=テレビ・映画&CM etc. … 最近話題のクラシック=

2011年07月31日


チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 Op.48 第3楽章 エレジー

チャイコフスキー:弦楽セレナード/モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジー
新品最安価格:16%OFF ¥ 1,505 (18店出品)
レビュー平均: 4.8点 (6人がレビュー投稿)
5.0点 「小澤JAPAN」による美しすぎる音の世界
5.0点 いい感じです
5.0点 すばらしい録音です。。
発売日:2009-05-20
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:サイトウ・キネン・オーケストラ 小澤征爾

♪チャイコフスキーの体臭がにじみ出た名旋律

クラシック音楽きってのメロディ・メイカーとして知られるチャイコフスキー。
旋律の親しみやすさは小品から交響曲の主題まで徹底しています。
そのためか様々な場面で引用されることも多い作曲家のひとりです。

そしてチャイコフスキーの魅力として忘れてはならないのが、
作品の背後に常に付き纏う、独特の寂寥感です。
これが短調の曲であれば当然で、まだわかるのですが、
チャイコフスキーの場合、長調の方がかえって物悲しいことが多いのです。

例えば交響曲「悲愴」などは、長調なのに悲しい主題が各楽章に現れます。
第2楽章は変拍子なこともあって、更にその色合いが増すのですが、
こうした傾向の彼の作品として、代表的なもののひとつに挙げられるのが、
弦楽セレナーデ・第3楽章「エレジー」の主題です。

両者は共にニ長調で、どこか発想も似ているかもしれません。
そしてとにかく言葉にならないような寂しさがあります。
また「エレジー(哀歌)」の章題は、作曲者自身によるもので、
「悲愴」と同じくそうした気分を、初めから意識して作ったと考えられます。

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チャイコフスキーは哀しみを表現するには、あからさまに短調にするよりも、
長調にした方がより奥行きが出ると感じていたのかもしれません。
作曲としては最も高等なテクニックだと思います。

弦楽セレナーデは交響曲第4番やヴァイオリン協奏曲と同時期の傑作です。
敬愛するモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を手本に作曲されました。
この曲についてチャイコフスキーは書簡に、
「強い内的衝動によって書かれ、芸術的な価値を失わない」と記しています。
作品に対する彼の自信のほどがうかがえます。





チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 Op.48 第3楽章 エレジー
Peter Ilyich Tchaikovsky:Serenade for Strings in C major, Op.48
3. Elegie; Larghetto elegiaco



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posted by アンドウトワ at 04:09 | 弦楽合奏曲 (String ensemble) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月25日


ドリーブ:バレエ《コッペリア》 第1幕 2. ワルツ (スワニルダのワルツ)

ドリーブ  :  バレエ組曲「コッペリア」
新品最安価格:16%OFF ¥ 1,025 (5店出品)
レビュー平均: 4.5点 (2人がレビュー投稿)
5.0点 バレエを振るカラヤン
4.0点 カラヤンの名盤
発売日:1996-12-02
メーカー:ポリドール
アーティスト:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

♪自動のからくり人形コッペリアを中心に展開する物語

“フランス・バレエ音楽の父”と呼ばれる、クレマン・フィリベール・レオ・ドリーブは、
1836年2月21日に、フランスのサン・ジェルマン・デュ・ヴァルに生まれました。

12歳にしてパリ国立高等音楽・舞踊学校(パリ音楽院)に入学。
バレエ『ジゼル』で知られるアダンに師事し、作曲を学びました。

卒業後はリリック劇場の伴奏者や、教会堂のオルガン奏者を務めましたが、
19歳から作曲を始めた歌劇は、その後10年間で20曲に及び、
29歳でグランド・オペラの合唱団次長に就任しています。

ドリーブを有名にしたのは『ナイラ』『コッペリア』『シルヴィア』のバレエ音楽で、
1881年にはパリ音楽院の作曲家教授になっています。
また1884年にはマスネの後を継いで、アカデミー会員に推されました。

代表作のひとつ『コッペリア』は、パリ・オペラ座で1870年5月25日に初演されました。
物語はE.T.A.ホフマンの『砂男』にヒントを得ています。

人形作り職人のコッペリウスが製作した一体の美しい人形コッペリアを中心に、
『砂男』とは正反対の、陽気で明るい喜劇が展開するこの作品。
劇中でも特に知られるのが、第1幕の『スワニルダのワルツ』です。

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主役のスワニルダは、コッペリアを恋してしまう青年フランツの恋人で、
『スワニルダのワルツ』は第1幕で登場する彼女によって踊られる曲です。
流れるように優雅な旋律はとりわけ有名で、
バレエ名シーンのひとつの象徴のような音楽にもなっています。

バレエ音楽は後に、5曲からなる組曲にもなっています。





ドリーブ:バレエ《コッペリア》 第1幕 2. ワルツ (スワニルダのワルツ)
L.Delibes:Coppélia act1 2. Waltz



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posted by アンドウトワ at 18:02 | バレエ音楽 (Ballet music) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月18日


ヘンデル:オラトリオ《マカベウスのユダ》第3幕 『見よ、勇者は帰る』

狩人の合唱/合唱名曲集
定価:¥ 1,260
中古最安価格:¥ 2,780 (4店出品)
レビュー平均: 4.0点 (1人がレビュー投稿)
4.0点 懐かしい・・
発売日:1997-10-08
メーカー:マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
アーティスト:ボルフスブルク合唱団 ロイヤル男声合唱団

♪日本ではスポーツ大会や学校行事の表彰式BGMとして有名

生活に密着したクラシック音楽には様々なものがあります。
年末のベートーヴェン「第九」、夕方下校時のドヴォルザーク「家路(新世界より)」など、
その枚挙に暇がありませんが、この曲も誰もが一度は耳にしたことがあるはずです。

スポーツの大会や学校行事の表彰式などで、必ずと言っていいほど使われています。
それがヘンデルのオラトリオ「マカベウスのユダ」第三幕の「見よ、勇者は帰る」です。

マカべウスのユダは、ユダヤを勝利に導いた人物。
一般にはブラス合奏の印象が強いこの曲ですが、
オリジナルはオラトリオの中で、英雄の帰還を称える壮大な合唱曲です。

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「見よ、勇者は帰る」が日本で演奏され始めたのは明治時代のこと。
以来、表彰式の定番として広まり、今に至っています。

「マカベウスのユダ」は1747年4月にロンドンのコヴェント・ガーデンで初演されました。
そして後にスイスの牧師エドモンド・ルイス・バドリーが1884年に歌詞をつけ、
賛美歌「Thine Is the Glory(栄光は汝に)」としても親しまれるようになりました。

*現在、サッカーのなでしこジャパンの快挙を見ながらこの文章を書いていました。
あまりのタイミングのよさに驚きです。なでしこのみなさん、おめでとうございます!





ヘンデル:オラトリオ《マカベウスのユダ》第3幕 『見よ、勇者は帰る』
Georg Friedrich Handel:Judas Macabeus act3
"See the conquering Hero Comes"



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posted by アンドウトワ at 07:05 | 声楽曲 (Vocal music) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月13日


シューベルト:交響曲 第4番 ハ短調 D.417 『悲劇的』 第1楽章

シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」&第5番
新品最安価格:¥ 1,000 (2店出品)
レビュー平均: 5.0点 (1人がレビュー投稿)
5.0点 シューベルトの交響曲の「響き」
発売日:2007-02-28
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:ベルリン・フィルハーモニー ベーム(カール)

♪ベートーヴェンを思わせる悲劇的な色合いを帯びた交響曲

交響曲第4番と第5番は同時期に作曲された姉妹曲のような作品です。
2曲の正確は相反するもので、短調で重い4番と長調で軽やかな5番の関係は、
ちょうどベートーヴェンの「運命」と「田園」のセットを思わせます。

この頃19歳だったシューベルトは、父親が経営する小学校の助教員でした。
作曲に専念できず、この仕事が嫌で仕方がなかったシューベルトは、
やがて友人ショーベル宅に身を寄せ、フリーの身で作曲に勤しむようになります。
2曲はこうしたシューベルトの作曲家人生の過渡期に書かれました。

『悲劇的』というタイトルはシューベルト自身が楽譜に記しています。
そしてハ短調という調性や曲調は、ベートーヴェンを意識したものと言われています。
若きシューベルトは第4番でベートーヴェンを、第5番でモーツァルトを模したのです。

第4番の第1楽章は意味ありげな序奏や、主題もすばらしい提示部が立派ですが、
それに比して展開部がものたらなく、そこが惜しいという感は否めません。
まだ19歳で音楽家として、また人としての経験の薄さが出ているのかもしれません。
もしこの楽想を持ったまま、もっと後年に作曲されていたなら、
「未完成」や「グレイト」に比肩するような交響曲になっていたかもしれません。

ところでハ短調といえば「運命」、ブラームスの第1交響曲などが想起されますが、
クラシック以外でも「水戸黄門」や「巨人の星」のテーマ曲など(どれもリズムが3連)、
人生を扱った重い作品に起用されることが多い調性のようです。

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これは「運命」のイメージが強いことによるのか、あるいはハ短調という調性が
そもそも、そうした性格を持っているためなのか、理由はわかりません。
ですがハ短調には確かに他にはない、何か特別な響きがあるような気はします。

そういえばロマン派の開祖といわれるウェーバーの歌劇『魔弾の射手』序曲なども、
重厚なハ短調でいかにもベートーヴェン的な雰囲気を感じさせます。
シューベルトが第4番のハ短調で狙ったのは、そうした趣きと見て間違いないようです。





シューベルト:交響曲 第4番 ハ短調 D.417 『悲劇的』 第1楽章
Franz Schubert:Symphony No.4 in C minor, D.417 "Tragic"
1. Adagio molto – Allegro vivace



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posted by アンドウトワ at 05:51 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月08日


シューベルト:交響曲 第5番 変ロ長調 D.485 第1楽章

シューベルト : 交響曲第5番&第8番「未完成」
定価:¥ 1,995
レビュー平均: 4.5点 (6人がレビュー投稿)
5.0点 はかないほどの美しさ
5.0点 満ち足りた気分に浸れる一枚
5.0点 いろんなイメージを喚起してくれる演奏です
発売日:1999-02-20
メーカー:ソニーレコード
クリエーター:ワルター(ブルーノ)(指揮)

♪19歳のシューベルトが書いた古典派よりの爽快な交響曲

シューベルト家は音楽好きの父親を中心とした音楽一家でした。
父親がチェロを、二人の兄がバイオリンを、シューベルトがビオラを弾いたという
弦楽四重奏団は、「日曜日午後のシューベルト四重奏団」として有名です。

また姉も音楽好きだったため、こうした環境の中でシューベルトは、
ほぼ独学で音楽的な素養を身につけていきました。
こうして18歳にして作品番号1の「魔王」を作曲しています。

シューベルト四重奏団は「ダンデルホーフ」という管弦楽団に発展。
オットー・ハトヴィヒが指揮するこの私設管弦楽団は、
ハトヴィヒ家のコンサートでシューベルトの作品を演奏するのが常でした。
交響曲第5番はそうした作品のひとつです。

前作の第4番はベートーヴェンを意識してかハ短調の重い作品でした。
「悲劇的」という文字は自らが楽譜に書き込んだものです。
これと対極をなすような第5番は、一転して明るく軽やかな作品です。
ハイドンやモーツァルトなど古典派を模した最後の交響曲とも言われ、
歌謡性の高い旋律と相まって、シューベルトの素直な姿が表されています。

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管弦楽は極めて小編成です。
クラリネット、トランペット、トロンボーン、ティンパニが省かれ、
「トランペット及びドラムを使用せず」と但し書きがされています。
ダンデルホーフのためにあえてシンプルにしたとも考えられます。

第4番、第5番共に19歳の作品で、しばしばクリスタル王宮で演奏されました。
この2曲は初期のシューベルトの交響曲としては、特に高い人気の作品です。





シューベルト:交響曲 第5番 変ロ長調 D.485 第1楽章
Franz Schubert:Symphony No.5 in B flat, D.485 1. Allegro



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2011年07月03日


ベートーヴェン:優しき愛 - Ich liebe dich(君を愛す) WoO.123

ベートーヴェン:歌曲集
定価:¥ 1,300
新品最安価格:26%OFF ¥ 950 (8店出品)
発売日:2006-09-20
メーカー:EMIミュージック・ジャパン
カテゴリー:CD
アーティスト:プライ(ヘルマン)
時間:54(分)

♪純愛を歌って有名なベートーヴェンの代表的歌曲

学校の音楽室にあるお馴染みの、ベートーヴェン晩年の肖像画は、
どこか気難しく頑固で近寄り難い印象です。
そしてあれこそが一般的なベートーヴェンのイメージだと思いますが、
若い頃の彼はむしろ社交的で明るく、サロンを賑わした青年音楽家でした。

『優しき愛』はそんなベートーヴェン若かりし日の、まっすぐな純愛を歌った歌曲です。
彼がウィーンに移住し、ピアノの即興演奏の名手として名を挙げていた、
1795年頃にカール・フリードリヒ・ヘロゼーの詩を用いて作曲されました。


君を愛している 僕のことを君が愛しているように
昼も夜も ふたりが憂いを分かち合わない日は一日もなかった

ふたりで分かちあえば どんな憂いにも耐えられた
僕の悲しみには君が慰めとなり 君の嘆きには僕も涙した

だから神様の祝福が君にありますように
僕のいのちのよろこびである君よ

どうか神様が君を護ってくださいますように
僕たちふたりを護ってくださいますように


ヘロゼーはドレスデンや生地であるベルリンで副牧師を務めた人物です。
敬虔な啓蒙思想に基づき指導する教育者でもありました。
ベートーヴェンが選んだこの詩には、男女の愛の理想像が描かれています。

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『優しき愛 - Zärtliche Liebe』が原題となっているこの歌曲ですが、
一般には『Ich liebe dich - 君を愛す』などの通称で知られています。
これは歌いだしの「Ich liebe dich, so wie du mich,」からくるもので、
「Ich liebe dich」とは英語で「I Love You」を意味しています。

またベートーヴェンの大半の歌曲には生前、作品番号がありませんでした。
そのためこの曲にはキンスキーとハルムによって編集された作品目録の番号、
WoO.(Werke ohne Opuszahl 作品番号なし)が用いられています。





ベートーヴェン:優しき愛 - Ich liebe dich(君を愛す) WoO.123
L.V.Beethoven:Zärtliche Liebe (Ich liebe dich) WoO.123



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