ブラームス:交響曲第3番
posted with あまなつ on 2014.05.10
価格: 
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♪恩師シューマンとベートーヴェンの影響を受けながらも自分の世界を確立
ブラームスの交響曲は番号を増すごとに、本来の自分らしさが前面に出ている気がします。
壮麗で立派な第1番はすべての交響曲の中でも屈指の名作ですが、
ことブラームスらしさという観点から見れば、後期ロマン派の外形はともかくとして、
そこに流れる精神性は尊敬するベートーヴェンそのものです。
ですからこころなしか無理をしているというか、頑張ってる感が否めません。
続く第2番は明るく開放的で、ブラームスにしては珍しいぐらい、淀んだところが見当たりません。
風光明媚な自然あふれる避暑地で作曲されたため、そうした気分が表れているのでしょうが、
これもやはりブラームスらしさという点からすると、
少し物足らないかな?という感が無きにしもあらずです。
以前、ブラームスファンの二人の知人と会った際、私が第2番のCDをターンテーブルに乗せると、
第1楽章序盤でCDを停められてしまい、「やっぱりこれでしょう。」と、
第4番のCDに入れ替えられてしまったのを、昨日のことのように思い出します。
しかし、第3番あたりからじわりと本来のらしさが表れ始めます。
特に有名な第3楽章などは、文句なしのブラームス節と言えるでしょう。
「ブラームスの英雄交響曲」といった呼ばれ方をすることもありますが、
ほんとにたくましいのは第1楽章の第一主題ぐらいで、
あとは総じてブラームスらしさが全体に漂っていると思います。
消え入るように終わる最終楽章も、ベートーヴェンというより明らかにブラームスです。
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そして最後の第4番。
ここではベートーヴェンのことなど忘れて、120%のブラームス節を貫いています。
その良し悪しは別として、飾らない自分の思いの実直な表現に、心打たれるものがあります。
これがブラームスの結論なのです。
ところで第3番はベートーヴェンの英雄ばかりではなく、
師匠シューマンの交響曲第3番「ライン」も強く意識しています。
第1楽章冒頭の第一主題が、まったく同じ動機で始まるのです。
すなわち「タータンタータタン」という主題の符割りです。
シューマンのは明るく上昇志向なのに対してブラームスのそれは、
徹底的に下降する、重厚でいかにもドイツ的な趣きです。
しかし、それはブラームス本来の魅力ともマッチして、
全曲中の柱となる聴きどころにもなっています。
下世話な言い方かもしれませんが、とにかくかっこいいです。
第3番はブラームスらしい陰鬱さや渋さと、第4番にはない前向きさがあり、
演奏時間も長くないので、最も入りやすいブラームスの交響曲と言えるかもしれません。

ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90 第1楽章 [新録音2014] [10:47]
J.Brahms: Symphony No.3 in F major, Op.90
1. Allegro con brio
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