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2011年05月26日


J.F.ワーグナー:双頭の鷲の旗の下に

双頭の鷲の旗の下に/ドイツ名行進曲集
定価:¥ 2,345
レビュー平均: 4.5点 (2人がレビュー投稿)
4.0点 この値段でこの曲数はお買い得品です
5.0点 妥協無き指揮者の妥協無き行進曲集
発売日:1991-07-16
メーカー:ポリドール
アーティスト:ベルリン・フィルハーモニー管楽アンサンブル

♪“オーストリアのマーチ王” - J.F.ワーグナーの代表作

ヨーゼフ・フランツ・ワーグナーはオーストリアの軍楽隊長・作曲家です。
1856年-1908年という、マーラーとほぼ同時代を生きた人でした。
また、同じく同時代のスーザにちなみ“オーストリアのマーチ王”と呼ばれました。

軍楽隊長だった1880年代を中心に、ワーグナーは実に多くの行進曲を作りました。
舞曲や行進曲をあわせると、生涯に作曲した作品は数百にのぼるといわれます。

尚、あの有名なリヒャルト・ワーグナーとはまったく関係ありません。
そこで区別するために、J.F.ワーグナーと表記されています。

「双頭の鷲の旗の下に」は、日本では運動会などでも有名です。
ワーグナーがオーストリア・ハンガリー帝国の軍楽隊長だった頃に、
当時のオーストリア国防大臣だった、クリーグハマーのために作曲されました。

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「双頭の鷲」とは、オーストリア・ハンガリー二重帝国の象徴です。
オーストリア・ハンガリー帝国はハプスブルク家の君主が統治した
多民族の同君連合国家として、1867年から1918年まで存続しました。
「双頭の鷲」はハプスブルク家の紋章でもあったのです。

この曲を気に入ったスーザが、3度に渡り録音したことがきっかけで、
「双頭の鷲の旗の下に」は行進曲のスタンダードとして広まっていきました。
現在ではオーストリア陸軍第2師団の公式な行進曲にも採用されています。

1878年から1899年まで、軍楽隊の楽長を勤めたJ.F.ワーグナーは、
後に民間の音楽界へ転身し、ウィーンで活躍し続けたということです。





J.F.ワーグナー:双頭の鷲の旗の下に
J.F.Wagner:Under the Double Eagle



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2011年05月19日


ベートーヴェン:ピアノソナタ 第21番 ハ長調 Op.53 「ヴァルトシュタイン」 第1楽章

バックハウス/ベートーヴェン:四大ピアノ・ソナタ集
新品最安価格:16%OFF ¥ 840 (6店出品)
レビュー平均: 4.6点 (23人がレビュー投稿)
5.0点 これぞ達人!
5.0点 う~ん、どうでしょうか?
5.0点 バックハウスのシンプルな演奏が一番心地よい
発売日:2001-04-25
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:バックハウス(ヴィルヘルム)

♪ヴァルトシュタイン伯に献呈された中期の傑作ソナタ

ヴァルトシュタイン伯爵はパトロンとしてベートーヴェンを支えた特に重要な人物です。
その交流の始まりはボン時代に遡り、貧乏な家庭に育ったベートーヴェンに、
貴族的な上品さを教え、ウィーンの社交界デビューへ導いたのは伯爵の力です。

「不断の努力をもってモーツァルトの精神をハイドンの手から受け取りたまえ」

ベートーヴェンがウィーンへ発つ際、ヴァルトシュタイン伯は記念帳にそう記しました。
伯爵はボン時代にはシュタイン製のピアノを、そしてウィーン時代の1803年には、
エラール製の新しいピアノをベートーヴェンに贈っています。

フランス産でタッチの軽い、エラール製を想定して書かれたのがソナタ第21番です。
タッチが重く深くなった現代のピアノでは、第3楽章が難関とされています。
特にコーダのオクターブグリッサンドは技術的にも高度なものが必要とされ、
これを避けて他の奏法を代替として用いるピアニストもいます。

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ベートーヴェンはこのソナタを恩人である伯爵に捧げました。
このことから第21番は「ヴァルトシュタイン」の名で呼ばれるようになりました。
他にも伯爵に献呈された曲は数多く存在しますが、この作品のみが
「ヴァルトシュタイン」と呼ばれる事実が、第21番の質の高さを物語っています。

第2楽章は演奏時間として3分程度の、小休止的な音楽ですが、
元来は両端楽章に劣らぬ長大なものでした。
しかしこれは長過ぎるとの理由から外され、
「アンダンテ・ファヴォリ WoO57」という独立した作品として出版されました。

「ヴァルトシュタイン」は「熱情」「悲愴」と並ぶ、中期ソナタの傑作とされています。





ベートーヴェン:ピアノソナタ 第21番 ハ長調 Op.53 「ヴァルトシュタイン」 第1楽章
L.V.Beethoven:Piano Sonata No.21 in C major, Op.53 "Waldstein"
1. Allegro con brio



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2011年05月11日


サティ:グノシエンヌ 第1番

3つのジムノペディ~サティ・ピアノ作品集
定価:¥ 1,800
レビュー平均: 4.4点 (9人がレビュー投稿)
5.0点 音楽のアールデコ
5.0点 ロジェの演奏が抜群
5.0点 それぞれの曲が、一篇の詩のようでした。
発売日:2003-06-25
メーカー:ユニバーサル ミュージック クラシック
アーティスト:ロジェ(パスカル)

♪独自の音楽語法で現代音楽を先取りするサティの代表作

19世紀末、モンマルトルの文学酒場「黒猫」のピアニストをしていたサティは、
ジョセファン・ペラダンという神秘小説家と出会い、彼が主宰する秘密結社
「聖堂と聖杯のカトリック・薔薇十字教団」の公認の作曲家・聖歌隊長となりました。
秘密結社といえばフリーメイソンのような団体が想起されますが、
薔薇十字教団はそれよりも宗教色が強いのが特徴です。
サティはこの教団のために3つの作品を書いています。

「グノシエンヌ」は「知る」というギリシア語をもとにしたサティの造語ですが、
神秘教会グノーシス派がその語源になっているとも言われています。
薔薇十字教団は錬金術やカバラを扱う秘教的な団体でした。

そして、サティと教団が関わったのは1890年から2年ほどのこと。
「グノシエンヌ 第1番」の作曲は、ペラダンと出会った1890年なので、
タイトルに教団の影響があることは想像に難くありません。

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全6曲からなる「グノシエンヌ」は、1889年のパリ万国博覧会で知った、
民族舞踊合唱団によるルーマニア音楽の影響が強いとされています。

透明感ある「ジムノペディ」に比べると、東洋的で奇妙な印象も強く、
「思考の端末で」「うぬぼれずに」「頭を開いて」といった演奏者への指示、
拍子記号や小節線もない、自由な発想の譜面など、
現代音楽を先取りするサティの音楽世界の原点とも言える作品です。





サティ:グノシエンヌ 第1番
Erik Alfred Leslie Satie:Gnossiennes No.1



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2011年05月04日


モーツァルト:ピアノソナタ 第16番 ハ長調 K.545 第1楽章

モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集
新品最安価格:16%OFF ¥ 4,395 (5店出品)
レビュー平均: 4.5点 (12人がレビュー投稿)
4.0点 プログレッシブ
4.0点 初めて聴く人にはおすすめできません
4.0点 グールド流ソナタ
発売日:2006-07-19
メーカー:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

♪ピアノ初心者にとって必修の愛らしいソナタ

モーツァルト自身が「初心者のための小ソナタ」と名づけたK.545は、
3大交響曲である第39番と同じ、1788年6月26日に書き上げられました。

ピアノの巧くない弟子たちの、練習用という当初の目的もあったため、
その後もソナチネ・アルバムに収められ、長らくピアノ初心者たちが必ず通過する、
お馴染みのピアノ小品として愛奏され続けてきました。
ことに第1楽章冒頭の主題はモーツァルトの中でも屈指の有名旋律です。

作品全体としては、晩年の作とは思えないほどシンプルを極めたものですが、
一音たりとも足し引きできないほどの、まったく隙のない完成度は、
あたかも最初からできたものが、パッケージとして降りてきたかのようです。
こうした何気ない作品にこそ、モーツァルトの非凡さが垣間見れます。

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第1楽章は主題部分以外のほとんどは、スケールの上昇と下降が繰り返されます。
これがピアノの運指の練習に最適ということなのですが、
同時に音楽としても均整がとれ、造形的にも美しいところがモーツァルトならではです。
尚、このソナタを2台ピアノ用に編曲したグリーグの作品もあります。
これは1台をオリジナルのままに使い、もう1台で対旋律を重ねるというものです。
また、モーツァルト自身の編曲か、出版社による編集かはわかりませんが、
フィナーレのロンドは、ヘ長調のソナタKAnh135(547a)の第2楽章に転用されています。





モーツァルト:ピアノソナタ 第16番 ハ長調 K.545 第1楽章
W.A.Mozart:Piano Sonata No.16 in C major, K.545
1. Allegro



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posted by アンドウトワ at 23:45 | 器楽曲・Piano | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする