2011年12月29日


マイケル・ナイマン:映画《ピアノレッスン》から 「楽しみを希う心」

ピアノ・レッスン オリジナル・サウンドトラック
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レビュー平均: 4.9点 (9人がレビュー投稿)
5.0点 ナイマンの世界
5.0点 ファンならゲットしなくてはならない
4.0点 映画が好きなら買うべし!
発売日:1993-12-08
メーカー:EMIミュージック・ジャパン
クリエーター:マイケル・ナイマン(作曲/指揮/Piano)

♪言葉を持たない主人公の内面を映し出すピアノ

1993年公開のフランス/ニュージーランド/オーストラリア映画『ピアノ・レッスン』で、
主人公・エイダが奏でる映画のメインテーマとも言うべきピアノソロ曲です。
サントラ盤では作曲者のマイケル・ナイマン自身によるピアノ演奏ですが、
劇中ではエイダを演じる主演の、ホリー・ハンター自らがピアノを弾いています。

物語は19世紀のニュージーランドが舞台。
主人公のエイダとその娘フローラは、ピアノ一台と伴にスコットランドを旅立ち、
当時まだ未開の地だった、ニュージーランド南端の孤島にたどり着きます。

訪れた目的は夫となる土地買人のスチュアートとの再婚。
しかしスチュアートはピアノは重すぎると海辺に置き去りにしてしまいます。
6歳から口がきけないエイダにとって、ピアノは代わりに語ってくれる大切なもの。
エイダは娘を連れて何度も、浜辺にピアノを弾きに訪れました。

その姿に惹かれた通訳のベインズは、ピアノをスチュアートから入手。
エイダに「黒鍵の数だけ自分にレッスンをしてくれたらピアノを返す」と約束します。
こうして始まったレッスンを重ねるうち、二人はお互いに惹かれあっていくのでした…。

作曲のマイケル・ナイマンは英国ロンドン出身の現代音楽の巨匠です。
ピーター・グリーナウェイ監督作品の音楽で、一部では知られた存在でしたが、
93年のカンヌ映画祭グランプリ作品『The Piano(ピアノ・レッスン)』の音楽により、
一躍その名を全世界に轟かせることになります。


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主人公の内面を映し出すようなサントラは、全世界で300万枚以上を売り上げ、
特に「The Heart Asks Pleasure First - 楽しみを希う(こいねがう)心」は、
映画の顔として浸透し、ヒーリング系のアルバムにもよく取り上げられました。

映画『ピアノ・レッスン』の音楽は、94年のピアノコンチェルトの素材にもなっています。
この曲は協奏曲というより、ピアノも伴ったオーケストラ曲といった趣きの作品です。

その後、ナイマンは 2003年に初のヴァイオリン交響曲を作曲。
現代音楽に理解を持つ世界的ヴァイオリニスト、ギドン・クレーメルと共演しました。


マイケル・ナイマン:映画《ピアノレッスン》から 「楽しみを希う心」
Michael Nyman:The Heart Asks Pleasure First from "The Piano"


*楽曲の著作権が継続中のため音源はストリーミング再生のみです



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2011年12月23日


ブルックナー:アヴェ・マリア ヘ長調 WAB.6 (第2曲)

アヴェ・マリア〜聖なる調べ
新品最安価格:17%OFF ¥ 868 (6店出品)
レビュー平均: 4.8点 (10人がレビュー投稿)
5.0点 美しい!まさに「聖なる調べ」
5.0点 おすすめです。
5.0点 心に静かに響く調べ
発売日:2000-06-21
メーカー:ワーナーミュージック・ジャパン
アーティスト:オムニバス(クラシック) ウィーン少年合唱団員

♪親しみやすい旋律と清浄な和声 - ブルックナーのアヴェ・マリア

ブルックナーと言えば金管が鳴り響く、壮大な交響曲の印象が強い作曲家ですが、
実際にはそれ以外にも幅広いジャンルで、多くの作品を残しています。

管弦楽はもちろん室内楽、ピアノ曲、オルガン曲、声楽と作曲は多岐に渡り、
なかでも特に力を入れていたのが合唱曲です。

敬虔なカトリック信者だったブルックナーは、宗教作品の合唱曲を60曲以上、
他に世俗作品としての合唱曲も40曲近く書いています。

アヴェ・マリアは宗教作品の合唱曲に含まれ、実はこの題名で3曲あります。
そして面白いことにいずれも、ヘ長調という調性が採られています。
ベートーヴェンの田園交響曲と同じ、平和な響きのある調です。

3曲のうちの第2作は親しみやすい旋律から多くの人に愛され、
一般にブルックナーのアヴェ・マリアと言えば、この第2作を指します。
無伴奏混声7部の合唱曲で1861年の作、初演は1887年です。

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今回はこの第2作を弦楽合奏版でお届けします。
ソプラノ、アルト、テノール、バスをそれぞれ、
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスに置き換えました。

アヴェ・マリアではグノー/バッハシューベルトカッチーニが定番ですが、
その他にもモーツァルト、リスト、ビゼー、ヴェルディ、サン=サーンスといった、
多くの有名作曲家たちによる優れた作品が知られています。





ブルックナー:アヴェ・マリア ヘ長調 WAB.6 (第2曲)
Anton Bruckner:Ave Maria in F major, WAB.6



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2011年12月20日


チャイコフスキー:組曲《くるみ割り人形》Op.71a 6. 中国の踊り

チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」
新品最安価格:20%OFF ¥ 1,981 (8店出品)
レビュー平均: 5.0点 (2人がレビュー投稿)
5.0点 メルヘンチックな情感たっぷりの演奏
5.0点 くるみ割り人形の名盤
発売日:2007-11-21
メーカー:EMIミュージック・ジャパン
アーティスト:プレヴィン(アンドレ)

♪3大バレエの中でも特に完成度の高いメルヘン作品

チャイコフスキー以前のバレエ音楽は、独立した一場ごとにつけられた、
単なる舞踏のリズム伴奏的な役割しか果たしていませんでした。
今では当たり前となった、全編を通した物語性といったものもほとんどなく、
関連性のない単発のダンスごとにつけられた、BGM的要素が大きかったのです。

チャイコフスキーの3大バレエは、そうした状況を塗り替えたと言えます。
最初のバレエ「白鳥の湖」は、有名な「白鳥の動機」が全曲を通して登場する、
舞踏と物語と音楽が一体となった、優れた交響的芸術作品です。

ところがこうしたものに馴染みのなかった当時の聴衆には、
この作品の真価を理解する力もなく、「白鳥の湖」は数回の上演で、
依頼したボリショイ劇場のレパートリーから外されてしまいました。

その後、13年を経て二作目の「眠れる森の美女」を発表。
これは初演こそ不評だったものの、やがて絶賛を浴びることになりました。
更に2年後に作曲の「くるみ割り人形」が、彼の最後のバレエ音楽です。

この作品はペテルブルクのマリンスキー劇場の依頼で1892年に完成しました。
題材はホフマンのおとぎ話「くるみ割り人形と二十日鼠の王様」で、
これをデュマが翻案したものが台本になっています。

3大バレエの中でも特に美しい旋律にあふれ、完成度の高い音楽で、
クリスマスの夜に貧しい少女クララが見た夢を、楽しく叙情的に描いています。
物語の設定からクリスマスシーズンに上演されることも多い作品です。

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チャイコフスキーはこのバレエの翌年、1893年に突然亡くなってしまいました。
彼は「白鳥の湖」を改訂して、ぺテルブルクで上演したいと願っていましたが、
結局、それが果たされることはありませんでした。

しかし、1895年にプティパとイワノフの二人の振付師によって新たに振付けられ、
1月15日のマリンスキー劇場での公演で、遂に成功を収めたのです。
これによってチャイコフスキーの生前の願いは、ようやく果たされたのでした。





チャイコフスキー:組曲《くるみ割り人形》Op.71a 6. 中国の踊り
P.I.Tchaikovsky:The Nutcracker Suite, Op.71a 6. Tea (Chinese Dance)



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2011年12月15日


ベートーヴェン:ピアノソナタ 第8番 ハ短調 Op.13 《悲愴》 第1楽章

ベートーヴェン:ピアノソナタ第8番&第14番&第23番
新品最安価格:19%OFF ¥ 800 (12店出品)
レビュー平均: 4.6点 (10人がレビュー投稿)
5.0点 一言で言えば、美しい。
5.0点 伝説となった名演奏が1000円とは…絶句!
5.0点 月明かりそのもののような「月光」
発売日:2006-11-08
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:ギレリス(エミール)

♪3大ソナタに数えられるベートーヴェン初期の名作

ベートーヴェンにとっての指標であり、越えなければならなかった存在は、
ソナタ形式のような古典的な様式を確立させた、ハイドンやモーツァルトでした。
ピアノの名手としてウィーンで名を上げ、いよいよ作曲も本格的になったのは、
およそ1800年前後、ベートーヴェンが30代に差しかかった頃のことです。

なんとか先人たちを乗り越えようというベートーヴェンの試みは、
この時期に作曲されたピアノソナタにも、はっきりと表れています。
例えば1798年から翌年にかけて作曲の第8番「悲愴」では、
第1楽章のソナタ形式に序奏がつき、この楽想がその後にも応用されています。

また、1801年に作曲された第14番「月光」では、
第1楽章がアダージョで、第3楽章に初めてソナタ形式が置かれています。
いずれのソナタでも当時としては、斬新な手法が採られています。

そしてこれらの試みに、すでにロマン派の兆候が見えています。
ベートーヴェンはひと括りに古典派とされることの多い作曲家ですが、
実際には古典派とロマン派の中間に置かれるべき存在で、
様々な革新的試みを成しながら、両者の橋渡しをしたとも言えます。

30歳前後と言えば、ベートーヴェンの主軸である交響曲の第1番が作曲され、
同じく主要なジャンルである弦楽四重奏曲も、ものにしつつあった時期です。
そして有名なハイリゲンシュタットの遺書が書かれたのは32歳の頃ですから、
いかにこの数年が彼の内面の変化の上で、大事だったかがうかがえます。

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「悲愴」は「運命」「コリオラン序曲」と同じハ短調です。
ベートーヴェンは内的闘争を描く時にこの調を用いていますが、
そのどれもが彼の作品の中では特に重要な意味を持っています。

難聴の兆候が表れ始めた1798年に着手されたハ短調の悲愴ソナタ。
ベートーヴェンは襲い来る試練を意識しつつ、筆を進めていたかもしれません。
第1楽章にはそれを思わせる重厚な響きがあり、強い意志力が感じられます。





ベートーヴェン:ピアノソナタ 第8番 ハ短調 Op.13 《悲愴》 第1楽章
L.V.Beethoven:Piano Sonata No.8 in C minor, Op.13 "Pathetique"
1. Grave - Allegro di molto e con brio



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2011年12月07日


ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14 第4楽章 「断頭台への行進」

ベルリオーズ:幻想交響曲
新品最安価格:17%OFF ¥ 826 (8店出品)
レビュー平均: 4.9点 (7人がレビュー投稿)
5.0点 アバドの名演
5.0点 ドラマチックな名演奏
4.0点 いやーこれも安いね
発売日:2006-11-08
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:アバド(クラウディオ)

♪フランスロマン派の黎明期を飾った稀代の傑作

まず最初に驚くべきは、ベルリオーズが生まれたのは、ロマン派の中心である
メンデルスゾーン、ショパン、シューマンやリストたちより6年以上早く、
シューベルトの生誕ともさほど変わらない、1803年のことであるという事実です。

代表作のひとつである幻想交響曲は、1830年(27歳)の作曲ですが、
その作風は当時の20〜30年先を行っていたとも言われ、
ベルリオーズの才能がいかに時代を先取りしていたかを示す傑作です。

しかしその先進性から、保守的なフランスの楽壇からは異端児扱いで、
ベルリオーズは長年に渡って、頑迷な楽壇にひとり挑み続けたのでした。
彼の音楽に先に理解を示したのは、むしろ本国以外のヨーロッパ諸国でした。

1842年の最初の演奏旅行では、ドイツ各地で熱狂的な歓迎を受け、
翌年も同じくドイツで成功を収め、ロシア、イギリスと名声は広まっていきました。
ベルリオーズはヨーロッパ各地の楽団で指揮者を務め、
同時に作曲はもちろん、音楽評論家としても活発に活動を続けました。

そしてようやくフランスの楽壇が彼の才能を認めた時には、
残念なことに既にベルリオーズはこの世の人ではありませんでした。
しかし「近代オーケストレーションの父」として、後の評価は絶対的なものになり、
フランスロマン派の黎明期を語る上で、欠くことのできない存在となっています。

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英国の女優ハリエット・スミスソンへの激情が生み出した稀代の傑作は、
「幻想交響曲」の題名に「一芸術家のエピソード」という副題がついています。
交響曲でありつつも、青年の心理を巧みに描写した標題音楽でもあるのです。

曲全体の標題のほか、各楽章にもそれを説明する標題がついていて、
第4楽章「断頭台への行進」には、次のような標題がつけられています。


若い芸術家は愛人を殺し、死刑を宣告され、刑場へ引かれる夢を見る
刑場への行進は荒々しく憂鬱なものかと思えば、明るく賑やかになっていく
最後の一瞬、恋人の幻が頭をよぎる
恋の思い出が死に直面した瞬間にも、強く作用している






ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14 第4楽章 「断頭台への行進」
Hector Berlioz:Symphonie Fantastique Op.14
4. Allegretto non troppo (Marche au supplice)



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