2012年02月26日


メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90 「イタリア」 第2楽章

メンデルスゾーン:交響曲全集
新品最安価格:20%OFF ¥ 2,390 (5店出品)
レビュー平均: 4.5点 (4人がレビュー投稿)
4.0点 第一級の全集だが
4.0点 決定版と言って良い全集だが
5.0点 メンデルスゾーン全集の金字塔
発売日:2009-02-04
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
クリエーター:アバド(指揮) ロンドン交響楽団(演奏)

♪開放感あふれるイタリア交響曲の荘重な楽章

メンデルスゾーンの生まれ育った街である、北ドイツのハンブルクは、
気候は温暖とは言えず、どちらかと言えば暗いイメージの都市でした。

しかし、裕福な銀行家の息子として生まれたメンデルスゾーンは、
経済的には恵まれていたので、好きに旅行などを楽しむことができました。
1829年の二十歳の時には、イギリスを始め、ヨーロッパ各地を旅しています。

そうして訪れた南欧イタリアの明るく、開放的なムードに触発された彼は、
交響曲やピアノ曲などの作品に、その印象を表していきました。
中でも代表的なものは、やはり交響曲第4番の「イタリア」と言えます。

この曲は1830年から1831年にかけてのイタリア滞在中に着手され、
1833年3月の24歳の時に完成。
同年の5月13日に自身が指揮するロンドン・フィルハーモニーによって初演されました。

その後も「イタリア」は何度か改訂され、1837年に改訂が終わり再演されています。
しかし、メンデルスゾーンの在世中は出版されず、ドイツでは演奏もされませんでした。
再演から12年後の1849年、ライプチヒでリーツの指揮により演奏されると、
1851年になってようやく、出版の日の目を見ることになりました。

この12年の間の1842年に完成し、同年3月3日にライプチヒ・ケヴァントハウスで、
自らの指揮により発表されたのが、第3番の「スコットランド」です。
つまり完成順では「イタリア」の方が先で、「スコットランド」が後ということになります。

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また、出版の順番上、第5番にあたる「宗教改革」は1832年の作品なので、
「スコットランド」はその2年前に完成した、第2番の交響交声曲「讃歌」に続き、
メンデルスゾーンの事実上、最後の交響曲ということになります。

「イタリア」は全般に開放感と躍動感があふれる作風が特徴ですが、
短調の第2楽章には、荘重な趣きと、寂寥感が漂っています。
イタリア旅行中に遭遇した、教皇グレゴリウス16世の就任式の、
壮大な儀式から受けた影響が、第2楽章の厳かさに現れているともされています。





メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調 Op.90 「イタリア」 第2楽章
Felix Mendelssohn:Symphony No.4 in A major, Op.90 "Italian"
2. Andante con moto



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2012年02月21日


ブルグミュラー:25の練習曲 Op.100 2. アラベスク

ブルグミュラー:25の練習曲集Op.100 他 (Burgmuller : Complete Etudes / Aki Kuroda (P)) (2CD+1DVD) [日本語解説付] [Import]
定価:¥ 4,813
レビュー平均: 5.0点 (1人がレビュー投稿)
5.0点 癒されました
発売日:2011-06-20
メーカー:LIMEN
アーティスト:黒田亜樹

♪ピアノの練習曲として日本では特にお馴染み

もしかしたら日本人にとって一番馴染みのあるクラシック曲かもしれません。
住宅街を歩けば子供がこの曲を練習する、ピアノの音色がよく聴こえてきます。
またピアノを習ったことがある方なら、一度は弾かれたこともあるでしょう。

1806年生まれのドイツの作曲家、ヨハン・ブルグミュラーの『25の練習曲』は、
日本のヤマハがピアノ教則本として採用していることもあり、
私たち日本人には特によく知られる、クラシックのピアノ作品になっています。

分けても第2曲『アラベスク』は、フレーズの軽快さからか子供たちに人気で、
練習曲中でも最も知名度が高く、接する機会の多い曲です。
アラビアやスペイン風の舞曲で右手が女性、左手が男性のダンスを表しています。

『25の練習曲』は技術的にはバイエルを終了して次へ進む前の、
本格的な作品につながる橋渡し的な練習曲集になっています。
教育用の音楽作品としては、無駄のない緻密な作りが特徴で、
芸術作品としても完成度が高く、そのあたりが人気の秘密と見られています。

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26歳でピアノ教師を務めるために、パリに移住したブルグミュラーは、
レッスンの傍らピアノ小品や、いくつかのオペラやバレエを作曲しました。
また、アダンのバレエ『ジゼル』の捕作(数曲の追加)でも知られています。

父はオルガン奏者・指揮者のヨハン・アウグスト・フランツ・ブルクミュラー。
弟のノルベルトもまた作曲家で、メンデルスゾーンとも親交のある人物でした。
実はヨーロッパではブルグミュラーといえば、父か弟のことを指します。
ヨハンの日本での知名度は、やはり教則本によるところが大きいと言えます。

ブルグミュラーが68年の生涯で作った曲は、600を超えると推測されますが、
現在一般に紹介されているのは、その内のごく一部です。
1874年、マロール・ザン・ウルポア村のボーリューで亡くなりました。





Johann Friedrich Franz Burgmüller:25 Etudes 2. L' Arabesque



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2012年02月15日


ラヴェル:ラ・ヴァルス [2台ピアノ版]

魔法使いの弟子~スーパー・ピアノ・デュオ
新品最安価格:15%OFF ¥ 885 (6店出品)
レビュー平均: 5.0点 (1人がレビュー投稿)
5.0点 超絶技巧が止まらない
発売日:2004-01-21
メーカー:ワーナーミュージック・ジャパン
アーティスト:ラビノヴィチ(アレクサンドル) アルゲリッチ(マルタ)

♪ウィンナ・ワルツへのオマージュとして構想された『ラ・ヴァルス』

管弦楽のための舞踏詩『ラ・ヴァルス』は、1920年完成のラヴェル45歳頃の作品です。
管弦楽版の他に、自身編曲による2台ピアノ版、連弾版、ピアノ独奏版があります。
ラ・ヴァルスとはフランス語のワルツの意味で、ヨハン・シュトラウス2世を愛した彼が、
19世紀末のウィンナ・ワルツへの礼賛として作曲したバレエ音楽です。

こうした構想は1900年代初頭には、既に顔を見せ始めていて、
1912年の『高雅で感傷的なワルツ』は、後の『ラ・ヴァルス』に通じるところが大きく、
また1914年頃には、交響詩『ウィーン』という未完の管弦楽曲が残されています。

しかし、『ラ・ヴァルス』が具体化し始めたのは、1917年からのことです。
第一次世界大戦中に健康を害し、加えて母親の死というショックに見舞われ、
3年間にわたって実質的な新作が生まれなかったラヴェルの元へ、
ロシア・バレエ団の主宰者セルゲイ・ディアギレフが自ら訪れ、
新作バレエのための音楽を依頼し、またラヴェルもこれを了承したのでした。

こうして1919年から1920年にかけて作曲された『ラ・ヴァルス』の楽譜には、
楽曲の内容を表す、次のような標題が添記されていました。

渦巻く雲の絶え間から、ワルツを踊る数組の男女の姿が浮かび上がってくる
雲は次第に消え去ると、A部において凱旋する人々で満たされたダンス会場が現れ、
その光景が少しずつ描かれていく
B部のフォルティッシモでシャンデリアの光がいっせいに灯る
1855年頃のオーストリア宮廷が舞台

ラヴェルは完成した舞踊詩『ラ・ヴァルス』の2台ピアノ版を、
ディアギレフのパトロンであったミシア・セールの邸宅において、
マルセル・メイエールとともに演奏してディアギレフに聴かせました。
その場にはバレエ・リュスの振付家・ダンサーのレオニード・マシーンや、
作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー、フランシス・プーランクが居合わせました。

しかし演奏を聴いたディアギレフは、『ラ・ヴァルス』が傑作であることは認めつつも、
バレエには不向きな「バレエの肖像画、バレエの絵」であるとして、
受け取りを拒否し、これ以来ラヴェルとディアギレフは不仲となったのです。

その後初演はまず、2台ピアノ版が1920年10月23日にウィーンにおいて、
アルフレード・カゼッラとラヴェルによって行われ、
2ヶ月後の1920年12月12日、パリにおいて原曲の管弦楽版が、
カミーユ・シュヴィヤール指揮ラムルー管弦楽団によって演奏されました。

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ウィンナ・ワルツへのオマージュとして構想された『ラ・ヴァルス』でしたが、
その内容に優雅なウィンナ・ワルツの気配は薄く、
ラヴェル特有のウィットに富み、終結に向けて狂気さえはらんでいきます。
これにはラヴェル自身が従軍した第一次世界大戦と、
その後の心的外傷後ストレス障害が影響を与えているといわれています。

しかし音楽がどんなに常軌を逸しようとも、フランスのお洒落な感覚は失わず、
様々な解釈と自由なイメージで遊べるのも、この作品の大きな魅力です。





Maurice Ravel:La Valse [2piano]
ラヴェル:ラ・ヴァルス [2台ピアノ版]



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2012年02月09日


エルガー:愛のあいさつ Op.12 [ピアノ版]

愛の挨拶~ピアノ名曲の花束~
新品最安価格:19%OFF ¥ 2,400 (10店出品)
レビュー平均: 4.7点 (3人がレビュー投稿)
5.0点 シンプルなのに優美な情感
5.0点 さりげない好演奏
4.0点 甘露。
発売日:2005-05-21
メーカー:ビクターエンタテインメント
アーティスト:ヘルマン(コルネリア)

♪英国の音楽を再興した国家的な作曲家

ダウランドのような吟遊詩人の時代には、歌を中心に華やかだったイギリスの音楽。
しかしその後、バロック期の大作曲家、パーセルの登場を最後に、
イギリスではしばらく楽聖の存在しない時代が続きました。

古典派やロマン派の時代を見渡しても、これといった作曲家はいません。
ビートルズを輩出した国としては、少し不思議な気がしないでもありません。

そうした最中、19世紀後半のイギリスに、ようやく大作曲家が登場します。
国家のために作った数々の名曲と、その功績からサーの位を受け、
国王の恩恵と世の賞賛を一身に受けたエドワード・エルガーです。

エルガーは1957年6月2日、イングランドのブロードヒースに生まれました。
オルガン奏者の父の手ほどきで、早くからオルガン演奏を始め、
1887年にポリッツァノにヴァイオリンを学び、それを活かして
ヴァイオリン教師として生計を立てながら、ほぼ独学で作曲や指揮法を学びました。

父の死後は聖ジョージ教会堂のオルガン奏者を引き継ぎ、
アマチュアの指揮者などをしながら、地道な音楽活動を続けていました。
1889年に結婚したキャロライン・アリス・ロバーツは、
この時代にエルガーのピアノの生徒だった女性です。

1888年に作曲されたエルガー初期の作品「愛のあいさつ」は、
結婚前の彼からキャロラインへの、音楽の贈り物でした。
ヴァイオリンで奏でられる優美な旋律は人気が高く、
ピアノ曲としても大変親しまれています。

エルガーはこの後、1899年に「エニグマ変奏曲」で話題を集め、
リヒャルト・シュトラウスからも賞賛を受けるなど、
その名声はヨーロッパ中へと広まっていきました。

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1901年に作曲の「威風堂々」は、国王エドワード七世の戴冠式で演奏され、
その後もイギリスの公式会合では、必ず演奏される慣わしとなっていきました。
こうして多くの賞賛と名誉を受けながら、エルガーは1934年2月23日に、
故郷のブロードヒースにて、高雅なその作曲家人生に幕を閉じたのでした。

*この曲はヴァイオリン版を公開していましたが、今回は改めてピアノ版でご紹介しました。





Edward Elgar:Salut d'amour (liebesgruss), Op12 [Piano ver.]
エルガー:愛のあいさつ Op.12 [ピアノ版]



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2012年02月06日


ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》 第1幕への前奏曲

ワーグナー:トリスタンとイゾルデ 全曲
新品最安価格:8%OFF ¥ 7,105 (6店出品)
レビュー平均: 5.0点 (1人がレビュー投稿)
5.0点 最高の名演を最高の音質で
発売日:2011-06-22
メーカー:EMIミュージックジャパン
クリエーター:フルトヴェングラー(ヴィルヘルム)(指揮)

♪現代音楽へのマイルストーンとなった“トリスタン和音”


この作曲家がこれで何をしようとしていたのか、
いまだにほんの少しでさえもわからないということを、私は告白せねばなりません
− H.ベルリオーズ

この曲の最初の一音は、ダ・ヴィンチのどんな芸術の魔力をも失わせてしまう
− F.ニーチェ


楽劇『トリスタンとイゾルデ』の音楽史における存在の意味合いには、
短い文面では説明できないほど、計り知れなく大きいものがあります。
そしてそれが集約されたのが、全曲に先立って演奏される第1幕への前奏曲です。

トリスタン和音と呼ばれる和音があります。
これは前奏曲の冒頭で現れる、F、B、D#、G#から構成される和音(0:06)ですが、
理論的に解決されないまま、次のフレーズへと進んでしまうので、
音楽史的には調性の崩壊につながったとされているのです。

また、古典的機能和声の崩壊にも影響を与えた半音階の多用や、
終止音を避けて延々と続く「無限旋律」など、トリスタンとイゾルデには
それまでに無かった斬新な試みが盛り込まれています。
このため音楽史上のひとつの里程標と見なされているのです。

作曲時に報われぬ恋愛関係にあったマティルデ・ヴェーゼンドンクに当てた書面で、
ワーグナーは前奏曲についての表題的解釈を、次のように書き記しています。


…そこで彼はただ一度だけ、しかし長く分節された一つの線で、
もっとも控えめな告白と、もっとも儚い献身から始め、不安な溜息、希望と畏れ、
嘆きと望み、歓喜と苦悩をへて、もっとも強い衝動、もっとも激しい努力へと、
その満たされることのない欲求を高めていった。
それは途方もなく熱望する心に、無限の愛の歓喜の海へ到達する道を開き、
突破口を見いだそうとする欲求である。


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マティルデは自分を擁護するパトロン、ヴェーゼンドンクの若き妻であり、
ワーグナー自身にもミンナという連れ添った妻がありました。
どれほど互いに惹かれようとも、決して成就することのない恋愛の苦しみと、
マティルデへの焦がれるような思いが、途切れることのない旋律となり、
解決しない不協和音となり、形式を超えた音楽へと結実していったのです。

そして、トリスタンとイゾルデの圧倒的な魔力と極限的な感情表現は、
その後の芸術家たちの創造活動に、大きな影響を及ぼし続けたのです。

第1幕への前奏曲と終幕のクライマックスを飾る「イゾルデの愛の死」は、
ワーグナーが先行演奏会でこの2曲を取り上げたことにちなみ、
現在でも「前奏曲と愛の死」と題し、連結したひとつの曲として演奏されています。





ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》 第1幕への前奏曲
Richard Wagner:Tristan und Isolde Prelude to Act 1



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2012年02月01日


ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》 第3幕 「イゾルデの愛の死」

ワーグナー : 楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲
新品最安価格:20%OFF ¥ 4,849 (7店出品)
レビュー平均: 4.5点 (11人がレビュー投稿)
5.0点 “ドレスデンの燻し銀の弦”も魅力です
4.0点 この曲の最高の録音の一つ。
5.0点 バイロイトとは違った趣があります
発売日:2000-03-01
メーカー:ポリドール
クリエーター:クライバー(カルロス)(指揮) コロ(ルネ)(演奏)

♪楽劇終幕のクライマックスを飾るイゾルデの絶唱

音楽家として、またひとりの人間として、波乱万丈の人生を送ったワーグナー。
女性との道ならぬ関係や借金苦からの国外への逃亡など、
そのエピソードの数々には、自らの歌劇、楽劇の筋にも劣らぬ派手さがあります。
そしてそれらの実人生が創作や、作品の内容に反映されることも多々ありました。

シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の題材にもなったとされる、
ケルト起源の恋愛説話「トリスタン物語」に基づく、楽劇「トリスタンとイゾルデ」も、
そうしたワーグナーの実際の恋愛が、創作の契機になった作品のひとつです。

1849年、ワーグナーが36歳の時のこと。
ドレスデン蜂起に連座したワーグナーは、政治犯として指名手配され、
以後9年間、スイスのチューリッヒへの亡命生活を、余儀なくされました。

スイスでは豪商オットー・ヴェーゼンドンクがパトロンとなり、
家を提供するなどしてワーグナーと、その妻ミンナをバックアップしたのですが、
こともあろうかワーグナーはヴェーゼンドンクの若い妻であった、
マティルデと熱烈な恋におちてしまったのです。

ワーグナーはマティルデとの叶わぬ恋の苦しみと、理想の愛の形を、
作品の中で昇華させるかのように、楽劇の作曲に打ち込んでいきました。

しかし、第1幕完成直後にワーグナーとマティルデの関係が発覚します。
マティルデに宛てた秘密の手紙を、妻ミンナが読んでしまったのです。
やがてワーグナー夫妻はチューリッヒを離れ、妻はひとりドレスデンに去りました。

その後も楽劇の作曲は続けられ、イタリアのヴェネツィアで第2幕が、
スイスのルツェルンで第3幕が書き上げられました。
ヴェネツィアからマティルデに送った手紙にワーグナーは、
「私の芸術の最高峰」と、その自信のほどを書き記しています。

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「イゾルデの愛の死」は終幕のクライマックスで、剣に倒れたトリスタンの後を追い、
自らも命を絶とうというイゾルデによって歌い上げられます。
ワーグナーが全曲の初演に先立って演奏会形式で発表した際に、
第1幕への前奏曲と第3幕終結部「イゾルデの愛の死」を演奏したため、
現在でも管弦楽曲として、独立してコンサートでも演奏されています。

また、後に娘コジマがワーグナーの妻となるフランツ・リストによる、
ピアノ・トランスクリプションもよく知られています。
指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻だったコジマとワーグナーは当初、
不倫関係だったため、怒ったリストとワーグナーは絶縁状態の時期がありました。

にもかかわらずその時期に、こうしてトランスクリプションを書いたのは、
リストがワーグナーを音楽家として、変わらず認めていたことの証でしょう。
無調が取りざたされる「トリスタンとイゾルデ」という楽劇の中で、
「イゾルデの愛の死」は調性もはっきりした、わかりやすく美しい音楽です。





ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》 第3幕 「イゾルデの愛の死」
Richard Wagner:Tristan und Isolde Act 3 “Liebestod”



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