不在の音楽に、合唱付きの第4楽章を置くことは端から叶わなかったのでしょう。
第9番の第4楽章の作曲中に、ブルックナーは愛する神のもとへと還ったのでした。*

*ブルックナーは死の前に、『もし第9番が未完に終わった場合、自作の合唱曲
「テ・デウム」を第4楽章として置くように』と指示していたとされています。




ブルックナー:交響曲 第9番 ニ短調 第1楽章
Bruckner:Symphony No. 9 in D minor
1. Feierlich, misterioso [28:37]


http://classical-music.aki.gs/Bruckner-Symphony-No9-1st-2016.mp3



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ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ


ラヴェル:作品集
ラヴェル:作品集
posted with あまなつ on 2008.10.29
ブーレーズ(ピエール) 他
ユニバーサル ミュージック クラシック(2005-03-23)
おすすめ度の平均: 4.5
4ラヴェルの響きを満喫
5亡き王女のためのパヴァーヌ(舞踊)
4『ラ・ヴァルス』が良かったです。
5クールな熱狂
5素晴らしい☆


♪ピアノ曲を自らがオーケストラ編曲

ラヴェルがルーヴル美術館を訪れた際に見たベラスケスの、
若い王女の肖像画にインスパイアされて作った曲です。

元来はピアノ曲ですが後にラヴェル自身の手によって美しく流麗にオーケストレーションされました。
“管弦楽の魔術師”たるその手腕がここでも発揮されています。

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一説によると晩年事故で記憶を失った彼がこの曲を耳にした時、
「素晴らしい曲だ。一体誰が作ったのだろう?」と言ったのだそうです。

余談ですがだいぶ前に下北沢の小演劇場で見た公演で、この曲が使われていました。
話の内容は覚えていませんが、曲が流れた時の感動と印象は今も鮮明に覚えています。




ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
Maurice Ravel:Pavane pour une infante defunte


http://classical-music.aki.gs/Ravel-Pavane-pour-une-infante-defunte.mp3



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2016年05月21日


ショパン:ノクターン 第20番 嬰ハ短調 Op.72-2 「遺作」


ショパン:ノクターン、即興曲全
アラウ(クラウディオ)
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント (1997-07-02)
おすすめ度の平均: 4.0
4 カンタービレ


♪深く哀しく響くトリル… ショパン青年期の名作

ノクターンは英国の作曲家ジョン・フィールドが生み出した形式です。
フィールドがパリに滞在中に影響を受けたショパンは、
ノクターンを巧みに取り入れ、さらに芸術性を高めたものに昇華させました。
そして、ショパンを代表する形式のひとつにまでなりました。

第20番の「遺作」は彼が17,8歳の青年期の作品で、
死後に発見された遺品の数々の中から見出されました。
これは第19番も同じです。

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この曲の作曲当時のショパンには、コンスタンツィア・グラドコフスカという
一方的に思いを寄せる女性がいました。
それが大きく反映された自身の代表作「ピアノ協奏曲第2番」からの引用もあり、
なんとも言えず切なく哀しげな響きがあります。

元来は姉のピアノ練習用に書かれたようです。

ショパンのノクターンの中では第2番変ホ長調と並ぶ人気曲で、
映画「戦場のピアニスト」やテレビCMでも流れるなど広く知られています。




ショパン:ノクターン 第20番 嬰ハ短調 Op.72-2 「遺作」
F.Chopin:Nocturne No.20 in C♯minor, Op.72-2


http://classical-music.sakura.ne.jp/Chopin-Nocturn-20.mp3



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2016年05月16日


チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 Op.23 第1楽章 (序奏)


チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
ヴォロドス(アルカディ)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル(2004-11-17)
おすすめ度の平均: 5.0
5最高の演奏


♪ロシアの叙情と西洋的ロマンティシズムの融合

ピアノ協奏曲の...というよりクラシックの代名詞といってもいいほどの有名曲です。

にもかかわらずチャイコフスキーの友人で名ピアニストだったニコライ・ルービンシテインは、
「無価値で演奏不可能」と自らに献呈されたこの曲を切り捨てました。

そこでチャイコフスキーはルービンシテインへの献呈をとりやめ、
大指揮者ハンス・フォン・ビューローに献呈先を改めました。

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するとビューローは、「大変名誉に思います。この曲はいかなる点から見ても魅力的です。」
と返事を伝え、自身が初演の指揮を買って出ました。
その結果、アンコールで終楽章を繰り返さなければならない程の大成功を収めました。

ここに及んでルービンシテインも自分の非を認め、自らロシアでの指揮、ピアノ演奏を努めました。

以後、現在までこの曲は愛され続け、多くのピアニストたちの指標ともなっています。




チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 Op.23 第1楽章 (序奏)
Peter Ilyich Tchaikovsky:Piano Concerto No.1 in B flat minor, Op.23
1. Allegro non troppo e molto maestoso - Allegro con spirito


https://classical-sound.up.seesaa.net/Tchaikovsky-PianoConcerto-No1-1st.mp3



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2016年05月14日


ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」 第2楽章


ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番&第5番
ツィマーマン(クリスティアン)
ユニバーサル ミュージック クラシック (2003-10-22)
おすすめ度の平均: 5.0
5 4番はこの曲のベスト
5 圧倒的な名演奏!!☆10個の価値あり!


♪美しい旋律に彩られた珠玉の第2楽章

ベートーヴェンというといかめしい、気難しいイメージが強いと思いますが、
実はそんな面ばかりではありません。
この楽章のようにやさしく女性的な音楽もたくさんあります。

そしてまた、そのどれもが素晴らしいものばかりなのです。
天才というのは大概、両極の二面性を持ち合わせているものです。

この楽章にはベートーヴェンの穏やかな側面が象徴的に表れています。

第1楽章が変ホ長調で締めくくられたあと、
第2楽章はロ長調という遠隔調で始まるのが印象的です。

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その分、連続した第3楽章の直前ではやや強引に、元の変ホ長調に戻しています。

変ホ長調という調性はベートーヴェンの音楽では特定の意味があり、
「皇帝」の他にも交響曲第3番「英雄」のように勇壮な音楽に用いられています。

またシューマンは雄大なライン川を描いた交響曲第3番で、
ベートーヴェンを意識してかやはり変ホ長調の主調を用いています。




ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」 第2楽章
L.V.Beethoven: Piano Concerto No.5 in E flat major, Op.73 "Emperor"
2. Adagio un poco mosso


http://andotowa.sakura.ne.jp/Beethoven-PianoConcertoNo5-2.mp3



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ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14


ヴォカリーズ&オーヴェルニュの歌
アンナ・モッフォ/ストコフスキー
BMGメディアジャパン(1998-12-16)
おすすめ度の平均: 5.0
5追悼 アンナ・モッフォ


♪どこまでも美しい歌詞のない歌

「ヴォカリーズ」とは歌詞のない母音だけで歌われる歌曲の総称です。
主に練習用となるこうした歌曲の中でも、このラフマニノフの作品は突出した感があり、
今では「ヴォカリーズ」といえばラフマニノフというのが一般的になっています。

初演の歌手が「どうしてこの歌には歌詞がないのですか?」と尋ねると、
ラフマニノフは、「なぜ歌詞が必要なんだ。君はその声と音楽性だけで、
言葉以上に深く表現できるじゃないか。」と答えました。

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コーダ(6:04)ではそれまで伴奏だったピアノが主旋律に転じ、
替わってヴォーカル(ここではヴァイオリン)が即興風の上昇する対旋律を奏で始めます。
この部分が全曲中で最も感動的です。




ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14
Sergei Rachmaninoff : Vocalise Op.34, No.14


http://classical-music.aki.gs/Rachmaninov-Vocalise.mp3



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2016年05月13日


チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64 第4楽章


チャイコフスキー:交響曲第5番、他
バーンスタイン(レナード)
ユニバーサル ミュージック クラシック(2008-01-23)
おすすめ度の平均: 5.0
5これがバーンスタインの世界


♪希望に満ちた勝利の凱歌をあげる最終楽章

第5交響曲は初演当初、批評家達からこき下ろされたため、
チャイコフスキー自身も「この作品は不誠実だ」
と言ってしばらく目を向けようとしませんでした。

しかし演奏をかさねるごとに評判は高まり、
人気もあがってくると自身も気をよくして
作品に対する自信を取り戻していきました。

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第4楽章では第1楽章冒頭、クラリネット2管で提示された
「運命の主題」が短調から長調に転じ、
弦楽合奏を主体にした演奏で提示されます。

その後同主題は10:43からふたたび華々しく奏され、
そのまま怒涛のような終結に向かってなだれ込んでいくのです。




チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64 第4楽章
Tchaikovsky:Symphony No. 5 in E minor, Op. 64
4. Finale. Andante maestoso. Allegro vivace


https://classical-sound.up.seesaa.net/Tchaikovsky-SymNo5-4.mp3



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チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64 第3楽章


チャイコフスキー:交響曲第4番、第5番、第6番「悲愴」
ムラヴィンスキー(エフゲニ)
ユニバーサル ミュージック クラシック(2001-10-24)
おすすめ度の平均: 5.0
5偶然見つけました
3私好みの演奏ではありません
5一糸乱れぬ命がけの大熱演
5第5番第4楽章、マイベスト!
5切れ味抜群


♪全曲中でひと息つける優雅なワルツ

第3楽章は通常スケルツォやメヌエットですが、ここでは珍しくワルツです。

時間は短いですがいかにもチャイコフスキーらしいエッセンスの詰まった音楽です。
なんとなく「くるみ割り人形」などにも通じるような気がします。

他の楽章に比べるとまったく無理したところのない、自然体のチャイコフスキーという感じです。

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楽章の最後には全曲を通じて登場する、第1楽章冒頭の"運命の主題"が顔をのぞかせ、
その直後に壮大な全体合奏で締めくくると第4楽章に移行して行きます。




チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64 第3楽章
Tchaikovsky:Symphony No. 5 in E minor, Op. 64
3. Valse. Allegro moderato


https://classical-sound.up.seesaa.net/Tchaikovsky-SymNo5-3.mp3



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2016年05月07日


チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64 第2楽章


チャイコフスキー : 交響曲第4番ヘ短調 / 第5番ホ短調 / 第6番ロ短調 (悲愴)
ザンデルリンク(クルト)
コロムビアミュージックエンタテインメント(2003-03-26)
おすすめ度の平均: 4.5
5もっとこの巨匠の名盤が聴きたい
4第5は感動的な名演!
44番が・・・
5かつてないチャイ5!


♪第2楽章を織りなす世にも美しい二つの主題

チャイコフスキーの後期3大交響曲のひとつである第5番は、
1888年に作曲され、同年11月17日、ペテルブルグにて、
チャイコフスキー自身の指揮により初演されました。

チャイコフスキーはショパンやドヴォルザークと並ぶ、
クラシックでも指折りの旋律作家ですが、
そんな彼の作品中でも特に優れた二つの旋律が、
主題として連続して登場するのが第2楽章です。

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幻夢の彼方から響いてくるようなホルンが奏でる第1主題。
それに続くのは、思いが遠く飛翔していくかのような第2主題...。

二つの主題は次第に高まりを見せ、ついには弦が第2主題を目いっぱい奏でる
壮大で感動的なクライマックスへと上りつめていくのです。

こうした魅力的な名旋律が惜しげもなく置かれた第2楽章は特に人気で、
プログレッシブ・ロックの歌手であるアニー・ハズラムのようなポピュラー歌手が、
独自に歌詞をつけて歌っていることでも知られています。




チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64 第2楽章
Tchaikovsky:Symphony No. 5 in E minor, Op. 64
2. Andante cantabile, con alcuna licenza


https://classical-sound.up.seesaa.net/Tchaikovsky-Symphony-No5-2nd.mp3



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チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 作品64 第1楽章


チャイコフスキー:交響曲第5番
スヴェトラーノフ(エフゲニ)
ポニーキャニオン(2002-08-21)
おすすめ度の平均: 4.5
3エフゲニおじさんはこれでいいんですよね
3ブラスみたい。
5コーダのトニック4連打が全てを語る。
5☆10個あげたい
5「伝説の熱演」は嘘ではなかった。


♪運命に力強く立ち向かう姿を雄大に描く

交響曲第5番は第6番「悲愴」と並ぶ、チャイコフスキーの代表的な交響曲のひとつです。

ベートーヴェンの第5番「運命」を明らかに意識したと思われるその内容は、
暗く絶望的な第1楽章から入り、第4楽章で勝利の行進に至るという、
やはり、運命交響曲と同じような展開をもっています。

ただ「運命」と比べると人間的な弱さが各所に描かれています。
「運命」がどこまでも立派な、意志を貫く人間の理想像とすれば、
チャイコフスキーの第5番には、時に迷い脆さを見せる生身の人間が描かれ、
こちらをより身近に感じる向きもあるかもしれません。

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第1楽章冒頭、クラリネットによって示される短調の主題は、
その後、各楽章で形を変えて用いられ、ついに最終楽章で長調に転じ、
希望に満ちた勝利の主題となって、同じく長調に転じた第2主題につながります。
そしてそのまま、有無を言わさぬ壮大なクライマックスを迎えるのです。

第1楽章5:57からの第3主題は流麗な旋律が特に美しく、
"旋律王"チャイコフスキーならではの魅力を発揮しています。




チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 作品64 第1楽章
Tchaikovsky:Symphony No. 5 in E minor, Op. 64
1. Andante. Allegro con anima


https://classical-sound.up.seesaa.net/Tchaikovsky-Symphony-No5-1st.mp3



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