2012年04月30日


パッヘルベル:カノン ニ長調 [新録音2012]

パッヘルベルのカノン/イ・ムジチ~バロック名曲集
新品最安価格:48%OFF ¥ 520 (6店出品)
レビュー平均: 4.2点 (4人がレビュー投稿)
3.0点 一部除いて、結構軽めの音
4.0点 選曲がよいです
5.0点 イージーリスニングとしてもいいでしょう
発売日:2005-06-22
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:イ・ムジチ合奏団

♪美しくも見事な調和を保ち並走する3つのヴァイオリン

「カノン」で知られるヨハン・パッヘルベルは、バロック期のドイツの作曲家です。
南ドイツ・オルガン楽派の最盛期を支えたオルガン奏者、教師でもありました。
オルガン曲・弦楽曲・声楽曲など、様々なジャンルの音楽を作曲。
その作品は200曲以上にも上ります。

またコラール前奏曲やフーガの発展に大きく貢献したところから、
バロック中期における最も重要な作曲家の一人に数えられています。
師事する弟子も多く、ドイツ中部・南部の多くの作曲家の手本となる存在でした。

クラシックの名曲としてあまりに有名な「パッヘルベルのカノン」は、
正式には「3つのヴァイオリンと通奏低音の為のカノンとジーグ 二長調」といい、
このうち前半の1曲「カノン」のみが取り上げられ、人気曲となっています。

カノンは平たく言えば「かえるのうた」の輪唱のような音楽です。
ただ、「かえるのうた」の場合、ひとつしかない旋律を繰り返すのみですが、
「パッヘルベルのカノン」では低音の、基本パターンが28回繰り返されるうち、
2小節でひと括りのヴァイオリン旋律には、二度と同じパターンは出てきません。
つまり同じコード進行で、26種類のメロディ・パターンが登場するのです。

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この1パートを2小節ずつずらしながら、計3パートで重奏していきます。
旋律の音符も四分音符から、八分音符、十六分音符と細かくなっていき、
最も印象的な♪タンタララン…の部分では、三十二分音符にまで刻んでいます。
こうして飽きさせず、他の旋律ともぶつからず、見事な調和を保ち進行します。

「カノン」の魅力としては、ポップスでも多用される「黄金のコード進行」、
すなわち[ I - V - VI - III - IV - I - II - V ]が、まず取り上げられますが、
和音だけではなく旋律も、多様で洗練されたフレーズが緻密な計算の上で、
つかず離れず、澱みなく並走、展開していくことがポイントになっています。

一発で千発分もの価値のある名曲を作ったパッヘルベル。
その代表作「カノン」には和音進行、旋律、そして旋律通しの絡み合いなど、
音楽の最も核となる部分のエッセンスが凝縮されているのです。

*演奏、音響を刷新した新録音です





パッヘルベル:カノン ニ長調 [新録音2012]
Johann Pachelbel:Canon in D



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2012年04月26日


ヴィヴァルディ:協奏曲集《四季》から 「春」 第1楽章 Op.8-1 [新録音2012]

ヴィヴァルディ:協奏曲集「和声と創意への試み」作品8の1~6<四季/海の嵐/喜び>
新品最安価格:14%OFF ¥ 1,802 (4店出品)
発売日:2009-07-22
メーカー:コロムビアミュージックエンタテインメント
アーティスト:イタリア合奏団
フォーマット:Limited Edition
時間:61(分)

♪演奏家によって様々な表情を見せるヴィヴァルディの『四季』

ヴィヴァルディの協奏曲集『四季』はイタリア・バロック期の音楽です。
この時代は演奏家にアドリブが許され、楽譜も極めて簡素に書かれていました。
ですから比較的、自由な表現が可能になり、演奏ごとに大きな違いが出ます。

例えば通奏低音のチェンバロなどは、奏者によって演奏がまったく違います。
もちろんヴァイオリン・ソロも、装飾音の付け方など人それぞれです。
また指揮者や楽団ごとに、別の曲かというぐらいに音にも表現にも個性が出ます。

「春」の第1楽章なども、冒頭から旋律を細かく切ってアクセントをつけたり、
音を伸ばし気味に緩やかにしたりと、色々な表現が聴けるのが面白いところです。
演奏家や録音ごとの違いを味わうのが、クラシックならではの楽しみ方。
それに慣れ親しんでいく上で、『四季』は最適な音楽のひとつと言えそうです。

ヴィヴァルディは本業として、ピエタという修道院の司祭を務めていました。
しかし喘息持ちで体が弱かったため、司祭の義務は免除され、
修道院の付属音楽院の孤児の女の子たちに、楽器や音楽を教えていました。
彼の多くの協奏曲は、この子たちのために書かれたとも言われています。

ヴィヴァルディにはオペラ作曲家の顔もあり、現在52曲の作品が残っています。
自作オペラの上演で各地を回り、ほとんど音楽院にいない時期もありました。
オペラ作曲家としての成功こそが、彼の本懐だったのかもしれません。

しかし、音楽院にとって彼は、余程に必要な存在だったのでしょう。
1723年7月にピエタ聖会議は、ヴィヴァルディに対してピエタのオーケストラのために、
協奏曲を月に2曲提供すること、旅行中は楽譜を郵送すること、
また、リハーサルを3回から4回ほど指導するよう要求しました。

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そしてこのことが、ヴィヴァルディを決して協奏曲の作曲から離れさせず、
結果として後の『四季』を含むヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』
などの作曲に、つながっていったとも言えるのです。

協奏曲なら技術のあるソリストが何人かいれば形になります。
当然、名手ヴィヴァルディ先生も、自らソロを弾きながら指揮もしたでしょう。
生徒の中にはもちろん、楽器は苦手という子もいたと思います。
でも大人数の伴奏の合奏に入れば、それもあまり目立ちません。
こうして子供たちは楽しく合奏しながら、音楽に親しむことができたのです。

*演奏と音響を刷新した新録音です。(ヴァイオリンソロの不協和音を改めました 5/17)





ヴィヴァルディ:協奏曲集《四季》から 「春」 第1楽章 Op.8-1 [新録音2012] [3:25]
Antonio Vivaldi:"The Four Seasons" Op.8-1 "Spring" 1. Allegro



>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Listen & Download]

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2012年04月20日


エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 Op.39 [新録音2012]

エルガー:「威風堂々」第1番~第6番、弦楽セレナード
新品最安価格:42%OFF ¥ 1,737 (11店出品)
レビュー平均: 5.0点 (1人がレビュー投稿)
5.0点 エルガー・チクルス完結!
発売日:2009-10-21
メーカー:エクストン
アーティスト:アシュケナージ(ウラディーミル)
フォーマット:SACD

♪第2の国歌としてイギリス国民に愛される名歌

イギリス・ロンドンで毎年夏に開催される、世界的なクラシック音楽祭「ザ・プロムス」。
8週間に及ぶシリーズの最終日(ラスト・ナイト)では、BBC交響楽団と合唱団、
そして聴衆が一体となって、『威風堂々』を歌い上げてフィナーレを締めくくります。
その高揚感に満ちたシーンからは、いかにイギリス国民が第2の国歌として、
この曲を愛しているかが、否が応でも伝わってきます。

『威風堂々』とひと口に言えば、ニ長調の第1番か、あるいはその中間部(2:00)の、
トリオの有名な旋律、『希望と栄光の国』(Land of Hope and Glory)を想起しますが、
実際にはエルガー自身が完成させた、第1番から第5番までの5曲と、
アンソニー・ペインが補完した第6番の、全6曲の行進曲集を指します。

原題"Pomp and Circumstance"は、シェイクスピアの戯曲『オセロ』第3幕第3場の、
『Pomp and Circumstance of gloriouswar』という台詞から取られています。
「壮麗、華麗」を意味するPomp、「儀式張った、物々しい」を意味するCircumstance。
『威風堂々』の訳はこれらから考えて、かなり意訳に近いかもしれませんが、
ウェーバーの『魔弾の射手』のように、指折りの名訳と呼んでもいいと思います。

1901年に作曲の第1番は、友人のアルフレッド・ロードウォルドに捧げられました。
ロードウォルドはリヴァプールで繊維会社を経営する実業家で、
自ら組織するリヴァプール・オーケストラ協会の指揮者でもありました。

彼はエルガーの理解者として経済的な援助を惜しまず、
これに感謝したエルガーは、ロードウォルドとオーケストラに第1番を捧げたのです。
作曲年の10月19日にリヴァプールにて、ロードウォルドの指揮で初演されました。

3日後の1901年10月22日、ロンドンのクイーンズホールでの演奏会は大盛況で、
秩序を回復するために、2度のアンコールに応えたと指揮者ウッドは伝えています。

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国王エドワード7世は中間部のメロディを「いずれ世界中に広まるだろう」と絶賛し、
エルガーに歌詞を付けることを勧めました。
そこでエルガーは翌年に、国王のための『戴冠式頌歌』(Coronation Ode)を作曲。
終曲に中間部の旋律を用いて、作家A.C.ベンソンの祖国を讃える内容の詩を付け、
『希望と栄光の国』というアルト独唱、合唱団と管弦楽のための曲に仕上げました。

さらにこの曲の人気に目をつけた出版社が、独立した歌曲として売り出し、
『希望と栄光の国』は国歌に次ぐ、国民的な愛唱歌となっていったのです。
現在でもザ・プロムスなどにおける演奏がBBCで放映される際には、
歌曲の最初の部分でエリザベス2世女王の映像が、必ず流されることになっています。

*演奏と音響を刷新した新録音です





エルガー:威風堂々 第1番 ニ長調 Op.39 [新録音2012]
Sir Edward William Elgar:Pomp and Circumstance March No.1 in D Op.39



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2012年04月16日


ヘンデル:王宮の花火の音楽 HWV351 4. 歓喜

ヘンデル:水上の音楽
新品最安価格:14%OFF ¥ 858 (4店出品)
レビュー平均: 4.3点 (7人がレビュー投稿)
4.0点 大人(たいじん)のヘンデル!
5.0点 セルの面目躍如
5.0点 ヘンデル・水上の音楽、王宮の花火の音楽
発売日:2002-03-27
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:セル(ジョージ)

♪戦争終結の和約を祝した花火大会の華やかな音楽

1749年4月27日、ロンドン中心部の王宮に隣接するグリーンパークは、
この日の催し物を見ようと詰めかけた、多くの群集で埋め尽くされていました。
イギリスが参戦し1740年に始まった、オーストリア継承戦争の終結に際して開かれた、
アーヘンの和約(1748年10月)を祝して企画された大規模な花火大会です。

時の国王ジョージ2世は、この祝典を盛り上げるための音楽の作曲を、
国王と同世代で旧知の仲だったヘンデルに依頼しました。
1710年からヘンデルは活動の拠点をロンドンに移していました。
そして、50以上のオペラやオラトリオにより、その地位を不動のものにしていたのです。

当初ヘンデルは弦楽を伴う管弦楽曲として作曲する予定でしたが、
勇壮さを求めた国王の要望に応え、大編成の管楽器と打楽器用に仕上げました。
それはトランペット9、ホルン9、オーボエ24、ファゴット12、コントラファゴット1、
ティンパニー3、小太鼓2、更にセルバンを加えた、総勢57人による大合奏でした。

初演ではこれに管楽器を追加して、結局数は100本以上になったといいます。
花火大会の1週間前の公開練習には、1万2千人が集まり評判を呼びました。

こうして開かれたグリーンパークの花火大会でしたが、
序曲が演奏されて101発のカノン砲が撃たれたあと、思わぬ悲劇が起こります。
花火の打ち上げ開始から、ほどなくして雨が降り出し、花火の着火もままならず、
なんとか着火できても発射台が転倒して花火が木造建築に引火し、
ついにはジョージ2世の像までが焼け落ちてしまったのです。

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悲鳴をあげて逃げ惑う群衆…大会は大失敗です。
責任者セルヴァンドーニは半狂乱になり、役員に切りつける騒ぎにまでなりました。
ところがこのことで、人々の関心はヘンデルが作曲した音楽に集まり、
結果として「王宮の花火の音楽」は、期待通りの大成功を収めたのでした。

祝賀会のあと、ヘンデルはこれに弦楽器を加え、管楽器の編成を調整し、
演奏会用の管弦楽曲として、5月にロンドンの慈善音楽会で演奏しました。
序曲と花火の合間に演奏する舞曲風の小曲からなる「王宮の花火の音楽」は、
その後、ハーティやストコフスキーなど様々な指揮者が編曲し、組曲としています。





ヘンデル:王宮の花火の音楽 HWV351 4. 歓喜
George Frideric Handel:Music for the Royal Fireworks
4. La Réjouissance: Allegro



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2012年04月12日


クラーク:トランペット・ヴォランタリー (デンマーク王子の行進曲)

クラシック・ウイントン~ベスト・アルバム~
新品最安価格:20%OFF ¥ 1,340 (10店出品)
レビュー平均: 4.5点 (2人がレビュー投稿)
5.0点 ゴキゲンです
4.0点 聖グレゴリウスの祈り
発売日:2004-11-17
メーカー:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
アーティスト:マルサリス(ウイントン)

♪結婚式でもおなじみの優雅なトランペット曲

この曲は長らくイギリスの大作曲家ヘンリー・パーセルの作とされてきました。
しかし実際は同じくイギリスのバロック期の作曲家ジェレマイア・クラークの作品です。

クラークは1674年にロンドンで生まれたとされています。
セント・ポール大聖堂でジョン・ブロウに師事。
後に王室礼拝堂のオルガン奏者となり、同時に作曲活動を続けました。
身分が上の美しい女性に恋した彼は、銃で自らの命を絶ったということです。

《トランペット・ヴォランタリー》として、結婚式でもよく聴かれるこの曲は、
クラークが「ハープシコードのためのエア選曲集」という当時の曲集に寄せた、
《デンマーク王子の行進曲 - The Prince of Denmark's March》という曲が原曲です。

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チェンバロ用の鍵盤曲だったこの曲を、1900年頃の指揮者ヘンリー・ウッドが、
トランペットとオルガン用に編曲した際、「パーセルのトランペット・ヴォランタリー」
と紹介したことが、その後に続いた作曲者の誤解を招いてしまったようです。

ウッドが使用したらしい、19世紀のオルガン用編曲版にはパーセル原曲と記され、
また、パーセルの作品群の資料中に、作者不明としてこの曲が混入していたことが、
ウッド自身にも誤解を生じさせたともみられています。

《デンマーク王子の行進曲》はクラーク作曲の管楽器のための組曲にも含まれ、
このことから原曲は、トランペットと管楽器のアンサンブルだった可能性もあります。

「ヴォランタリー」は教会の礼拝前後と、その合間に演奏されるオルガン曲です。
華やかな曲調から、結婚式の退場の際に用いられることもあります。

余談ですがこの曲には日本の唱歌「お正月」「春が来た」に聴こえる部分があります。
またビートルズの「It's all too much」の後半で、この曲の冒頭フレーズが登場しています。





クラーク:トランペット・ヴォランタリー (デンマーク王子の行進曲)
Jeremiah Clarke:Trumpet Voluntary - The Prince of Denmark's March



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2012年04月08日


プーランク:愛の小径

アヴェ・マリア(世界の歌)
新品最安価格:14%OFF ¥ 2,428 (3店出品)
レビュー平均: 5.0点 (2人がレビュー投稿)
5.0点 懐かしい…
5.0点 やわらかく心に響く歌声
発売日:1995-04-08
メーカー:EMIミュージック・ジャパン
アーティスト:中丸三千繪

♪大女優イヴォンヌ・プランタンのためのシャンソン風なワルツ

フランシス・プーランクは1899年1月7日、パリの下町ソーセ広場に生を受けました。
父親エミールは、後に半国営化した化学工業会社を営む経営者。
母ジェニーは木工品を取り扱う職人の家系で、アマチュアのピアニストでした。

裕福な家庭で母から音楽の影響を受けて育ったプーランクは、
個人的にピアノや対位法を学んだことはあるものの、
音楽学校で正規の音楽教育は受けずに、作曲の力を身につけていきました。

プーランクの音楽はクラシックというジャンルに区分されながらも、
軽音楽も好んだ母親の影響か、ほとんど俗音楽に近い面もあります。
歌曲「愛の小径」も、クラシック歌手とシャンソン歌手の双方が取り上げています。

第二次大戦中、パリがドイツ軍によって侵攻されていた最中、
プーランクはバリトン歌手のピエール・ベルナクとともに慰問活動をしていました。
そしてパリから200キロ離れた疎開先の、ノワゼーに久しぶりに戻った際に、
ジャン・アヌイの芝居「レオカディア-Leocadia」の再開公演を受けて、
この舞台のための劇付随音楽を作曲することになったのです。


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「愛の小径」はこの舞台の第3幕で、劇中歌として歌われる歌曲。
『イヴォンヌ・プランタンのためのワルツの調べ』という副題の通り、
当時のフランスの花形歌手であり女優だった、イヴォンヌ・プランタン
(1894–1977)のために書かれ、初演もプランタンによって歌われました。

原曲はピアノ、クラリネット、コントラバス、ファゴットと特殊な編成で、
パリの小劇場が似合う室内オーケストラ的な響きです。
これが現在ではフルオーケストラからピアノのみの伴奏版まで、
様々に編曲され、ジャンルを越えて幅広く親しまれています。

歌の歌詞は別れた恋人との、愛の日々を追想する内容です。
失われてしまった、楽しく輝いた幸福な瞬間に思いを馳せながらも、
涙を微笑みに変えようという、フランス的なエスプリが感じられます。
これはそのままプーランクの音楽ならではの洒脱ともいえます。


プーランク:愛の小径
Francis Poulenc: Les chemins de l'amour

*作曲者の著作権が存続中のため、ストリーミング再生のみです。



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2012年04月04日


プーランク:即興曲第15番 ハ短調 「エディット・ピアフを讃えて」

田部京子ベスト~CDデビュー10周年記念盤
新品最安価格:14%OFF ¥ 1,716 (4店出品)
レビュー平均: 5.0点 (1人がレビュー投稿)
5.0点 なんとなく名曲集、ではありません。
発売日:2003-10-22
メーカー:コロムビアミュージックエンタテインメント
アーティスト:田部京子

♪伝説のシャンソン歌手エディット・ピアフへのオマージュ

「ピアフはまさに、偉大というべき存在だった。彼女の真似は誰にもできない。 - F.プーランク」

プーランクの即興曲第15番ハ短調は、「エディットピアフを讃えて」の副題の通り、
フランスの伝説的なシャンソン歌手、エディット・ピアフに捧げられた作品です。

20世紀前半から、中頃にかけてのフランス芸術界は、詩人ジャン・コクトーを中心に、
様々なジャンルの芸術家たちが、フランス芸術の新たな在り方を模索していました。
ピアフはコクトーの盟友で、その親友的関係はコクトーの晩年まで続きました。

自身もフランス6人組の一人として、新しい音楽の在り方を探していたプーランクは、
コクトーの元に頻繁に出入りする中で、ピアフとも交流を持つようになったのです。

プーランクはこの曲で、ピアフの芸術家としての姿勢や存在、生き方を讃えました。
クラシックとシャンソンというジャンルの違いを越えて、
二人はたがいに認め合い、理解し合える間柄だったのです。

ですからプーランクはこのピアノ曲のモチーフとして、
ピアフも大事に歌っていた、あるシャンソンのフレーズを引用しました。
日本では「枯葉」のタイトルで知られる、スタンダード曲「Autumn Leaves」です。

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シャンソンが元になっているためか、この曲は現代的で洒落た風情があり、
プーランクのピアノ・ソロ作品の中でも、異質な存在になっています。
1959年のプーランク60歳、ピアフ44歳の年に作曲されました。

短調で進められて来たこの曲が、最後に光射すように長調に転じて、
そのまま締めくくられるのかと思いきや、再び短調で終わるのが印象的です。
あたかも波乱万丈だったピアフの人生を、そこに映し出しているかのようです。

この曲を聴くとブラームスの「間奏曲」や、シベリウスの「樅の木」などの、
感傷的で少し寂しげなピアノ曲も聴きたい気分になります。
クラシックをあまり聴かない方でも、すんなり入ってくる作品だと思います。




プーランク:即興曲第15番 ハ短調 「エディット・ピアフを讃えて」
Francis Poulenc:Improvisation 15 Hommage à Edith Piaf

プーランク:即興曲第15番 ハ短調「エディット・ピアフを讃えて」 - ストリーミング再生



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