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=テレビ・映画&CM etc. … 最近話題のクラシック=
◆韓国新ドラマ「ブラームスが好きですか?」予告映像 (キム・ミンジェ)/ ロベルト・シューマン:トロイメライ - 子供の情景
◆フジテレビ系 アウト×デラックス / モーツァルト:交響曲第25番 第1楽章
◆テレビCM レディスアデランス / チャイコフスキー:くるみ割り人形 - 2. 行進曲
◆日本テレビ系「有吉の壁」/ チャイコフスキー:くるみ割り人形 - 4. トレパーク(ロシアの踊り)
◆テレビCM HAND WATCH WORLD 銀座店 / プッチーニ:トゥーランドット
◆7/10 再始動・新日本フィルハーモニー(指揮 尾高忠明) / ブラームス:交響曲第1番
◆テレビCM サマージャンボ 7億円 / ベートーヴェン:交響曲第7番 第1楽章
◆テレビCM メガネスーパー / ボッケリーニ:メヌエット
◆テレビCM ガリガリ君(アイス)/ オッフェンバック:天国と地獄
◆7/6 【追悼】作曲家 エンニオ・モリコーネ氏、91歳で逝去 / エンニオ・モリコーネ:ガブリエルのオーボエ(映画 ミッション)
◆6/6 3か月ぶりの演奏会・ウィーンフィルハーモニー(指揮 バレンボイム) / ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
◆5/18 テレビ朝日 「徹子の部屋」 99歳 現役最高齢ピアニスト・室井摩耶子/ ベートーヴェン:エリーゼのために
◆5/6 TBS「ひるおび!」イタリア 〜祈りのヴァイオリン(横山令奈さん) / エンリコ・モリコーネ:ガブリエルのオーボエ
◆5/5 NHK連続テレビ小説『エール』(二階堂ふみ・水辺で練習)/ メンデルスゾーン:歌の翼に
◆4/23 NHK連続テレビ小説『エール』(二階堂ふみ・レッスン曲)/ マルティー二:愛の喜び
◆4/20 NHK連続テレビ小説『エール』(二階堂ふみ・初歌唱)/ モーツァルト:恋とはどんなものかしら(歌劇「フィガロの結婚」)
◆5/2 テレビ朝日 「激レアさんを連れてきた。」…鳥貴族でアルバイトのバイオリニスト / エルガー:愛のあいさつ
◆テレビCM 太田胃散 - ありがとう、いい薬です / ショパン:前奏曲 第7番 イ長調
◆4/29 日本テレビ「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」(高嶋 ちさ子) / エルガー:愛のあいさつ
◆NHK Eテレ『2355』(トビハゼのトビー)/ ブラームス:ワルツ 第15番
◆イタリア 〜祈りのヴァイオリン(横山令奈さん) / エンリコ・モリコーネ:ガブリエルのオーボエ(映画「ミッション」から)
◆テレビCM MITSUBISHI - Changes for Better / プッチーニ:トゥーランドット
◆テレビCM M&A - キャピタルパートナーズ / ベートーヴェン:運命 第1楽章
◆セブンイレブン 店内BGM / ポンキエッリ:歌劇 《ジョコンダ》より「時の踊り」
◆テレビCM 龍角散 のど飴 - のどスッキリ / ベートーヴェン:田園 第5楽章
◆懐かしの音楽 「日曜洋画劇場」エンディングテーマ(淀川長治) / コール・ポーター:So in Love(キス・ミー・ケイト)
◆テレビCM Uber Eats(黒柳徹子) / ボッケリーニ:メヌエット
◆テレビCM 日商エステム / マスカーニ:カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲
◆NHK連続テレビ小説『エール』(柴咲コウ)/ プッチーニ:歌劇 《ジャンニ・スキッキ》より 「私のお父さん」
◆NHK連続テレビ小説『エール』/ いつくしみ深き -What A Friend We Have In Jesus-
◆NHK連続テレビ小説『エール』/ チャイコフスキー:弦楽セレナーデ 第2楽章
◆4/1 フジテレビ 「志村けんさん 46年間 笑いをありがとう」 / F.サルトーリ:タイム・トゥ・セイ・グッバイ
◆4/1 フジテレビ 「志村けんさん 46年間 笑いをありがとう」 / サン=サーンス:白鳥
◆NHK連続テレビ小説『エール』/ オッフェンバック:天国と地獄
◆NHK連続テレビ小説『エール』 / エルガー:威風堂々 第1番
◆3/31 テレビ朝日 「芸能人格付けチェック 3時間SP」 / スッペ:軽騎兵 序曲
◆3/31 テレビ朝日 「芸能人格付けチェック 3時間SP」 / メンデルスゾーン:交響曲第4番「イタリア」
◆テレビCM ソフトバンク 5G(ブルースウィリス) / チャイコフスキー:くるみ割り人形「葦笛の踊り」
◆テレビCM 翔んで埼玉 | Amazonプライム・ビデオ / ベートーヴェン:交響曲第9番 第2楽章
◆テレビCM ダンロップ タイヤ(福山雅治) / エルガー:威風堂々 第1番
◆テレビCM YANASE / ガーシュウィン:ラプソディー・イン・ブルー
◆テレビCM マルちゃん正麺 (役所広司・二階堂ふみ)/ プライヤー:口笛吹きと犬
◆テレビCM くらしの友 / ドビュッシー:月の光
◆Maroon 5 - Memories (カノンのコード進行と旋律を使用) / パッヘルベル:カノン ニ長調
◆テレビCM 不二家 ホットチョコ / ヨハン・シュトラウス二世:美しく青きドナウ
◆3/20 テレビ朝日 夜の巷を徘徊する(マツコ・デラックス) / メンデルスゾーン:結婚行進曲
◆テレビCM KYOCERA50周年アニバーサリー / エルガー:威風堂々 第1番
◆テレビCM リンナイ食器洗い乾燥機 / ネッケ:クシコスポスト
◆テレビCM ドミノピザ / パッヘルベル:カノン ニ長調
◆テレビCM ASAHI飲料 ワンダ(YOSHIKI) / モーツァルト:きらきら星変奏曲
◆3/14 NHK ブラタモリ(島原) / シューベルト:アヴェ・マリア
◆テレビCM ASAHI MINTIA / レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》 第1幕「衣装をつけろ」
◆テレビCM GALAマンション / スコット・ジョプリン:ジ・エンターテイナー
◆テレビCM 明光義塾 / スコット・ジョプリン:ジ・エンターテイナー
◆テレビCM ソフトバンク Air(上戸彩) / プッチーニ:トゥーランドット
◆フィギュアスケート4大陸選手権 初優勝 羽生結弦選手 / ショパン:バラード第1番



2020年08月23日


オンライン特別プログラム - モルダウ/クラシック名曲集 Vol.1 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Classical Music Best Selection Vol.1

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今回は夏休み期間中ということで、これまでのように交響曲まるごと1曲ではなく、
様々な楽曲からいいところを集めたオムニバス形式でお届けします。

中には1楽章すら完全ではないものもあります。
ですが、とにかく楽曲中の美しい旋律に光を当てたいと思い、あえてそうした形にしました。


モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183 第1楽章

モーツァルトの生涯を描いた映画「アマデウス」で印象的に使用されて以来、
一躍人気曲になった楽章です。

モーツァルトは41曲の交響曲を書いていますが、短調は25番と40番のみでいずれもト短調です。
冒頭のシンコペーションの主題は鮮烈で、シンプルながらインパクト大です。


カリンニコフ:交響曲第1番 ト短調 第1楽章 提示部

カリンニコフは若くしてこの世を去ったロシアの作曲家で、
作品数は少ないものの、特に2つの交響曲によってその名を残しています。

晩年の病床ではもはや自身で譜面を書くことさえできず、
傍らにいた妻が口述筆記の形で、代わりに書いていたともいわれています。

そう思いながらこの楽章の主題を聴くと、胸に迫るものがあります。


ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 Op.27 第3楽章より

交響曲の名曲として紹介されることが少ないラフマニノフの第2番ですが、
ことに第3楽章の美しさは比類がなく、あらゆる交響曲の中でも屈指の名作です。
ピアノ協奏曲第2番やヴォカリーズを書いたラフマニノフだからこその旋律美です。

主題は米ロック歌手エリック・カルメンがシングルで引用したほか、
月9ドラマ「ピュア」では挿入曲として用いられていました。



ショパン:練習曲 第3番 ホ長調 Op.10-3 「別れの曲」

ショパン自身も気に入っていたというこの曲の旋律は、古今東西のクラシックの名旋律の中でも、
片手の指に入るほど美しく、完成されています。

ショパンほどに魅力的な旋律が多い作曲家もめずらしいですが、
その中でも「別れの曲」と呼ばれるこのエチュードには特別なものがあります。


エルガー:愛のあいさつ Op.12

エルガーが愛する妻のために書いたピアノ曲で、後にヴァイオリン版でも有名になりました。
特に説明の必要もないほどの人気曲で、ドラマ、CM、着信音など生活の至る所でも耳にします。

今回は初めて主旋律をチェロで奏でてみました。


スメタナ:連作交響詩「我が祖国」より「モルダウ」

ボヘミアの歴史や伝説を背景とした交響詩「わが祖国」の2曲目で、特に有名です。
「モルダウ(ヴルタヴァ)」とはスマヴァの森に源流を発し、山々の裾を流れ
プラハを貫いて海へと至る河のことです。

音楽では木々の葉から滴り落ちた雫が集まり流れとなり、やがて河の形をとり村々を抜け、
村人の暮らしや自然を見つめ大河になり、最後は海へと合流していくまでが描かれています。

1曲を通じてあたかもひとりの人生が表現されたかのような雄大な作品です。


モーツァルト:交響曲第25番 ト短調 K.183 第1楽章 [2020][IR]
W.A.Mozart:Symphony No.25 in G minor, K.183
I. Allegro con brio [8:11]



Mozart-Symphony-No25-1st-2020-IR.mp3



カリンニコフ:交響曲第1番 ト短調 第1楽章 提示部 [2020][IR]
V.S.Kalinnikov:Symphony No.1 in G minor
I. Allegro moderato [6:33]



Kalinnikov-Symphony-No2-1st-2020-IR.mp3



ラフマニノフ:交響曲第2番 ホ短調 Op.27 第3楽章より [2020][IR]
Sergei Vasil'evich Rachmaninov:Symphony No.2 in E minor, Op27
III. Adagio [4:52]



Rachmaninov-Symphony-No2-3rd-2020-IR.mp3



ショパン:練習曲 第3番 ホ長調 Op.10-3 「別れの曲」 [2020][IR]
Frederic Francois Chopin:Etude No.3 in E major, Op.10-3 [4:16]



Chopin-Etude-No3-2020-IR.mp3



エルガー:愛のあいさつ Op.12 (Cello) [2020][IR]
Edward Elgar:Salut d'amour Op.12 [3:05]



Elgar-Salut-damour-2020-IR-Cello.mp3



スメタナ:連作交響詩「我が祖国」より「モルダウ」[2020][IR]
Bedrich Smetana:The Moldau (Vltava) from "My Country" [14:29]



Smetana-Moldau-My-Country-2020-IR.mp3


*オーケストラ曲はベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を使用しています。
*ピアノ曲と室内楽曲はオーストリアのエステルハージ宮殿ホールの音響です。



アンコール -encore-

ランゲ:花の歌 Op.39 [2020][IR]
Gustav Lange:Blumenlied Op.39 [4:39]



Lange-Blumenlied-2020-IR.mp3





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posted by アンドウトワ at 17:13 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月09日


オンライン特別プログラム - ジョン・ウィリアムズ 映画音楽集 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - John Williams:Chinema Music (Star Wars etc.)

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『シンドラーのリスト』は、スティーヴン・スピルバーグ監督による1993年のアメリカ映画。
第二次世界大戦時にドイツによるユダヤ人の組織的ホロコーストが東欧のドイツ占領地で進む中、
ドイツ人実業家オスカー・シンドラーが1100人以上ものポーランド系ユダヤ人を自身が経営する
軍需工場に必要な生産力との名目で絶滅収容所送りを阻止し、その命を救った実話を描いています。

シンドラーは決して絵に描いたような善人の英雄ではなく、むしろ快楽主義に取りつかれた遊び人で、
プレイボーイのライフスタイルを楽しみ、生きることをそのすべての面で享受していました。
同時代の人たちから見てくれよく育ってきた人間とみなされて、上流社会の中で立ち回り、
良い身なりをし、女性たちからももてはやされ、金銭を湯水のように使っていました。

当初は戦争に乗じてひと儲けするためにポーランドにやって来たシンドラーでしたが、
ポーランド系ユダヤ人たちに対するナチス党政権の度を越えた弾圧に不信感を募らせ、
自らもナチ党であったにも関わらず、無力なユダヤ人住民たちを救うことに意識が転換していきました。

やがて出来る限り多くのユダヤ人を救済したいという願望の下に、
最後には全財産をこの目的のために投じただけでなく、自らの生命まで賭けようとしたのでした。
彼の救済の行動は執念ともいえるもので、動きを怪しんだナチスの親衛隊に3度も逮捕されるも、
時には収容所の看守に賄賂を渡すまでして、徹底した救済活動に身を投じました。

戦後に事業に行き詰まり困っていたシンドラーを、彼に救われたユダヤ人たちはイスラエルに呼び、
今度は反対に援助して彼の生活を支えたということです。

映画で音楽を担当したジョン・ウィリアムズは、フィルムを観て自分には荷が重すぎると感じ、
スピルバーグ監督に「この作品には自分よりもっと適任の作曲者がいると思う」と進言しました。
しかし監督は、「知ってますよ、でもその人たちはみんなすでに故人なんです」と返しました。

ジョン・ウィリアムズはこの作品でアカデミー作曲賞、英国アカデミー賞 作曲賞を受賞しました。
サウンドトラックにおいて、メインテーマなどの主要なヴァイオリンソロは、ユダヤ人であり、
20世紀の最も偉大なヴァイオリニストの一人と評価されるイツァーク・パールマンが演奏しました。




尚、今回併せて公開した『スターウォーズ』と『E.T.』のメインテーマは、最近使用してきた
ベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を更に研究して、効果を最大限に引き出しました。
過去に公開した音源に比べ、よりダイナミックで立体的なサウンドをお楽しみいただけると思います。


ジョン・ウィリアムズ:映画「シンドラーのリスト」から メインテーマ
John Williams:Main Theme from "Schindler's List" [4:07]






ジョン・ウィリアムズ:映画「スターウォーズ」から メインテーマ
John Williams:"STAR WARS" MAIN TITLE [6:07]






ジョン・ウィリアムズ:映画 E.T.のテーマ -The Flying Theme
John Williams:The Flying Theme from "E.T." [11:06]




*作曲家の著作権が継続中のため音源はストリーミング再生のみです。
*映画「シンドラーのリスト」メインテーマは初公開曲です。
*後2曲は演奏内容をあらため、新たな音響(IR)で録音しています。




アンコール -encore-
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ [2020][IR]
M.Ravel:Pavane pour une Infante defunte [6:54]



Ravel-Pavane-pour-une-Infante-defunte-2020-IR2.mp3




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2020年08月02日


オンライン特別プログラム - ビル・コンティ 映画音楽集 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Bill Conti:Chinema Music (Rocky)

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映画「ロッキー」の主人公ロッキー・バルモアは、フィラデルフィアに暮らす無名のボクサーでした。
才能がありながらもそれを活かそうともせず、4回戦ボーイとして日銭を稼ぐ日々。
これといった目的も持たず、ただ自堕落に過ごすだけの生活でした。

そんな彼にあるチャンスが舞い込みます。
それは無敵の王者アポロが無名の選手を相手にしたイベント試合を行うというもので、
その相手として何人かの候補の中からロッキーが選ばれたのです。

最初はこれを拒否するロッキーでしたが、周囲の勧めや愛するエイドリアンのため、
そして何より自分自身のために、この無謀な試合に挑むことを決意します。
それまでとは打って変わって過酷なトレーニングにも耐え、
自分の人生をかけた闘いに正面から向き合うロッキー。

しかし、はなからアポロに勝てるはずがないとわかっていたロッキーは、
とにかく最終15ラウンドまで闘いぬくことを目標とし、それをエイドリアンに告げます。
試合ではアポロに激しいパンチを浴び、腫れ上がった顔でフラフラしながらも、
ついにロッキーは王者アポロを相手に、互角の試合で全ラウンドを成し遂げます。

判定にもつれ込んだ試合は結果として僅差でアポロの勝利となりましたが、
そんなことには構わず、ロッキーはひたすらエイドリアンの名を叫ぶのでした。




映画「ロッキー」の作曲を手がけたビル・コンティは、イタリア系アメリカ人の作曲家。
主に映画音楽、テレビドラマ劇伴を手がけ、「ロッキー」の音楽は特に有名です。

イタリア・オペラが流れる家庭に育ち、ナイトクラブでジャズを弾いた経歴もある彼は、
名門ジュリアード音楽院で学士・修士を修得するも、しばらくは無名の作曲家でした。
しかし、映画「ロッキー」の大ヒットにより、作曲家として一躍時の人となりました。

「ロッキー」は当初、主演のスタローンの弟が音楽を手がけていましたが、
思いもかけずめぐってきたチャンスをコンティは見事にものにしました。
そして、1983年の映画「ライトスタッフ」でついに、アカデミー音楽賞を受賞します。
このサントラで実質のテーマ曲として、人気が高いのが「イェーガーの勝利」です。

4回に一度は死の危険が伴うという、テストパイロットの過酷な任務に果敢に挑み、
パイロットとしての己の“正しい資質”が命ずるままに生きる主人公のチャック。
そんな彼を象徴するような音楽が、勇壮な管弦楽曲「イェーガーの勝利」なのです。


ビル・コンティ:映画「ロッキー」から 「ロッキーのテーマ」
Bill Conti:Gonna Fly Now from "ROCKY" [2:53]






ビル・コンティ:映画「ロッキー」から 「ロード・ワーク」
Bill Conti:Going the Distance from "ROCKY" [2:45]






ビル・コンティ:映画『ライトスタッフ』から 「イェーガーの勝利」
Bill Conti:Yeages Triumph from "The Right Stuff" [1:33]




*作曲家の著作権が継続中のため音源はストリーミング再生のみです。
*全曲ともに演奏内容をあらため、新たな音響(IR)で録音しています。




アンコール -encore-
サティ:ジュ・トゥ・ヴ [2020][IR]
Erik Satie:Je te veux [5:09]



Satie-Je-te-veux-2020-IR.mp3




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2020年07月30日


オンライン特別プログラム - ベートーヴェン序曲集 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Ludwig Van Beethoven - OVERTURES

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ベートーヴェンの管弦楽作品を堪能しようとする場合、真っ先に挙げられるのが、
九つの交響曲であるのはもちろんのことですが、全部で11曲ある序曲にも、
彼の交響曲レベルの感動と充足感をもたらしてくれる作品は少なくありません。

ベートーヴェンが生涯に作曲したオペラは「フィデリオ」のみで、
11曲中の4曲は「フィデリオ」から生まれています。

その中の「レオノーレ序曲 第3番」を含む、代表作を3曲お届けします。
序曲とは言え、3曲を通して聴くと40分近いので、
あたかも交響曲を1曲聴いたかのような満足感を得ていただけると思います。




コリオラン序曲 Op.62
ブルタークの英雄伝に登場するローマの英雄コリオランを扱った戯曲家コリンの悲劇に、
感銘を受けたベートーヴェンが1807年に作曲した演奏会用序曲です。

ベートーヴェンは主人公コリオランの性格に、自らに通じるものを見出し、
この序曲を通じて自己表現を試みたといわれています。

ワーグナーは、「偉大な力、不撓の自信と熱狂せる反抗心が、憤怒、憎悪、復讐、
破壊的な精神のうちに台頭する姿を眼前に髣髴たらしめる」とこの曲を評しました。


エグモント序曲 Op.84
ゲーテの悲劇「エグモント」に感激したベートーヴェンが、
1809年から1810年にかけて作曲した、最もよく知られる彼の序曲のひとつです。

導入では苦難に対して凛とした態度で臨む崇高な姿が描かれ、
その後は過酷な運命との闘いと、最終的な勝利に至るまでが表現されています。

「ベートーヴェンが大詩人の言葉から霊感を得て描き出した最初の一例である」
とこの曲についてリストは語っています。


レオノーレ序曲 第3番 Op.72b
ベートーヴェンの唯一の歌劇「フィデリオ」は、計3回の修正が行われました。
そして修正されるごとに新たな序曲が書かれ、つごう4曲が残っています。

今日、歌劇の序曲としては「フィデリオ」が演奏されますが、
この他に3つのレオノーレ序曲が存在しています。

中でも第3番はベートーヴェンの序曲中で最もスケールが大きく、
音楽の造りのバランスも良く、最大傑作と呼べる堂々たる佇まいがあります。

歌劇「フィデリオ」の上演では、最後の場面の前に第3番が慣例で演奏されています。


ベートーヴェン:コリオラン序曲 Op.62 [2020][IR]
Ludwig Van Beethoven:CORIOLAN OVERTURE Op.62 [10:47]



Beethoven-Coriolan-Overture-2020-IR.mp3



ベートーヴェン:エグモント序曲 Op.84 [2020][IR]
Ludwig Van Beethoven:EGMONT OVERTURE Op.84 [10:51]



Beethoven-Egmont-Overture-2020-IR.mp3



ベートーヴェン:レオノーレ序曲 第3番 Op.72b [2020][IR]
Ludwig Van Beethoven:LEONORE OVERTURE Op.72b [15:06]



Beethoven-Leonore-Overture-2020-IR.mp3


*ベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を使用しています。
*レオノーレ序曲第3番は13年ぶりの新演奏・新録音です。



アンコール -encore-
ショパン:前奏曲 第20番 ハ短調 Op.28 [2020][IR]
Frederic Francois Chopin:Prelude No.20 in C minor, OP.28 [2:24]



Chopin-Prelude-No20-2020-IR.mp3




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posted by アンドウトワ at 01:07 | 管弦楽曲 (Orchestral) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月23日


オンライン特別プログラム - ショパン ピアノ協奏曲 第1番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - F.Chopin:Piano Concerto No.1 in E minor, Op.11

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生涯に2曲しか残されていないショパンのピアノ協奏曲のひとつです。

第1番というものの、実際の作曲順ではこちらが第2番。出版順で番号が入れ替わっています。
ショパンが故郷のポーランドを去る20歳の年に完成した作品で、骨太で重厚な曲調が特徴です。

特に第1楽章は「これがショパン?」と思うほどに男性的で力強く、
ドイツの古典派、ロマン派の王道をいくような品位と風格があります。

初演は1830年10月11日、ショパン自らのピアノ演奏により行われました。
このコンサートはウィーンへと旅立つショパンの告別演奏会で、
ショパンの初恋の人である一歳下のソプラノ歌手、コンスタンティア・グラドコフスカが、
白いドレス姿で髪にバラの花を挿して助演したと伝えられています。

彼女はすばらしかったとショパンは書き記していて、最後に彼女から渡されたリボンを
ショパンは終生にわたり手元に置いていたということです。



ピアノ協奏曲第1番は「ピアノの詩人」として知られるショパンとしては、
伴奏の管弦楽部分も充実していて、第1楽章でピアノが登場するまで4分もの時間を要しています。
また、ショパン自身の自信作だったようで、その後のコンサートでも度々取り上げていました。

第1楽章の印象的な主題が、都はるみの75年のレコード大賞曲「北の宿から」に似ている
とも言われますが、作曲家の小林亜星氏は「特に本作をもとにして作曲したわけではない」と
雑誌『ショパン』(2009年1月号)で語っています。

第2楽章は一転して甘美で幻想的な音楽ですが、ショパン自身はこれについて
「春の月のおぼろに霞んだ夜の瞑想」と説明しています。

尚、漫画「のだめカンタービレ」では主人公の野田恵が、シュトレーゼマンの指揮により
最初のコンサートのステージでピアノ協奏曲第1番を披露しています。


ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 第1楽章 [2020][IR]
Frederic Francois Chopin:Piano Concerto No.1 in E minor, Op.11
1. Allegro maestoso [20:36]



Chopin-PianoConcerto-No1-1st-2020-IR.mp3



ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 第2楽章 [2020][IR]
Frederic Francois Chopin:Piano Concerto No.1 in E minor, Op.11
2. Romanze, Larghetto [8:12]



Chopin-PianoConcerto-No1-2nd-2020-IR.mp3



ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11 第3楽章 [2020][IR]
Frederic Francois Chopin:Piano Concerto No.1 in E minor, Op.11
3. Rondo, Vivace [10:10]



Chopin-PianoConcerto-No1-3rd-2020-IR.mp3



*全楽章ともに約12年ぶりの新演奏・新録音です。
*ベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を使用しています。



アンコール -encore-
フォーレ:組曲「ペアレスとメリザンド」 Op.80 - 第3曲 シシリエンヌ [2020][IR]
Gabriel Urbain Faure:Pelleas and Melisande Suite 3. Sicilienne [4:05]



Faure-Sicilienne-2020-IR.mp3




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2020年07月15日


オンライン特別プログラム - チャイコフスキー 交響曲第6番「悲愴」 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique"

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「傑作を書きました。これは私の心からの真実と申しましょう。
私は今までにないほどの誇りと喜びと満足を感じています」(出版商ユルゲンソンへの手紙)

「私は今度の交響曲の作曲に全精神を打ち込みました」(コンスタンチン大公への手紙)

交響曲第6番「悲愴」はチャイコフスキーが最後に遺した一大傑作です。
ベートーヴェンなどの古典様式を意識した前作の第5番とは違い、
型にとらわれずに自らの作曲スタイルを自由に羽ばたかせています。
その結果、チャイコフスキーの天才が臨界点を超えて発揮された名作になりました。

交響曲第5番についてチャイコフスキーは「あの曲の中に潜む不自然さが私には気に入りません。
なにか虚飾的な感じがします」と支援者のメック夫人への手紙でもらしていました。
「悲愴」での一転したオリジナリティの爆発は、第5への不満の反動だったのかもしれません。

チャイコフスキーの音楽は多分に感傷的で、それが常に作風を特徴づけていましたが、
「悲愴」の場合は感傷を超えた慟哭、絶望までが感じられ、
作曲家が極限の精神で自らの内奥の心をさらけ出し、明るみにしているのがわかります。
作曲しながら目頭ににじんだ涙で楽譜が見えなかったという話もあります。



「悲愴」を語るうえで個人的に連動して思い起こされるのがブラームスの交響曲第4番です。
ふたりはロシアとドイツと国こそ違え、どちらも19世紀の同時代を生きた作曲家。
同じ5月7日生まれで、愁いを含むどこか寂し気な作風も共通しています。

さらにブラームスは交響曲第1番で、チャイコフスキーは交響曲第5番で、
苦悩から歓喜へという「運命」に象徴されるベートーヴェンのモットーを踏襲しています。
しかし最後の交響曲となった第4番と「悲愴」ではそうした縛りを離れ、
自らの人生観や音楽的趣向を解き放っています。
最終楽章が短調で締めくくられる構成も同じです。

もっともチャイコフスキーはブラームスについて「尊敬しているが彼の音楽は嫌いだ」と語り、
むしろグリーグが自分には身近でわかりやすく、血のつながりを感じると日記に書いています。
3人は1887年12月20日、ライプツィヒのヴァイオリニスト、プロツキイの家で知り合いました。


チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 第1楽章 [2020][IR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique"
I. Adagio - Allegro non troppo [21:15]



Tchaikovsky-Symphony-No6-1st-2020-IR.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 第2楽章 [2020][IR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique"
II. Allegro con grazia [8:37]



Tchaikovsky-Symphony-No6-2nd-2020-IR.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 第3楽章 [2020][IR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique"
III. Allegro molto vivace [10:15]



Tchaikovsky-Symphony-No6-3rd-2020-IR.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74 第4楽章 [2020][IR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.6 in B minor, Op.74 "Pathetique"
IV. Finale. Adagio lamentoso [12:19]



Tchaikovsky-Symphony-No6-4th-2020-IR.mp3


*第2楽章、第3楽章は約12年ぶりの新演奏・新録音です。
*全楽章にベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を使用しています。



アンコール -encore-
ボロディン:交響的絵画「中央アジアの草原にて」[2020][IR]
Alexander Porfir'evich Borodin:In the Steppes of Central Asia [8:43]



Borodin-In-the-Steppes-of-Central-Asia-2020-IR.mp3




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2020年07月09日


オンライン特別プログラム - ブラームス 交響曲第4番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98

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ブラームスは作曲家として常にベートーヴェンを指標としていました。

やるからにはベートーヴェンを越えねばと、作曲に21年もの歳月を費やした交響曲第1番は、
「運命」と同じハ短調で、苦悩から歓喜へと至る同じ構成を持っています。
第4楽章の「第九」を思わせる主題などから、「ベートーヴェンの交響曲第10番」とも呼ばれました。

また、ブラームスの交響曲第2番は牧歌的で自然を思わせる曲調から「ブラームスの田園」と呼ばれ、
男性的なたくましさもある交響曲第3番は「ブラームスの英雄」とも言われることがあります。

つまり、ブラームスの全4つの交響曲のうち、前の3曲はベートーヴェン絡みで語られるわけです。
ですが、最後の第4番ホ短調だけは、そうした関連付けは一切されていません。
ブラームスがベートーヴェンの呪縛を離れて、初めて自己表現を全開にした作品とも言えます。

最終楽章で勝利を高らかに謳いあげた第1番以降、ブラームスの交響曲は後にいく程暗くなっています。
第3番でも後半のふたつの楽章は短調が主体で、第4番ではついに短調で全曲を締めくくっています。
ベートーヴェンは気にせずに、「これが本当の私自身だ」と言わんばかりに、
自分の人生観や音楽的趣向をめいっぱい詰め込んだのが、最後の交響曲第4番と言えます。



ですから人によっては「沁みったらしくてついていけない」と感じるかもしれません。
しかし、それまである意味、仮面をつけていたブラームスが、初めて自分をさらけ出したという意味で、
彼の他の交響曲にはない真実味や誠実さが感じられるのも事実です。
また、人生に少し疲れた人には、心に寄り添う優しさが慰めとなるかもしれません。

交響曲第4番は最終楽章にバッハ以来使われなくなったパッサカリアという形式を用いるなど、
古典派のベートーヴェン以上に古典的なところも注目すべき点です。

ブラームスは第4番のあと、亡くなるまでの13年間に、二度と交響曲を作ることはありませんでした。
そして死の床で彼自身が第4番を「最も好きな曲だ」と語ったということです。

≪こぼれ話≫
ある時、一人暮らしのブラームスの隣家で火事が起こりました。
ブラームスはすぐに消火活動にあたり、率先してバケツリレーにも参加しました。
自身の家に火が燃え移りそうになっても「それどころではない」と目もくれず、
隣家の消火に専心していたといいます。
見かねた知人がブラームスの家に飛び込み、寸前のところで交響曲第4番のスコアを持ち出しました。
信仰に厚く実直なブラームスらしいエピソードです。


ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 第1楽章 [2020][IR]
Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98
1. Allegro non troppo [14:02]



Brahms-Symphony-No4-1st-2020-IR.mp3



ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 第2楽章 [2020][IR]
Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98
2. Andante moderato [11:56]



Brahms-Symphony-No4-2nd-2020-IR.mp3



ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 第3楽章 [2020][IR]
Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98
3. Allegro giocoso, Poco meno presto [7:10]



Brahms-Symphony-No4-3rd-2020-IR.mp3



ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 Op.98 第4楽章 [2020][IR]
Johannes Brahms:Symphony No.4 in E minor, Op.98
4. Allegro energico e passionato, Piu Allegro [10:57]



Brahms-Symphony-No4-4th-2020-IR.mp3


*第2楽章、第3楽章、第4楽章は約12年ぶりの新演奏・新録音です。
*全楽章にベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を使用しています。
*第1楽章のノイズ(10:00付近)を修正しました。



アンコール -encore-
フォーレ:パヴァーヌ Op.50 [2020][IR]
Gabriel Faure:Pavane Op.50 [6:44]



Faure-Pavane-2020-IR.mp3




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2020年07月02日


オンライン特別プログラム - ブルックナー 交響曲第9番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Anton Bruckner:Symphony No.9 in D minor

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交響曲第9番はブルックナーが最後に遺した大作です。

作曲の半ばに亡くなったため、全4楽章の予定が第3楽章までの未完となっています。
しかし、敬愛するシューベルトの「未完成」が2楽章のみで充分に成立しているように、
ブルックナーの第9番も、この後に何も付け足す必要がないほどに音楽として完成しています。

ブルックナーはこの曲を愛する神様に捧げました。
通常、楽曲の献呈は支援者などの身近な人たちになされるもので、
それを神様に対して行ったのは、おそらくブルックナーが初めてです。

ブルックナーの音楽は不思議で、一般的な音楽のように「聴こう」と身構えると、
つかみどころがなく、何が言いたいのかもわからず肩透かしをくらってしまいます。
音楽は少し進むとそこで途切れ、まったく違うブロックが開始されます、
これが延々と続くので、どうしても聴いていて身が入らないということもあります。

しかし一度「聴こう」という態度をやめ、聴くのではなく音楽に身を浸す感覚になると、
たちまちその魅力に気づき、そこから抜け出せなくなります。
本場オーストリアのファンは、ブルックナーの長大な交響曲が終わると、
またすぐに最初から聞き直したくなるということです。

ブルックナーはお風呂に楽譜を持ち込み、湯船につかりながら作曲していました。
ですから温泉に入るようにリラックスして、何も考えずに聴くのがいいかもしれません。



ブルックナーの交響曲第9番は、名作第8番に続く「奥の院」とも言える究極の作で、
音楽の深遠さは計り知れなく、地上世界を遥かに超えた宇宙的なスケール感があります。

第8番にはまだ人間的な葛藤や孤独感などが感じられますが、
第9番では徹頭徹尾、大自然や神羅万象、大宇宙の運行が描かれています。

特に感動的なのは第3楽章で、信仰の極に達したかのような法悦は他に例えるものがなく、
自身の死を前にした心境の深まりが、冒頭の輝かしいトランペットからも伝わってきます。


ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 第1楽章 [2020][IR]
Anton Bruckner:Symphony No.9 in D minor
I. Feierlich misterioso [28:23]



Bruckner-Symphony-No9-1st-2020-IR.mp3



ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 第2楽章 [2020][IR]
Anton Bruckner:Symphony No.9 in D minor
II. Scherzo, Bewegt, lebhaft [10:47]



Bruckner-Symphony-No9-2nd-2020-IR.mp3



ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 第3楽章 [2020][IR]
Anton Bruckner:Symphony No.9 in D minor
III. Adagio, Langsam, feierlich [25:20]



Bruckner-Symphony-No9-3rd-2020-IR.mp3


*第2,3楽章は初出、第1楽章は演奏内容を改めました。
*全楽章にベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を使用しています。



アンコール -encore-
ラフマニノフ:ヴォカリーズ Op.34-14 [2020]
Sergei Vasil'evich Rachmaninov:Vocalise Op.34-14 [8:04]



Rachmaninov-Vocalise-2020-IR.mp3




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2020年06月24日


オンライン特別プログラム - ベートーヴェン「運命」バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - L.V.Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67

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「ハイリゲンシュタットの遺書」と呼ばれる手紙があります。

これはベートーヴェンが悪化する難聴への絶望と、それでも果たさなければならない芸術家としての
使命感との間で揺れ動く心情を綴ったもので、甥であるカールと弟のヨハンに宛てられています。

『…6年このかた治る見込みのない疾患が私を苦しめているのだ。
物の判断も出来ない医者達のために容態はかえって悪化し、症状は回復するだろう
という気休めに欺かれながら1年1年と送るうちに、今ではこの状態が永続的な
治る見込みのないものだという見通しを抱かざるを得なくなったのだ。

人との社交の愉しみを受け入れる感受性を持ち、物事に熱しやすく、感激しやすい
性質をもって生まれついているにもかかわらず、私は若いうちから人々を避け、
自分ひとりで孤独のうちに生活を送らざるをえなくなったのだ。

耳が聞こえない悲しみを2倍にも味わわされながら、自分が入っていきたい世界から
押し戻されることがどんなに辛いものであったろうか。

…そのような経験を繰り返すうちに私は殆ど将来に対する希望を失ってしまい
自ら命を絶とうとするばかりのこともあった。』

http://www.kurumeshiminorchestra.jp/beethoven_heiligenstaedt.html

新進気鋭の音楽家としてウィーンの社交界に登場したベートーヴェンは、
自在な変奏による得意のピアノ即興演奏で名をはせた存在でした。

後年のイメージとは違い、ベートーヴェンは社交好きで人とのつながりも多く、
人々にもてはやされる日々は彼の心を高揚させました。

しかし、30代になるにつれ、彼の耳は次第に具合が悪くなり、
やがてはまともに人の声も聞きとれず、会話も困難になっていきました。

音楽家として耳が聞こえなくなるという事態はあってはならないもので、
ベートーヴェンはこの事実を悟られまいと社交界から遠のいていきました。
元来、人付き合いを好む彼には、難聴と同じくらいに苦痛なことでした。

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(ベートーヴェンが散策した19世紀のハイリゲンシュタット)

人々の前から姿を消したベートーヴェンは、療養でウィーン郊外のハイリゲンシュタットに居を構え、
自然豊かなこの地で演奏よりも作曲に専念するようになっていきました。
日の出と共に作曲を開始すると昼過ぎには切り上げ、午後は数時間をかけて周辺を散策しました。
おそらく歩きながら楽想を練り、翌日には朝から譜面に書き留めていたものと思われます。



『そのような死から私を引き止めたのはただ芸術である。私は自分が果たすべきだと
感じている総てのことを成し遂げないうちにこの世を去ってゆくことはできないのだ。』

芸術家としての使命感から自ら命を絶つことを思いとどまったベートーヴェンは、
このような暮らしの中で後年に残る数々の名曲を生み出していきました。

そうした作品のひとつが交響曲第5番「運命」です。
過酷な運命に立ち向かい、人としての務めを果たすべく克服していく様を描いたこの曲は、
作曲から200年以上を経た今も、逆境に苦しむすべての人を励まし鼓舞し続けています。

遺書から6年が過ぎた1808年、「運命」は「田園」と共に作曲家自身の指揮で初演されました。
「運命」の作曲に着手したのは、遺書を書いた1801年から1802年の頃とみられています。


ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第1楽章 [2020][IR]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67
I. Allegro con brio [10:29]



Beethoven-Symphony-No5-1st-2020-IR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第2楽章 [2020][IR]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67
II. Andante con moto [12:34]



Beethoven-Symphony-No5-2nd-2020-IR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 Op.67 「運命」 第3楽章 - 第4楽章 [2020][IR]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.5 in C minor, Op.67
III. Allegro - IV. Allegro-Presto [20:01]



Beethoven-Symphony-No5-3rd-4th-2020-IR.mp3

*ベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を使用しています。
*[IR]とはインパルス&レスポンシブの略です。


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2020年06月17日


オンライン特別プログラム - ブルックナー 交響曲第8番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor

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この4月からバーチャルコンサート・シリーズで公開してきた楽曲のほとんどには、
あるひとつの共通項があり、それが一貫したシリーズのテーマにもなっています。

それは楽曲の構成はいずれも、ベートーヴェンの交響曲「運命」がモデルになっていて、
短調の第1楽章に始まり、同主調で長調の終楽章に終結することです。
全編を通じて暗闇から光、苦難から勝利、絶望から希望へと至る変遷が描かれています。

例えばベートーヴェン自身の「第九」はニ短調からニ長調、
ブラームスの交響曲第1番はハ短調からハ長調、
ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」はホ短調からホ長調、
チャイコフスキーの交響曲第5番もまたホ短調からホ長調、
そしてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番はハ短調からハ長調という具合です。

今回のブルックナーの交響曲第8番も、そうした「運命」モデルを踏襲した作品で、
「運命」と同じくハ短調からハ長調という展開を通じて、闇に対する光の完全勝利を描いています。
また、第8の第1楽章では「第九」第1楽章のタターンという動機が用いられ、
「第九」と同じく第2楽章に短調のスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章が置かれています。



しかし、ベートーヴェンの場合は人間が主役として中心にあるのに対して、
ブルックナーではむしろ大宇宙や大自然が前面に出て、
その偉大さを前にして佇む人間存在の孤独さ、小ささが描かれています。

ですから第8でも苦難に立ち向かう英雄像が見えるものの、闘争の末に勝利するというより、
一旦はすべてを受け入れ、その上でそれらを超えていくというような懐の深さも感じます。

第4楽章のコーダでは、それまでの楽章の主題が長調で混然一体となって絡み合い、
否定しようもない完全な光の勝利が爆発するなか、圧倒的な威力で全曲を終結します。

第1楽章の最後では短調で物寂しく響いた「ミレド」のフレーズ(正確には半音下降を含む)は、
終楽章の最後ではオーケストラの全体合奏で華々しく「ミレド」と長調で演奏されています。


ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 第1楽章 [2020][IR]
Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor
I. Allegro moderato [17:38]



Bruckner-Symphony-No8-1st-2020-IR.mp3



ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 第2楽章 [2020][IR]
Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor
II. Scherzo. Allegro moderato - Trio. Langsam [16:34]



Bruckner-Symphony-No8-2nd-2020-IR.mp3



ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 第3楽章 [2020][IR]
Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor
III. Adagio. Feierlich langsam [26:55]



Bruckner-Symphony-No8-3rd-2020-IR.mp3



ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 第4楽章 [2020][IR]
Anton Bruckner:Symphony No.8 in C minor
IV. Finale. Feierlieh, nicht schnell [26:17]



Bruckner-Symphony-No8-4th-2020-IR.mp3


*第2楽章は初出、第4楽章は12年ぶりの新演奏・新録音です。
*全楽章にベルリンフィルハーモニー大ホールの音響を使用しています。


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2020年06月11日


エルガー:《エニグマ変奏曲》 Op.36 - 第9変奏 「二ムロッド」 [2020][IR] / Elgar: Variations On An Original Theme, Op.36 "Enigma" - 9. Nimrod (Adagio)

Elgar-03.jpg♪友人とベートーヴェンを語り明かした夜の思い出

ある日のこと、エルガーがピアノに向かい、とりとめもなく旋律を奏でていると、
ひとつの旋律が夫人の注意を引き、「もう一度聴かせてほしい」と頼まれました。
その旋律こそが『エニグマ変奏曲』全体の基となる主題になりました。

エルガーはこの主題から次々と、即興的に変奏を弾き始め、
それぞれの変奏を友人たちの音楽的な肖像としてまとめました。
たとえば、第1変奏は夫人のキャロライン・アリス・エルガーを表し、
譜面には「第1変奏 L'istesso tempo "C.A.E."」と頭文字を記すといった具合です。

ただ、はっきりとは人物名を記さず、楽曲全体を通した隠し主題があるという理由から、
『独創主題による変奏曲(Variations on an Original Theme for orchestra)』という
正式名称よりも『エニグマ(謎の)変奏曲』という通称が一般化しています。

14の変奏からなるこの変奏曲の中でも、もっとも高い人気を誇り、
単独の演奏会用ピースとしても取り上げられるのが、第9変奏「二ムロッド」です。
二ムロッドとは出版社勤務の友人イェーガーにエルガーがつけた愛称で、
彼の高貴な人柄がその音楽を通して描き出されています。




エルガーとニムロッドはある夜に、ベートーヴェンの緩徐楽章について語り合いました。
その時の記憶が第9変奏「二ムロッド」に反映されています。
それだけにこの音楽には崇高な気高さがあります。
背後にうしろで手を組みたたずむベートーヴェンの姿が透けて見えるかのようです。

尚、今回からベルリンフィルハーモニー大ホールの音響をリバーブに使用しています。
過去にはウィーン・コンツェルトハウスの音響をメインに使用していましたが、
今後は近代的なオーケストラサウンドが堪能できるベルリンフィル大ホールの音響で録音していきます。

参考として、新しい音響で録音した演奏(ハイライト)をお聴きください(mp3)

♪ブルックナー:交響曲第8番 第1楽章より
♪ブラームス:交響曲第4番 第1楽章より
♪ベートーヴェン:交響曲第7番 第2楽章より
♪ワーグナー:楽劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第1幕への前奏曲より
♪チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」第1楽章より
♪ラフマニノフ:パガニーニの主題による変奏曲 第18変奏より
♪ムソルグスキー(ラヴェル編):展覧会の絵「キエフの大門」より


エルガー:《エニグマ変奏曲》 Op.36 - 第9変奏 「二ムロッド」 [2020][IR]
Elgar: Variations On An Original Theme, Op.36 "Enigma"
9. Nimrod (Adagio) [7:59]



Elgar-Enigma-Variations-9-Nimrod-2020.mp3



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2020年06月05日


オンライン特別プログラム - ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Sergey Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18

807n1g6798.jpg

ラフマニノフは身長2mに達しようかという大男でした。
彼がピアノの前に座ると、ピアノがまるでおもちゃのように見えたといいます。
この長身と長い指を活かした演奏はダイナミックでピアニストとしても注目の存在でした。

小さい頃から神童と持て囃され、学生時代から発表した自作曲も次々と高評価を受け、
ラフマニノフはピアニスト・作曲家として前途洋々とした道を歩んでいました。

ところが1897年、24歳の秋、順風満帆の彼の音楽家人生に大きな壁が立ちはだかります。
ペテルブルクで初演された交響曲第1番が悪評を受け、彼は一気に自信を消失しました。

生まれつき繊細で神経症気味だったラフマニノフは、ショックでひどいうつ状態に陥り、
創作意欲も失せ、音楽家人生も終わったと危ぶまれるほどになりました。
各種の治療を試みたものの事態は一向に改善されず、絶望的な状況は続きました。

こうした様子を見て心配した彼の友人が紹介したのが、精神科医ニコライ・ダール博士です。
ラフマニノフは1900年1月から4月まで連日のように博士のもとへ通い治療を受けました。
これが功を奏しラフマニノフの症状は徐々に好転していきました。

ダール博士が施したのは一種の暗示療法でした。
博士は「あなたは今に世界に知られる傑作を書くことになる」とラフマニノフに言い続けました。

失われていた創作意欲を取り戻し始めたラフマニノフは、ついには新作の着手を決意しました。
こうして作曲を再び開始した復帰第一作が「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」です。

ラフマニノフは手始めにまず第2楽章から取り掛かり、次いで第3楽章を仕上げました。
そして最後に時間をかけて第1楽章を完成させました。



1901年10月27日、27歳の時、モスクワで彼自身のピアノとモスクワ・フィルハーモニーの演奏により、
「ピアノ協奏曲第2番ハ短調」は初演され、すぐさま大絶賛を浴びました。
その後、1905年にはこの曲にグリンカ賞が贈られ、ラフマニノフの名は不動のものとなりました。

英国映画「逢いびき」で使用され、米ロック歌手エリック・カルメンの「All By Myself」に
引用されたことでも知られる第2楽章は、ラフマニノフが復帰で最初に着手した楽章ということもあり、
強度のうつ状態にあった彼の精神状態が少なからず反映されているといわれています。

冒頭の弦楽による和音の進行は、彼が尊敬した先輩チャイコフスキーの交響曲第5番第2楽章を思わせ、
その後も同じように祈りにも似た、切実で精妙な調べが続いていきます。
特に終結へと向かう10:36からの展開は美しく、すべての悲しみが洗い流されるかのようです。


ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18 第1楽章 [2020][VR]
Sergey Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18
I. Allegro moderato [11:09]



Rachmaninov-PianoConcerto-No2-1st-2020-VR.mp3



ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18 第2楽章 [2020][VR]
Sergey Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18
II. Largo [12:01]



Rachmaninov-PianoConcerto-No2-2nd-2020-VR.mp3



ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18 第3楽章 [2020][VR]
Sergey Rachmaninov:Piano Concerto No.2 in C minor, Op.18
III. Allegro vivace [12:33]



Rachmaninov-PianoConcerto-No2-3rd-2020-VR.mp3


*第2,3楽章は約13年ぶりの新演奏・新録音です。
*音源にはアルゴリズムリバーブとVR(3D・立体音響)処理を施しています。


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2020年05月31日


オンライン特別プログラム - チャイコフスキー 交響曲第5番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - P.I.Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64

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交響曲第5番を書いた頃のチャイコフスキーは、ひどく疲れていました。
まるで創作意欲がなく、楽想も気分も何も湧きませんでした。

作曲に先立ち彼は支援者のメック夫人に、次のように書き送っています。

「それほど年を取ったとは思いませんが、年を感じ始めました。
私は近頃、疲れます。夜、ピアノを弾くことも本を読むことも苦労になりました」

こうした状況を打破するためか、第4番から10年ぶりに取り掛かったのが第5番です。
ベートーヴェンの第5番「運命」と同じく、苦難との闘いとそれに対する勝利が描かれています。

しかし、主人公には「運命」のようなたくましさはなく、ナイーブで傷つきやすい姿があります。
その分、生身の人間には共感できる部分が多く、また甘美な旋律は彼ならではのものです。

第1楽章の冒頭では、クラリネットが全楽章を貫く陰鬱な主題を奏でます。
困難に見舞われても、それに立ち向かう気力もなく、仕方なくとぼとぼと歩き始めます。
その嘆きは次第に大きくなり、苦しさを叫ぶ絶叫は頂点に達します。

第2楽章は短調のほの暗い弦楽合奏に始まり、やがて夢幻的な旋律をホルンが奏でます。
続く主題もこの上なく美しく、ふたつの主題は旋律作家チャイコフスキーの真骨頂です。

最近、この楽章は「祈り」を表現していると感じています。
苦しい状況にあっても、どうか心には安らぎがあるようにという願いです。
しかし、美しい旋律のあとにも、過酷な運命の主題が再び襲い掛かってきます。

第3楽章は一時、すべてを忘れて憩いの時を持つワルツです。
主人公は楽しかった過去の思い出に浸っているかのようです。
しかしここでも、最後に運命の主題が静かな影を落とします。



そして第4楽章の冒頭では、第1楽章の運命の主題が長調に転じて演奏されます。
しばらくは各楽器により明るい気分が表現されますが、その後にまたも闘いが開始されます。
音楽は様々な変遷を経たのち、最後にオーケストラ全体での勝利の行進になります。

短調だった第1楽章の第2主題もコーダで長調になり、金管が高らかに謳いあげます。
そして最後に念を押すように、全体が「タタタタン」とリズムを踏みしめて締めくくられます。
「タタタタン」はベートーヴェン「運命」の主要な動機でもあります。


チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第1楽章 [2020][VR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64
I. Andante - Allegro con anima [16:51]



Tchaikovsky-Symphony-No5-1st-2020-VR2.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第2楽章 [2020][VR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64
II. Andante cantabile, con alcuna licenza [15:11]



Tchaikovsky-Symphony-No5-2nd-2020-VR2.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第3楽章 [2020][VR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64
III. Valse (Allegro moderato) [6:48]



Tchaikovsky-Symphony-No5-3rd-2020-VR2.mp3



チャイコフスキー:交響曲 第5番 ホ短調 Op.64 第4楽章 [2020][VR]
Peter Ilyich Tchaikovsky:Symphony No.5 in E minor, Op.64
IV. Finale (Andante maestoso - Allegro vivace) [13:36]



Tchaikovsky-Symphony-No5-4th-2020-VR2.mp3


*第1,3,4楽章は14年ぶりの新演奏・新録音です。
*「田園」「未完成」に引き続き音源にVR処理(3D・立体音響)を施しています。


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2020年05月23日


オンライン特別プログラム - シューベルト 交響曲第8番「未完成」 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Franz Peter Schubert:Symphony No.8 in B minor, D.759 "Unfinished"

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シューベルトとベートーヴェンは同時代のウィーンに生きた作曲家です。
生年はベートーヴェンが27年先ですが、亡くなったのはわずか2年も違いません。

そんなシューベルトは友人の引き合わせで、最晩年のベートーヴェンに会ったことがあります。
病床でシューベルトの楽譜に目を通したベートーヴェンはページをめくり声をあげました。

「シューベルトのうちには神のひらめきがある」

また、友人とシューベルトを前にして、ベートーヴェンはこう賞賛しました。

「シューベルトは私の魂をもっている。今に世界にその名を知られる人だ」

ベートーヴェンが亡くなったのはそれから間もない1827年3月26日のことでした。

シューベルトの「未完成」は長らくベートーヴェンの「運命」と人気を二分する、
レコードや演奏会でも定番の交響曲の組み合わせでした。
「運命」「未完成」「新世界より」を3大交響曲とする演奏会もあります。

それだけに「未完成」がもつ音楽の佇まいは立派で、まさに名曲の趣きがあります。
本来、4楽章であるべき交響曲が2楽章で終わっているため「未完成」と呼ばれるものの、
内容は2楽章でも充分に完結しており、この後に何を付けても役不足になりそうです。
ブラームスはこれについて「天才の直感で途中で筆を置いたのだろう」と言っています。

しかし、「未完成」が世に出たのはシューベルトの死後37年が過ぎてからでした。
彼をベートーヴェンに引き合わせた友人のヒュッテンブレンナーが所蔵していたのです。

シューベルトは絶えず貧困に苦しんだ人で、亡くなった時はほとんど餓死状態でした。
楽譜一枚を買うことさえできず、ピアノもないため、友人たちのピアノを借り歩いたほどです。

「私の音楽は私の才能と貧乏の産物ですが、自分が一番苦しいときに作った音楽を、
世間の人は好むらしい」とシューベルトは言っています。

1828年11月19日、「このようなところにはいられない。ここにはベートーヴェンはいないんだ」
とうわごとのようにつぶやくと、シューベルトは31年の短い生涯を終えました。
彼の父や兄たちはお金を出し合い、彼の墓を敬愛するベートーヴェンのそばに置きました。



ところで、日本における新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向を見せ、
25日にも首都圏の緊急事態宣言が解除されようかという方向に向かっています。

世間では自粛ムードも薄まり、徐々に人出も多くなりつつあるようです。
これは多くの日本人の超常的な意志と努力の賜物だと思います。

しかし、一方で実際の医療現場では、現在も医療スタッフの闘いが続いているようです。
医療従事者たちは自らの生活を犠牲にし、生命をかけて任務にあたっています。
また今も、患者とその家族が苦しみの最中にあります。

こうした現状を見ると、まだまだ気を引き締めなければならないと感じました。
医療現場がかつての落ち着きを取り戻したときに、初めて収束と言えるのかもしれません。


焦点:「解除の日」遠い医療現場、聖マリアンナ病院の葛藤
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200522-00000102-reut-asia


シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D759 「未完成」 第1楽章 [2020][VR]
Franz Peter Schubert:Symphony No.8 in B minor, D.759 "Unfinished"
I. Allegro moderato [12:25]



Schubert-Symphony-No8-Unfinished-1st-2020-VR.mp3



シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D759 「未完成」 第2楽章 [2020][VR]
Franz Peter Schubert:Symphony No.8 in B minor, D.759 "Unfinished"
II. Andante con moto [11:43]



Schubert-Symphony-No8-Unfinished-2nd-2020-VR.mp3



*第2楽章は14年ぶりの新演奏・新録音です。
*「田園」に引き続き音源にVR処理(3D・立体音響)を施しています。


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posted by アンドウトワ at 16:25 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月17日


オンライン特別プログラム - ベートーヴェン「田園」バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - L.V.Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68 "Pastorale"

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交響曲第6番「田園」は、ベートーヴェンの9つの交響曲の中でも異質な存在です。

「英雄」「運命」「第九」などの有名曲は、いずれも男性的な強さ、困難に立ち向かう意志を描いていますが、「田園」にはそうした闘争の姿はなく、自然への感謝と穏やかな心境のみが表されています。

ベートーヴェンは「田園」について、「自然の描写というより人間感情の表現」と説明しています。
ベートーヴェンは自然が見せる様々な表情を通して、人生そのものを描いているのです。

第6番「田園」は、全くタイプの違う第5番「運命」と同時進行で作曲されました。
そしてどちらも1808年、38歳の年に書き上げられ、その年の12月にウィーンで同時に初演されました。
コンサートでは、第1部で「田園」、第2部で「運命」がベートーヴェン自身の指揮で演奏されています。

ベートーヴェンは激しい闘争の「運命」と、静かでやすらかな「田園」の二面性をもって、
様々なできごとが起こる人間の人生を総括的に描こうとしたのかもしれません。
そして人間には、強さとやさしさの両面が必要だと伝えているような気がします。



「運命」と「田園」を作曲した頃のベートーヴェンは、耳疾の療養のために、しばしばウィーン郊外の
ハイリゲンシュタットに居を構え、そこで作曲の作業を進めました。
朝は日の出とともに作曲を始め、午後2時頃まで仕事を続けると、その後はウィーン近郊を
日が暮れるまで、時には夜中までをかけて延々と散歩で歩き回っていたといいます。

毎日のように、自然の中を散策したベートーヴェンはそこからインスピレーションを受け、
おそらくは歩きながら作曲の構想を頭の中でまとめていたのかもしれません。

ベートーヴェンは親しいドロスティック男爵夫人に、「誰か、私より田園生活の好きな人がいるでしょうか?色々な木々や茂みは、私の心の疑問に答えてくれるようです」と書き送っています。

第2楽章「小川のほとりの情景」には次のような説明がついています。

「さらさらと流れる小川のせせらぎにも似た弦楽器の音。そして、それを伴奏にしてきれいな懐かしい旋律は、時には初夏の野辺を照らす太陽のように、また楽し気に飛び交う小鳥の群れようにも聴こえるでしょう。やがてフルートがナイチンゲールの声を吹き、オーボエがうずらの鳴き声をまね、クラリネットはカッコウの歌をうたいます」

「田園」を作曲した頃のベートーヴェンは、ほとんど聴覚を失くしていました。
ですから第2楽章の最後に奏でられるナイチンゲールの声も、うずらの鳴き声も、
カッコウの歌も実際には聴こえていませんでした、ベートーヴェンはそれらを心の耳で聴き、
想像をめぐらせ、音符にして譜面に書き留めていたのです。


ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」 第1楽章 [2020][AR/VR]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68
I. Allegro ma non troppo(田園に着いた時のさわやかな気分) [13:41]



Beethoven-Symphony-No6-1st-2020-AR-VR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」 第2楽章 [2020][AR/VR]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68
II. Andante molto mosso(小川のほとりの情景) [14:10]



Beethoven-Symphony-No6-2nd-2020-AR-VR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」 第3楽章, 第4楽章, 第5楽章 [2020][AR/VR]
Ludwig Van Beethoven:Symphony No.6 in F major, Op.68
III. Allegro(農民たちの楽しい集い) - IV. Allegro(雷雨・嵐)
- V. Allegretto(羊飼いの歌・嵐のあとの感謝と喜び)[19:05]



Beethoven-Symphony-No6-3rd-4th-5th-2020-AR-VR.mp3


*今回から音源にVR処理を追加し、より音響の立体感と距離感が増しています。
実際のコンサートホールの客席に近い感覚になっていると思います。


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posted by アンドウトワ at 05:38 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月07日


E.モリコーネ:映画「ミッション」から “ガブリエルのオーボエ” / Ennio Morricone:Gabriel's Oboe from "The Mission"

Morricone.jpg♪イタリアの祈りのヴァイオリンが感動を呼ぶ

映画「ニューシネマ・パラダイス」で知られるイタリア映画音楽の巨匠、
エンニオ・モリコーネを代表する曲として近年、特に人気の高い作品です。

モリコーネが作曲を担当した1986年のイギリス映画「ミッション」は、
1750年代の南米・パラナ川上流域(現在のパラグアイ付近)を舞台に、
先住民族へのキリスト教布教に従事するイエズス会宣教師たちの姿を描いています。
布教活動は困難を極め、先住民に襲われ命を落とす者もいたほど。

宣教師ガブリエルはそんな状況下、ひとり森林に分け入り、
神への賛美の曲を自らのオーボエで奏でます。
それに惹かれ、警戒しながらも少しずつガブリエルに近づく先住民たち…。




やがて音楽の音色は両者を結びつけ、ジャングルに「賛美の教会」が建てられます。
この音楽が「ガブリエルのオーボエ」として知られる曲です。
劇中では無伴奏の演奏で、途中で途切れてしまいますが、
他にモリコーネ自身のオーケストラ版を始め、様々な編曲版があります。

サラ・ブライトマンが歌う「ネッラ・ファンタジア」は、この曲に歌詞をつけたものです。
歌にすることを断り続けるモリコーネに対し、何度にも渡る手紙での交渉の末、
やっとのことで許可に至ったとサラ・ブライトマンは語っています。
その後イル・ディーヴォやポール・ポッツ等、多くの歌手がこの歌をカバーしています。

最近ではイタリア在住の日本人ヴァイオリニスト横山令奈さんの演奏が話題になっています。
横山令奈さんは新型コロナウイルスの医療に従事する現場の医師たちに向け、
近隣の建物の屋上からこの曲を無伴奏で演奏して届け、感動を呼んでいます。

*今回はオーボエをヴァイオリンに変え、ニ長調に移調して新たに録音しました。


E.モリコーネ:映画「ミッション」から “ガブリエルのオーボエ”
Ennio Morricone:Gabriel's Oboe from "The Mission" [2:24]




*作曲家の著作権が継続中のため音源はストリーミング再生のみです



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2020年05月05日


オンライン特別プログラム - ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界より」 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"

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今回も引き続き特別プログラムでお届けします。

交響曲第9番「新世界より」はドヴォルザークが作曲した最後の交響曲。
「新世界」とはこの曲が作曲されたアメリカのことで、故郷ボヘミアへの想いが込められています。

1892年、ニューヨークに新設されたナショナル音楽院の院長に招かれたドヴォルザークは、
故郷をしばらく離れることになるこの任務を快く引き受けました。
彼は大の鉄道ファンだったため、アメリカに行けば好きなだけ鉄道を見れると思ったのです。

妻子を連れて初めてアメリカに渡ったドヴォルザークは、当初はそこでの日々に満足していましたが、
やがてすぐに故郷ボヘミアが恋しくなり、極度のホームシックにかかってしまいました。
素朴な人情家の彼にとって、機械文明のアメリカはあまり馴染める場所ではなかったようです。

そこでドヴォルザークはアメリカでありながらボヘミア人が多く住み、
ボヘミアをそのまま移したようなアイオア州のスピルヴィルという地区に暮らすようになりました。
「新世界より」を始め、弦楽四重奏曲「アメリカ」やチェロ協奏曲などの名曲は、
スピルヴィルで過ごした2年間のうちに書き上げられました。

これらの曲には5音階(ペンタトニック)の旋法が多用されており、
ドヴォルザークがアメリカの黒人霊歌や原住民の民謡に影響されたのを物語っています。



「新世界より」を象徴するのは何と言っても第2楽章のラルゴです。
のちに弟子のフィッシャーが合唱曲「Going Home」に編曲して大人気になりました。
日本でも「遠き山に日は落ちて―」の歌詞で知られる「家路」として有名です。
イングリッシュホルンで奏でられるどこか寂しい旋律を通じてドヴォルザークは、
遠く離れた懐かしい故郷ボヘミアへの想いを切々と表現しています。

「新世界より」はまた、交響曲としてはかなり速い作業で作曲が進められました。
アメリカに来た翌年の1893年1月10日にスケッチが着手され、5月24日には完成しています。
そして、その年の12月16日にアントン・ザイドルが指揮する
ニューヨーク・フィルハーモニック協会の演奏会で初演されました。


ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第1楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
I: Adagio - Allegro molto [12:54]



Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-1st-2020-VR.mp3



ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第2楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
II: Largo [14:05]



Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-2nd-2020-VR.mp3



ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第3楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
III: Scherzo (Molto vivace) [8:17]



Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-3rd-2020-VR.mp3



ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」 第4楽章 [2020][VR]
Antonin Dvorak:Symphony No.9 in E minor, Op.95 "From the New World"
IV: Allegro con fuoco [12:05]



Dvorak-Symphony-No9-From-the-New-World-4th-2020-VR.mp3


*第3楽章は13年ぶりの新演奏・新録音です。
*第2楽章および両端楽章も演奏と音響を改めた新録音です。
*全楽章を3D・立体音響の音源に差し替えました。6/5


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posted by アンドウトワ at 03:47 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月30日


オンライン特別プログラム - ブラームス 交響曲第1番 バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68

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今回も通常とは違うスタイルでお届けします。

交響曲第1番はブラームスが22歳で作曲に着手してから、21年もの歳月をかけて完成した力作です。
全部で4曲あるブラームスの交響曲の中でもひと際力強く、たくましさがあり、
困難に怯まずに立ち向かっていこうという前向きなエナジーに満ちています。
4曲を並べて聴くと、明らかに1番だけが異質の精神性を持っていることがわかります。

ブラームスは先人ベートーヴェンの巨大な交響曲群を意識するあまり、
それを超えなければならないと推敲に推敲を重ねました。
前の3つの楽章は約10年でスケッチを終えたものの、
第4楽章の完成には更に10年もの月日を費やさなければなりませんでした。
それだけにこの曲は、交響曲史上でも特筆すべき壮大さと感動的で充実した内容を持っています。

指揮者のハンス・フォン・ビューローはそれを「ベートーヴェンの第10交響曲」と表現しました。
その言葉の通り、第1番には普段のブラームスには見られないような気迫が感じられ、
音楽的には後期ロマン派の香りが漂うものの、根底に流れる強い意志力はベートーヴェンそのものです。

第1楽章はあたかも運命の鉄槌が振り下ろされるかのようなティンパニーの序奏に始まり、
その後はオーボエとチェロが沈みきった心を表現すると、意を決して困難との闘いが始まります。
この闘いは外部の敵が相手というより、くじけそうな自身の弱さとの闘いとも思えます。

第2楽章は穏やかなやすらぎの音楽で、過酷な戦闘の合間のひと時の休息です。
第3楽章も激しさはない箸休め的な小品で、最後には希望を象徴する第4楽章の主題も見え隠れします。



そしてこの交響曲では最も長い演奏時間を要する第4楽章が始まります。
長い闘いの果てに訪れた、希望の兆しを表すかのようなアルペンホルンの主題(3:22)は感動的で、
あたかも遠い水平線か雲海の彼方から、ゆっくりと昇り始める朝の太陽のようです。

また、ベートーヴェン第九の「歓喜の歌」に似た主題も胸に沁みるものがあります。
交響曲第1番はベートーヴェン「運命」と同じくハ短調で始まりハ長調で終結する、
「苦悩を突き抜けて歓喜へ至れ」というベートーヴェンのモットーをも感じさせています。
ブラームスが最初の交響曲でいかにベートーヴェンを強く意識していたかがわかります。

終楽章の最後は交響曲史上最大と言われるスケールの大きなコーダを迎え、
闘いの完全勝利を告げるファンファーレが鳴り渡ると、畳み掛けるように凱歌が続きます。
そして念を押すようにハ長調に転じた和声が踏みしめられ、全曲が輝かしく締めくくられます。


ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第1楽章 [2020][VR]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68
I. Un poco sostenute - Allegro [15:06]



Brahms-Symphony-No1-1st-2020-VR.mp3



ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第2楽章 [2020][VR]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68
II. Andante sostenuto [9:27]



Brahms-Symphony-No1-2nd-2020-VR.mp3



ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第3楽章 [2020][VR]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68
III. Unpoco allegretto e grazioso [5:18]



Brahms-Symphony-No1-3rd-2020-VR.mp3



ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68 第4楽章 [2020][VR]
Johannes Brahms:Symphony No.1 in C minor, Op.68
IV. Adagio - Allegro non troppo ma con brio [19:10]



Brahms-Symphony-No1-4th-2020-VR.mp3


*第2楽章、第3楽章は14年ぶりの新演奏・新録音です。
*両端楽章も演奏と音響を改めた新録音です。
*全楽章の音源を3D・立体音響に差し替えました。6/5


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posted by アンドウトワ at 03:01 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月22日


オンライン特別プログラム - ベートーヴェン「第九」バーチャルコンサート / Online Virtual Concert - L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125

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今回は通常の形を変更した特別なプログラムです。

第4楽章「歓喜の歌」の合唱のイメージがあまりに強い「第九」ですが、
実際は前半の二つの楽章にかけて、個人の内面の激しい闘いが描かれています。

「運命」「コリオラン」「エグモント」など、ベートーヴェンにはこうした勝利に向けての闘争を描いた
短調の音楽がいくつもありますが、わけても「第九」の第1楽章は別格です。
約15分以上におよび、ひたすらに胸を引く裂くような闘いが続きます。

第2楽章になってもそれは変わらず、過酷な運命はこれでもかと襲い掛かってきます。
しかし主人公はそれに怯むことなく、時にユーモアさえ見せながら気丈に立ち向かうのです。

第3楽章は一転して、天上界か、あるいは心の奥の安らかな場所を描いたような穏やかな音楽です。
最初のテーマは宗教的な祈りを思わせる旋律、次のテーマは愛や感謝を思わせるあたたかな旋律です。
この二つのテーマが入れ替わり変奏を繰り返し、満ち足りた時間を紡いでいきます。

特にワルツの変奏で軽やかにスウィングする場面(11:29)は感動的です。
しかし、この安楽にも金管が「眠ってはならない」と警鐘を鳴らすのです。

そして第4楽章では過去の三つの楽章が否定され、低音弦が提示する「歓喜の主題」に
あたかもフラッシュモブのように各楽器が賛同していき、ついには盛大な全体合奏に至ります。

その後はベートーヴェン自身が書いた冒頭の「おお友よ、もっと快い歌をうたおうではないか」
という呼びかけが歌詞付きでバス歌手により再現されると、それに呼応して合唱が歌い始め、
オーケストラと合唱による壮大な「歓喜の歌」のシンフォニーが繰り広げられていきます。



ベートーヴェンは「第九」作曲のごく初期の段階で、声楽(頌歌)を加えることをイメージしており、
「管弦楽編成は通常の十倍の大きさで」とスケッチにプロットを記入しています。

「第九」には人生に訪れる過酷な試練の闇とそれとの闘い、また打ち勝つための揺るがない意志、
不動の中心(精神的)、ユーモア、大胆不敵さ、心のやすらぎ、祈り、統一、希望、光、愛、感謝、
覚醒、再起、連帯、調和、平和といった要素が凝縮されています。

現在、世界を覆う厳しい状況に最も求められる音楽だと思います。
天はベートーヴェンという器を通し、音楽という言葉で人々に語り掛けているのかもしれません。


ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第1楽章 [2020][AR]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
I. Allegro ma non troppo, un poco maestoso [19:10]



Beethoven-Symphony-No9-1st-2020-AR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第2楽章 [2020][AR]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
II. Molto vivace [10:40]



Beethoven-Symphony-No9-2nd-2020-AR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第3楽章 [2020][AR]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
III. Adagio molto e cantabile [18:29]



Beethoven-Symphony-No9-3rd-2020-AR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第4楽章 [2020][AR]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
IV. Presto-Allegro assai [25:30]



Beethoven-Symphony-No9-4th-2020-AR.mp3



ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op.125 「合唱」 第4楽章 [KARAOKE]
L.V.Beethoven:Symphony No.9 in D minor, Op.125
IV. Presto-Allegro assai [18:11]



Beethoven-Symphony-No9-4th-2020-KARAOKE.mp3


*第4楽章の合唱は著作権が消滅した音源をミックスしています。
*カラオケはご自身の歌や楽器演奏を加えて公開するなど、ご自由にお使いください。


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posted by アンドウトワ at 19:44 | 交響曲 (Symphony) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月17日


ホルスト:組曲『惑星』 Op.32:第4曲 木星、快楽をもたらす者 / Gustav Holst:The Planets Op.32:IV. Jupiter, the Bringer of Jollity

Holst.jpg♪国を超えて愛される「木星」の主題

グスターヴ・ホルスト(Gustav Holst / Gustavus Theodore von Holst, 1874年9月21日 - 1934年5月25日)は、イギリスの作曲家。最も知られた作品は、管弦楽のための組曲『惑星』ですが、全般的に合唱のための曲を多く遺しています。イングランド各地の民謡や東洋的な題材を用いた作品、また、吹奏楽曲などでも知られています。

大管弦楽のための組曲『惑星』(わくせい、The Planets)作品32は、ホルストの作曲した代表的な管弦楽曲です。この組曲は7つの楽章から成り、それぞれにローマ神話に登場する神々にも相当する惑星の名が付けられています。「木星」中間部の旋律は、イギリスの愛国歌、またイングランド国教会の聖歌となっています。

ホルストの代表曲として、ホルスト自身の名前以上に知られており、近代管弦楽曲の中で最も人気のある曲の1つです。イギリスの管弦楽曲を代表する曲であるとも言えますが、むしろイギリス音楽とは意識されず、その枠を超えて親しまれている曲でもあります。ただし、特殊楽器の多用や女声合唱の使用などが実演の障壁になることも多く、全曲を通しての演奏の機会は必ずしも多いとはいえません。

この作品は惑星を題材としていますが、天文学ではなく占星術から着想を得たもので、地球が含まれないのはこのためです。西欧ではヘレニズム期より惑星は神々と結び付けられ、この思想はルネサンス期に錬金術と結びついて、宇宙と自然の対応を説く自然哲学へと発展しました。この作品は、日本語では「惑星」と訳されてはいますが、実際の意味合いで近いのは「運星」です。




それぞれの曲の副題は、かつては「…の神」と訳されていましたが、近年では本来の意味に則して「…をもたらす者」という表記が広まりつつあります。かねてよりホルストは、作曲家アーノルド・バックスの兄弟で著述家のクリフォードから占星術の手解きを受けており、この作品の構想にあたり、占星術における惑星とローマ神話の対応を研究しています。

初演当初は好評をもって迎え入れられましたが、同時代の作曲家の意欲的な作品(ドビュッシーの『海』やストラヴィンスキーの『春の祭典』など)と比較してやや低水準と見なされた本作品は、ホルストの名とともに急速に忘れられる道をたどることになり、一時は英国内の一作曲家のヒット作という程度の知名度に甘んじるようになりました。

>> 続きと試聴&ダウンロード音源はこちら [Download]

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posted by アンドウトワ at 04:33 | 管弦楽曲 (Orchestral) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする